Section 3

確率統計基礎講義 A
分布論 (Part 7)
3.3. 非心χ2分布
講師:栁原宏和
E-mail: [email protected]
Web: http://www.math.sci.hiroshima-u.ac.jp/~yanagi/ProbStatBasisA.html
分布論, Part 7: P.1
定義1
分布論, Part 7: P.2
定義2
非心カイ二乗分布 (Non-central Chi-Square
Distribution):
∼
であるとは, 確率変数 が従う分布の確率密度関数が
/
1
/
0
! Γ /2
4
2 /
; ,
非心カイ二乗分布の別定義:
, … , は互いに独立に
∼ N ,1 (
1, … , ) に従うとし,
∑
とおく. このとき, の従う分布を自由度 , 非心度 の非
∑
心 分布といい, ∼
と書く. ただし,
.
0
∈ ,
0
であるときのことをいう.
注意3.1.3) 多くのテキストでは, 定義2で非心カイ二乗分布を定義
している.
注意3.1.4) の確率密度関数は, もちろん
; , となる.
0
注意3.3.1) 一般的な定義では, は自然数である必要はない.
注意3.3.2)
0のとき, 非心 分布は 分布に一致する.
分布論, Part 7: P.3
の
注意3.1.5) 定義2より, , … , は互いに独立で ∼ N ,
とき, / を2乗して足したものも非心 分布に従う.
∑
/ とすれば, ∼
となる.
つまり,
∑
/
ただし,
分布論, Part 7: P.4
特性 (1/2)
特性 (2/2)
1. 自由度 , 非心度 を持つ非心 分布は右に歪んだ分布であ
り, と はともに位置とばらつきを表す母数である. また, ま
たは が大きくなれば正規分布に近づく.
2.
2
0.2
2
3(0)
2
3(3)
2
3(1)
0.2
2
5(3)
2
3(3)
2
Density
Density
2
10(3)
0.15
0.1
0.05
0
0
3(5)
0.15
2
/
exp
1
2
∈
∼
のとき,
E
, Var
4. 再生性: 互いに独立な確率変数 ,
∼
のとき,
∼
0.25
1(3)
のとき, の特性関数は,
1
3.
0.25
∼
2
が,
2
∼
,
となる.
0.1
0.05
5
10
x
15
20
0
0
5
10
15
20
x
分布論, Part 7: P.5
分布論, Part 7: P.6
特性の証明
3.4. ウィッシャート分布
分布論, Part 7: P.7
分布論, Part 7: P.8
定義1
定義2
ウィッシャート分布 (Wishart Distribution):
を
正定値行列とする. ∼ W , Σ であるとは, 確率変数
行列 が従う分布の確率密度関数が
/ exp tr Σ
; ,Σ
/ Σ / ∏
2 /
Γ
1 /2
∈ ,Σ
0
であるときのことをいう.
注意3.4.1) 一般的な定義では, は自然数である必要はない.
注意3.4.2) Σ
で
1のとき, ウィッシャート分布は 分布とな
る.
分布論, Part 7: P.9
ウィッシャート分布の別定義:
∑
,…,
∼ . . .N
, Σ とし,
とおく. このとき, の
従う分布を自由度 のウィッシャート分布といい, ∼ W , Σ と書
く.
注意3.1.3) 多くのテキストでは, 定義2でウィッシャート分布を定義
している.
; , Σ となる.
注意3.1.4) の確率密度関数は, もちろん
注意3.1.5) 定義2より, , … , は互いに独立で ∼ N
,Σ
∑
とすれば,
のとき,
∼ W , となる. ただし, Σ
,
.
分布論, Part 7: P.10
特性
1.
∼W
, Σ のとき, の特性関数は,
/
2Σ
2.
∼W
は 次実対称行列
, Σ のとき,
E
Σ
1 0ならば, E
Σ /
3. 再生性:互いに独立な確率変数行列 ,
∼W
, Σ のとき,
∼W
1
が,
∼W
,Σ ,
, Σ となる.
3.5. 行列2次形式統計量の分布
4. バートレット分解(Bartlett Decomposition): ∼ W , のとき,
′を満たす以下のような 次下側三角行列が存在する.
0
⋮
⋮
⋯ 0
⋯ 0
⋱
0
⋯
下三角成分は互いに独立
0, ∼
,
∼ N 0,1
分布論, Part 7: P.11
分布論, Part 7: P.12
行列2次形式統計量に関する定理 (1/2)
標本分散共分散行列
定義 (標本分散共分散行列, Sample Variance Covariance
, Var
Σを持つ分布に従う独立
Matrix): , … , をE
∑
な確率変数ベクトルとし, 標本平均 を
とする. この
とき, 標本の散らばりを測る指数である標本分散共分散行列は
1
′
1
定理3.5.1. , … ,
∼ . . .N
のとき ∼ W
1, Σ である.
, Σ とし,
1 とする. こ
定理3.5.2. , … ,
∼ . . .N
, Σ とし,
を 次対称ベキ等行列とする. このとき,
ただし,
tr
である.
,…,
′とおき,
∼ W , Σ である.
で定義される.
注意3.5.1) はΣの不偏推定量である. つまり, E
定理3.5.3. , … ,
∼ . . .N
, を 次対称ベキ等行列でtr
(ただし
). このとき,
Σ.
分布論, Part 7: P.13
行列2次形式統計量に関する定理 (2/2)
定理3.5.4. , … ,
∼ . . .N
, Σ とし,
,…,
′, を
次対称ベキ等行列, を
を満たす 次元ベクトルとする.
と ′ は独立となる.
このとき,
定理3.5.5.
,…,
∼ . . .N
, Σ のとき, と は独立である.
分布論, Part 7: P.15
, Σ とし,
,…,
, tr
,
と
は独立となる.
′とおき,
とする
分布論, Part 7: P.14