豊田新利根土地改良区 再選目的 理事長が現金 土改法違反容疑=茨城

[土地連からのお知らせ N0.459]
再選目的
平成 27 年 11 月 27 日
豊田新利根土地改良区
理事長が現金 土改法違反容疑=茨城
2015.11.26 東京朝刊 33 頁 (全 1,679 字)
◆3人書類送検
2014年4月に行われた豊田新利根土地改良区(事務局・河内町源清田)の理
事長選を巡り、自らの再選を目的に理事に現金を渡したとして、県警が同土改区の
理事長で利根町加納新田、JA竜ヶ崎会長増田照樹容疑者(83)を土地改良法違
反(贈賄)容疑で水戸地検に書類送検していたことが25日、わかった。このほか、
男2人も同法違反容疑で書類送検された。送検はいずれも9月15日付。
県警は、増田容疑者を手助けしたとして同土改区総代で利根町、農業男(67)
を土地改良法違反(贈賄)容疑で、現金を受け取ったとされる同土改区理事で龍ヶ
崎市、農業男(70)を同法違反(収賄)容疑で、それぞれ地検に書類送検した。
捜査関係者によると、増田容疑者と総代は14年4月14日早朝、同日に行われ
る理事長選で増田容疑者へ投票するように依頼する趣旨で、現金15万円を理事の
自宅で手渡した疑い。理事は現金を受け取った疑い。
増田容疑者は自らの支援者だった総代に現金を預け、当選に向けた理事の取り込
みを依頼。総代は増田容疑者の代理人として理事方を訪れたとみられる。増田容疑
者は「自分以外の理事長では勢力争いが起き、土改区の運営がうまくいかないと思
った」と述べており、ほかの2人は容疑を認めているという。
理事長選には増田容疑者と河内町の70歳代男性が立候補し、一騎打ちとなって
いた。理事は翌日、受け取った全額を増田容疑者側に返金。理事長選でも増田容疑
者には投票せず、対立候補に投票した。増田容疑者は理事長選で8票を獲得し、1
票差で再選を果たした。
県警は今年に入り、「理事長選で賄賂のやり取りがあった」との情報提供を受け、
捜査を進めていた。
豊田新利根土改区は1970年設立。2015年3月末時点で、組合員数423
6人は県内201土改区(現在は200土改区)中9番目。龍ヶ崎、取手、稲敷の
3市と河内、利根の2町の農地計4035ヘクタールを管理し、受益面積は6番目
という大規模な土改区だ。
農地の区画整理事業や用水・排水施設の管理などが主な業務で、理事長は理事1
5人の互選で選ばれる。理事長は非常勤で任期は4年。月給15万円に加え、夏と
冬の賞与もあり、年間の総報酬は約210万円だという。
増田容疑者は1988年にJA利根町の組合長に就任。08年に合併した後のJ
A竜ヶ崎市(現・JA竜ヶ崎)でも副組合長を経て同年に会長となり、現在3期目。
豊田新利根土改区の理事には78年に選ばれ、現在10期目。前理事長の辞任を受
け、12年3月から理事長職に就いていた。
土地改良法は贈賄に3年以下の懲役か100万円以下の罰金、収賄には3年以下
の懲役などを定めている。
◆「無実」と理事長
増田容疑者は25日、読売新聞の取材に応じ、
「15万円はお茶菓子代として渡し
ただけ。投票を呼びかける意図は一切ない。私は無実だ」と容疑を否認した。
また、「事前の票読みで過半数を取れるとわかっていたのに票を買う必要はない」
とし、
「土地改良事業は金がかかる。理事が仲間にメシをおごることもある。少しで
も金銭的な助けになればと思った。ただ、訪問した時期はあまりに軽率だった」
「法
廷で戦いたい。だが、周囲への影響も考慮し、弁護士と相談して今後を決めたい」
と述べた。
一方、理事は「早朝に総代が紙袋に茶菓子と封筒を入れて現れた」と振り返った。
理事長選の数日前に増田容疑者と総代から「選挙は頼む」と電話があり、
「投票依頼
と感じた」という。
「総代が『もらってくれ。顔が潰れる』と頼むので受け取ってし
まった」と話し、「(2人の候補の)どちらに付くか微妙な理事もおり、焦りがあっ
たのだろうか」と首をかしげる。
現金を渡したとされる総代は「一切お答えできない。ノーコメント」とした。
〈土地改良区〉
農地開発や農道整備、排水路の管理などを行う公共組合で、土地改良法に基づい
て設立される。受益区域に農地を持つ農家は組合員として加入を義務付けられ、田
畑の面積に応じて運営費を支払う。区画整理や埋め立て、用水設備設置など各種事
業を実施する際、施工業者を決める権利も持っている。
(読売新聞社)