陳言コラム-4 中国雑談 転換期にあるサムスン 中韓国交を樹立してから韓国企業が中国での活躍ぶりを刮目して見てきた。日進月歩と 言っても過言ではない。ただし、ここまで来て、韓国企業、とくにその代表であるサムス ンも転換期に来ていると思われる。何か変化したか、二つの事例を取り上げたい。 サムスンと無関係の委託生産工場の生産停止 『毎日経済新聞』7 月 24 日付の報道によると、韓国のサムスングループは、中国でサ ムスンの委託生産をしている 2 工場の生産が停止したのは、工場側の原因によるもので、 サムスンとは関係がないとの見解を示したという。この問題については、中国の複数のメ ディアが、サムスングループの業績不振が両工場の停止につながった可能性を指摘してい た。 東莞普光公司と蘇州普光公司は、韓国の普光グループに属しており、主にサムスングル ープの製品を OEM 生産していた。しかし、6 月 24 日に蘇州普光は突然“休業”を宣言し、 韓国人経営者は姿を消した。続けて東莞普光の従業員も“休業”の通知を受けた。従業員 らは、サムスンが東莞普光への発注を取り消したためとしている。東莞では、従業員と経 営側の衝突も発生している。 サムスングループの広報担当者は中国メディアに対し、 「東莞普光はサムスンの OEM 工 場と言えるようなものではなく、サムスンのテレビ子会社の部品サプライヤーに過ぎず、 サムスンの携帯部門とも何の関係もない。東莞普光の生産停止、あるいは倒産は、サムス ンとは一切関係がなく、すべては彼ら自身の内部の問題だ」などと説明した。 このような言い方はどのぐらいの説得力を持つだろうかをさておき、サムソンは転換期 に来ている一つの重要事例にならないかと思われる。 スマホモデルの限界から見たもの もう一つの事例も新聞を読んで知ったことである。 『国際金融報』の報道によると、サ ムスン電子はすでに 7 四半期連続で営業利益が前年同期を下回った。その主な原因は同社 の主力であるスマートフォン事業が、ハイエンド端末ではアップルに押されており、ミド ル・ ローエンド端末でも中国の携帯メーカーにじわじわと詰め寄られていることにある。 特に、ここ数年で急速に台頭してきた中国の国産メーカーの競争力が非常に上がっている。 注目すべきは、サムスンの販売モデルは人々からの非難を浴びていることであろう。サ ムスンがこれまでに取ってきた販売方法は、最初に端末の値段を高く設定し、その後値下 げするというものだ。これでは販売開始直後に端末を購入したユーザーから反感を買うこ とだろう。これに対して、中国のスマートフォンメーカーは販売価格を最初から低く設定 し、数カ月後にグレードアップ版の端末を同じ価格帯で販売するという方式を採用してお り、中国のユーザーに対してこの販売方法はかなり功を奏している。 さらに中国市場では、サムスンのハイエンド端末はほとんど、有名な俳優によって宣伝 されている。しかし、モバイルインターネットとソーシャルメディアの時代において、こ のようなブランドマーケティングは安易かつ大雑把な手法で、効率的ではないと見なされ てしまう。サムスンには中国人ユーザーとの対話や触れ合いが不足しており、最も大切な 年若いユーザーたちとの距離が広がりつつある。 サムソンが中国でのビジネスモデルを早く転換しないと、今後はどうなるかと杞憂する のは筆者だけだろうか。 陳言 日本語日刊紙『速読中国』編集長。 連絡先:[email protected]
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