Interview 2015 日本と中国の友情を伝える 橋渡しを担う人材を目指して 事ができなかった時に、店長はいつも「頑張って」と 励ましてくれました。その時、心から感謝の気持ちが 胸に湧いてきました。中国では「加油」と言います が、スポーツの試合を見る時以外に、「頑張って」を 言う習慣はほとんどありません。この言葉はほんの簡 単な一言ですが、仕事中や勉強中に欠かせません。お 互いに励ましながら、信頼関係を築くとともに、やる 気も出てきます。私は「頑張って」の魅力を一人でも 多くの人に伝えたいと思います。 周 佑恩(シュウ ユウオン)さん 中国・北京出身 日本語の先生を目指す周さんは、現在愛知大学 現代中国学部に在学中です。 幼いころからの夢を叶え、日本に来日しました。 日本に留学しようと思ったきっかけや体験談な どを語っていただきました。 ――就職活動で苦労したことなどはありますか? 大学院に進学するつもりですので、就職活動をやっ ていません。しかし、先輩の経験から見ると、正直に 言って、留学生の就職活動はかなり大変だと思いま す。日本人学生と同じプロセスで選考を受けるので、 言葉の面で留学生にとっては不利です。しかし、現実 は確かに厳しいですが、留学生にとって優位なところ もあります。それは異文化への理解です。日本での留 学を通し、日本人は気づかない日本の文化や日本人の 考え方の特徴を知っています。また、母国のこともも ちろんよく知っていますので、日本企業と母国を繋ぐ かけ橋になれると思います。 The Track of Life 1991 誕生 2010 高校卒業 北京語言大学 入学 2012 来日 愛知大学 入学 現在に至る ――日本に留学しようと思ったきっかけを教えてください。 子供の頃から日本の漫画やアニメに触れていたの で、日本語を使っている国へ行ってみたいという幼い ころからの夢がきっかけです。そして、高校時代に父 親が仕事の関係でよく日本と中国の間を行ったりきた りしていましたので、いつも日本のことを話してくれ ました。日本はいったいどういう国なのか、どんな魅 力があって、父はそんなに日本をすきなのか、自分の 目で見てみたいと思いました。 ――この学校を選んだ理由を教えてください。 1901年、愛知大学の前身ともいえる東亜同文書院 (後に大学)は上海で設立され、日本の海外高等教育 機関として最も古い歴史を持っています。この110年間 の間に愛知大学は揺るぎなく日中友好に取り組んでお り、中国の成長の歩みを見続けてきました。これは国際 的な視点で中国を理解したいと考えていた私にとって 最高の環境といえます。そこで、愛知大学の現代中国 学部に入学しました。 ――日本で取得した資格を教えてください。 今はまだ持っていないですが、今年の7月に実施さ れる日本語能力試験1級に申し込みました。 ――学校での心に残る思い出を教えてください。 国際交流センターの方々にとても親切にしてもらっ た思い出です。初めて日本に来た時、日本語がよく しゃべれなくて、右も左もわからない不安だらけの私 に、国際交流センターの方が丁寧に対応してくれまし た。宿舎を斡旋したり、市役所や銀行の手続きのやり 方を教えてくれたりするなど、生活面でたくさん助け てくれました。その時から、何か困ったことがあれ ば、国際交流センターに相談するようにしています。 今でも、センターの方々に対して、感謝の気持ちを 持っています。 ――日本に来て苦労したことはなんですか? 異文化になじむことです。日本に留学に来てから、 もっとも感じたのは生活面でのカルチャーショックとい えます。例えば、ゴミの分類と捨て方、電車の中での 携帯電話の使用禁止などがあげられます。一日も早く この異文化に慣れるために、私は先輩の経験を聞くと 同時に、日本人の友達を作りました。友達は日本語や 日本のマナーや常識をたくさん教えてくれました。恩 返しとして、私はよく中華料理を作って、日本人の友 達を誘いました。この時、友情には国境はなく、一緒に 笑って遊べる人が本当の友達であると意識しました。 ――日本語を覚えるにあたって苦労したことを教えて ください。 日本に来たばかりの頃、日本語がよくしゃべれな かったので、辛い経験だらけです。授業はもちろん、 日常生活にもいろいろな不便がありました。そこで、 私は日本語ができなければ何もできないと意識し、語 学力は武器だと自分に言い聞かせました。日本語を上 達させるために、図書館から日本語の教科書を借り て、毎日語彙と文法を覚えてから、翌日、日本人の友 達と練習しました。これを半年続けるうちに、日常会 話が次第に上手くできるようになりました。 ――日本の文化・職場・地域社会等についてなにか感 想があれば教えてください。 アルバイトの話ですが、「頑張って」という言葉に 感動させられました。私は飲食店でアルバイトをして います。アルバイトを始めたばかりであまり上手く仕 ――今の仕事で楽しいこと、大変なことなど教えてく ださい。 私は今、卒業論文の作成に取り組んでいます。卒論 というのは書くことより、それまでの下準備が大変だ と思います。フィールドワークをおこなったり、大量 の関連文献を読み込んだりすることはとても地道な作 業で何度も挫けそうになりました。しかし、これらの 作業によって、役に立つデータ・情報を得た時や新し い発見をした時には、努力の価値を感じます。卒業論 文の完成に向けて引き続き頑張りたいと思います。 ――将来の夢を教えてください。 私は日本語の先生になりたいと思います。 歴史の原因により、多くの中国人は日本あるいは日本 人に対して誤解を持っています。そのため、私は日本 語教師になり、日本で留学している間の見聞や勉強し たことを中国の若者に教えてあげて、彼らに日本とい う国に対する正しい認識を持ってもらいたいと思いま す。そして、今後チャンスがあれば、日本にきて自分 の目で日本を見てもらいたいです。私は中日両国の友 情を伝える橋渡しを担う人材になることを目指してい ます。 後輩の皆さんにアドバイス 後 YELL 留学をしようと決めたら、精一杯努力を! みなさんが留学に来る前に、留学生活に対してさまざまな憧れがあると思います。そし みなさ ――日本での楽しかった思い出を教えてください。 旅行です。私は日本に来てからの3年間に、日本の半 分以上の県に行ってきました。旅行に出かけると、各地 の歴史や文化などを理解し、観光地で写真を撮り、現地 のグルメを楽しみます。そして、収集した資料をまとめ て、エッセイを書いています。将来、これを本にして、多 くの中国人に読んでもらいたいと思います。日本と中国 は一衣帯水の隣国ですので、お互いに理解しあえるよう に自分の力で貢献したいと思います。 て、留学に来て最初の一週間目も、新しい風景ばかりで興奮するかもしれません。しかし、 本当の勉強が始まると、苦労が次々と訪れるに間違いありません。一番難しいのは言葉の 壁を乗り越えることだと思います。留学に来たら、言葉は自然にできるようになると思う 人がいます。それは自分が精一杯努力することを前題としています。もし、勉強しなけれ ば、外国にいくらいても、語学力がアップすることはありません。そのため、私が皆さん にアドバイスしたいのは、留学しようと決めたら、必ずその国の言語を身につけないとい けないということです。
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