明日を拓く大地と水 笠岡湾干拓地 (PDF形式)

I。
事
の 沿
業
Ⅱ .事
革
笠岡市は、岡山県西部、瀬戸内海 のほぼ中央 に位置 し、瀬戸内型気候 に
恵 まれた農業 の好適地 であ り、また、岡山県倉敷市及 び広島県福山市等の
大消費地帯 を近 くに控 え、農業立地の条件 に適 している。 しか しなが ら、
本地域 では平担地 が少 ないため耕地 に恵 まれず、加 えて農業用水 が乏 しく
生産基盤 が弱体であ る。
笠岡湾の干拓は江戸初期 の新田開発 に始 まり、近世 を通 じて造成 された
約 300haの 土地 が現在の笠岡市 の母体 をな している。 その後 も、昭和 33年
に105haの 国営 旧笠岡湾 (富 岡)千 拓地 が造成 されるなど、笠 岡市民 にと
って海面千拓 へ の関心 は極 めて強 い ものがあった。 こ うした歴史の中で、
岡山県及 び笠岡市の強 い要請 によ り、笠岡市 の西南 に広がる笠岡湾の干拓
構想 が国営干拓事業 として実現す るところとなった。
国営笠岡湾千拓建設事業 は、農林水産省が岡山県及び 日本鋼管株式会社
笠岡湾 の海面1,81lhaの うち
の行 う笠岡臣
ti海 工業用地等造成事業 と共同で、
1,651haを 堤 防で締切 り、農業用地 1,191ha及 び工業用地 460haを 造成 し、
業
の
概
要
1.堤
防 計 画
東側堤 防 (生 江浜 ∼神 島瀬戸)は 延 長 3,816m、 西側堤 防 (茂 平 ∼寺 間)
は延 長 5,928mで 、 うち5,078mは 工業側 が施 工 し、残 り850m(西 側潮止堤
防)は 農 工 共 同 で施 工 した。 なお、潮 止 は 開 口幅700mと し、9前l製 粋 と拾
石 を用 いた漸 高方式 によ り締 切 つた。
2.用
水 計 画
。
水淵 を高梁 川支流成 羽川上流 に築造 (岡 山県 中国電 力 によ る)し た新成
羽川 ダム (343.5完 成)に 求 め、放流 水 を高梁 川の船穂地 点 か らポ ンプ に
より共 同 で取水 し、約 24kmの 共 用導水路 をもって干 lli地 に給水 して い る。
3.排
水
計
画
地 区内排水 は、背後地流域 よ りの流 出水 ととも に地 区内幹支線排 水路 及
び承 水路 によ り遊 水池 へ 導水 し、寺 間排 水機場 によ り外 海 へ排 水す る。 ま
た、東側堤 防 か らの浸 透水及 び降水 は潮廻 しによ り集水 し、片 島排水機場
1こ よ リタ
ト海 につF刀 くす る。
4.遭
画
の
地 区内生産物 集出荷 、集落関連絡 等 を考慮 し、 6路 線 の 幹線道路 を配
置 して い る。 また、幹線 道路 に直角 に肋骨状 に支線 道路 を設 け、 この外 に
路
計
残 る海面 160haは 港湾水域 とす るいわゆ る多目的千拓事業であ る。 また、
千拓地 の用水 を確 保 す る導 水事 業 も、水源 の高梁川 か ら延長24kmの 水路
神 島、金 崎及 び寺 間 に連絡 道路 を設 けて い る。
によって導水 し、かつ漆中の沿線各市町 の工業用水及びJ二 水道用水 も併 せ
5.農 地 整 備 計 画
て取水流下 させる多目的事業であ る。
大規模 な機械 を使 用 した畑作経営 を実現す るため、道路 と排 水路 で囲 ま
れた 1圃 区 を500m× 200mの 10haと し、 それ を耕作道路 及 び集水淋 で 1∼
2 haに 区 画 した。団場 の上 質は シル ト質粘 土 であ り、作物 の生 育 に必 要 な
このよ うな多目的事業 を施 行することによって、農業用地 を造成 し、畜
産 と畑作 による大規模 自立農家の創設 を図 るほか、地区周辺 の備後工業整
備特別地域 の工業基盤及 び生活基盤 の整備 に大 きく貢献するものであり、
本事業の規模や内容 は、全体 として田園都市形成 を目指す にふ さわ しい総
合開発事業 となっている。
,¬
途 区分
農
裟
用
土地 改 良
農地造成 施 設 敷
面
積
944ha
工
地
247ha
言ト
1191ha
岡
業
IL県
73.5ha
用
386.5ha
ill元
6.宅
地 計 画
入植者 の宅地 及 び人植 者 ・増反者 の 日常生活 に必 要 な施 設等 の敷地 を片
島地 先 に設定 した。宅地 の造成標 高は、 (十 )1.00mで ある。
地
日本a司 管
土壊環境 の保持 のため、集水澁 に向 けて暗楽排 水 も施 工 し、併 せ て除塩促
進 の ための上用改良及 び畑地滋 施 設 も実施 して い る。
言r
300億 円
49億 円
総事業費
千拓事業費
受託事業費
工
昭和41年 12月 ∼平成 2年 3月
460ha
期
Ⅲ .事
業
の
経
笠 岡 市 内 の 干 拓 地
緯
S34∼ S41
S41.12.16
調査 、企計期 間
事業者工 (事 業所開設)
公 有水 面埋 立承 認
S44。
共 同 工 事 (導 水 )協 定 締 結
導 水 路 22.2km、 国 ・ 県 (農 水 ・ 工 水 。上 水 )
S46, 7. 30
共 同 工 事 (用 地 造 成 )協 定締 結
用 水 1,81lha、 国 。県 (工 地 ・ 港 湾 )。
S46. 12. 13
NKK
3. 31
事業計画決定
S48. 2, 8
潮止工事
S49.4∼ 52.3
千 陸排 水
S51.3∼ 52.8
土
同 工 事 (導 水 そ の 2 ) 協 定締 結
lく 路
導ノ
1 8km、 国 。垢
許 ( 工 水)
351,11.27
事業計画変更決定
S57. 12. 13
千 陸 計画決定
S59. 5. 24
西大戸
坂
_`
1う
4
郡
S60。
S61. 6. 13
河川法協議同意
S62. 6. 4
干陸 計画変更 決 定
S62. 9。 24
(第
(第
3回 )
S62. 11. 13
4回 )
S62. 11.25
千 陛 計画 変更 決 定 (第 2回 )
土地 配分 公告
(第
5回 )
丸
3. 26
事業計画変更決定 (第 2回 )
土地 配分 公告
→
^イ
N =牛 上 可
2回 )
田 一
S59, 11. 20
工業 用 地
(第
1回 )
キ
株︶
日本鋼管 ︵
福山製鉄所
(第
立
糸
吉浜
県
土地 配分 公告
■,
イⅢ Ⅲ
●
m惣
\
0
疹
小高島
Oコ ゴナ
沖 白石 o
H2, 1.17
H2. 2.23
浅 口
S43. 5,11
i
広 島
漁業補償締結
了1争ヽ
白石
■堤
防
堤 防は千拓地の生命線 である。 その基礎 となる海底 の土
質 が超軟 弱 であるため、砂 で置換 し、築堤 して いる。 この
基礎 の条件及 び築堤材料 の条件 から堤体 の安定 を考慮 し、
捨石 ・張石 で保護 した緩傾斜型 の断面 とした。西側潮止堤
防は、最後 に締 め切 った部分であ り、激 しい潮流 に対抗す
るため、 さまざまな工夫が こ らされた。
東側堤防
し 18.00
16.00
管理用道路
(ア スファルト舗装)
_HWL
‐ ― 一 M SL
マ
L
4,00
1.81
0。
23
.00
アー
海 砂
(― )1.00
(― )2
ドレーン
(― )2.Oo
東
・
側堤[方 の海砂 2段吹盛土
lmi長 さ15m)
西側潮止 堤 防
前面堤
後面堤
72.00
100,00
61.50
29.40
管 理 用逆路
(ア ス フ ァ ル ト舗 装 )
(十 )6.50
習[溜 故
乳
怪 鰍
にWL(― )1.35
600
(+)3
+)130
土
2,00
海
5,00 (―
砂
100
(―
100
)2
(―
)4.50
フ.00
1000
15.00
ドレーンエ
15,00
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共用 導水路 は、笠岡市及 び浅口
郡 里庄町、寄島町 、鴨方町 を対象
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とした水質源確保 の事業 で実施 さ
れた。 その 目的 は、笠岡湾千拓 ヘ
の灌漑 用水 の供給 をは じめ、永年
の願望であつた上水道用水の確保、
////
及び臨海 工業地帯 として造成 され
た工業用地 へ の工業用水 の確保 で
あ り、地域 の飛躍的発 展 をめ ざし
た総合開発事業 である。
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■農業 用水
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だ本lⅢ 14
地 区内 に入 った 農 業川水 は、金 崎
ヽ
、
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分 水塔 で :I:業 用水 を分 水 した の ち、
2系 統 のパ イ プ ライ ンで フ ァー ノ、ポ
ン ハ、
ノ、し、 それ ぞ ,■ σ)llll場 へ と
1折 じ
│ヾ
す
│:送 され る。各 耐場 で は、)ll!ti錠 あ る
ぃはナ
也表西ど管 を通 じて スプ リ ンクラ
ー も し くは レイ ンガ ンに よ りくまな
‐`
く │!列 くするこ とがで きる。 オヽlilイ i地
│イ
で は、水 は伯:物 生 fデ だ けで な く、除
山欠 で あ る。
比れに対 して t)イ く「
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亀
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■排
水
也区内 の白然 の iヽ 4【
地区内及び背後地流域 よ りの流出水は、ナ
の遊水
kり 占
1低 位 湘∫
↑文線排水旅及 び小水路網 にく
差 を利用 した中
池 へ 導人 し、 子問及 び片 Iと に設ドとした排 水機場 よ り外 海 に 排
・
る
ノオ
ノ
易では、II径 1,800mmσ ),ド ンフ を 3台 、IIイ 益
幾ナ
lぐ す 。ギ
││!1陶 ト
lく
700mmを 1台 、また、片島排水機場 には II径 451)I】 mの ポ ンプ を 2
台布 えている。
1市
︶べ ・
i
ヽ
JⅢ
■聖 け
I
■道
路
幹支線道路 は、軟弱地盤の上 にシー トを敷設 し、盛土 され
た。 全線 アスフ ァル ト舗装であ る。
幹 線 道 路
0.30
30
2%
27o
団場
角 フリューム
アスファル ト舗装
支 線 遭 路
5.00
7●
27。
団場
角フリューム
アスファル ト舗装
‐
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, ‐
■
'
°
\ 支線用水路
■農 地整備
鞠
i
■ .■
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I
大区画□場 では、海底 ヘ ドロ をその
圃場標準 図
まま農地 として利用す るため、乾燥工
と除塩工 を中心 とした農地整備 を行 っ
(5m問
*斗
彗
られ るが、粘土 の改 良 のため、石膏 を
投入 。深耕 している。
飼
"│
普
飼料畑 (粗 飼料基地 )
通
田
士
10 ha
100
100
100
1文
田
幹線 道路
耕作 道 路
幹線道路
の塩分 を暗渠 に洗 い流 す システ ムが と
〇〇劇
る。 また、除塩工 には、用水で土層中
集 水 溝
隔)、 地表排水 のための粗整地工、1/3
反転耕起及 びH音 渠排水 工 を施 工 して い
L
」
レ∝形彰彰膨彰
た。画場 の乾燥 には、水切溢
100
100
除塩 シ ステ ム
千拓地 は海 面 よ り低 い
位 置 にあ るこ とか ら、海
ノ
lく と して供
lく が↑
itに 地 下ノ
給 され る。地 下 水 は、地
表面 で水分 だ けが蒸 発 し、
塩 分 は その まま表層 に残
され る。 そ こで 、 スプ リ
ンクラー と‖
洋渠 を設置 す
るこ と によ り、表 層 の塩
分 を洗 い流 して除去 す る。
当初 スムーズだった水
の流 れは、千拓地 の粘 土
がナ トリウム型本
占土であ
るため、土粒子中 のナ ト
^ン カ
H吸 ガ
く。刃
影
リウム イメ
1問
回場整備模 式図 (普 通畑)
0∞.
〇
3.00
日
〇∞.中
1/125∼ 1/300
引
ト
0.40
[と
な つた。 そこで カル シウ
耕作道
1/125∼ 1狛00
して怪害 されるよ うに
除塩工 (石 膏投 入)
H=50cm
1/125-1/300
1/125-1/300
ムイオ ンか らな る石付 を
投 入す ることによって、
土粒子中 のナ トリウム イ
オ ンをカルシウム イオ ン
に置換 して、水の流 れ を
c.t,c
再び スムーズにす る。
50.00
50.00
a?
営農計画及び土地配分計画
■干拓地 での営農
経
土 づ くりの期間 を経 て本格化 した。様 々 な課題
入 械
千打i地 での営農は昭和 60年 春 か ら開始 され、
営
区
林
耕
lrl 複
子
に対応す るため、岡山県干拓営農 セ ンターが設
石
,F修 などが行 われている。 また、農道離若陸場
は、千拓地 の 高汗:質
。高価値 の農産物 を輸送す
側
芸
複
配 分 面積
合
5.Oha
24戸
124 ha
大豆、小 菱、かん しょ、ばれいしょ、にんじん、プロッコリー等
52戸
328 ha
50戸
80 ha
施 設 なす (花 き等含む)、 大豆 、小菱 、かん しょ等
2法 人
71 ha
上記のほか、 イチ ゾク、 イチ ゴ、 ブロ ッコ リー等
合
1.5ha
)
50戸 及び 2法 人
151 ha
102戸
479 ha
及 び 2法 人
女 側 賀 防
一
片射 ”水 懺 電
_″
て
て
凸a 謝止 慨防
,1,lt,
3
容
酪農、乳肉複合、肥育
近
仲
内
204 ha
市ト
鳥
農
28戸
生 江療
片
営
5.0∼ 7 5ha
隙I芸 稜合 (法 人
る新 しい時代 の流通施設 として設置 される。
数
″
冶
言r
増 反
置 され、千拓地 に合 った作物 の栽培実証や技術
戸当 り面積 戸
分
―
■地域 開発
干招i地 には、国道 や県道 バ
イパ ス、細;市 施 設 が計画的 に
配置 され、笠 岡市 の 都市 の 発
展 に寄 与 す るところ大である。
また、共同 事 業 で実現 した工
業 団地 や生 活用水 も、地 域 に
大 きく貢 i猷 して い る。
ボ ン
甲島方
里 見分水
D□ D口 D
絵師 分水
木 之 自分 水
笠 岡配水 池
新庄 浄水 場
寄 島 配水 池
豊 かな水 づ くリー ー 上水道 (岡 山県西南水道 )
1専募│ュ
笠
岡
市
!学
〔と
疑・
1砕
_"