要介護認定のしくみと流れ

医療事務の豆知識(59)
2015/10/30
ファーマライズホールディングス(株) 医事リーダー会
『 介護保険利用の流れ(認定方法、介護区分、支給限度額)』
①要介護認定とは?
介護保険証を持っている被保険者が介護や日常生活に支援が必要な状態であるか、どの位必要なのかを
市町村が判定するのが「要介護認定」です。
介護保険の介護サービスを利用するには、まずはこの要介護認定を受ける必要があります。
要介護認定のしくみと流れ
居宅サービス利用希望者
申請
(介護保険被保険者)
要介護認定を受けるために市町村(保険者)に所定の申請書を提出。
申請
主治医意見書
認定調査 主治医意見書
認定調査(74 項目)
特記事項
【心身状況調査】
申請を受付けた市町村は、認定調査を実施すると同時に主治医意見
書を取得。
認定調査→市町村の担当者や介護支援専門員(ケアマネージャー)が
要介護認定等基準の算出
状態の維持・改善可能性評価
自宅や入院・入所先を訪問し、本人と面接を行う。
主治医意見書→法令に定められた書式があり市町村が医師に依頼。
審査・判定
一次判定
市町村は法令で定める手順に従い、認定調査の結果から【一次判定】
を行う。
介護認定審査会(保健・医療・福祉の学識経験者による)
1次判定の結果と主治医の意見書や認定調査の際の特記事項などを
もとに最終的な審査・判定となる【2次判定】を行う。
審査判定結果=二次判定
②要介護認定の結果
2次判定の結果を市町村(保険者)が認定することで要介護認定は完結します。
認定の結果は下図のような 7 つの区分に分けられます。
要介護認定を受けると介護保険によるケアマネジメントや介護サービスが利用できるようになります。
軽
区分
要支援1
状態(おおまかな目安)
介護は必要ないものの生活の一部に支援が必要な状態。
介護サービスを適応に利用すれば心身の機能の改善が見込まれる。
要支援2
要介護1と同様の状態ではあるものの、介護サービスを適応に利用すれば
心身の機能の改善が見込まれる状態
要介護認定には、有効期限がある
要介護1
立ち上がりや歩行が不安定。排泄や入浴などに部分的な介助が必要な状態
ので継続には更新が必要です
要介護2
立ち上がりや歩行などが自力では困雑。排泄・入浴などに一部または全面
的な介助が必要な状態
要介護3
立ち上がりや歩行などが自力ではできない。排泄・入浴・衣服の着脱など
全面的な介助が必要な状態
要介護4
日常生活のうえでの能力の低下がみられ、排泄:入浴・衣服の着脱など
全般に全面的な介助が必要な状態
重
要介護5
日常生活全般について全面的な介助が必要な状態。意志の伝達も困難と
なる状態も含む
③区分支給限度基準額
介護保険の居宅サービスなどを利用する場合は、要介護状態区分別に、介護保険から給付される上限額
『区分支給限度基準額』が設けられています。保険給付総額にもマンパワーにも供給量には限度があるた
め、これを公平に利用できるよう、上限を月単位ごとに定めたものです。毎月この上限の枠内で、ケアプラ
ンが作成され、居宅サービスを利用できるようになります。
※居宅療養管理指導は区分支給限度額に含まれない。
<1 か月あたりの支給限度額>
区分支給限度額
要介護度
居宅サービス費
要支援1
50,030 円(5,003 単位)
要支援2
104,730 円(10,473 単位)
要介護1
166,920 円(16,692 単位)
要介護2
196,160 円(19,616 単位)
要介護3
269,310 円(26,931 単位)
要介護4
308,060 円(30,806 単位)
要介護5
360,650 円(36,065 単位)
住宅改修費
福祉用具購入費
サービス
の種類
予防給付
20 万円
(1 回のみ)
10 万円/年
介護給付
*居宅で利用するサービスは、サービスの種類により単位が決められています。
実際の支給限度額も金額ではなく「単位」で決められています。
*限度額の範囲内でサービスを利用した場合、1割(一定以上所得者は2割)の自己負担です。
限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となります。
また介護保険の対象にならない費用は、全額自己負担です。
④介護サービス利用手続きから「介護」「予防」給付までの流れ図
【施設サービス】
介護給付
・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
(
ケ アプ ラン)
介
護
定
介 護 予 防 ケ アプ ラ ン
認
主治 医意 見書
市 町村窓 口
利用者
要支援 1
要支援 2
介 護 サ ー ビ スの利 用 計 画
要
認定調査
要介護 1
~
要介護 5
【居宅サービス】
等
介護給付
・訪問介護、訪問看護
・通所介護・短期入所サービス
【地域密着型サービス】
・定期巡回、随時対応型訪問介護看護
・小規模多機能型居宅介護
【介護予防サービス】
等
予防給付
・介護予防通所介護、リハビリ
・介護予防訪問介護
・介護予防小規模多機能型居宅介護
・介護予防認知証対応型共同生活介護
非該当
【介護予防事業】 地域支援事業
【市町村の実情に応じたサービス】
※参考文献:厚生労働局ホームページ、これならわかる介護保険 2015 年速報版(㈱翔泳社 保険調剤のてびき 2014 年改訂版(東京都薬
剤師会)
等
【地域密着型介護予防サービス】