楽天はオーディオブック流通に参入しない?

楽天はオーディオブック流通に参入しない?
~市場の将来性の勘案を見て、見送りでは?と判断~
2015 年 9 月 17 日
日本オーディオブック制作社協会
今年の初めに楽天は図書館情報会社の米オーバードライブを買収し、オーバードライブ
の事業の一部であったオーディオブックの事業についても関心を示した資料を作り、発表
しました。
それから、半年近くが経ちましたが、楽天からは特にアクションを起こしている姿が見ら
れません。一つはまだオーバードライブの事業を把握している段階であり、すぐに事業展開
できる状態では無い事、もう一つはデューデリジェンスを行って、日本におけるオーディオ
ブックの市場が 2 億円程度と把握した事と、楽天ダウンロードでオーディオブックを販売
していますが、数が出てないので、市場性を見いだせず、参入を見送っているのではないか
と考えます。
仮に日本市場が既に 100 億円程度あるのであれば、間違いなく楽天は商機を見出して、
参入してくると思いますが、競合のアマゾンジャパンが展開するオーディブルが全く数字
を出せていない状況と把握しているのか、投資の割に利益が見込めない判断であると思い
ます。
オーディオブックのビジネスは、ソフトウェアビジネス経験者なら分かりますが、データ
を扱うビジネスなので、在庫は事実上ありません。これは強みでもありますが、弱みでもあ
ります。それというのも、販売するとなると、ダウンロードとパッケージの二種類になると
思いますが、ダウンロードであれば、かなり保存容量のあるサーバーを用意しないと行けな
くなりますが、仮に 100 作品販売出来るような状態だと、サーバーホスティングで月 100
万程度かかる可能性がありますが、そこまで回収出来るほど、現時点では儲かりません。
そうなるとパッケージでの販売になりますが、こちらは在庫を持ちますが、記録媒体にデ
ータを焼いてという形になるので、コモディティ化している倉庫代を考えると、こちらの方
が安いかも知れません。また、ネットワーク配信よりもノウハウがあるので、こちらの方が
展開しやすいかも知れません。
また、楽天が制作会社になるか?という考えについてですが、半分半分かも知れません。
楽天は自社で制作会社を立ち上げる事は無いと思いますが、オーディオブック最大手のオ
トバンクを買収するという話を考えれば、可能性は出てきます。
証券会社では無いのと、財務状態を見ている訳では無いですが、オトバンクの売上や利益
を考えると、10 億未満で買収出来てしまうのではないかと思います。アマゾンジャパンは
日本企業の買収をした例を聞いた記憶が無いですが、日本企業でオーナー会社の楽天であ
れば、トップが判断すれば簡単に買える規模だと思うので、無くはない話だと思います。ま
た、オトバンクの株主はベンチャーファンドが多いのですが、それらのサイトではオトバン
クを事例として扱っているところがないくらい、期待されていない状態なので、ベンチャー
ファンドは売り抜けたいと思っているので、打診があれば株を手放すと思います。
日本市場はオトバンクがトップなので、買えばその時点でトップになります。楽天の過去
の買収歴を考えるとオーディオブックに本気になるのであれば、あると思います。
ちなみに楽天がストリーミングをするという考えについては、否定的だろうと思います。
楽天は著作権に詳しいわけではないと思いますが、オーディオブックの著作権の現在の殆
どの許諾はダウンロード前提での印税の支払いであり、ストリーミングは想定していませ
ん。出版社との繋がりを考えると、ストリーミングの印税はあり得ないので、殆どのコンテ
ンツホルダーはアマゾンから打診があっても、消極的だと思います。楽天も無理に権利者と
の関係を悪化させたいと思っているとは思えないので、やらないだろうと思います。
以上