33/2015年 新体裁/No.239/本文 下版後PDFを斉藤さんへ/63∼65 まち探訪 最終ページは表3 2015.09.10 11.34.09 Page 63 まち探訪(シリーズ9) ま ち 探 訪 追分流れるロマンの町 江差町 江差町基礎データ ○総人口 8, 2 8 8人 出典:住民基本台帳(H2 7. 6. 3 0) 2, 7 9 3人 出典:住民基本台帳(H2 7. 6. 3 0) 4, 4 1 6世帯 出典:住民基本台帳(H2 7. 6. 3 0) 1 0 9. 5 3㎡ 7 6人/㎡ はまなす ○老齢人口 ○世帯数 ○面積 ○人口密度 ○町の花 ○農業産出額 5 4 0, 7 0 9千円 出典:H2 6年度JA新はこだて南檜山地区調べ ○漁獲高(金額ベース) 8 3 5, 1 8 8千円 出典:H2 6年度ひやま漁業協同組合調べ ○製造品出荷額 1, 5 8 9, 8 0 0千円 出典:工業統計結果(H2 5年確報) ○卸・小売年間商品販売額 1 1, 1 6 9, 0 0 0, 0 0 0千円 出典:経済センサス活動調査(H2 4年確報) ○一般会計規模 5, 0 4 0, 2 5 6千円 問い合わせ先:江差町まちづくり推進課 01 3 9 ‐ 5 2 ‐ 1 0 2 0(代表) 易によりもたらされた江差追分などの伝統芸 江差町の紹介 能や生活文化が数多く伝承されています。 総面積1 0 9. 5 3!、北海道の南西部に位置し、 北海道文化発祥の地といわれる江差町。 町名「江差」の由来は、アイヌ語の「エサ シ」 (昆布の意)からきたものとされています。 蝦夷地最古の祭り−姥神大神宮渡 御祭 本町は北海道の中でも早くから和人の往来 毎年8月9日∼1 1日の3日間にわたり行わ があり、最も早く開港した港町の一つです。 れる蝦夷地最古(およそ3 7 0有余年前から始 1 7世紀からの日本海航路北前船の活躍を基 まった)の祭りで、毎年この時期には4∼5 盤に檜材交易そしてニシン漁とニシン取引に 万人程度の人が江差に訪れます。 よる隆盛は明治初期まで続きました。江戸期 豪華な1 3台の山車(ヤマ)が吹き流しや錦 のニシン漁最盛期には「江差の五月は江戸に の御旗をひるがえし、流暢な祇園囃子の調べ もない」といわれる程繁栄を極め、北前船交 にのって町内を練り歩く、ニシン漁で栄えて いた江差の賑わいを現代に伝える夏の大祭で す。 (平成1 3年に第1回北海道遺産に選定) 祭りを盛り上げるのは山車の役目であるこ とから、各町保存会の人々は祭りの日のため に山車を守り続けています。1 3台の山車の中 には宝暦年間につくられ、道文化財に指定さ れている山車もあり、ただ高価なだけではな く、歴史的にも貴重なものばかりです。山車 町の花 はまなす は5 0年で改築が必要とされており、その際は 6 3 33/2015年 新体裁/No.239/本文 下版後PDFを斉藤さんへ/63∼65 まち探訪 最終ページは表3 2015.09.10 11.34.09 Page 64 まち探訪(シリーズ9) 1千万円を超える経費を要します。これらの と興奮のなか、江差追分一色に染まります。 経費は僅か百戸足らずの各町内会で賄うこと また、江差追分の歴史をたどる数多くの貴 となるのですが、自分たちの山車が一番とい 重な資料などを集めた「江差追分会館」では、 う誇りがそれぞれの町内の結集を生み、また 4月末から1 0月末までの毎日3回、地元の全 祖先が残した遺産に対する江差人の思いがそ 国大会優勝者や師匠等が唄う本場の江差追分 こにあるからこそ、それらが博物館に飾られ を実演しています。 るのではなく、生きた歴史として、今もなお 祭りの主役で活躍していられる理由です。 民謡の王様−江差追分 「江差追分」は日本を代表する民謡の一つ 古い歴史を持つ江差には、ニシンと檜材に 関連した産業建築ともいえる問屋、蔵、商家、 で、民謡の王様とも呼ばれており、現在は 町屋、社寺などの歴史的建造物や史跡、旧跡 「正調江差追分」と呼ばれる形に定着してお が数多く残されています。本町では、以前か ります。 らこれらの歴史的資源を生かして活性化を図 江差追分には前唄、本唄、後唄(本体はあ ろうという動きがあり、平成元年から、特に くまで本唄)があり、「正調江差追分」の本 歴史的資源が、数多く集積している下町地区 唄は7節2 7文字で構成されています。本唄の (通称いにしえ街道)をモデル地区として、 代表的な歌詞「かもめのなく音にふと目をさ 総合重点的整備を行う「歴史を生かすまちづ ましあれが蝦夷地のやまかいな」は、ニシン くり事業」を推進しています。平成8年度に 漁で栄えた江差をめざし、長い航海の末見え は、歴史を生かすまちづくり事業の根幹をな た蝦夷地の山影、そのときの想いをわずか2 7 す、歴史的街並み景観の形成のために、必要 文字に込め、2分2 0秒から2分4 0秒かけて唄 な事項を定めた「ふるさと江差の街並み景観 いあげる情念の唄です。 形成地区条例及び同施行規則」を全町対象に 現在ブラジルやハワイ、ロサンゼルス、サ 制定しました。この条例の目的は、江差らし クラメント、サンフランシスコの海外5支部 い歴史的、文化的遺産を生かした個性的な街 を含めた総支部数は1 6 1支部3, 5 2 7人に及ぶ追 並み景観を創ることにより、訪れる人にも町 分人口を抱え、世界に誇る伝統文化と呼ばれ 民一人ひとりにとっても魅力的なまちづくり るまでに成長を遂げました。 を進め、町民生活環境の質的・精神的・経済 毎年9月には、国内外から選び抜かれた江 的な向上を図ろうとするものです。特に歴史 差追分の唄い手が集い、日本一のノドを競い 的資源が集中して残っている地区を「歴史を 合う追分の本場、江差ならではの一大イベン 生かす街並み景観形成地区」として指定を行 ト「江差追分全国大会」を開催しております。 いました。更に、地区内の特に江差らしい外 昭和3 8年に第1回が開催されて以来、今日 観を残す、土蔵や町家などを「歴史的景観形 まで脈々と続き、民謡の全国大会としては最 成建物」として指定し、その保全・整備を も歴史ある大会です。秋の3日間、江差の町 図っております。 はまるごとすべてが追分の舞台となり、熱気 6 4 いにしえ街道を舞台にしたまちづ くり また、いにしえ街道が整備されたことを機 33/2015年 新体裁/No.239/本文 下版後PDFを斉藤さんへ/63∼65 まち探訪 最終ページは表3 2015.09.10 11.34.09 Page 65 dokeiren に沿道の商店により結成された団体「歴まち 飾る「江差・北前のひな語り」、春のいにし 商店街組合」は、北前船がやってくる江差の え街道を舞台にした花嫁行列など舞台に数々 原風景、「江差の5月は江戸にもない」とい のイベントも行っています。 う賑わいを再現することを目的に活動。街道 その他にも、いにしえ街道沿い3町内会に 沿いに点在している土蔵(明治時代建築)を より結成された団体「いにしえ街道華の会」 観光客だけでなく地域住民の憩いの場として は、6 0基もの和風大型プランター(木樽)や 整備・運営を行っている他、町民一人ひとり ハンギング式の花のオブジェを街道へ設置す が地域の歴史文化を紹介する語り部となり、 るといった町に彩を与える活動をしています。 来訪者との対話の中で江差町の魅力を伝え交 鮮やかな四季の彩り、古き良き文化・歴史 流を深めていく、「1 0 0人の語り部」活動や、 が集約する江差町いにしえ街道に是非足を運 全国から雛人形の寄付をいただき冬の江差を んでみてください。 かもめ島祭りのしめ縄飾り 江差追分全国大会の様子 姥神大神宮渡御祭最終夜 いにしえ街道 6 5
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