ムナカタの化石・4800万年前のタイムカプセル

むなかた日和
~2014 年度 むなかた電子博物館新着情報に掲載された主な記事から~
2015 年 1 月 19 日
海の道むなかた館企画展
「ムナカタの化石・4800 万年前のタイムカプセル」
2014 年 12 月 16 日~2015 年 2 月 1 日
2014 年 6 月 23 日に「国内最古(4800万年前)のサイの仲間「ヒラキウス」の化石
福岡宗像市で発見」と報道されました。この化石は宗像市吉留で発見された別の化石(コ
リフォドン)と共に採集された岩石から発見されたものです。福井県立恐竜博物館による
と、サイの仲間の化石としては福岡県嘉麻市で見つかった約 4500 万年前のものが国内最古
とされていました。ヒラキウスは、サイやウマ、バクなどひづめを持つ奇蹄類の一種。約
5200 万~4300 万年前に北半球に分布していたが絶滅しました。角はなく、ウマに似た体つ
きをしていた。このヒラキウスが生息した新生代の化石と地質の概要が海の道むなかた館
企画展「ムナカタの化石・4800 万年前のタイムカプセル」として2月1日まで開催されて
います。
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この化石は 1992 年に市内吉留の大焼層から
採集された岩石を、福井県立恐竜博物館と北九
州市立市自然史・歴史博物館の研究員の作業中
に 2011 年に発見されました。
ヒラキウスは恐竜が絶滅した 6500 万年より
後の 4800 万年前の哺乳類の化石です。この時
期になると、ほとんどの現生哺乳類の祖先が誕
生しました。
岩石を採集してから 19 年の時を経て発見さ
ヒラキウスの下顎骨
(左歯骨と右歯骨前方部と棒状の肋骨の一部)
れたものです。これらまだ研究途中であるとの
ことで、時間をかけて見守って行きたいもので
す。
もうひとつの展示のトピックは、大型草食獣
コリフォドンの化石です。ヒラキウスと同じく、
1992 年に同じ場所から大型草食獣コリホドン
科の化石が発見されました。日本最古の大型草
食哺乳類とされています。サイやカバ程の大き
さで、体重は 300 キログラム、体長は 2 から
2.5 メートル、大きな犬歯を持っているのが特
徴です。約 3800 万年前には絶滅したとされ、
コリフォドンの復元図と、天草市立御所浦白亜紀資料
館所蔵のコリフォドンの歯の化石
宗像市のほか熊本県天草市でも化石が発見さ
れています。
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左は会場に展示された地層モデルです。海
の道むなかた館の岡崇さんが、今から26年
前の高校生の時製作したものです。岡さんは
「地層モデルは、福岡県から山口県にかけて
発見された化石を含む地層を、古い順に重ね
たもので、実物の化石をたくさん使っていま
す。この地層モデルから宗像市から出土した
ヒラキウス、コリフォドンは、津屋崎層から
出土する植物化石と同時期であることを読み
取ることができます。化石から、そのものが
生きていた時代を知り、その産地を知ること
で、地球規模の壮大な歴史を一目で観察する
ことができます。」と言っています。
地元のAさん「あまりにも遠い話で実感が
わかないが、動物たちが住んでいたということはその頃、よい環境であった場所であろう。
現在そのような場所に暮らしているということは喜ばしいことです。
」
地元のBさん「1 億年くらい前の海底火山の噴火で湯川山などの宗像四ツ塚が作られたと
言われている。その後数千万年の間に宗像地域が海から陸になっていたと言うのが岡さん
の地層モデルで理解できた。
」
館内では、化石発見体験学習が行われました。
「ムナカタの化石展」に合わせて、栃木県那須高原
にある「木の葉化石園」から、木の葉の化石が入って
いる石を取り寄せたものです。節理(割れ目)にそっ
て金づちで割ります。節理の近くを軽く金づちでコン
コンとたたきます。重い金づちを連続して振り上げる
動作は、子どもたちには難しく、根気のいる仕事です。無事に割れて化石を見つけたら「自
分でやれたよ」と、笑顔で付添のお父さんに報告。その後、化石図鑑で名前を調べました。
「難しかった!」という感想や、
「腕が疲れた」という声が聞こえました。
展示場内には、津屋崎海岸の木の葉の化石、芦屋海岸の貝類の化石、小倉北区藍島で発
見された「飛べない鳥・プロトテルム」などの化石が見学できます。どうぞ、日本最古とい
われる化石を見学にお出かけください。
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海の道むなかた館企画展
「ムナカタの化石・4800 万年前のタイムカプセル」
会期:2014 年 12 月 16 日?2015 年 2 月 1 日(月曜休館)
会館時間:午前9時~午後6時
会場:海の道むなかた館(郷土文化学習交流館
入場:無料
(むなかた電子博物館運営委員 伊津 信之介監修、平松秋子執筆)
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