付加価値リモートセンシング研究推進体

研究推進体名
付加価値リモートセンシング研究推進体
Value-Added Remote Sensing
研究課題
Ⅱ
グリーンイノベーションの推進
東日本大震災の復興支援を喫緊な課題とし、更に中長期的には、わが国が打ち上げ
予定のハイパースペクトル衛星の有効利用を目指し、海外のユーザや国内の民間企
■ハイパー・マルチスペクトル空海リモートセンシングによる藻場3次元マッピングシステムの開発
光ハイパーシステムと超音波マルチスペクトルシステムの統合運用にシステムを開発するCRESTプロジェクトの分担課題とし
て、光ハイパーシステムの開発をおこない、実海域での検証データの取得作業を進めています。
(図2参照)
(a)
業とも協力し、スペクトル情報の有効利用技術の確立を進めています。
(b)
推進体概要
今日、地表を観測する各種の光学センサ、レーダ等の高解像度化が進み、膨大な画像データが
取得・蓄積されつつあります。
しかしその利用現場のニーズとの間には大きな隔たりがあり、得ら
れた画像も有効利用されずに放置される場合が少なくありません。例えば、防災応用では、地
震、洪水、斜面崩壊など、多様な災害要因を分析し、迅速かつ確実な救援活動を行うために、ま
ず被害域の特定作業が重要となります。これには、衛星画像や航空写真、地理データの時間的・
研究代表者
大学院総合理工学研究科
物理情報システム専攻
教授 山口 雅浩
空間的な変化情報を迅速に抽出する技術開発・基盤整備が必要です。
本イノベーション推進体では、衛星や航空機等から得られる画像データから、目的にかなったパ
ラメータを抽出する二次処理を加え、社会のニーズに合った形に仕立て上げる技術を、関連企
図2.
(a)UAV搭載HS観測系 (b)固定翼無人機搭載用高速HS観測系主要部(開発中)
業とともに開発していきます。一例としては、東工大で独自に開発した「非線形写像」を用いた
Tel:045-924-5137
Fax:045-924-5137
e-mail:[email protected]
構成員
研究分担者
大学院総合理工学研究科 物理情報システム専攻
教授 伊東 利哉
像情報工学研究所 像情報解析部門
教授 熊澤 逸夫
博物館
変化域抽出方式を用いた環境や防災分野の早期モニタリング技術の開発があります。これによ
り被災状況を的確に把握し、地盤情報などを含めた地理情報を利用して被災状況をモニタリン
グすることが可能になります。
快適な生活空間を実現するためには、予想外の事態が起こる被災時にも確実に稼動して、人命
救助の支援および、自治体と関係機関の互助連携による被災対応業務の軽減化ができること
が重要です。本推進体では、このような安心・安全を担保する機能を常に確かなものとすると同
時に、平常時には地域の管理、環境管理、活性化のためにも使われる情報システムを開発し、
教授 亀井 宏行
社会実装を目指します。
学術国際情報センター
2011年3月の東日本大震災以来、被災地域復興という問題に重点をおき、被災農地のモニタ
准教授 飯田 勝吉
大学院総合理工学研究科 メカノマイクロ工学専攻
助教 宇都 有昭
■ハイパースペクトル・マルチスペクトル画像色強調技術の植生解析・樹種分類などへの応用
■被災農地のリモートセンシングによるモニタリング
今回の東日本大震災では、津波による塩害が大規模に発生し、現地の農業は多大な被害を受け
ました。本研究推進体では、被災直後の衛星マルチスペクトル画像に、樹木の枯損を検出する
NWI指標を転用して、津波被害域の検知を試みました。
(図1参照) (b)
析の基盤技術としてスペクトル色強調手法を
開発しました。この手法は、画像に含まれるス
ペクトル特徴の視覚的な探索に有効であり、
植生解析・樹種分類などへの応用可能性が示
されています(図3参照)。
図3 (a)イネ植生解析への応用 上:700nm,
下:800nmの波長帯域の成分を強調した結果。700nmで
は雑草と土の部分が紫色に強調されているが、800nmの強調結果では稲の領域が強調されている。 (b)樹種分類への応用 上:通常のカラー画像(左:ミズナラ、右:ブナ)。下:705nm波長帯域強調結果では
ブナのみが強調されており、樹種分類への応用可能性を示している。
リング技術の開発に注力しています。
研究内容の紹介
(a)
ハイパースペクトル・マルチスペクトル画像解
■地中レーダによる遺跡探査
地中レーダを用いると、地表からは見えない遺跡の内
部構造が明らかになります。図4は、発掘された水田
遺構を示します。水抜きのための畦の開口もレーダで
捕らえられています。水田一面を完掘できたことによ
り、当時の収量予想も可能となりました。
(亀井研究
室)
図4.
地中レーダタイムスライス図と実際の遺跡の比較
図1.
左図:陸前高田地域のASTER画像 ©METI/NASA/ERSDAC 右図:NWI指標を適用し、泥水、瓦礫、流木検出結果
(白色部分、ただし枯れ草、土壌の露出部分を含む)
活動計画
平成26-29年度:23年度よりおこなってきた東日本大震災の被害モニタリングおよび農業復興支援技術を継続的に実施するとと
もに、将来の海外展開が可能なように、技術要素の普遍化をおこないます。また、
CRESTの海洋生物多様性および生態系の保全・
再生に資する基盤技術の創出研究領域の一部研究課題を本イノベーション研究推進体で受託し、
「光ハイパースペクトルシステム
開発」を行います。現在JSTへ申請準備中の海外共同プログラム(カザフスタン農業大学、およびインドネシア大学)の計画と並行
して、民間企業からの支援のもとに、海外での予備調査を実施しています。
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