Q:ケプラーの第1法則はケプラーが発見したはずなのに、最初にこれを証明したのがケプラー本人では なくニュートンであったことを不思議に思いました。 A:ティコ・ブラーエの観測結果を使って、助手だったケプラーがケプラーの法則を発見(第1,2:1609年、 第3:1619年)し、約100年後に、ニュートンが天体間に万有引力が働くと仮定して、運動の法則(1687年) からケプラーの法則を証明した。P76 Q:角運動量や面積速度のところで太陽などの図が使われていましたが、これらの法則は天文学から生じ たということですか。実際にはどのようなことに使われるのですか? A:面積速度は、確かに天文学でよく使われ、それ以外ではあまり聞きません。角運動量は、運動量と同 様に、もっと様々なところで使われている物理量です。今日の授業でもたくさん出てきます。歴史的な話に ついては、私は詳しくありませんので、わかりません。 Q:液体窒素から取り出した試験管を元に戻したとき、窒素が跳ねるような音がしましたが、それはなぜで しょうか?試験管の表面についた水滴のせいですか? A:試験管をデュワーから取り出すと、試験管の温度は窒素の沸点(-196℃)から急速に温まります。そ れをデュワーに戻すと、試験管は-196℃まで急速に冷えますが、その際に液体窒素は暖められ沸騰し ます。その沸騰の音ではないでしょうか。 第14回 (6/17) 0 ページ 7章 質点系の重心,運動量と角運動量 p80 これまでは質点(大きさの無視できる物体)の運動を勉強した。 広がった物体を考えるときは、物体を微小な部分に分割し、そのおのおのを質点と考える。 質点系 : 質点の集まり 剛体 : 外から力を加えたときに変形が無視できる硬い物体 重心の2つの重要な性質 ① 重心は、質点系を構成する物体の各部分に作用する (①’重心はそこで支えるとつり合う点。実演参照 ) 重力 の合力が作用すると考えてよい点 ② 重心は、質点系を構成する質点に作用するすべての外力の和 F が作用している 同じ質量の質点と同じ運動をする。 MA = F (M:質点系の質量,A:重心の加速度) 後で説明 2 つの質点の重心 2つの質点、P(質量m1)とQ(質量m2)の重心は、線分 PQ をm2:m1に分ける点である 例題:質量の無視できる棒の両端 P,Q に、左の図のように 質量m1と質量m2の小さな玉がついている剛体を考える。 それぞれの玉に働く重力 W1, W2 と線分 PQ を m2:m1にわける 点 G に作用する力 F = -(m1+m2)g がつり合うことを示せ。 F = -(m1 + m2)g つり合いの第1の条件:外力の合力が 0 外力の合力 = F+W1+W2 = -(m1+m2) g + m1g + m2g = 0 つり合いの第2の条件:外力のモーメントの和が 0 外力の点Gのまわりのモーメントは、 L1: L2 = m2: m1 W1 = m1g W2 = m2g N = W1L1-W2L2 = m1g L1- m2gL2 = ( m1L1- m2L2)g W = (m1 + m2)g W = W1 + W2 F の作用線は G を通るので N=0 L1: L2 = m2: m1より L1m1 = L2m2 よって、N = 0 であり第2の条件を満たす。 剛体のつり合いの2つの条件を満たすので W1, W2, F はつり合っている (剛体のつり合いは8.2節で勉強します) 剛体の各部分に作用する重力の合力(W1+W2)と 点Gに作用する力F がつり合うということは、 剛体を点 G で力 F で支えるとつり合うということである。 よって、重心の性質①’より G が剛体の重心である。 (剛体の各部分に作用する重力の合力(W1+W2) が点Gに作用していると考えてもよい。重心の性質① ) 第14回 (6/17) 1 ページ 重心 G の位置ベクトル R 質量 m1 の球の中心の位置を r1 = (x1, y1, z1), 質量 m2 の球の中心の位置を r2 = (x2, y2, z2) とすると 2つの球の重心 R = ( X, Y, Z ) の位置は Q G P m1r1 + m2r2 R= m1 + m2 m2 公式のイメージ それぞれの質点の質量で 重みをつけた位置ベクトル m1 R r1 r2 X= m1x1 + m2x2 m1 + m2 Y= m1y1 + m2y2 m1 + m2 Z= m1z1 + m2z2 m1 + m2 問題: PG と GQ の比を求めよ。(○:○か?,左図がヒント) よって PG:GQ = m2 :m1 (G は線分 PQ を m2 :m1 に分ける点になっている。) 練習問題:質量 2 kg の小さな球 A と質量 4 kg の小さな球 B を質量の無視できる軽い棒で結合した剛体 がある。球 A の位置ベクトルを rA = ( 4, 8, 0 )、球 B の位置ベクトルを rB = ( 1,-4, 3 ) としたとき、剛体の 重心 G の位置ベクトルR を求めよ。答は4ページ右下 線分AGと線分GBの長さを求め、その比も求めよ。 AG : GB = 第14回 (6/17) 2 ページ 重心は、物体の外部にあってもかまわない 例1 Q G P 例2 m2 重心G m1 質量の無視できる棒 問題:m1とm2,どっちが大きいか。図より判断せよ。 3つ以上の質点の重心 ,剛体の重心 (剛体も小さな部分に分割すると、質点の集合と考えることができる) 重心Gの位置ベクトル: R= m1r1 + m2r2 + m3r3 + ・・・ M (M = m1 + m2 + m3 + ・・・) 公式のイメージ それぞれの質点の質量に比例した 重みをつけた平均の位置ベクトル R = ( X, Y, Z ) とすると、 X= m1x1 + m2x2 + m3x3 + ・・・ M Y= m1y1 + m2y2 + m3y3 + ・・・ M Z= m1z1 + m2z2 + m3z3 + ・・・ M 対称な図形の(形をした薄い板の)重心:中心 円板(円) 問題:重心はどこか? 正方形・長方形 重心:そこで支えると つり合う点 (重心の性質①´) [実験] 厚紙の三角形で確かめてみる 三角形の(板の)重心 中線:頂点と対辺の中点を 結ぶ線分 3本の中線は1点で交わる。この交点が重心 C’ B’ 豆知識 6つの三角形(AGC’,AGB’,・・・)の面積:すべて等しい AG:GA’=BG:GB’=CG:GC’=2:1 A’ 第14回 (6/17) 3 ページ ブランコの解説 角運動量保存則を用いた考察 θ ③ ① ② M 例題1(p75)が参考になる。ひもを引っ張ることは、 ブランコにおいて立ち上がることに対応する。 (ひもの長さを半分にすると速度は倍になった) 実際には重力が作用しているので、角運動量は保 存しないが、十分に短い時間で立ち上がるなら、そ の間は角運動量が保存している。 ①でしゃがんでも v = 0 なので遅くなることはない。 v = 0 なので向心力は 0 重心の運動 F = Mg cos θ エネルギー・仕事を用いた考察 F = Mg+向心力 仕事は W = Fs である。 ②において立ち上がる 時にする仕事は、①において、しゃがみ込む時 にされる仕事より大きい。重心の移動距離 s は どちらも同じであるが F は、①と②で異なる。② の地点では重力+向心力が足に作用しているが、 ①では重力のみ(正確には、重力×cosθ )だか らである。よって①でしゃがみ込み②で立ち上が れば系に力学的エネルギーを注入でき、それが 振動のエネルギー源となる。 ①の位置でしゃがみこむ。 ②の最下点付近で立ち上がる。 ③の位置では立った状態。 ①の位置へ戻る時も立ったまま。 ①の位置でまたしゃがみ込む。 以下繰り返し 究極のこぎ方 本来なら③から①へ戻る時にも図のように加速で きるが、人間の体は前後非対称であることも関係し て、戻る時に加速することは難しい。不可能でない ので興味がある人は挑戦してみて下さい。その報 告もしてくれるとうれしい。 ③ ① ② ブランコ二人乗り 行きも帰りも一人分の力で 加速するが 質量が2倍になるので 通常の漕ぎ方と同じ程度 重心の運動 出席表より 動画・紐とおもりによる実験で再確認 座り漕ぎは、基本的に同じような重心運動が起こっていると思われますが、 僕にもよくわかりません。みなさんも、考えてみて下さい。 第14回 (6/17) 4 ページ 2ページ練習問題答 R = (2, 0, 2)、AG:GB = 2:1 学科 学生番号: 氏名: この講義に関して何か意見や要望、感想等があったら何でも自由に書いて下さい。 面白い物理の情報や、取り上げてほしい話題、不思議に思っていること等あったら書いて下さい。 この紙で今日の出席を確認します。 第14回 6月17日 学科 学生番号: 氏名: この講義に関して何か意見や要望、感想等があったら何でも自由に書いて下さい。 面白い物理の情報や、取り上げてほしい話題、不思議に思っていること等あったら書いて下さい。 この紙で今日の出席を確認します。 第14回 6月17日
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