概要版 第6期 紀の川市介護保険事業計画 及び 高齢者福祉計画 平成 27 年3月 紀の川市 計画策定の趣旨 「団塊の世代」が 75 歳以上となる平成 37 年があと 10 年余りと迫る中、要介護・要支援認定 者の大幅な増加、認知症高齢者やひとり暮らし高齢者等の増加とともに、地域のつながりの希薄化 など、高齢者を取り巻く環境で複雑・困難な課題が山積しています。このような課題に対して、高 齢者が地域でいつまでも明るくいきいきとした生活を送ることができる仕組みや高齢者の暮らし を地域社会全体で支える体制の整備が求められます。 国は、地域の実情に応じて、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自らの能力に応じて自立した 日常生活を送ることができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び生活支援が包括的に確保さ れる体制である「地域包括ケアシステム」の構築をめざしてきました。 本市では、この考え方を基本としながら、国や和歌山県の動向、第 5 期計画期間における介護保 険事業や高齢者福祉施策の実施状況を踏まえた上で、平成 37 年を見据え、地域包括ケアシステム の構築を目標とする「第 6 期紀の川市介護保険事業計画及び高齢者福祉計画」 (以下、 「本計画」と いう。)を策定しました。 計画の期間 本計画は、平成 27 年度から平成 29 年度の 3 年間を計画期間とします。 なお、本計画は平成 37 年までの中長期的な視野に立った施策の展開をめざし、 進めるものです。 介護保険制度見直しの概要 介護保険制度は、平成 26 年 6 月に成立した「医療介護総合確保推進法」に基づき、在宅医療・ 介護連携の推進、認知症施策の推進などによる地域包括ケアシステムの構築に向けた地域支援事業 の見直しや、介護予防訪問介護と介護予防通所介護の介護予防・日常生活支援総合事業への移行、 特別養護老人ホームの中重度者の重点化、低所得者の保険料軽減の拡充などが見直されます。 1 高齢者を取り巻く状況 1 総人口と高齢化率の推移 総人口は減少傾向にあり、平成 26 年で 66,084 人となっています。高齢化率は、各年で増加 し、平成 26 年には 28.4%に達しています。 (%) (人) 120,000 35 100,000 25.0 80,000 68,414 25.3 26.4 27.3 28.4 25.5 68,000 67,499 67,183 66,662 66,084 30 25 20 60,000 15 40,000 10 20,000 5 0 0 平成21年 2 平成22年 平成23年 平成24年 人口 高齢化率 平成25年 平成26年 要支援・要介護認定者の状況 要支援・要介護認定者数の推移をみると、各年で増加傾向にあり、平成 26 年度で 4,461 人と なっており、平成 22 年と比較すると、540 人増加しています。要支援・要介護別にみると、各 年とも要支援2が最も多くなっています。 (人) 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 3,921 4,035 480 531 485 442 487 486 4,211 4,326 520 569 484 490 505 590 656 691 731 693 376 402 426 435 802 830 827 635 平成22年 4,461 551 要介護5 515 要介護4 572 要介護3 699 要介護2 468 要介護1 865 945 要支援2 653 718 684 711 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 要支援1 0 2 基本理念 平成 37 年には、団塊の世代が 75 歳以上となることから、医療や介護が必要な高齢者や認知症 高齢者が急速に増加すると見込まれます。そのため、この平成 37 年までの間に、地域の実情に応 じた地域包括ケアシステムの構築が急務となります。 そこで、本計画では、平成 37 年を見据え、以下のような基本理念を掲げます。 「地域で支えあい、理解しあいながら、 いつまでも安心して暮らせるまちづくり」 ● ● 平成 37 年の紀の川市では、高齢者一人ひとりが自分にあった暮らしの中で、心豊かに生きがい をもって地域や周りの人と関わりを持ちながら、安心して暮らし続けられる生活を送っています。 また、地域住民がそれぞれの状況を理解しあいながら地域での支えあいを進めているとともに、 高齢者も支えあいの一躍を担い、生涯にわたって、住み慣れた地域で、安心した日常生活を送って います。 計画の内容 基本方針1 地域で支える包括的な支援体制づくり 地域包括ケアシステムの構築にあたり、中核的な機関である地域包括支援センターの機能の充実 をめざし、地域と保健・医療・介護・福祉との連携を強化していくことで、高齢者に対して適切な コーディネートを行うことができるよう努めます。 また、日常生活上の支援が必要な高齢者が、地域で安心して在宅生活を継続していけるよう、多 様なサービス主体による多様なサービスの確保に取り組みます。 1)地域包括支援センター機能の充実 (1)地域包括支援センターの機能強化 (2)相談支援体制の強化 (3)地域のネットワークの構築 (4)地域ケア会議の実施 (5)適切な介護予防ケアマネジメントの推進 2)地域見守りネットワークの推進 (1)「ほっと安心ネットワーク」 (徘徊高齢者早期発見ネットワーク事業)の推進 (2)徘徊高齢者位置探索サービス事業の推進 (3)民間事業者による高齢者等の見守り協力活動の推進 (4)地域における見守り活動の推進 3)多様な主体による生活支援サービスの 提供体制の構築(重点推進項目) 3 (1)生活支援サービス体制の整備 (2)身近な地域での生活支援 基本方針2 介護予防と健康づくりの推進 高齢者が健康でいきいきと暮らしていくことができるよう、元気高齢者と二次予防対象者を分け 隔てることなく、住民運営の集いの場を充実させ、人と人とのつながりを通じて、参加者や集いの 場が継続的に拡大していくような地域づくりを推進するなど、介護予防の機能強化を図ります。 また、壮・中年期における健康づくりや生活習慣病予防を「紀の川市健康増進計画」に基づいて 進めることで、健康づくりから介護予防までの切れ目のない取り組みを推進します。 1)新しい介護予防の推進(重点推進項目) (1)予防給付見直しへの対応 (2)一般介護予防事業の推進 (3)生活支援サービスの参加促進 2)健康づくりと生活習慣病予防の推進 基本方針3 (1)地域における普及・啓発事業 (2)疾病予防の推進 (3)各種健診(検診)の充実 (4)感染症対策の充実 生きがいをもち地域で暮らせる仕組みづくり 高齢者が住み慣れた地域で生きがいのある生活を続けられるよう、ボランティア活動や世代間交 流などのさまざまな機会を活用した社会参加の促進や、学習・文化・スポーツ等へ参加しやすい環 境づくりを推進します。また、地域の中に役割・生きがいをもって生活できるような居場所や出番 づくりを進めます。 1)高齢者の社会参加の促進 (1)高齢者の社会参加の促進 (2)ボランティア活動の参加促進 (3)高齢者の就労促進 2)生涯学習機会の確保 3)高齢者スポーツの推進 基本方針4 認知症対策の充実 今後増加する認知症高齢者に適切に対応するため、認知症に対する正しい理解の普及・啓発、早 期発見・早期対応、地域での見守り体制の構築や認知症高齢者本人や家族への支援などを推進しま す。 1)認知症に対する理解の推進 (1)認知症ケアパスの作成 (2)普及・啓発活動の推進 2)認知症の早期発見・対応の推進 (重点推進項目) (1)認知症予防対策の推進 (2)早期診断・早期対応に向けた支援体制の構築 (3)認知症の人への効果的な支援体制の構築 3)認知症高齢者や介護家族等への支援の充実 4 基本方針5 高齢者の尊厳への配慮と安全・安心な生活環境の確保 高齢者に対する虐待が起こらないよう、また、虐待の早期発見及び早期通報ができるよう、高齢 者虐待に関する知識や理解の普及・啓発に取り組むとともに、成年後見制度及び日常生活支援事業 を周知し、高齢者の権利擁護に取り組みます。 また、住み慣れた地域で安全・安心な生活を送ることができるよう、防災対策や防犯対策、交通 安全対策を推進します。 1)権利擁護の取り組みの推進 (1)普及・啓発活動の推進 (2)福祉意識の醸成 2)高齢者虐待防止に向けた取り組みの推進 (1)高齢者虐待に関する知識や理解の普及・啓発 (2)高齢者虐待防止ネットワークの活用 (3)高齢者虐待防止に向けた技術的・専門的支援 3)防災・防犯・交通安全対策の推進 (1)防災対策の推進 (2)防犯対策の推進 (3)交通安全対策の推進 基本方針6 多様な住まいへの支援 住まいは保健・医療・介護などのサービスが提供される前提のものである点を踏まえ、高齢者や 地域のニーズに応じて施設整備や情報提供に努め、高齢者が安全で安心、快適に暮らせるよう、多 様な住まいの実現をめざします。 1)安心して住み続けることができる住まいづくりの推進(重点推進項目) 2)施設サービスの充実 基本方針7 介護保険サービスの適切な運営と充実 重度の要介護者、ひとり暮らしや夫婦のみの高齢者世帯、認知症の高齢者の増加等を踏まえ、高 齢者や家族が安心して介護保険をはじめとするサービスを利用できるように、介護保険サービスの 充実を図るとともに、利用者本位の視点に立ち、介護保険制度や介護保険サービスなどに関する積 極的な情報提供・開示を行います。また、要介護状態が重度化しても、住み慣れた地域で継続して 生活を送ることができるよう、退院支援や日常の療養支援、急変時の対応、看取り等のさまざまな 局面で医療との連携を図ることができる体制整備に取り組みます。 1)介護保険サービスの充実(重点推進項目) (1)市民へのわかりやすい情報提供 (2)介護保険サービスの充実 2)介護保険事業の適切な運営 (1)介護保険サービスの質の向上 (2)苦情処理体制の充実 3)在宅医療と介護の連携(重点推進項目) (3)保険者機能の強化 (1)在宅医療・介護の連携強化 (2)在宅医療の推進 (3)在宅療養に関する市民への普及啓発 4)低所得者対策の推進 5)家族等への介護支援強化 6)サービス人材の確保と育成 5 (1)交流機会の充実 (2)介護者支援体制の充実 介護保険事業の今後の見込み 第6期計画期間(平成 27 年度~平成 29 年度)に供給が見込まれるサービス量・給付費を推 計し、保険料算定にあたっての諸係数を勘案しながら第1号被保険者の介護保険料基準額(月額) を算定します。 1 人口推計 人口推計の結果をみると、高齢者人口は増加傾向にあり、本計画の計画期間が終了する平成 29 年には 20,964 人、 団塊の世代が 75 歳以上となる平成 37 年には 23,128 人になる見込みです。 また、高齢化率は、平成 29 年で 32.3%、平成 37 年で 38.6%に達する見込みです。 (人) (%) 50,000 50.0 38.6 40,000 30.1 32.3 31.3 34.1 33.2 35.0 30,000 40.0 30.0 19,801 21,783 21,386 20,964 20,447 22,105 23,128 20,000 20.0 10,195 11,904 11,476 11,100 10,615 12,123 14,387 10,000 10.0 9,606 9,910 9,864 9,832 9,879 9,982 8,741 0 0.0 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 平成31年 平成32年 平成37年 前期高齢者 2 後期高齢者 高齢化率 介護保険事業費 総給付費 (一定以上所得負担の調整後) 特定入所者介護サービス費等給付額 (資産等勘案調整後) 高額介護サービス費等給付額 高額医療合算介護サービス費等給付額 算定対象審査支払手数料 標準給付費見込額 計 地域支援事業費 平成 27 年度 平成 28 年度 平成 29 年度 合計 5,852,265,995 円 6,191,853,664 円 6,138,071,776 円 18,182,191,435 円 244,738,481 円 233,176,779 円 239,233,276 円 717,148,536 円 155,549,039 円 173,817,288 円 195,021,298 円 524,387,625 円 21,678,900 円 24,427,682 円 27,663,755 円 73,770,337 円 5,984,495 円 6,190,965 円 6,404,530 円 18,579,990 円 6,280,216,910 円 6,629,466,378 円 6,606,394,635 円 19,516,077,923 円 105,492,000 円 116,237,840 円 421,078,651 円 642,808,491 円 6 3 第1号被保険者の保険料基準額 第6期計画期間の給付費等の見込みをもとに、本市における第1号被保険者の保険料を算定した 結果、介護保険料基準額(月額)は 4 5,920 円 となります。 所得段階別の保険料 平成 27 年4月から公費の投入により、低所得者の保険料が軽減されます。 平成27・28年度 区分 平成29年度 負担割合 年額保険料 負担割合 年額保険料 新第 1 段階 生活保護を受けている方、老齢福祉年金 の受給者又は、世帯全員が市民税非課 税で、課税対象となる年金収入額+合計 所得金額が 80 万円以下の方 基準額×0.45 (公費投入後) 32,000円 基準額×0.3 (公費投入後) 21,300円 新第 2 段階 世帯全員が市民税非課税で、課税対象と なる年金収入額+合計所得金額が 80 万 円を超え 120 万円以下の方 基準額×0.7 49,700円 基準額×0.5 (公費投入後) 35,500円 新第 3 段階 世帯全員が市民税非課税で、課税対象と なる年金収入額+合計所得金額が 120 万円を超える方 基準額×0.75 53,300円 基準額×0.7 (公費投入後) 49,700円 新第 4 段階 本人が市民税非課税で、同じ世帯に市民 税課税者がいる方のうち、公的年金等収 入+合計所得金額が 80 万円以下の方 基準額×0.9 63,900円 基準額×0.9 63,900円 新第 5 段階 本人が市民税非課税で、同じ世帯に市民 税課税者がいる方のうち、公的年金等収 入+合計所得金額が 80 万円を超える方 基準額×1.0 71,000円 基準額×1.0 71,000円 新第 6 段階 本人が市民税課税で、合計所得金額が 120 万円未満の方 基準額×1.15 81,700円 基準額×1.15 81,700円 新第 7 段階 本人が市民税課税で、合計所得金額が 120 万円以上 190 万円未満 基準額×1.35 95,900円 基準額×1.35 95,900円 新第 8 段階 本人が市民税課税で、合計所得金額が 190 万円以上 290 万円未満 基準額×1.55 110,100円 基準額×1.55 110,100円 新第 9 段階 本人が市民税課税で、合計所得金額が 290 万円以上 500 万円未満の方 基準額×1.75 124,300円 基準額×1.75 124,300円 新第 10 段階 本人が市民税課税で、合計所得金額が 500 万円以上 800 万円未満 基準額×2.0 142,000円 基準額×2.0 142,000円 新第 11 段階 本人が市民税課税で、合計所得金額が 800 万円以上 基準額×2.4 170,400円 基準額×2.4 170,400円 ※公費投入による低所得者の負担軽減は、平成 27 年 4 月から部分的に実施され、平成 29 年 4 月からは新第 2 段階と新第 3 段階を対象として軽減の完全実施が予定されていますが、あくまでも保証するものではありません。 ※基準段階年額保険料の端数処理については、月額保険料に 12 を乗じ、100 円単位になるよう四捨五入しています。 ※各段階年額保険料については、基準年額保険料に保険料割合を乗じ、100 円単位になるよう四捨五入しています。 第6期紀の川市介護保険事業計画及び高齢者福祉計画 平成 27 年 3 月発行 編集・発行 紀の川市 〒649-6492 和歌山県紀の川市西大井 338 番地 TEL:(0736)77-2511 FAX:(0736)79-3926 7
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