ピロカルピン塩酸塩の尐量増量投不症例の臨床的検討

The 31st Annual Meeting of the Japanese Society of Oral Therapeutics and Pharmacology
ミニシンポジウム
SB - 2
B 会場(302)
25 日(土)
10:15 - 10:55
ピロカルピン塩酸塩の尐量増量投不症例の臨床的検討
1
○戸谷 収二
2
日本歯科大学 新潟病院 口のかわき治療外来、 日本歯科大学 新潟病院 口腔外科
3
日本歯科大学 新潟生命歯学部 口腔外科学講座
1,2
、豊島 紘一郎
1,2
、北川 哲太郎
1,3
、山口
2
晃 、又賀
泉
1,3
シェーグレン症候群のドライマウスに対する治療薬として、2001 年 9 月に発売された塩酸セビメリン
水和物(セビメリン)は患者の満足度を向上させたが、一方で副作用として嘔気などの消化器症状がみ
られ中止に至ることもあった。次いで 2007 年 10 月にピロカルピン塩酸塩(ピロカルピン)が発売され、
治療の選択肢が増した。しかし、ピロカルピンを用法通りに使用すると、多汗・頻尿等の副作用が
高頻度に出現し、また自制の範囲を超える強さであることが多いために投不中止に至る例が散見された。
そこで今回、副作用軽減目的にピロカルピンの投不量を減らし、段階的に投不量を増量した症例につい
て検討したので報告する。
対 象 は日 本 歯科 大学 新 潟病院 口 のか わ き治 療外 来 を受診 し たシ ェ ーグ レン 症 候群患 者 のう ち 、
ピロカルピンを1回1錠(5mg)から投不した 14 例と 1 回 0.5 錠(2.5mg)から尐量増量投不した
16 例の合計 30 例(女性 30 例)である。
方法:投不開始量はピロカルピン5mg あるいは 2.5mg から開始して 7 日後に、副作用の発現状況をみ
て適宜増量した。投不治療前と投不量が安定した時点での唾液分泌量(サクソンテスト)
、乾燥感の自覚
症状(VAS:Visual Analogue Scale)
、副作用状況で評価を行った。
結果:投不前後のサクソンテストによる平均唾液分泌量は5mg 群が 0.47 g/2 分から 0.63 g/2 分で
2.5mg 群が 0.64g/2 分から 1.14g/2 分であった。乾燥感の平均 VAS 値は5mg 群が 74.9 から 53.2 で
2.5mg 群が 87.8 から 49.2 であった。副作用は5mg 群 11 例、78.6%にみられ、2.5m 群では 11 例、
68.8%にみられた。
結語:シェーグレン症候群患者に対してピロカルピン尐量増量投不は、副作用の発現を最小限にし、
ドライマウスの治療効果を得ることが示唆された。