公開講演会 ネアンデルタール人の絶滅の謎に迫る 日時: 2015 年 2 月 7 日(土)13:00-17:30 会場: 東京大学理学部 2 号館講堂 CONTENTS 13:00−13:10 趣旨説明 佐野勝宏(東京大学) 13:10−14:00(講演 40 分+質疑応答 10 分) 「ネアンデルタール人の絶滅プロセスとその背景」 佐野勝宏(東京大学) ネアンデルタール人は、今からおよそ 4 万年前に絶滅したことがわかってきました。で は、何故ネアンデルタールは絶滅に至ったのか?本講演では、ネアンデルタール人の絶 滅プロセスを明らかにし、彼らを絶滅へと導いた幾つかの要因に迫ります。 14:10−15:00(講演 40 分+質疑応答 10 分) 「最後のネアンデルタール人が直面した環境変動」 阿部彩子(東京大学) ネアンデルタール人が絶滅へと向かっていく時期(ハインリッヒ・イベント 5 からハイ ンリッヒ・イベント 4)の気候変動に関して、古気候データと数値実験結果の分析を行 い、彼らがおかれた環境について考えます。 15:10−16:00(講演 40 分+質疑応答 10 分) 「ネアンデルタール人の成長・発達と栄養生態」 山内太郎(北海道大学) ネアンデルタール人は脳も身体もホモ・サピエンスよりも大きかったといわれています。 彼らはどのように成長・発達したのか、どのくらいの食料を必要としたのか大胆に考え てみます。 16:10−17:00(講演 40 分+質疑応答 10 分) 「ゲノム研究は旧人・新人間の学習能力の違いに切り込めるか?」 木村亮介(琉球大学) 近年のゲノム研究は、旧人と新人との間に起こった交雑や旧人における集団サイズの減 少などを明らかにしてきました。本講演では、ゲノム研究から旧人・新人間の学習能力 の違いを解き明かす可能性について探ります。 17:00−17:30 総合討論 公開講演会 ネアンデルタール人の絶滅の謎に迫る 開催趣旨 絶滅した旧人ネアンデルタール人と世界中に拡散した新人ホモ・サピエンスの命運を分けた真相に 迫るべく、本プロジェクトは 2010 年にスタートしました。この間、否定されていた両者の交雑の証拠 が DNA 分析でつきとめられ、デニソワ人という新たな人類種の存在も明らかとなりました。この 5 年間で、旧人・新人の交替劇の様相は遙かに複雑化したと言えます。一方、年代測定技術と統計的推 定方法の進歩により、ネンデルタール人の絶滅年代の高精度復元が可能となり、彼らはおよそ 4 万年 前までに絶滅したらしいことがわかってきました。 我々も、独自の手法でネアンデルタール人が 4 万年前までに絶滅した可能性が高いという結論にた どり着き、約 48,000 年前以降、彼らの人口が次第に減少していった事実を突きとめました。そして、 ネンデルタール人が人口を減らし始めた直後に、ホモ・サピエンスがヨーロッパに入植してきたこと もわかってきました。では、何故ネアンデルタール人はホモ・サピエンス入植以前に人口を減らし始 め、そしてその後人口回復することなく絶滅してしまったのでしょう?過酷な気候イベントの影響、 ホモ・サピエンスの入植による文化的・遺伝的融合とそれによるネアンデルタール的文化や形質の喪 失の可能性、両者の栄養生態の違いについて、本プロジェクトの最新成果を紹介します。 講師紹介 佐野勝宏 さの かつひろ 東京大学・総合研究博物館・特任助教 阿部彩子 あべ あやこ 東京大学・大気海洋研究所・准教授 山内太郎 やまうち たろう 北海道大学大学院・保健科学研究院・教授 木村亮介 きむら りょうすけ 琉球大学大学院・医学研究科・准教授
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