岡田明廣氏の「漆喰鏝絵の世界」展、 名古屋市市政資料館で開催 名古屋在住の左官・岡田明廣氏による「漆喰鏝絵の世界」と 題した展覧会が、名古屋市市政資料館(名古屋市東区)におい て11月15日から30日にかけて開かれた。同氏は、伝統工法に 精通する現代の匠として知られる芸術家肌の左官職人で、代 表作に「ホテル川久」などがある。永年に亘る職務への精励が 評価され、昨年は黄綬褒章の栄にも浴した。近年は「岡田泥水 明」の画号で漆喰鏝絵の制作にも精力的に取り組んでいる。 同展は、名古屋市市政資料館の開館25周年記念企画展の一 環で行われたもの。同館は、大正11( 1922)年に「名古屋控訴 院・地方裁判所・区裁判所庁舎」として建設された建物で、昭 和59(1984)年に国の重要文化財に指定されている。赤い煉瓦 と白の花崗岩を組み合せたネオ・バロック様式の外観、ステ とうげんきょう ▲「桃源郷」 (第 15 回全国漆喰鏝絵コンクール優秀賞) ンドグラスや漆喰塗りなど高度な技術が使われている中央階 段室、内装の美しい三階復原会議室などがいずれも建築当時 の姿に復原されており、建築物としても見所が多い。玄関 ホール中央階段の飾壁円柱の漆喰マーブルは、かつて同氏が 修復復原工事を手掛けた渾身の仕事でもある。 「漆喰鏝絵の世界」展が開かれたのは、同館3階の第5一般展 とうげんきょう 示室。「桃源郷」 (第15回全国漆喰鏝絵コンクール優秀賞)など 近年作を中心に珠玉の漆喰鏝絵三十余点が会場を埋めた。会 期中には業界関係者、一般来場者が多数訪れる中、名古屋市・ 河村たかし市長も来訪した。市民をはじめ同館を訪れた多く の来場者が作家自らによる解説を受けながら、左官技術の最 高峰である鏝絵の織り成す世界に魅了されていた。 ▲会場のようす ▲珠玉の鏝絵三十余点が展示された ▲来場した名古屋市・河村たかし市長(左)と談笑する岡田明廣氏(右) No.461 2015 年 1 月号 5
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