システムコントロールフェア2015 計測展2015TOKYO で注目される製品・技術 システムコントロールフェア(SCF) 産業に提案する「インダストリアル・インターネット」 が注目を集めている。 こうした中、モノづくりにおいて世界をリードして ファクトリーオートメーション(FA)は電化製 きた日本は企業内個々で培った生産システム、Io 品や自動車など“モノづくりを自動化する”という T(モノのインターネット)をベースにビッグデータ ところからスタートした。生産ラインを構成する機 やセンシング技術の活用、ロボットなどの革新的な 器やコンポーネント、ロボット、制御システム、そ 自動化の強みを生かすことで、材料の購入や在庫の れらをつなぐITネットワークなどが次々と進化し 管理といった川上から、最終製品、サービス・サポ ている。 ート、メンテナンスまで日本的な新しい提案に期待 現在、FAは省エネ化を背景としたモーターやイ が高まる(写真1) 。 ンバーターなどの高効率化、環境負荷低減、生産に おけるトータル的なコストダウン、安全性の向上な ■モーター どモノづくり現場が直面している課題を解決するソ FA機器の中でもキーコンポーネントが産業用モ リューションとなっている。また、工業分野ではド ーター(三相誘導電動機)とインバーターだ。 イツのIndustrie4.0に代表される第4次産業革命が 産業用モーターは今年4月に、欧米など世界各国 工業のデジタル化を促進し、製造コストを大きく削 の規制に合わせた「IE3」基準対応に対応したト 減するという国家、産業界、学界を包含した大プロ ップランナー制度が適用された。産業用モーターの ジェクトが取り組まれている。こうした世界的に最 電力消費量は日本の総消費電力の55%をしめると も注目されているカテゴリーになるFAに関する最 いう。 新の製品や技術、サービスを知ることができるのが トップランナー制度は省エネ型製品の普及を促し システムコントロールフェア(SCF)だ。 ていくため製造業事業者に対して行う規制。エネル ■第4次産業革命 ギーを多く使用する機器の内対象機器ごとに基準値 を設定し、目標年度に達成状況を国が確認する。自 第1次産業革命はイギリスを中心とした石炭、蒸 動車や家電など29機器がこの特定機器として指定 気機関を動力源とする軽工業中心の発展のことで、 されており、産業機器が対象になるのは変圧器に次 18世紀後半にさかのぼる。19世紀後半になると、石 いでモーターが2例目となった。 油を内燃機関とした重工業を中心とした米国・ドイ 4月の適用開始後ではメーカーから製造業または ツを主要国とした第2次産業革命が始まっ た。20世紀後半になると第3次産業革命と して電子化と多品種化に応えた。 欧米ではこれまでのグローバル化による 製造業の流出、リーマンショックなどに見 る金融偏重の反省から、製造業の経済効果 を見直す製造業回帰が始まっている。進化 する情報通信技術を背景にサービス化を含 めた産業革命は、第4次産業革命としてド イツは自動車業界を中心とした「インダス トリー4.0」 、米国はジェネラルエレクト リック(GE)がコンセプトとして航空機 写真1 第4次産業革命についてわかりやすく解説 輸入で供給されるモーター効率レベルは国際電気標 交流に変換することで周波数や電圧を自在に変化さ 準会議(IEC)で規定された「IE3」レベル相 せる。 当。駆動時に熱などのエネルギーとして消費されて 工場や家庭で使われる交流電源の周波数は西日本 しまう損失分を徹底的に削減するように設計してい が60ヘルツ、東日本が50ヘルツといったように一定 る。 だ。インバーターはこれを任意の周波数に変換する 日本で普及してきたこれまでのモーターは標準効 ことで、使用環境より変速運転が必要な個所などモ 率のIE1レベルだったが、今回のトップランナー ーターがそんなに回る必要のない時の回転をなくす。 化によりIE3レベルまで一気に引き上げられた。 モーター出力レベルを適正なレベルに制御すること またエネルギー消費効率以外の特性、性能、構造、 で大きな省エネ効果が見込める。 試験方法などを規定したJIS規格「JIS C このほか、インバーター制御の利用は、コンベヤ 4213」も制定されてい る。 ーなどの始動時にソフトに動かしてソフトに停止す ■インバーター インバーターはあらゆる産業機器の動力となるモ ーター出力を制御し、節電や省エネ対策に直接効果 を発揮する(写真2) 。 るといったことができる。また回生エネルギーユニ ットと組み合わせた省エネとしても注目を集めてい る。 計測展 一般的な工場では総電力使用量のうち70%がモー ターを通して消費されているといわれる。インバー 目に見えない電気信号の計測(電気測定器)やP ターメーカーでは省エネ化を目指し、炭化ケイ素(S Aと呼ばれる「プロセス・オートメーション」に欠か iC)パワーデバイスを採用した高効率インバータ せない圧力や温度、圧縮空気(コンプレッサー) 、大 ーやドライブシステムにおける高効率化などを加速 気汚染の計測など 、 “ハカル”ことからモノづくりに している。 おける研究開発、生産、インフラだけでなく、我々 インバーターは電源とモーターとの間に設置し、 の社会や生活は支えられている。省エネ化に伴うモ 電気の周波数を変化させる装置。インバーター本体 ーターやインバーターの開発における評価特性、携 の中で交流電力を一度直流に変え、その直流を再度 帯電話だけでなく機器間(M2M)など通信環境に おける相互接続性など今回の計測展は、IoT(モ ノのインターネット)実現に欠かせない計測技術な どが提案される。 PAは鉄鋼や石油精製など同じ種類(材料)の製 写真2 次世代インバータへの評価測定提案 写真3 パワーアナライザーに関心が集まる 品を、連続的に製造する工場の自動化システム。 計測器をソリューション提案する一方、パワーアナ 安全操業を支え、集中管理による効率化が重要で、 ライザーの性能向上の訴求が強まっている。 制御と監視をコントロールするDCS、信号を送る 電送器、流量計、温度計、記録計などがあり、第4 ■電源/電子負荷装置 次産業革命と呼ばれる一歩先を見据えた情報通信関 また直流/交流の安定化試験用電源、電子負荷装 連との融合による生産性や安全性の向上が加速する。 置の需要も見逃せない(写真4)。 モーターやインバーターなどの省エネに関する開 安定化試験用電源はモーターやインバーターなど 発は電子測定器関連の需要を後押ししている。炭化 直流や交流で駆動機器が多い中、これらの開発に欠 ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などのパ かせない。特に交流安定化電源は変動に対し再現性 ワー半導体の特性評価、モーターなどに採用する磁 の高い計測ができる。 性材開発など省エネ効果のイノベーションに貢献し ている。 ■パワーアナライザー 15年の年初はインバーターやパワーコンディシ ョナー、モーターなどの高い変換効率の計測に応え るパワーアナライザーの市場投入や新規参入が見ら れた(写真3) 。 パワーアナライザー単体の提案ではなく総合的に 写真4 様々な用途に提案する直流安定化電源
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