2015/9/3 全国環境研協議会併設集会(第26回廃棄物) 1 廃棄物等の溶出試験と特性評価 宮脇健太郎(明星大学) 2015/9/3 全国環境研協議会併設集会(第26回廃棄物) 報告内容 • 特性評価のための溶出試験(概要) • 溶出試験の目的 • 特性評価に用いる試験群(例) • 廃棄物資源循環学会規格 • 研究事例 • フェロシルト(再生製品汚染事例) • 乾湿繰り返し試験(環境暴露促進試験) +各種溶出試験 • 不燃破砕残渣(埋立時の環境負荷、粒状材としての資源化) • 粒径別評価(溶出試験、pH依存性) 2 2015/9/3 全国環境研協議会併設集会(第26回廃棄物) 特性評価のための溶出試験(概要) • 溶出試験の目的 • 判定 • 産業廃棄物の埋立処分に係る判定基準(廃棄物処理法) • 産業廃棄物、飛灰処理物 • 土壌環境基準(環境基本法) • 土壌溶出量基準、土壌含有量基準(土壌汚染対策法) • スラグ • 特性評価 • 廃棄物の環境負荷定量化(主に埋立時) • 再生製品の環境安全性確認など 3 2015/9/3 全国環境研協議会併設集会(第26回廃棄物) 4 特性評価に用いる試験群(例) • バッチ溶出試験 • 環告13号(埋立判定基準) • 環告46号(土壌環境基準)・環告18号(土壌溶出量・指定基準) • 環告19号(土壌含有量・指定基準) • スラグJIS(K0058-1) • pH依存性試験(連続調整、初期添加) • アベイラビリティー試験(酸性+中性条件での溶出総和、アルカリ性検 討) • TCLP他(海外) • タンクリーチング試験 • カラム試験・ライシメーター • 乾湿繰り返し試験(上記試験群との組み合わせ) • など 2015/9/3 全国環境研協議会併設集会(第26回廃棄物) 5 廃棄物資源循環学会規格 • 廃棄物試験・検査法研究部会HPで公開 • JSMCWM-0101再生製品等に含まれる無機物質を対象とする酸性 • • • • およびアルカリ性環境における最大溶出可能量試験方法(環境最 大溶出可能量試験)原案 JSMCWM-TS0102再生製品等に含まれる無機物質を対象とする連 続調整方式によるpH依存性試験方法(連続調整式pH依存性試験) 原案 JSMCWM-TS0103再生製品等に含まれる無機物質を対象とする試 薬初期添加方式によるpH依存性試験方法(初期添加式pH依存性 試験)草案 0104再生製品等に含まれる無機物質を対象とする上向流カラム通 水試験方法(上向流カラム通水試験)私案 0105再生製品等に含まれる無機物質を対象とするシリアルバッチ 試験方法(シリアルバッチ試験)私案 全国環境研協議会併設集会(第26回廃棄物) 2015/9/3 6 研究事例:フェロシルト(再生製品汚染) 第17回廃棄物学会研究発表会(2006)などで報告 • 背景 • リサイクル製品認定制度(三重県)の認定製品 • 認定製品使用場所から六価クロムが検出 • フェロシルト • 主成分:酸化鉄(Fe2O3)、石膏(CaSO4・2H2O)、シルト、粘土質(土粒子 密度・高い)、土地造成時の埋め戻し材 • 原料:使用済み硫酸、炭酸カルシウム中和 溶解 各種処理 酸化チタン チタン鉱石 硫酸 使用済み硫酸 中和 ボード用石膏 セメント用石膏 未反応物 (産業廃棄物) フェロシルト 第17回廃棄物学会研究発表会 7 乾湿繰り返し試験(環境暴露促進試験) • 自然状態 降雨・晴天の繰り返しによる湿潤乾燥 • 試料30g、105℃24時間乾燥後,元の重量まで加水し,2日間 室温、静置(20回繰り返し) • 加水溶媒 純水(pH6.0)、雨水(pH5.0) 湿潤 乾燥 加水 8 第17回廃棄物学会研究発表会 溶出試験 (環告46号) 8 Cr(VI) (mg/L) 7.5 pH 7 6.5 6 純水 雨水 5.5 5 0 5 10 15 乾湿繰り返し回数 16 14 12 10 8 6 4 2 0 純水 雨水 0 20 5 10 15 乾湿繰り返し回数 20 500 Eh (mv) 400 初期 3 300 5 200 100 純水 雨水 0 0 5 10 15 乾湿繰り返し回数 1 20 0 1 3 5 10 9 第17回廃棄物学会研究発表会 土壌含有量試験(環告19号) 表2 土壌含有量試験(環境省告示19号) pH EC(m/s) ORP(mv) Cr(VI)(mg/kg) 0回(乾燥なし) 7.76 0.372 380 0 1回(乾燥あり) 7.74 0.416 320 194 表3 土壌含有量試験結果(環境省告示19号,1M-HCl溶媒) Al T-Cr Mn Fe 0回(乾燥なし) 2650 677 6000 76000 1回(乾燥あり) 2200 597 3800 50700 含有量(硝酸分解) Al 5230 Mn 13900 Cr 1160 Ni 41 Fe 183000 (Unit:mg/kg) Zn Pb 1510 30 mg/kg Ni 22 18 Zn 500 367 Pb 13 12 第17回廃棄物学会研究発表会 pH依存性試験 • 試料30g+純水300mL (L/S10) • 撹拌時間6h、ろ過0.45μm • 固定pH:4,6,8,10,12 • (pHコントローラー) • 調整試薬:HNO3、NaOH 10 11 第17回廃棄物学会研究発表会 pH依存性試験 100.00 Cr(VI) (mg/L) 0回 乾燥なし 1回 乾燥あり 10.00 0回 乾燥なし 1.00 pH 4 0.10 0.01 3 5 7 pH 9 11 13 1回 乾燥あり 6 8 10 12 H18.11.20 第17回廃棄物学会研究発表会 有害廃棄物研究部会・廃棄 物試験検査法部会共催企画小集会 12 六価クロムの場合(フェロシルト) • クロムの存在状態 1.5 Cr(III)、Cr(VI) Cr2O72- 1.0 CrO42- Cr(III)で安定、 Crの酸化について も報告あり Eh (V) • 自然界では 0.5 0 -0.5 -1.0 Cr(OH)2+ フェロシルト Cr3+ Cr(OH)3 Cr2+ 2 4 6 8 pH 10 12 H18.11.20 第17回廃棄物学会研究発表会 有害廃棄物研究部会・廃棄 物試験検査法部会共催企画小集会 13 試験法から見た問題点(再生製品フェロシルト) • 製造時 • わずかなpHの差によりCr(VI)生成、場合により環告46号試験で基準 を超過 • 品質管理上、年1回の検査では? • 施工時 • 現地調査 表層で六価クロムが高い傾向(?) • 表層 湿潤乾燥が繰り返される →Cr酸化? • 製造時に問題ない場合についても、使用条件による影響がある。再生 製品について特性化試験などが場合により必要 2015/9/3 全国環境研協議会併設集会(第26回廃棄物) 14 研究事例:不燃破砕残渣(資源化) • 背景 第26回廃棄物学会研究発表会(2015)で報告 本日のポスター • 最終処分場問題は、長年の懸案事項である。また、処分され る廃棄物の6割は焼却残渣となり、2割は、資源化残渣、不燃 ごみ・粗大ごみ処理残渣(不燃破砕残渣)などが占める。 • 埋立量削減のため、いずれの埋立物も資源化の検討が必要 →粒状建設資材の原材料? 陶磁器 紙くず 軟質プラ 木片 石 スチック 0.0% 0.4% 硬質プラス チック 0.6% ガラス(緑) 10.5% ガラス(有 色) 11.4% 0.3% アルミ 0.5% 0.0% 0.1% その他 0.1% ガラス(茶) 19.2% ガラス(無 色) 56.8% H26 6月 2~16mm 2015/9/3 全国環境研協議会併設集会(第26回廃棄物) 15 特性評価 • 溶出試験(環告46号準拠) • L/S10、6時間振とう、0.45umメンブレンフィルターろ過 • (粒径区分0.5mm以下、0.5~1mm、1~2mm) • pH依存性試験(初期添加式:廃棄物資源循環学会草案 JSMCWM-TS0103) : pH4、pH6、pH8、pH10、pH12(予 備試験で、硝酸、水酸化ナトリウム添加量を調整) • L/S10、48時間振とう、0.45umメンブレンフィルターろ過 • (粒径区分0.5mm以下、0.5~1mm、1~2mm) 全国環境研協議会併設集会(第26回廃棄物) 2015/9/3 16 溶出試験(環告46号準拠) Pb Sb 60 50 Sb濃度(µg/L) Pb濃度(µg/L) 40 30 20 10 0 0.5mm① 0.5mm② 0.5-1mm①0.5-1mm② 1-2mm① 1-2mm② 0.5mm以下 0.5-1mm 1-2mm 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 0.5mm① 0.5mm② 0.5-1mm①0.5-1mm② 1-2mm① 1-2mm② 0.5mm以下 0.5-1mm 1-2mm 全国環境研協議会併設集会(第26回廃棄物) 2015/9/3 17 pH依存性試験(Pb) 0.5mm以下 0.5-1mm 60 40 35 50 40 濃度(μg/ L) 濃度(μg/ L) 30 ① 30 ② 20 添加無 ① 25 ② 20 添加無 15 10 10 5 0 0 2 4 6 8 pH 10 12 14 2 4 6 8 pH 10 12 14 2015/9/3 全国環境研協議会併設集会(第26回廃棄物) 18 試験法から見た評価例(不燃破砕残渣) • 溶出試験では、0.5mm以上の粒径区分について土壌環境基 準をほぼ満足 • 0.5mm以下の粒径では一部土壌環境基準を超過する元素も 存在 • pH依存性試験を行ったところ、金属種により挙動は異なった。 なお、pHの影響は限定的と考えられた。 • 本施設の不燃破砕残渣0.5mm以上の粒径区分では、再生材 原料への可能性
© Copyright 2024 ExpyDoc