平成 27 年公認会計士試験 財務会計論 (財務諸表論) I C O 第Ⅰ回短

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平成 27 年第Ⅰ回短答式試験・財務諸表論解答
平成 27 年公認会計士試験
財務会計論
(財務諸表論)
アイ・シー・オー
I C O 第Ⅰ回短答式試験解答&解説
平成 27 年第Ⅰ回短答式試験講評
財務会計論のうち、財務諸表論(理論問題:計算の出てこない問題)の合計 12 問(問題1、2、3、
8、9、11、13、15、18、19、20、21)についてコメントします。
問題1、3、8、11、13、15、(以上、難易度D)は基本的な内容を中心とした出題であり、正解は
十分に可能であると思われます。また、問題9、20(以上、難易度C)も、どうにか正解しておきた
いところです。これに対し、残りの問題2、18、19、21 は、
(以上、難易度B及びA)については、細
かな事項を扱う記述が含まれていたり、また、
(記述の組合せではなく)1つの記述や該当する記述の
個数を選択させる形式のために消去法が活用できなかったりと、正解は容易とはいえないでしょう。
以上の合計 12 問について、8問以上の正解が望ましいですが、
(計算問題との兼ね合わせもあり)
7問の正解は確保しておきたいと考えます。
なお、各問の解答の後にて、
「解法のイメージ例」なるものを示しています。これは、平均的な知識・
理解の受験生が試験会場での緊張感の下でどのように正解を見出すかを想定した解法例です。もちろ
ん、知識も理解も判断プロセスも解法パターンも人それぞれであると十分に承知していますが、問題
への取組み方の参考の一助となれば幸いです。
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平成 27 年第Ⅰ回短答式試験・財務諸表論解答
(ICO解説)
問題 01
<難易度>D<出題範囲>財務会計の機能や基礎概念
ア.正しい:(継続企業の公準)
イ.誤
り:わが国の討議資料『財務会計の概念フレームワーク』では、包括利益のうち、「①投資のリ
スクから解放されていない部分を除き、②過年度に計上された包括利益のうち期中に投資の
リスクから解放された部分を加え、」③非支配株主に帰属する利益を除くと、純利益が求めら
れる。(財務会計の概念フレームワーク・第3章・12 項)
ウ.誤
り:費用収益対応の原則には、分類・表示に関わる報告原則だけでなく、
「損益の算定に関わる
計算原則としての意味もある。
」
例えば、当期の発生費用(財や用役の費消による製造原価)のうち、当期の実現収益(売
上高)に対応する部分は損益計算書に計上される(売上原価)が、次期以降の実現収益に対
応させるべき部分は貸借対照表に計上されることになる(仕掛品・製品)。(費用収益対応の
原則)
エ.正しい:
(財務会計の概念フレームワーク・第1章・11 項)
したがって、正しいものはア.エ.であるから、正解は[3]である。
解法イメージ例:記述ア.は「予測可能な将来」の文言が気になるかもしれないが、大きな問題点はな
さそうなので「正しい」と想定しつつも正誤判定を保留。記述イ.は典型論点。記述ウ.
は基本的知識の理解に基づき判断。記述エ.も典型論点と考えられる。記述イ~エを勘
案すれば、記述ア.の違和感も問題点なしと判断できる。
問題 02
<難易度>B<出題範囲>会社法及び会社計算規則
ア.正しい:記述ア.には特に違和感を生じさせるような部分はなく、また、他の記述の内容をも総合
的に勘案すれば、正しいと判断することになる。(-)
イ.正しい:(会社計算規則第 120 条、第 120 条の2)
ウ.誤
り:(中小企業の会計に関する指針・3)(中小企業の会計に関する基本要領・3)
エ.誤
り:連結キャッシュ・フロー計算書は、連結計算書類には「含まれない。」(会社計算規則第 61
条)
なお、そもそも、(個別)計算書類においても、キャッシュ・フロー計算書は計算書類には
含まれない。(会社計算規則第 59 条)
したがって、誤っているものはウ.エ.であるから、正解は[6]である。
解法イメージ例:記述ア.は典型論点に直結せず正誤判定に不安が残るが、誤りとすべき大きな問題点
は無さそうなので「正しい」と想定しつつも正誤判定を保留。記述イ.も正しそうだが
正誤判定を保留。記述ウ.は、ほとんど見たことも無いような事項なので正誤判定を保
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平成 27 年第Ⅰ回短答式試験・財務諸表論解答
留。記述エ.は典型論点。
他の記述の正誤判定が定まらないことから、記述ア.をその内容のみで「正しい」と
判断することにすれば、この段階で組合せはイエとウエの2つに絞られる(正解確率
50%)。
会計学の一般的な知識に基づくと、もしくは短答式形式の出題を解き慣れていると、
記述イ.と記述ウ.の正誤をイメージできることもあるかと思われるが…。
問題 03
ア.誤
<難易度>D<出題範囲>資産の分類
り:棚卸資産は、「営業循環基準」によって流動資産に分類される。(企業会計原則・第三(貸借
対照表原則)・四(一)A)(企業会計原則注解・注 16)
イ.正しい:
(貨幣・非貨幣法)
ウ.誤
り:現行の会計制度では、資産の評価はその外形に基づいて、金融資産は時価で評価し、事業
資産は取得原価で評価される「とは限らない。」
例えば、子会社株式や関連会社株式は、「外形」に基づくならば金融資産として時価評価さ
れることになるのかもしれないが、制度上は、その「投資目的」に基づき取得原価により評
価される。(資産の評価)
エ.正しい:
(繰延資産)
したがって、誤っているものはア.ウ.であるから、正解は[2]である。
解法イメージ例:記述ア.は典型論点。記述イ.も典型論点。記述ウ.は扱われている内容が幅広く、
また、必ずしも読み取り易い文章とは言えないことから正誤判定を保留。記述エ.も典
型論点と考えられる。すなわち、たとえ記述ウ.の正誤判定に迷いが残るとしても、他
の記述を勘案すれば正解できる。
問題 08
<難易度>D<出題範囲>引当金
ア.誤
り:企業会計原則注解【注 18】には、そのような定めは「ない。」(企業会計原則注解・注 18)
イ.誤
り:企業会計原則注解【注 18】には、そのような定めは「ない。」(企業会計原則注解・注 18)
ウ.正しい:(企業会計原則注解・注 18)
エ.正しい:(会社計算規則第 78 条)
(企業会計原則注解・注 17 を参照)
したがって、誤っているものはア.イ.であるから、正解は[1]である。
解法イメージ例:企業会計原則注解・注 18 について考えると、記述ア.及び記述イ.のような定めは無
く、また、記述ウ.の定めは在ったと思い出せる。記述エ.については、仮に会社計算
規則の条文それ自体までは読み込んでいなくとも、特に大きな問題点は無いと判断して
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平成 27 年第Ⅰ回短答式試験・財務諸表論解答
よいだろう…。
問題 09
ア.誤
<難易度>C<出題範囲>注記事項
り:過去の期間の財務諸表に注記された潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、その後の期
間の転換証券の普通株式への転換又は普通株式の株価の変動などにより、潜在株式に係る権
利の行使の際に仮定した事項が変化した場合であっても、遡及的に修正「しない。」(1株当
たり当期純利益に関する会計基準・30-5項)
イ.誤
り:この場合は、修正後発事象として連結財務諸表を修正する「のではなく、注記を行う。」(監
査・保証実務委員会報告第 76 号・4(4)、5(3)例示Ⅰ・5①)
ウ.正しい:(監査・保証実務委員会報告第 74 号・7)(監査・保証実務委員会報告第 76 号・7(1))
エ.正しい:(連結財務諸表に関する会計基準・注 14)
したがって、正しいものはウ.エ.であるから、正解は[6]である。
解法イメージ例:記述イ.と記述ウ.は典型論点。この時点で、組合せはアウとウエに絞られる(正解
確率 50%)。これら記述イ.と記述ウ.に比べると、記述ア.と記述エ.は相対的な細か
な事項を扱っているが、(たとえ両方ではなくとも)どちらかの記述に関する知識があれ
ば、正解できる。
問題 11
<難易度>D<出題範囲>ストック・オプション
ア.正しい:(ストック・オプションに関する会計基準・5項、7項(1)、52 項)
イ.誤
り:たとえ公開直後といえども、公開後の企業については、ストック・オプションの本源的価
値による算定を行うことは「認められない。」(ストック・オプションに関する会計基準・63
項)
ウ.正しい:(ストック・オプションに関する会計基準・10 項(2)、56 項)
エ.誤
り:公開企業が財貨又はサービスの取得の対価として自社の株式を交付する場合、自社の株式
の市場価格による信頼性のある測定が可能であり、これに基づいて取得した財貨又はサービ
スの取得価額を算定すべきものと考えられるが、算定の基準日は「契約日」とすることが合
理的であると考えられる。(ストック・オプションに関する会計基準・15 項(2))
したがって、正しいものはア.ウ.であるから、正解は[2]である。
解法イメージ例:記述ア.は多くが典型論点から成り立つが、十分な信頼性がない場合の見積りについ
てまでは基準を読み込んでいなかったかもしれない。ただし、一般的には問題の無さそ
うな内容であるため、「正しい」と想定しつつも正誤判定を保留。記述イ.は細かな事項
における典型論点。記述ウ.は典型論点。記述エ.は細かな事項を扱い正誤判定には迷
わされることから、記述ア~ウの正誤判定(想定)に基づき解答するのが合理的か。
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問題 13
ア.誤
平成 27 年第Ⅰ回短答式試験・財務諸表論解答
<難易度>D<出題範囲>リース取引に関する会計基準
り:貸手が計上する「リース債権」については、(借手が計上する「リース債務」とは異なり)
1年基準により流動固定分類が行われる「訳ではない。」
すなわち、当該企業の「主目的たる営業取引により発生したもの」である場合には「流動
資産」に表示する。また、当該企業の「営業の主目的以外の取引により発生したもの」であ
る場合には、貸借対照表日の翌日から起算して 1 年以内に入金の期限が到来するものは流動
資産に表示し、入金の期限が 1 年を超えて到来するものは固定資産に表示する。(リース取引
に関する会計基準・18 項)
イ.誤
り:借手において、
(また、貸手においても、)利息相当額の総額をリース期間中の各期に配分
する方法は、「原則として利息法による。」(リース取引に関する会計基準・11 項)(リース取
引に関する会計基準の適用指針・31 項(2)参照)
ウ.誤
り:所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引で、異な
る表示方法を適用することが「できる。」
例えば、所有権移転ファイナンス・リース取引には有形固定資産又は無形固定資産に属す
る各科目に含める方法を適用し、所有権移転外ファイナンス・リース取引には、有形固定資
産、無形固定資産の別に一括してリース資産として表示する方法を適用することも認められ
る。(リース取引に関する会計基準・42 項)
エ.誤
り:借手は、オペレーティング・リース取引「のうち解約不能のものに係る」未経過リース料
を、貸借対照表日後1年以内のリース期間に係るものと、貸借対照表日後1年を超えるリー
ス期間に係るものとに区分して注記しなければならない。(リース取引に関する会計基準・22
項)
したがって、誤っているものはア.イ.ウ.エ.であるから、正解は[6]である。
解法イメージ例:記述ア.イ.エ.は典型論点。それらに比べると記述ウ.は相対的に細かな事項を扱
っている。ただし、たとえ記述ウ.の正誤判定に迷いが残るとしても、問題用紙の○×
の組合せ表を改めて見てみると、記述ア.イ.エ.の正誤が判定できれば正解できるよ
うな組合せとなっており、安堵する。
問題 15
ア.誤
<難易度>D<出題範囲>退職給付に関する会計基準
り:厚生年金基金制度および確定給付企業年金制度に含まれる役員部分は、退職給付に関する
会計基準の適用対象と「なる。」(退職給付に関する会計基準の適用指針・2項)
イ.正しい:(退職給付に関する会計基準・16 項、注3)
ウ.誤
り:記述ウ.の方法(給付算定式基準)と期間定額基準とは、(優先順位が明確にされた)「原
則・例外の関係にあるのではなく、」選択適用という関係にある。(退職給付に関する会計基
準・19 項)
エ.正しい:(退職給付に関する会計基準・31 項、32 項)
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平成 27 年第Ⅰ回短答式試験・財務諸表論解答
したがって、正しいものはイ.エ.であるから、正解は[5]である。
解法イメージ例:記述ア.は(会計基準ではなく)適用指針で明示されるような細かな事項を扱ってお
り、正誤判定は保留する。記述イ.は典型論点。記述ウ.も典型論点。記述イ.と記述
ウ.が判定できた段階で、組合せはアイとイエに絞られる(正解確率 50%)
。記述イ.や
記述ウ.に比べると、記述エ.は(注記事項に関して)相対的に細かな事項を扱ってる
が、当該事項に関する知識があれば本問は正解。たとえ知識がなくとも、大きな問題点
は無いと判断できる余地はあると思われる。
問題 18
<難易度>B<出題範囲>外貨建取引等
1.適切ではない:金融商品に関する会計基準による原則的処理の採用を決定した後で振当処理へ変更
することは、原則的な処理方法から特例的に認められた処理方法への変更であり「認
められない。」(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針・3項)
2.適切ではない:合理的な方法により配分された直先差額は、金融商品会計実務指針における債券に
係る償却原価法に準じて、利息法又は定額法により「利息の調整項目として処理する
ことができる。」(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針・9項)
3.適切ではない:外貨建有価証券のうち、「外貨建満期保有目的債券」については、(満期償還時に受
け取る外貨による額面金額に為替予約相場を乗じた円貨額で円貨による入金額が確定
するため、)為替予約等の振当処理が「認められる。」
なお、「外貨建満期保有目的債券以外の」外貨建有価証券については、(その売却時
期が未確定であること、また、時価の変動により受け取る外貨額が変動することから、)
たとえヘッジ会計の要件を満たすとしても為替予約等によりキャッシュ・フローを固
定することは困難であると考えられ、為替予約等の振当処理は認められない。(外貨建
取引等の会計処理に関する実務指針・5項)
4.適切ではない:外貨建取引等会計処理基準の注解・注8に関して、決算時の為替相場としての平均
相場の適用は無条件に認められているの「ではなく、」決算日前後の為替相場の変動状
況から判断して、
「決算日の直物為替相場が異常と認められる場合にのみ、その適用が
認められる。
」(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針・11 項)
5.適切である:(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針・11 項)
したがって、最も適切なものは5.であるから、正解は[5]である。
解法イメージ例:難しい…。
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問題 19
1.誤
平成 27 年第Ⅰ回短答式試験・財務諸表論解答
<難易度>A<出題範囲>減損会計におけるグルーピング
り:連結財務諸表における資産のグルーピングの単位の見直しは、連結上、固定資産が計上さ
れる連結会社が対象であり、「持分法が適用されている非連結子会社」や関連会社は「含まれ
ない。」(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針・75 項)
2.正しい:(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針・8項、72 項)
3.正しい:(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針・7項(1)③)
4.正しい:(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針・7項(1)①)
5.正しい:(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針・9項、74 項)
したがって、誤っているものは1.であるから、正解は[1]である。
解法イメージ例:問題 18 に引続き、本問もまた難しい。不安な気持が加速するが、他の受験生も不安に
なっているはずだ…。不思議な連帯感…。とにかく白紙解答は避け、勘でも感覚でも総
動員して解答した後は、気持ちを切り替えて次の問題へ…。
問題 20
<難易度>C<出題範囲>企業結合及び事業分離
1.正しい:(企業結合に関する会計基準・15 項)(企業結合会計基準及び事業分離会計基準に関する適
用指針・31 項)
2.正しい:(事業分離等に関する会計基準・8項)
3.正しい:(事業分離等に関する会計基準・62 項)
4.誤
り:合意公表日前の合理的な期間における株価を基礎にして算定することは、
(以前は制度上採
用されていたが、現在では)「認められない。」(企業結合に関する会計基準・85 項~87 項)
5.正しい:(企業結合に関する会計基準・29 項~31 項、99 項)
したがって、誤っているものは4.であるから、正解は[4]である。
解法イメージ例:問題 18、問題 19 に引続き(記述の組合せではなく)1つの記述を選択する形式であり、
また、各々の記述が扱う事項も簡単なものではなさそうであり、一見したところ難しそ
うである。しかし、典型論点である記述4.が判定できれば、それだけで正解できる出
題となっており、実は、見た目ほどは難しくない。会計基準における「本文」だけでな
く、「結論の背景」にまで目を通しておいて良かったと実感させられる。
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問題 21
平成 27 年第Ⅰ回短答式試験・財務諸表論解答
<難易度>B<出題範囲>四半期財務諸表
ア.適切である:(四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針・4項)
イ.適切である:(四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針・16 項)
ウ.適切である:(四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針・29 項)
エ.適切である:(四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針・8項)
オ.適切である:(四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針・9項)
したがって、適切な内容のものはア.イ.ウ.エ.オ.の5個であるから、正解は[5]である。
解法イメージ例:適用指針の内容に基づく細かい事項が扱われており、その中には典型論点も散見され
るが、出題形式がいわゆる「個数問題」であることから「消去法」の余地はなく、形式
面からも難しい…。
(以上)
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