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2010 年 7 月
経 営
|□経営|▼税務|
公私混同に注意しましょう
中小企業を弱体化させる要因の一つに経営者や社員の公私混同があげられます。特に経営
者による公私混同は、誰も注意できないので、自ら律する必要があります。
● 「少しくらいはいいだろう」と思わないこと
中小企業の経営者には、優れた営業力や技術力を持って会社を創業した、い
わゆるたたき上げタイプの人が多いようです。
この不況の中、売上増や資金繰りなどのために休日も返上して頑張っている経
営者も多くおられます。
だからといって、私的な支払いを会社の経費にしてしまったり、プライベートな用
事に社員を使ったり、会社のお金を自分の財布のように使っていたり、知人や同
族関係の会社との取引を優遇しすぎるなどのケースはないでしょうか。
もし「ゼロから立ち上げた自分の会社なのだから、自分の必要な支出を経費に
するのは当然」などといった考えを持っているとしたら、この際、考え直していた
だきたいと思います。
そのような社長の態度や行動を社員や取引先、金融機関などの第三者はどう
見ていでしょうか。
● 社員のモチベーションの低下や社内不正を誘発する
社長の公私混同を社員はしっかりと見ています。インターネットの質問箱や掲
示板には、「社長の公私混同をやめさせたいがどうすればいいか」「税務調査
のときに私的費用の付け回し見つけてもらうにはどうすればいいか」」といった
声なども数多く書き込まれています。
懸命に働く社員が社長の公私混同を目の当たりにすると、どのような気持ち
になるでしょうか。ワンマン社長が多い中小企業では、社長の公私混同があっ
ても、誰も異議を唱えることはできません。すると、社員のモチベーションが低
下して、業績に影響します。
あるいは、モラルが低下し、「社長がやっているのだから、自分も少しは許され
るだろう」と社内不正の起こりやすい組織風土となりがちです。
● 取引先や金融機関など対外的な信用が低下する
社長が経営計画をしっかり立てて、真剣に経営に取り組んでいるのであれ
ば、取引先、金融機関からの支援もあるでしょう。しかし、会社の資金繰りが苦
しく融資や支払い延期を依頼したり、税金・保険料などを滞納しているにもかか
わらず、不要不急な個人的支出があれば、取引先や金融機関の評価は低くな
らざるをえないでしょう。
金融機関は、融資先の信用格付けを行う際、経営者に公私混同があれば評
価を下げています。
税 務
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間違いやすい消費税の実務
消費税の実務では、非課税取引、不課税取引、免税取引についての誤りが多く見受けられま
す。これらはいずれも消費税のかからない取引ですが、その判断を間違えて処理してしまうと、
消費税額を正しく計算することができません。
● 非課税取引 –法令で課税しないことにされている取引本来は課税取引になるものですが、課税対象としてなじまないものや社会政策
的配慮からあえて法令で非課税としている取引です。
主な非課税取引の例
・土地の譲渡と貸付、住宅の貸付(家賃)
・有価証券の譲渡
・貸付金、預貯金の利子、信用保証料
・カード会社に支払うクレジットカードの手数料
・切手、印紙、証紙の譲渡(金券ショップの購入を除く)
・出産費用、埋葬料と火葬料
・法令に基づく国、地方公共団体等の手数料
・社会保険診療等
● 不課税取引 –消費税とは関係のない取引原則として、国内で行われる取引と輸入取引は課税取引として消費税がかか
りますが、これらに該当しない国外で行われる取引、寄付や贈与など対価を得
ない取引などを不課税取引といいます。これは、消費税という枠組みの外で行
われる取引であるため消費税がかからないのです。そのため、不課税取引は、
消費税額の計算にまったく影響しない取引になります。
主な不課税取引の例
・給与、賞与の支払い、出向社員の給与負担金
・冠婚葬祭時の祝金、見舞金、ご祝儀、香典
・資産の無償での貸付
・損害賠償金、交通事故の示談金
・贈与(自家消費などは除く)や寄付金
・税金の支払い
・株式配当
・受取保険金
● 免税取引 –法令で税率を 0%にしている取引免税取引は、本来は課税取引であるけれども、税率を 0%にし、消費税を免
除している取引です。輸出売上や外国の事業者等に対するサービスなど輸出
類似取引がこれにあたります。
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