平成27年度 総務・教育委員会 行政視察報告書 視 察 日 : 平成27年7月13日(月) 視 察 地 : 白老町 視察 項 目 : しらおい食育防災センター 1. 施設全般の概要(事業概要及び運営形態)について 2. 施設設備について 3. その他 委 員 長 / 村井寿行 副委員長 / 工藤俱二雄 委 員/ 沼田一夫・佐藤弘子・佐々木久美子・戸井 肇 議会事務局 事務局長 / 武田雅康 議会事務局 総括主幹 / 佐々木直喜 総務・教育委員会は所管する事項についての研究を実施するため、 白老町の最新設備を整えた給食センターとなる「食育防災センター」 へ行政視察を行いましたので、その内容について報告します。 1 しらおい食育防災センター視察報告 (報告者:村井寿行) 説明員 白老町議会 総務文教常任委員会 委員長 小西秀延 氏 しらおい食育防災センター長 葛西吉孝 氏 しらおい食育防災センター主査 久末雅通 氏 1.施設全般の概要(事業概要及び運営形態)について (1)初めに、白老町では老朽化した給食センターの建て替えは長年の懸案事 項であったため、10年前より有利な補助金などが無いか探していました。 白老町には、登別市と同じように陸上自衛隊の施設として弾薬庫がありま すが、平成21年から北海道防衛局と事前協議を始め、給食センターの建 て替えについて、補助対象のメニューとなるよう防衛省に対して要望し、 平成23年に給食センター設置助成事業として平成24年度概算要望に 係る事業計画書を防衛省に提出しました。 しかし、防衛省からは給食センターを補助対象施設とすることは難しい と示され、その後に防災・食育・給食の3つの機能を併せ持つ、食育・防 災センターとして事業の採択を目指してきました。 その結果平成24年5月に採択の要件とされてきた白老町まちづくり 構想を策定したことから、同年7月に実施計画に係る通知を受け事業の実 施にかかり、平成27年4月供用開始へと至りました。 (2)建設の趣旨として、災害時に備えた食糧供給の機能を有し、安全・安心 な給食の提供を行うため、防衛省へまちづくり構想を提案し、防衛施設周 辺整備助成補助金のまちづくり支援事業(防災活動施設)の採択を受け、 「非常時」と「平常時」の活用を踏まえた、白老町の食糧供給拠点施設と 位置付け計画が進められました。 (3)施設の機能として 【平常時】 ①安全・安心な学校給食の提供 ②防災・食育に関する学習等 ③防衛施設との連携・交流の場 ④災害等に備えた食糧備蓄 とします。 2 【非常時】 ・災害時に食糧を供給できるネットワーク拠点 ①災害対策給食班が食糧の調達、調理、配給等の指揮を執る拠点施設 ②非常配備された調理員が備蓄または調達した食材により非常食を準備 ③輸送車両等を配備し、避難施設等への非常食の配給 ④災害支援部隊の連絡調整、待機の場 とします。 (4)施設の概要について (1)建設地 石山工業団地内 (2)敷地面積 6,132.76 ㎡ (3)規模・構造 RC 造 2階建 (4)延床面積 1,715,50 ㎡(1階:1,383.65 ㎡/2階:331.85 ㎡) (5)施設設備 ①給食機能(調理及び配食) → 検収室、下処理室、炊飯室、調理室、コンテナ室、洗浄室等 ②防災機能(学習・訓練・備蓄・連絡調整) → 会議室、備蓄庫、自家発電、受水槽(20t) ③食育機能(試食・学習) → 会議室 (6)総事業費(建設費) 1,299,168 千円 補助額 934,244 千円(防衛省補助金) (5)運営形態については、平成26年度までの学校給食センターにおいて は、㈱白老振興公社へ調理、施設管理業務を委託し、配送業務について は町内の運送会社へ委託し業務を実施していました。 平成27年4月の新規稼働に向けては、プロポーザル方式により業者 の選定を進め、3事業者参加によるプレゼンテーションを行い、審査の 結果㈱日総へ決定しました。 なお、非常時を考慮した業務対応が必要なため、調理・配送・施設管 理業務を一体とした委託契約を締結しました。 (6)施設の有効活用として ①親子調理体験及び喫食(夏休み等長期休業期間) ②一般町民向け学校給食の試食会 ③地場産品活用による生産者、児童生徒との試食会 3 ④防災、炊き出し等の訓練の実施 ⑤見学通路を活用した児童生徒の調理見学、喫食、食育事業の実施 2.施設設備について(学校給食衛生管理基準に基づく施設整備) ①ドライシステムの導入(細菌繁殖の抑制) ②汚染作業区域、非汚染作業区域の完全区分(ワンウェイ方式) ③検収室の細分化(肉、野菜等分類) ④食材に応じた下処理室の設置(二次汚染の防止) ⑤調理室・揚げ物室・炊飯室・和え物室等調理作業別に部屋を設置 ⑥アレルギー対応調理室の設置 野 菜 下 処 4 理 室 煮 炊 き 調 理 室 3.その他 各委員による質疑応答について Q 各ブロックでの人の行き来が無いように設計されているが調理に係る 人員は何人いるのでしょうか? A 調理場には18名働いています。その他、現在㈱日総の本社より3名 が応援指導に入っています。 その他、配送に運転手と助手がそれぞ れ3名が働いています。 Q 施設調理員について地元採用者などの状況は? A 調理員は18名が地元居住者ですが、管理栄養士が1名で大変忙しい 状況にあります。 平常時は 1,180 食の給食を作っています。 Q 登別においては学校給食の牛乳を地元の登別酪農館ののぼりべつ牛乳 を採用していますが、白老町ではどうされていますか? A 北海道で指定されている業者の中から入札で決めており、白老町では 雪印乳業のメグミルクを採用しています。 5 また、食材については出来るだけ地元産を使用するよう心がけており たまご、しいたけ、鮭などを調達しています。 Q 計画にあたって、少子化が予想される中で民間委託の考えはなかった のでしょうか? A 当初は農業振興センターとして計画されており、また、給食センター としての話もありましたが、補助金の関係で防災としての役割を入れ て食育防災センターになりました。 少子化問題については議会の中でもいろいろ議論をした経緯もありま すが、現実問題として毎日 1,200 食の給食を作らなければならないこ とから、現在の規模は必要ということになりました。 Q 防衛省の補助率が 75%と非常に高いが、政治的な背景はありましたか? A 食育防災センターの建設については平成24年に着手しましたが、い ろいろな部分でアンテナを張り10年以上前から、様々な補助金のメ ニューを探していました。 Q 現在の建設地は津波の心配についてはどうでしょうか? A この場所は海岸線から離れたところにあります。建設前は海抜1メー トルでしたが、安全性を高めるために更に 1 メートル盛り土を施しま した。 Q 管理費についてはどうなっていますか? A 今年の4月に開設したので、まだ実績は無いのですが予算では管理費 8千万円(一般会計)としており、食材については特別会計より拠出 することとしています。 Q 建設地を選んだ経緯については? A 北海道から出されたハザードマップで津波が 1 メートル未満であるこ とから、基礎を高くし災害時に影響が無いように建設をしました。 Q この施設を建設した時にHACCPなど、衛生面でも気を使われたと 思いますが、他に苦労された点はありますか? A 建築で設計すると、蛇口も通常の手回しで回すものが取り付けられて ていた事例がありました。 災害時の炊き出しという設定もあったので、自衛隊と書類等の確認が 大変で、例えば白老町の建築担当者が自衛隊との打ち合わせの際、駐 車場のアスファルトの積算根拠や舗装の厚みを聞かれ、返答できずに いたら、自衛隊の大型車が来た時に耐久出来る厚みが必要である ということがありました。 開設の際にドレーンの位置が仕事をするうえで不便であったり、備品、 付属品が足りなく、運営会社が自前で用意をしてくれ、現在も落ち着 6 くまで本社より人員の補助を入れてくれています。 Q 機器の故障等によりご飯が炊けない、フライヤーが使えなくなった場 合の対応は? A 炊飯器が故障した場合は業者がすぐに来て補修をしてくれることとな っています。 その他、非常食の備蓄もしていますが、まだ 200 食(カレーライス) なので、今後総合的に判断して備蓄数をふやしていきます。 Q 搬入ストッカーのワンウェイの冷蔵庫への納品はどうされていますか? A 分類ごとに分けて搬入され、同一人物がそれぞれのストッカーにその 分類ごとに保存、保管をしています。 4.各委員からの所感 ●今回の視察については、特に次の点が良かった。 ・管理衛生面について床が細菌などの繁殖を防ぐ「ドライシステム」に している。 ・汚染区域が検収室と下処理では野菜室と肉魚室が分けられていること と洗浄室が別にある。 ・汚染区域では、調理室では煮炊きと揚げ物、焼き物、蒸し物、炊飯、 和え物、アレルギー対応室、洗浄室がそれぞれ分けられていることで 汚染物質が他に広がらないこと。 ・地産地消で手作り ・調理能力が一日 1,300 食あり、20名程の方が白老町の8小中学校の 給食 1,200 食を提供していること。 ・食材が地元のものを使い、和え物や煮炊き等、手作りが多かったこと、 切り干し大根炒め、汁物、春雨サラダ、ほうれん草や白菜の和え物な どの献立を提供している。 実際にさんまの煮物と、野菜の煮炊き煮物を試食しましたが大変美味 しくいただきました。 このことが、食育に繋がるのではないかと思いました。 7 5.まとめ この度の白老町への視察は、本市においても懸案事項となっている 給食センターの建て替えについて総務・教育委員会として勉強をさせ ていただきました。 白老町におかれても、10年を超す歳月をかけ最も有利な補助メニ ューを探してこられ、災害時に活用できる施設ということで「食育防 災センター」として、防衛省の補助メニューを使い平成27年4月に 供用開始しました。 設備的には、最新鋭の設備と徹底したワンウェイ方式による汚染作 業区域、非汚染区域の完全区分化と人の出入りを制限し、アレルギー に対応した調理もできる安全・安心な給食をほぼ手作りで提供できる ということは、本市においても必要な施設であると委員一同が認識を したところです。 白老では防災という視点から補助金をうまく獲得できました。 また、運営についてもプロポーザル方式を用い、「この金額の中で どれだけのサービス提供をしてくれるのか」と条件を付け競争させる ことにより、満足できる施設を作ることができました。 本市としても自衛隊の補助メニューや国の補助メニューなど、徹底 した調査研究を行っていくこと。また、地方創生にからめた事業展開 のあり方なども調査研究し、出来るだけ早く子どもたちにより安全・ 安心な給食を提供できるよう提案します。 8
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