わ し は 百 ま で 生 き る 。 あ と 五 年 だ 。 こ れ か ら の 五 年 は 二 十

御
木
本
幸
吉
過
去
七
十
五
年
間
営
ん
だ
業
績
と
同
じ
分
量
の
仕
事
が
や
れ
る
。
こ
れ
か
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五
年
は
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十
歳
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始
め
て
12
わ
し
は
百
ま
で
生
き
る
。
あ
と
五
年
だ
。
み
き もと
御 木 本 幸吉は安政 5(1858)年、三重県
鳥羽に生まれ、20 歳の時に真珠の養殖を始
め、試行錯誤の末、世界で始めて真珠の養殖
に成功。のちに世界から「真珠王」と呼ばれ、
昭和 29 年、96 歳で亡くなられました。
明治 32 年(幸吉 41 歳)
、東京銀座に御木
本真珠店を開店。明治 38 年日露戦争後の 11
月、明治天皇が戦勝報告に伊勢神宮に参拝さ
れた時、
拝謁を許された幸吉は明治天皇に「10
年後には世界中の女性の首を真珠でしめてみ
せます」と言上したといいます。
左記の言葉は、御木本が 95 歳の時の言葉で
す。これまでは未熟ゆえに、多くの失敗や無
駄なことをしてきたが、そのおかげで多くの
ことを学んだから、これからの 5 年でこれま
での 75 年分の仕事ができる、というのです。
95 歳にしてなお、未来に希望を託し、活力
あふ
に れて生きた御木本幸吉。
私たちが学ぶべきはこの気概と情熱です。
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彼
は
、
他
の
幸
福
を
探
す
必
要
が
な
い
。
ト
ー
マ
ス
・
カ
ー
ラ
イ
ル
14
自
分
の
一
生
の
仕
事
を
見
つ
け
た
人
が
最
も
幸
福
で
あ
る
。
カーライル(1775−1881)は 19 世紀のイ
ギリスで活躍した歴史家であり思想家です。
代表作の一つに『衣装哲学』があり、日本で
も昭和のはじめに多くの若者に愛読されてい
ました。
この人には有名な逸話があります。自分が
何年もかけて書き上げた原稿を、友人の奥さ
んが紙くずと思い燃やしてしまったのです。
平謝りに謝る友人に、カーライルは一切語気
を荒げず、
「また書き直せばよい」と言って、
大部の原稿をまた一から書き直したという話
です。
その人柄を語って、これ以上の逸話はない
でしょう。
左の言葉はそのカーライルが自らの仕事観
を語ったものです。
カーライルに限らず、一流の人は確固たる
仕事観を持っています。
彫刻家のロダンはこう言っています。
「仕事は生活の方便ではない。生活の目的で
あり、働くことが人生の価値であり、人生の
歓喜である」
偉大な人格と仕事観は無縁ではないように
思います。
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