第 6 回「ビジネスパーソン 1000 人調査」【仕事と

2016 年 3 月 7 日
報道関係各位
日本能率協会グループ
広 報 委 員 会
ビジネスパーソンの“今”をデータで読み解く
第 6 回「ビジネスパーソン 1000 人調査」【仕事と介護編】
介護の不安は、「経済面」「時間」「体力」
仕事への影響、「就業時間に制約が出ること」が最大の懸念
~仕事と介護の両立には、職場の理解や柔軟な働き方を支援する制度の整備が求められる~
企業の人材育成やものづくり革新、調査・システム開発などの経営支援サービスを提供する日本能率協
会グループは、このたび、全国のビジネスパーソン1000人に対して、仕事と介護についての意識調査を行い
ました。この調査は働く人びとに焦点を当て、その時々の旬の話題をデータで紹介するシリーズです。
トピックス
※詳細データは次ページ以降をご覧ください。
1.介護離職に対しては、「したくない/しない」が約半数。「分からない」が 3 割強。介護をしながら
の仕事には「就業時間の制約」が最大の懸念。仕事と介護の両立の鍵は「時間」の確保
2.「経済面」「時間」「体力」が介護への3大不安に。介護経験者は「自由時間の制約」、未経験者
は「経済的に苦しくなること」と、介護経験の有無で意識差も見られる
3.介護経験のない人のうち、約 6 割は「家族の介護が必要になったとき、どうするか分からない」
と回答。介護施設・サービスを主な担い手と想定する人は1割程度に留まる
4.仕事と介護の両立のため職場に求めることは、「職場の理解」と「柔軟な勤務形態」。介護経験
者が望む両立支援制度は「フレックスタイム制度」「介護休暇制度」が上位に
調査概要
調査名称
調査期間
調査対象
第6回ビジネスパーソン1000人調査 【仕事と介護編】
2015年12月28日~2016年1月6日
10日間
(株)日本能率協会総合研究所「JMAR リサーチモニター」のうち全国の 20 歳~69 歳までの正
規・非正規雇用の就業者(企業や団体で働く正社員、役員、経営者、契約・嘱託社員、派遣社
員。ただしパート・アルバイト、医師・弁護士などの専門職業、自由業を除く)
調査方法 インターネット調査
回答数
1,000 人
属 性
性別:男性 556 人、女性 444 人
年代:20 代 159 人、30 代 245 人、40 代 249 人、50 代 202 人、60 代 145 人
役職:経営者・役員 50 人、部長・次長・課長クラス 94 人、係長・主任クラス 115 人
一般社員 401 人、契約・派遣社員 314 人、その他 26 人
※回答は%表記とし、小数点第 2 位を四捨五入
※本調査では、「家族」を同居・別居を含む 2 親等(親・兄弟・子・祖父母)までの親族と定義
【本件に関するお問い合せ】日本能率協会グループ 広報委員会(担当:斎藤 TEL:03-3434-8620)
〒105-8522 東京都港区芝公園 3-1-22 一般社団法人日本能率協会内
Email:[email protected]
1
※本調査における介護経験の有無について
・介護経験の有無について、
「あり」20.9%、「なし」79.1%でした。年代別では 40 代以降に徐々に増加
し、60 代では主な担い手と補助を合わせて経験があると答えた人は 40.0%でした。(図表 0)
図表0
Q.6 あなたは、ご自身の家族に当たる方の介護をしたことがありますか?(1つだけ選択)
0%
全体(n=1000)
男性(n=556)
女性(n=444)
20代(n=159)
30代(n=245)
40代(n=249)
50代(n=202)
60代(n=145)
50%
100%
8.2
12.7
「あり」計 20.9
7.9
12.4
「あり」計 20.3
8.6
13.1
「あり」計 21.6
79.1
79.7
78.4
8.2
7.5
「あり」計 15.7
5.7 6.9
「あり」計 12.7
84.3
87.3
6.0
11.2
「あり」計 17.3
8.4
17.3
「あり」計 25.7
15.9
「あり」計 40.0
82.7
74.3
24.1
60.0
自分が主な担い手となって介護をした経験がある/現在している
自分が主な担い手ではないが、補助として介護をした経験がある/現在している
介護をした経験がない
1.介護離職に対しては、「したくない/しない」が約半数。「分からない」が 3 割強。介護をしながら
の仕事には「就業時間の制約」が最大の懸念。仕事と介護の両立の鍵は「時間」の確保
・「介護離職」についての考えを聞いたところ、「できればしたくない」27.4%、「しない」19.0%、と、半数近くの人が
「したくない/しない」と回答しています。(図表 1)
・仕事に及ぼす介護の影響では、1 位「就業時間に制約がでる」(39.6%)、2 位「同僚・部下に迷惑がかかる」
(27.8%)、3 位「給料が下がる」(26.8%)でした。
・介護経験者では、1 位の「就業時間に制約がでる」が 47.8%と半数近くにのぼっています。また、3 位に「仕事以外
の付き合い(飲み会など)ができない」(27.8%)があがっています。(未経験者は 8 位)
これらから、仕事と介護の両立には「時間」の確保が解決の糸口になっていることが伺えます。(図表 2)
図表1
Q.11「介護離職」について、どう考えますか?
全体(n=1000) 5.2
16.4
「する」計 21.6
介護経験あり(n=209) 5.7
介護経験なし(n=791) 5.1
27.4
14.3
19.0
「分からない」 32.0
「しない」計 46.4
24.4
「する」計 30.1
(1つだけ選択)
36.8
24.4
8.6
「しない」計 61.2
24.9
17.6
38.2
「する」計 19.4
「しない」計 42.5
0%
50%
100%
介護を理由に離職する
状況によっては、介護を理由とした離職をする
できれば、介護を理由とした離職はしたくない
介護を理由とした離職はしない
2
図表2
Q.10 あなたが介護をしながら仕事をする場合、仕事にどのような影響があると思いますか?
(いくつでも選択)
(%)
0.0
10.0
20.0
39.6
就業時間に制約がでる
37.4
同僚・部下に迷惑がかかる
給料が下がる
仕事に対する意欲が下がる
仕事以外の付き合い(飲み会など)ができない
上司に迷惑がかかる
重要な仕事を任せてもらえない
人事評価が下がる
お客様に迷惑がかかる
経営者に迷惑がかかる
影響はない
分からない
その他
30.0
40.0
50.0
47.8
27.8
33.5
26.3
26.8
25.4
27.2
17.2
22.0
15.9
14.7
27.8
11.3
13.5
13.4
13.5
12.0
15.3
11.1
10.6
11.0
10.5
8.4
14.8
6.7
7.4
11.0
6.4
16.6
7.7
19.0
19.1
9.1
21.7
0.8
1.0
0.8
全体(n=1000)
介護経験あり(n=209)
介護経験なし(n=791)
3
2.「経済面」「時間」「体力」が介護への3大不安に。介護経験者は「自由時間の制約」、未経験者
は「経済的に苦しくなること」と、介護経験の有無で意識差も見られる
・介護において不安を感じることを聞いたところ、
「経済的に苦しくなること」
(43.7%)、
「自由時間に制
約がでること」
(39.2%)
、
「体力が続かなくなること」(38.2%)が上位 3 つに挙げられました。
・介護経験の有無でみると、介護経験のない人は「経済的に苦しくなること」(44.9%)が最も多く、次
いで「体力が続かなくなること」
(36.3%)
、「自由時間に制約がでること」
(35.3%)でした。
・一方、介護経験のある人は「自由時間に制約がでること」
(54.1%)と最も多く、
「体力が続かなくなる
こと」
(45.5%)
、
「仕事時間に制約がでること」(43.1%)と続き、経済的なことよりも体力面や時間面
に不安を感じていることが伺えます。
(図表 3)
図表3
Q.9 ご自身の家族の介護において、不安に感じる(感じた)ことは何ですか?
(いくつでも選択)
(%)
(%)
0.0
20.0
40.0
60.0
43.7
39.2
44.9
経済的に苦しくなること
39.2
自由時間に制約がでること
54.1
35.3
38.2
45.5
36.3
体力が続かなくなること
35.5
43.1
33.5
仕事時間に制約がでること
22.0
23.9
21.5
介護を依頼する施設・サービスが見つからないこと
介護される家族との関係が悪くなること
14.2
20.6
12.5
他の家族との関係が悪くなること
13.1
20.1
11.3
職場との関係が悪くなること
不安に感じることはない
13.0
13.9
12.8
17.0
5.3
20.1
分からない
その他
11.0
1.4
13.5
全体(n=1000)
介護経験あり(n=209)
介護経験なし(n=791)
0.6
1.4
0.4
4
3.介護経験のない人のうち、約 6 割は「家族の介護が必要になったとき、どうするか分からない」
と回答。介護施設・サービスを主な担い手と想定する人は1割程度に留まる
・介護経験のない人に家族の介護が必要になったときの対応を聞いたところ、「どうするか分からない」
が 58.8%と約 6 割にのぼりました。約 3 割が「自分または自分の家族が主な担い手」と回答した一方、
「介護施設・サービスが主な担い手」と回答した人は1割程度に留まりました。
(図表 4)
・年代別でみると、50 代、60 代では「どうするか分からない」はそれぞれ 41.3%、47.1%に減っている
ものの、60 代でも半数近くが家族の介護についてイメージしていないことがわかりました。(図表 4)
・男女別にみると、
「どうするか分からない」と回答した人が、男性 62.3%に対し女性は 54.3%と、8 ポ
イントの差があります。また、女性は「自分が担い手」が 6.9 ポイント、
「介護施設・サービス」が 4.1
ポイント高い一方、
「自分以外の家族」は 3.2 ポイント低いことから、女性の方がより主体的に介護の
対応をイメージしていることが伺えます。
(図表 4)
図表4
Q. 7.8 今後ご自身の家族にあたる方の介護が必要になったとき、介護の主な担い手として誰を
想定していますか?(1つだけ選択)
※回答は介護未経験者(791 人)のみ
0%
全体(n=791)
50%
男性(n=443)
15.9
12.4
「家族内」計 28.3
12.9
13.8
女性(n=348)
「家族内」計 26.7
19.8
10.6
20代(n=134)
30代(n=214)
40代(n=206)
50代(n=150)
60代(n=87)
100%
12.9
58.8
11.1
62.3
15.2
54.3
「家族内」計 30.4
11.9
10.4
17.2
「家族内」計 22.3
10.3
10.3
10.3
「家族内」計 20.6
15.5
9.2
10.7
「家族内」計 24.7
23.3
「家族内」計 46.0
24.1
60.4
69.2
64.6
22.7
10.3
12.7
18.4
41.3
47.1
「家族内」計 34.4
自分が主な担い手となって介護をする
自分以外の家族が主な担い手
介護施設・介護サービスが主な担い手
どうするか分からない
4.仕事と介護の両立のため職場に求めることは、「職場の理解」と「柔軟な勤務形態」。介護経験
者が望む両立支援制度は「フレックスタイム制度」「介護休暇制度」が上位に
・介護と仕事の両立のために職場に望むことを聞いたところ、
「介護する社員に理解がある社風」
(29.6%)
が最も多く、次いで「介護休暇制度」「上司・同僚の理解」(ともに 29.2%)でした。
・介護経験者では、
「介護する社員に理解がある社風」を挙げた人が 40.2%と 4 割を超えました。
・介護経験者が望む両立支援制度は、1 位「フレックスタイム」
(34.4%)
、2 位「介護休暇」
(33.5%)、3
位「短時間勤務」
(30.6%)でした。
(図表 5)
5
図表5
Q.12「介護離職」の防止のために職場にあるとよいと思うことは何ですか。
(%) 0.0
10.0
20.0
29.6
介護する社員に理解がある社風
26.8
29.2
33.5
28.1
上司・同僚の理解
29.2
34.4
27.8
28.6
34.4
27.1
フレックスタイム制度
26.1
26.3
26.0
会社から支給される介護手当
22.6
24.9
22.0
在宅勤務制度
21.9
26.8
20.6
残業がない定時退社の推奨
特にない
50.0
29.1
30.6
28.7
短時間勤務制度
会社からの介護施設・サービスの斡旋
40.0
40.2
介護休暇制度
介護期間中の業務変更
30.0
18.7
22.0
17.8
全体(n=1000)
介護経験あり(n=209)
14.7
13.9
14.9
12.0
介護経験なし(n=791)
28.6
33.0
結果を受けてのコメント
政府は介護離職ゼロを掲げ対策に乗り出していますが、現実には年間約 10 万人が介護離職をしていま
す。介護のために職場を去ることは、本人のキャリアにとってはもちろん経営にとっても大きな損失と言えます。
仕事と介護を両立するポイントを探るべく、今回は、ビジネスパーソン一人ひとりの立場から、仕事と介護につ
いての意識を聞きました。
結果から、介護に直面しないと実感がわきにくいこと、「経済面」「時間」「体力」に不安を感じること、仕事
との両立では「時間」の確保が課題になっていること、職場には両立支援制度とともに、介護する社員への理
解を望んでいることが分かりました。また、介護経験者が望む両立支援制度は「フレックスタイム」「介護休暇」
が上位にあげられ、働く時間に柔軟な対応を望んでいることが伺えます。
少子高齢化が進む中、仕事と介護の両立が当たり前と言える職場や社会を実現するには、支援制度の
整備とともに、介護についての理解を高めることが重要です。職場においては、介護についての知識を学ぶ機
会を提供したり、仕事と介護を両立している社員の話を紹介するといった取組みが有効かもしれません。また、
ビジネスパーソン一人ひとりの立場では、いざというときに困らないように、日ごろから家族と介護について話し
合う、職場の介護支援制度を知っておくなど、事前に備えておくことが重要となります。
以上
6