2016年度推進テーマ候補 活動企画書(scope of work)

産業競争力懇談会(COCN)2016年度推進テーマ候補
活動企画書(scope of work)
【候補テーマのタイトル】
「人」が主役となる新たなものづくり
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活力ある高齢化社会に向けて
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【提案企業・大学・法人】
三菱電機(株)
【提案内容】
1.提案の背景・理由
国内外の生産年齢人口の減少による労働力不足、それに伴い個人消費は縮小の一途をたどり、2060
年には日本の GDP も 8 位に転落する見込みである。そこで、今は働けない高齢者や障がい者等を
含めた「人」が主役となる新たなものづくりのしくみをつくることで、生産人口の拡大と消費者層
を拡充し、GDP にも貢献する活力ある高齢化社会を実現し、
「豊かな高齢化社会モデル」として世
界への展開を目指す。
2.産業競争力強化上の目標・効果
世界人口は増加しているが、製造業においては熟練労働者数の低下。求められるスキルと働く人材
のミスマッチが拡大し、世界の雇用主の 31%は人材確保が困難 と考えている。世界的に 2030 年ま
でに年間 830 万人の労働人口激減が始まり、一般の工場労働者にも波及し、若い労働者を持つ新興
国との競争力格差が顕著になる。
そこで、電気・電子、自動車、物流、食品加工などの製造業を対象に、従来の作業の自動化に活用
してきた AI/センサー/ロボット技術を、高齢者や女性、障がい者、外国労働者など多様な人材が活
躍できる人と機械の協働環境を構築し、生産人口の拡大/地方の産業創成につなげる。さらには熟練
の技の伝承など生涯能力向上の希望をもって生き生きと働く環境(QOW:Quality
&
of
work(Life
Style)の追求)を構築することで個人消費の活発化を目指す。
そのため、まずは、下記3つに着目して、地方の産業振興も目指した産業モデルを構築する。
①加齢者の能力低下や障がい者のハンディキャップ、外国人就労者のスキル不足等を機械や IT で
補完する人と機械の協働生産システムの構築。
②今まで機械化できなかった匠の技を分析し見える化することで技を伝承する仕組みづくり。
③自分の生活スタイルや体力など個別事情に応じた働き方を可能とする生産、経営のしくみ。
3.検討内容と想定される課題(政策、技術・システム開発、規制改革、人材育成など)
(1) 加齢による能力低下や障害によるハンディキャップと生産における作業の相関関係(人間工学、
認知科学など)。
(2) 人(直感で判断)と機械(論理で判断回路が組込まれている)間で意思疎通して効率的に業務
遂行に繋げる技術(センシング、AI、ロボット、直感 I/F)と技術伝承のしくみ。
(3) 働き手の個別事情(本人の体調や生活事情、能力最適配置、働く場所等)に応じた柔軟な生産
計画等新たな生産モデル。
*これらの検討には、体調や感情その他により発揮される能力変動が大きい「人」が対象であるため、
工学だけでなく、医学、心理学などの異分野融合体制で検討する。
(4) いきなり標準的なしくみを検討することは検討項目が多岐にわたるため事例研究のためのモ
デル事業計画。
(5) 人と機械の協働環境における安全に関する規格・制度の整備(保険制度や免許制度なども含む)。
(6) 社会実装を加速するため社会共通基盤側の整備や経営者の理解の促進。
(7) 多様な働き方を生かせる労働制度・職業訓練の制度や経営者への動機づけのしくみ。
*これらの推進には、政策や規制改革など中立かつ公的な立場からの牽引が必要。
4.想定される解決策と官民の分担
<産業界の役割>
・3項(1)~(3)の技術・仕組み検討を推進し、具体的社会実装モデル検証に向けた新しい生産モデル
のシステムコンセプトの構築とシナリオ・体制作りを民間主体で実施する。
<関連府省への要請>
・3項(1)~(3)の技術開発やしくみづくりにおいて、既に実現された施策から得られた知見紹介や
連携体制構築の支援いただきたい。
・提言された施策の実現に資する国家プロジェクト実施や、(4)~(7)の対策推進支援をお願いしたい。
5.テーマ活動の想定活動期間
2016 年度~2017 年度の 2 年間を想定
・2016 年度:実現イメージの具体化と社会共通基盤課題抽出/整理(対策毎モデル実証計画検討)
・2017 年度:目標に向けたモデル実証実験計画策定
6.出口目標と提言実現の推進主体案
リーダ会社と参加メンバが推進主体となり、地域コミュニティなどと連携した有効性を実証するプロ
ジェクト計画・体制構築を目標とする。
7.推進体制案
・リーダ及び事務局:三菱電機㈱
・想定されるメンバー(会員ならびに非会員)
:
・自動化設備の開発・製造企業(ロボット工業会の会員企業等)
・生産システム設計・エンジニアリングに携わる企業・大学、国立研究開発法人
・「人」を研究するにあたり、工学+医学+心理学他の統合で 主旨に賛同頂ける大学・企業、リハビリ
テーションセンター、リハビリテーション病院など
・モデル実証フィールドの検討にあたり、地方公共団体、地方の中小企業