NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE Title 魚肉ねり製品製造のレオロジー的解析-1 : 市販かまぼこの動的粘弾 性 Author(s) 田端, 義明 Citation 長崎大学水産学部研究報告, v.29, pp.125-137; 1970 Issue Date 1970-08 URL http://hdl.handle.net/10069/31203 Right This document is downloaded at: 2016-03-16T11:10:19Z http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp 125 魚 肉 ね り製 品 製 造 の レオ ロジー 的解 析―I 市 販 か ま ぼ こ の 動 的 粘 弾 性 田 A Rheological 端 Analysis and Dynamic 義 on Fish Processing purpose Viscoelasticity process of Kamaboko After II was remodeled study and the basic Several made of this series applied Kamaboko TABATA clarify rheologically the manufacturing sausage. consideration, and I of Commercial is to fish of Kamaboko Sausage - Yoshiaki The 明 the direct-reading to the of preliminary study viscoelastometer, VIBRON- of foods. experiments on commercial Kamaboko were as follows: 1. Effect of frequency. 2. Effect of various 3. Effect of temperature. 4. Measurement The 1. results The sized were suitable found to be: as of commercial for between (Fig. Kamaboko. follows. frequency 35 Hz and the interrelation K, was pieces. of viscoelasticity obtained most test measurement frequency, in this n, study was 0.1∼ and viscoelasticity value, 4) Kn = K1• nk where, K1 is the value straight 2. line through Dimension lation between found in shear 3. and of data piece length, of n is 1 Hz and was L, test k is the points in Fig. suitable is 1 cm, piece when of the 4. area in tensile and gradient of transverse test. experimental But value the cross interre- was hardly test. The changes and of test dimension logarithmically range the center of S, is 1cm2 section, of K when 10℃∼50℃. of temperature the value The affected of elastic viscoelasticity the modulus, value value k, of decreased of Kamaboko K1 inversely slightly might be : and at the 126 長 崎大 学 水 産 学 部 研 究 報 告 Kn = K1 f(t) wher, 4. factory value nk(t) t is the temperature In the high is available of test piece. experiments on viscoelasticity agreement was obtained. 第29号(1970) between Therefore, for rheological the of commercial sensory evaluation it is considered analysis that Kamaboko, and this satis- viscoelasticity measuring system of Kamaboko. 水 産 ね り製 品特 に か まぼ この物 性 に つ い て は 古 くか ら多 くの研 究 が 行 なわ れ て い る.た とえば 志 水1)は 足 の強 さ の客 観 的表 示 法 と して,引 張 り試 験 に お け る引 張 り強 さ と最 大 伸 び の積 を 提 唱 し,二 宮2)は 引裂 き試 験 に準 拠 して か まぼ この 引 裂 きエ ネ ル ギ ーを 足 の 質 の 指 標 と して い る.ま た 岸 本 ら3)4)5)は 行 な い,福 島6)は か まぼ この レオ ロ ジ ー的 性 質 に つ い て 若 干 の実 験 を ゲル 強 度 試 験 器 に よ っ て押 し込 み抵 抗 と足 との 関連 を求 め て い る. しか しな が ら,こ れ らは いず れ も静 力学 的 測 定 で あ って,か ジ ー特 性,さ まぼ こ な ど の 食 品 の レオ ロ らに進 んで そ の特 性 と咀嚼 お よび製 造 工 程 との 関連 を 明 らか に してか まぼ こ の 品質 管理 を 行 な うた め に は 動 的 測 定 を 行 な わ ね ば な らな い.ま た か まぼ こ の よ うな軟 固 形 物 質 は レオ ロ ジ ー的 に み て 固 体 と液 体 との 中 間 的 特 性 を 有 し て い るか ら,こ れ の解 明 に は極 め て 多 くの 困 難 が 伴 な うも の と考 え る. 一 般 に 固 形 状 物 質 の動 的 粘弾 性 を測 定 す る た め に は強 制 振 動 法 を 用 い るが,市 種 測 定 器 類 は い ず れ も振 動 周 波 数 が 比較 的 高 く,低 る.し 販 の この 周 波 帯 域 の も の で も数Hz以 上 であ か しな が らか まぼ こな どの食 品 を 人 間 が 咀嚼 す る時 の 運 動 の 繰 返 し周 波 数 は1Hz 以 下 で あ る.ま た一 般 に物 質 の 粘弾 性 は そ れ に加 え られ る振 動 周波 数 に よ って異 な るの で, 市 販 の測 定 器 を か ま ぼ こな どのね り製 品 に使 用 す る こ とは 適 当 で な い と考 え られ る.な ね り製 品 製 造 過 程 に お け る品質 の 管 理 は す べ て 経 験 的 に 行 な わ れ て い るた め,時 の安 定 性 を 欠 く恐 れ が あ る.そ お に は 品質 こで これ らの品 質 を 定 量 的 に表 示 す る た め最 も適 当 な もの と して動 的 粘 弾 性 係 数 に よ る表 示 を考 え,従 来 か ら使 用 され て い る高 分 子 の 粘弾 性 測 定 器 を超 低 周 波 帯 域(0.01∼1Hz)ま で 測 定 で き る よ うに改 造 し,製 造 工 程 が 製 品 の レオ ロ ジ ー 的性 質 に お よぼ す 影 響 を 明 らか に す るた め の 基 礎 的 研 究 を 行 った. 本報 に お い て は,本 装 置 に よ るか まぼ この 動 的 粘 弾 性 測 定 結 果 の忠 実 性,安 す る基 礎 的 検 討 のた め種 々 の計 測 条 件(試 料 片 の形 状,振 に設 定 しそ れ ぞ れ に つ い て の測 定 を 行 な った.そ 定性 等 に 関 動 周波 数 お よび温 度)を 実験 的 の結 果 か まぼ この レオ ロジ ー 的性 質 が 測 定 時 の 振 動 周 波 数 に よ って著 し く異 な り,1Hz,20℃ で の物 性値 を 求 め れ ば そ の 他 の 点 の 概 略値 を 推 定 す る こ とが で き る な ど の知 見 を 得 た ので 報 告 す る. 測 定 装 置 お よ び 試 料 1.装 置 本 実 験 に お い て は 直読 式 動 的 粘弾 性 測 定 器(VIBRON まで 測 定 で き る よ うに改 造 し使 用 した.す 0.01∼1Hzに なわ ちVIBRON お い て も充 分駆 動 し得 る よ うに 改 め,超 同用 増 巾器 を付 加 し,測 DDV―II型)を,超 DDV―II型 低周波帯域 の 駆 動 コイ ル を 低 周 波発 振 器(454A型)お 定 値 は 自動 平 衡 式指 示 記 録 計(MODEL SS-215D)に よび 試 料片の 127 田端:魚肉ねり製品製造のレオロジー的解析 動的引張り,勢断応力の過渡的変化を直接記録させるように計画した. さらに実験結果に 重大な影響を与える条件の一つである温度を自動的に制御するため,電子恒温循環装置 (CTE−120型)によって試料取付部周辺のジャケットに温度制御した水を循環させた。 したがって本装置の測定範囲は振動周波数で0.01∼110Hz,温度は一一20。C∼70。Cまで 拡張することができた. 2.試 料 本測定に使用した試料かまぼこは,T社製A(120円), M社製B(75円), N社製C(65 円),H一掴D(75円),と本学部附属工場で製造したものE(マエソ:白グチ=3:1), F(冷凍マエソ:白グチ=3:2)である. 3.測定方法 (1)基礎的考察 一般に7)示されている通り粘弾性体の試料の一端に正弦引張りあるいは勇断ひずみを加 えると,他端にはその粘弾性に応じて位相と振巾を異にする正弦波を生ずる. この位相差 δと振白白とから試料の動的弾性率と損失弾性率が求められ,さらにこれから動的粘性係 数を算出することができる.すなわち試料を取り付けたチャックの両端はFig.1に示す 二つの(A,B)非接着型変換器に接続される.その一つ(A)は試料の変位を検出し, 他(B)は生じた応力を検出する.いま,変位検出変換器と応力検出変換器の出力電圧がそ れぞれFig.2のベクトルα1,α2によって示され,1α1 i=iα21=1の関係が満たされ るときtanδについてFig.2から次の関係式が成立する。 cri 一一一 cr2 =2sin 一} it tan 6 . (O 本研究における測定装置はこの条件を満足させtanδを直言できる回路を有している. TEMPER!X−rURE CONTROL COOLNICS ClRCULATOR 囹 RECORDER AMP〕臼ER AND OSCILATOR o THERMOMETER s謝礎 ll DRIVER じのののの 1 「嘲一葡 _、1s灘 lt l B レ 1;SAMPLE I l ULTRA LOW eREQUENCY UL丁RA LQW eRE:QUENCY cRIV[NG AMP nSClLATOR Fig. 1. Block diagram of measuring system. 128 長崎大学水産学部研究報告 第29号(1970) at・ al一一a2 6 a2 Fig. 2. Closed vector of two outputs, ai, a2 and al−a2. また複素弾性率E*の実数部分は次式により示される. ︶ ︵ iE*i一 一Sl,一 ・ {lf 2 ここで F:振動荷重. S:試料横断面積. L:試料長. AL :振動変位. このlE判と位相差δとから各粘弾性指数を算出する方法を次に示す. ② 計算方法 a.振動荷重の算出 本装置における振動荷重は次式により求められるように調整した. ︶ ︵ 3 一. N 一A7 F−1・4dyn・・1告・N一号 . 10 dyne 3 ただし F:振動荷重. N:装置常数. 、D:読み取り値. b.振動変位の算出 ︶ ︵ 同様に振動変位は, 一3 一3 cm.A.N == 5.A.N.10 V cm dL == 5× 10 4 で表わされる. ただし AL:振動変位. A,N : 装置常数で測定時の条件によって異なる. c。動的弾性率,動的損失の算出 動的弾性率,動的損失および動的粘性係数は次のようにして求められる.すなわち,(2) 式のFに(3)式,∠しに(4)式を入れればlE*1は次のようになるr [E*i 一g ・ ;ili一 ・io7・ s一;.一AI一;一lig−16一:一. N.io−3 E’ = 1E“icos 6 (dyne/cm2) E” =: IE“1 sin 6 (dyne/cm2) 5 ︶︶ り7. ︵n︵ これから動的弾性率E’,動的損失E”は次のように求められる. ︶ ︵ =2× A−1.Dx 一ll一 x lo9 (dyne/cm2) 田端:魚肉ねり製品製造のレオロジー的解析 129 また同様に動的ずれ弾性率についても試料長しの代りに試料厚さh,試料断面積とし て勇断断面積をとれば(5)式が成り立ち動的ずれ弾性率G’,同損失G”は, G’ =IG“1 cos 6(dyne/cm2) (8) G” =IG“1 sin 6(dyne/cm2) (9) で表わされる. ただしlG*1は前と同様にずれ変形を与えたときの試料の複素弾性率の実数部分であ る.したがって動的粘性係数η’は測定時の振動の角速度をω(rad/sec)とすれば, op’=G”/tu (dyne.sec/cm)8) aO) として求められる. なお本報告では実用的意義を得ることを意図しているので重力単位はすべて9Fを用い た. 4.試料片寸法および測定項目 まず装置の適性を知るために本学部附属工場製のかまぼこの中から,いわゆる足の強い ものと弱いものを選んで試料とし測定振動周波数,試料片の寸法を変えて動的弾性率E’, 同損失E”の測定を操り返して検討した.また測定温度についてはM社製Bを用いて同 様の測定を行なった. なお試料片に長時間の外力が加わった場合材料疲労脆弱の現象およ び水分含量の減少などを生ずるので,各粘弾性値は同一試料から数個の試料片をとり測定 したものの平均値で示す. (1)測定振動周波数 本装置は改良の結果測定振動周波数は0.01∼1H:zの間を連続的に, また3.5,11, 35,110Hzの各段階において測定できるから本項の実験には0.01,0.1,1,3.5,11, 35,110Hzの各振動周波数で測定し,測定時における試料片の温度は20。C一一定とした. Fig. 3. Supporting system of test piece so called ttchuck”. 130 長崎大学水産学部研究報告 第29号(1970) Table 1. Dimension of test piece, Tensile test a b c ■q Type Shear test e f g h S (cm2) 1.00 1.OO 2.25 2.25 O.9 O.9 O.9 O.9 L (cm) O.5 1.O 1.0 1.5 1.2 1.4 1.6 1.8 S : Area of transverse cross section of test piece. L: Length of test piece. Dimensional accuracy of test pieces are kept within 5/100. ② チャックおよび試料片の寸法 Fig.3に示す試料片取り付用アルミ製チャックは引張り試験用と勢断試験用との2種類 を使用した. 試料片はTable 1に示す数種の横断面積(S)と長さ(L)の組合せによるものについ て測定を行なった.正確な形状,寸法を有する試料片の作製は極めて困難であり,その形 状,寸法の精度は直接測定値の精度に影響するところが大きいから, その作製には充分注 意を払い,特殊な裁断装置を考案作製し正確に直方体に裁断し得るようにした. さらにそ の寸法はマイクロメ・一タ・一によって精測確認した. なお試料片はチャックにシアノアクリ レート系の接着剤ではりつけ固定した. (3)測定温度 測定温度の影響を調べるため, ジャケットに温度制御された水を通し試料滋雨が恒温に なった時に試料片をはりつけたチャックを取り付け,10分後に測定を開始した.測定温度 は10,20,30,40,50。Cの5段階とした. (4)一般かまぼこの粘弾性 前述の市販のかまぼこ4種(A,B, C, D)に本学部附属工場製かまぼこ2種(E, F) を加えて動的勢断弾性率,動的粘性係数を測定し比較検討した. なお測定振動周波数0.01,110Hzは測定結果および製造工程,咀囎との関連からも実 用的でないので測定振動周波数の項以外では測定を省いた. 結 果・考 察 1.測定振動周波数 本学部附属工場製のかまぼこを測定した動的粘弾性値の対数値と振動周波数の対数値と の関係をFig.4に示す. これからかまぼこのレオロジー的性質が測定時の振動周波数に よって著しく異なることがわかる.110Hzの位置ではわずかにこの直線からはずれるが他 の位置では非常によい直線1生を示している.110Hzほどの高速をかまぼこの加工条件に考 える必要はないから, かまぼこの動的粘弾性は振動周波数を変数とする指数曲線の上に完 全に乗ると考えてよい.したがっていま振動周波数をn,n=1Hzのときの動的弾性率 ノ をE1とすれば, ノ ノ 1・gEn−1・gE・+k1・gn ⑪ 131 田端:魚肉ねり製品製造のレオロジー的解析 すなわち, Eli == El e nk ⑫ という形でnとE’の関係を表わすことができる.ここでkは直線の勾配を示すがFig.. 4の直線群はいずれも平行で,図からkを求めれば0。08であるから⑫式は,. ノ E6−E・・no’08〔9・/・m2〕 ⑱ ’ E 3 io o e o e e e 2 io 、、 E” 山 ﹄O ㌔ lO 1 1 o.1 o.oi O,1 i 3.5 ll 35 iiO Frequency of vibration in Hz Fig. 4. Changes of viscoelasticity value of Kamaboko with frequency of vibration in tensile test at 200C. Eノ:Dynamic modulus of tension(gF/cm2). E” : Dynamic coefficient of viscosity of tension (gF.sec/cm2). O, @, O, @ : Test pieces sampled from various kinds of Kamaboko. 132 長崎大学水産:学部研究報告 第29号(1970) と書くことができる.すなわち当附属工場製のかまぼこはkが一定の0.08で,その粘弾 ノ 性の差はE1に表われていることがわかる.同様にE”についてもFig・4から, ル ノ En−E、・n“o’90〔9・・sec/・m2〕 ⑭ と表現される.また E’とE”を同時に含めた粘弾性係数としてKで表わせば, Kn−K、・nk ⑮ として表現される. Fig.4あるいは⑬,⑭式を比較してみると,振動周波数の影響は動的損失E”の方に はるかに大きく表われていることがわかる.すなわち当然のことながら粘性項に,より大 きな影響があることがわかる. 2.試料片形状 Table 1に示した形状寸法の試料片の粘弾性測定結果をFig.5に示す.これによれば 試料片が大きくなるとわずかながら寄値とも小さくなることがわかる.これはE”よりも E’に,より大きな影響がみられる.しかし直線性はそこなわれることはなく,また各直線 群とも平行で前と同様に⑪および⑫式で表現できる. なお引張り試験において小さな同一形状試料片の測定値に若干のばらつきがみられたが, これは試料片作製時の誤差,チャックへ取り付け時の不完全さの影響, 試料の不均一さな どが集積されたためと思われる.これから試料片は大きいものほどよいように思われるが, 試料片が過大であればその重量による歪駆動力伝達ロッドのたわみを生ずるからS=1cm ×1cm, L=1cmの試料片が適当である. また勢無試験では, 装置の関係上あまり大きなチャックが使用できずS(勇断断面積) が0.9cm2内外, h(試料厚さ)が1.2∼1.8 cmについて実験した結果,測定値に大き なばらつきはみられずこの範囲の試料片であればどれを使用しても差支えない. 3.温 度 M社製かまぼこBの温度による粘弾性の変化をFig.6に示す.この図によれば測定 時の温度変化に伴って動的ずれ弾性率G’および動的粘性係数ηノは,いずれもその対数 値に関して温度変化に反比例した変化を示す.またG’については前述の振動周波数に関 するkが温度上昇と共に極めてわずかながら減少した.測定温度をtとすればこの関係 は一般式として次のように表わされる. Kn−K、 f(t)・nk(t) ⑯ またFig.6から, ヨ G6一、識畿,・n(0’09−6’3×10”4t) ⑰ ⑱ , 40.5 一〇.go op = .n n lo7.58 x lO−3t と表わされる. これからかまぼこの粘弾性も一・般の高分子と同様に振動周波数, 温度をパラメータ’一と 133 田端:魚肉ねり製品製造のレオロジー的解析 10 3 IO 3 ノ ’ E E 斎 2 2 k IO 国lQ tu b IO ﹂O ﹂O E jl も ω to a Hz 3 撃 ( 3.5 ’ll o.1 35 g 35 o,1 1 Hz 35 3 10 io ノ ︹﹂. 自 2 LLj i O ミ 2 11.Ll fO ﹄O ﹂O E !1 へ 田 ’ E Eウ へ 国 IO io d c 1 O.1 3.5 1・l Hz Fig. 5. 35 O.1 3,5 ll Hz Changes of viscoelasticity value by various sized test pieces sampl.ed from the same specimen of Kamaboko in tensile test at 200C. E’ : Dynamic modu1us of tension (gFlcm2). E” : Dynamic coefficient of viscosity of tension (gF.Sec/cm2). Hz : Frequency of vibration in Hz. a to d : Dimension of various test pieces shown in Table 1.一 35 134 長崎大学水産学部研究報告 第29号(1970) して一般的に表現できることがわかった. したがってかまぼこの動的粘弾性を求めること は,kとある一定振動周波数の粘弾性係数および温度変化指数を求めることに帰着する. この3つの値を求めればかまぼこのあらゆる範囲での粘弾性値を算出できることが容易に 推定される.またかまぼこの場合はこの一・定振動周波数として,咀噛速度および測定のし ゃすさなどから1Hzをとることが妥当と思われる.なお測定温度は10∼50。Cの範囲内 ではどの温度でも差支えないが常温という意味で20。Cが適当であると考えられる. 4. かまぼこの粘弾性 前記の市販かまぼこ(A,B, C, D)と本学部附属工場製かまぼこ2種(E, F)のGノ 値および77 t値の測定結果をFig.7に示す.これら各かまぼこは官能検査によって定性 的にA,E, B, C, D, Fの順に足が強いと判定されたもので,その定性的な性質の差が Gノ 30 e CCCCC oo.ooo O O O O O i2 3 4 5 +‡‡ 20 ト﹂o e ノ η へ ○ e IO e ’(e 1 35 . ー ー O.1 35 Frequency of vibration in Hz Fig. 6. Changes of viscoelasticity value of Kamaboko with temperature. G’ : Dynamic modulus of shear (gF/cm2). . ep’ : Dynamic coefficient of viscosity of shear (gF e sec/cm2). 135 田端:魚肉ねり製品製造のレナロジー的解析 よく表わされている. 蟷一Gl・nk’ η三ηi・謬 9︽¢ Ψ q G’,ηノについても⑫式と同様に次のように表わすことが出来る.すなわち ノ 本項の実験においては測定時の温度を20。Cとしたので他の2組の指数G1,η1およ び振動周波数nの指数kノ,k”の値をTable 2に示す. 影回 本表からかまぼこの振動周波数の指数は種類によって大きく変ることのないことが推定 ’ G ●h旨9︷O 0 穿Σ0更O 一 智 ◎︸ O覇 3 10 y e 2 ㌧O b IO 1 1 3t5 鴨 ー ー o.i 35 Frequency of vibration in Hz Fig. 7. Interrelation between viscoelasticity value and vibration frequency of Kamaboko in shear test at 200C. G’ : Dynamic modulus of shear (gF/cm2). ny’ : Dynamic coefficient of viscosity of shear (gF e sec/cm2). A to F: Specimens of various kinds of Kamaboko are named as A to F respectively. 長 崎 大 学 水 産 学 部 研究 報 告 136 Table 2. Characteristic number 第29号(1970) of viscoelasticity of various kinds of Kamaboko. A B C D E G1 2060 1410 1300 1070 1780 k' 0.09 0.08 0.08 0.08 0.09 0.09 971 49.5 31.4 28.8 24.7 34.6 15.2 —0.88 —0.90 —0.90 —0.90 —0.89 —0.88 k" G'n : Dynamic modulus G of shear : Dynamic frequency of n Hz. G1•n modulus of shear : Frequency k' : Gradient of the vn : Dynamic coefficient = of vibration ni at the frequency of 1 Hz. in Hz. straight line through the center of data points. of viscosity of shear of Kamaboko at the of viscosity of shear at the frequency center of data frequency of n Hz, • n k" : Dynamic coefficient : Gradient of the され る.し at the 630 k' n = k" of Kamaboko F straight た が っ てn=1の line through the of 1 Hz. points. 点 の物 性 値 を求 めれ ば そ の他 の点 の概 略 値 を推 定 す る こ とが で き る. この よ うに か まぼ この足 に関 す る定 性 的 な差 を 粘弾 性 値 に よ っ て 表 わ す こ とが で き るか ら,上 述 の 実 験 は 今 後 さ らに官 能 検 査 値 と この測 定 値 との 関 係 を,定 的 相 関 関 係 に つ い て も明 らか にす る必 要 が あ る と考 え る.ま 性 的 の み な らず 定 量 た 本 測 定 法 は この よ うな 定 量 的 測 定 に 関 して も充 分 な有 意 性 を 持 つ も の と推 察 され るか ら,製 造 工 程 に お け る原 料,添 加 物,加 工 法 な ど との 関連 を追 究 して い き た い. 要 約 直 読 式 粘 弾 性 測 定 器 を超 低 周 波 領 域 で も使 用 で き る よ う一 部 改 造 を行 ない,か まぼ この 動 的 粘 弾 性 の測 定 の結 果 次 の 点 を 明 らか に す る こ とが で きた. 1.本 実 験 の範 囲で は測 定 振 動周 波 数 は0.1∼35Hzが 弾 性 値Kと の 間 にはn=1Hzの とき のK値 をK1と 適 当で あ り,振 動周 波 数nと 粘 す れば 近 似 的 に Kn=K1・nk と して表 現 す る こ とが 出 来 る と考 え る. 2.試 料 片 の 形 状 は 引 張 り試 験 に お い て はS=1cm2, 断 試 験 に お い て は剪 断 断 面 積 を0.9cm2と L=1cmが 適 当 で あ り,剪 した場 合 試 料 厚 さ(h)が1.2∼1.8cmの 範 囲で 測 定値 に 有 意 的 な変 化 は 認 め られ なか った. 3.し か しな が ら測 定 温 度(t)が 増 大 す る とK1は 弾 性 率 に つ い て の み わ ず か に減 少 した.す そ の 対 数値 に 関 して減 少 し,kは なわ ちか まぼ こ の粘 弾 性 は, 田端:魚 肉ね り製 品製 造 の レオ ロジ ー的 解 析 137 Kn=K1f(t)・nk(t) の形 に一 般 的 に表 現 で き る と考 え られ る. 4.本 装 置 に よる市 販 のか まぼ この動 的 粘 弾 性 測 定 の結 果 は,同 一試 料 の 官 能 検 査 値 と 定 性 的 に一 致 した ので 本 装 置 が か まぼ こ の レオ ロジ ー 的 研 究 に 適 して い る もの と 認 め られ た. 本 研 究 を行 な うに あた り種 々 ご懇 切 な ご指 導 と ご助 言 を賜 わ った 前 九 州 大 学教 授 稲 神 馨 博 士 な らび に九 州 大 学 助 教 授 国 府 田佳 弘 博 士 に厚 くお礼 申 し上 げ る.ま た貴 重 な ご助 言 を い た だ い た 本 学 教 授 宮 原 昭 二 郎 博 士 な らび に 同 助 教 授 柴 田恵 司 博 士 に も深 謝 の意 を 表 す る. 文 1)志 水 寛 ・清 水 亘:日 献 水 誌,19,596(1953) 2) NINOMIYA, K. : Bull. Jap. 3) NINOMIYA, K., A., Soc. Sci. Fisheries, 22, 301 (1956) 4) KISHIMOTO, A. and E., 5) KISHIMOTO, A. and S., HIRATA : ibid . , 29, 146 (1963) KISHIMOTO and H., FUJITA : Chem. High Polymers (Japan), 14, 504 (1957) 6)福 島 7)た と え ば,後 清:食 MAEKAWA : Bull. Jap. Soc. Sci. Fisheries, 28, 803 (1962) 品 工 業,11(16),37(1968) 藤 廉 平 ・平 井 西 夫 ・花 井 哲 也:レ オ ロ ジ ー と そ の 応 用,共 本 立 也:概 京 化 学 同 人,東 立 出 版,東 (1957) 8)た と え ば,井 説 レ オ ロ ジ ー(上),東 京,P.94(1967) 京,P.130
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