2014.12.31~1.1 新見温泉→白樺山→無名峰→チセ→ニト→イワヲ

2014.12.31~1.1 新見温泉→白樺山→無名峰→チセ→ニト→イワヲ→五色温泉
L 渡邊大三、渡邊真理子
思った通り正月は荒れ模様だ。ニセコ連山は地元の山であり「勝手知ったる我が庭」の山であるが、
舐めていると簡単にヤバくなるのが山というものである。予定している縦走距離は14km程、踏むべ
きピークは6峰、白樺山、シャクナゲ、無名峰、チセ、ニト、イワヲである。
このコースは残雪期であればクロスカントリースキーで一日でスッ飛ばせる行程であるが、今回のお
題目は「初日の出」所謂「御来光」であるので時間は充分に使いタイミングとロケーションを見計らい
たいものである。
計画に抜かりはない。プレは3回重ねた
①新見温泉→メクンナイ岳:ルーファイ&夫婦げんかにより新見峠にて敗退。ルートの超前半 get。
犬も連れて行ったが犬も喰らワン。
②雪秩父→チセヌプリ→ニト:暴風雪により同行の犬(渡邊ビョンビョン)が金玉凍傷になり敗退。
③雪秩父→チセヌプリ→ニト:完遂。ルートの中盤部分を get。
アプローチ!新見温泉までは兄貴に「弟と義妹がお願いしてますぜ」ということで送ってもらう。そ
んな兄の見送りの言葉は「オメェーらこんな天気で大丈夫かよ」だ。確かに地吹雪で視界がイマイチな
のが気になる。
さて、温泉のゲートを越えるといきなりラッセルがきつい。埋まって潜る重い雪だ。なまらッセルで
全然進まない。フルラッセルし家長であるという沽券を見せつけてやろうと思ったが敢え無く断念。交
代して真理子にもしっかりラッセルしてもらう。
白樺山へ続く西稜に合流してようやく進むようになった。この時点で話し合いが持たれ、
「シャクナゲ
という山はナイものとする、あれは崩壊した」ということになった。時間が押してしまったのだ。シャ
クナゲ山カットは残念だ。あの山は小さいと思う人もいるが実はあの山はデカイ。あの三角形がシャク
ナゲ山ではなく、シャクナゲ山が三角形に見えるところの台地上すべてがシャクナゲ山なのだ。シャク
ナゲ山は本峰、東峰、北峰の三つのピークを持つのだ。地図を見ればよくわかるだろう。上述の無名峰
はシャクナゲ山の北峰にあたるワケだ。
まだ道は長い、だが程なく白樺山だ。ここでシンキングターイム。この地形、この視界不良真白な中
では下山時に進むべき尾根を間違いやすいのだ、と真理子に講釈垂れて慎重にコンパスを切ると降りて
いる尾根を間違えたことが良く分かる、何やってんだ。何度も通過した経験のある尾根だが今日はまっ
たく別の山である。
修正して無名峰へ。真っ白だが地形の斜度の変化とコンパスの針を正確に頭の中で組み立てる。
読図というのは実に論理的思考を求められる。
「自分の行く方向は目的地 A に辿り着く」という命題を証
明するために、
「自分の行かない方向は目的地 A には辿り着かない」という対偶が真であることを証明し
たり、
「自分の行く方向が目的地 A に辿り着かない」という事が「偽」であることを証明しなければなら
ない。
その証明のための行動を起こすためには体力と残された時間を消費するという極めて面白いゲーム
がここに成り立つ。
そんなわけで無名峰へ。何も見えないがピークはココだろ、足と脳みそがそう言うのだ。視界があれ
ば背後にはシャクナゲ(本峰)が見えるはず。
ちょっと降ってシールを外す。今日唯一滑走できるポイントだ。斜面下方の彼方に吹雪の中うっすら
見え隠れするブッシュ発見したので真理子に「あのブッシュで待ち合わせ、先滑ってて、転んだら起こ
してやるよ」とイギリス紳士が肩で風切る感じでレディーふぁーすと文化を顕わにす。
ところで皆さま最近巷で流行りの「壁ドン」って知ってますか。日本女性が日本男子に胸キュンする
あれです。
真理子がブッシュまでゆるゆる滑って行くのを見届けていたのだが、ゆっくり滑っていたのに一瞬で
消えた。
雪庇斜面で角度が急に変って段差に落っこちたようだ。
「雪庇ドン」。一瞬ヒヤリとして胸キュンした。そんなこんなで滑り降りると長沼である。本当に静か
なところで上の風が嘘のようだ。ニセコ連山の中で癒しスポットとして世界遺産登録されてもよいので
はなかろうか。
ここで幕。幕からみると長沼は海のようだ。真っ白い海。そして妻の作った鍋とニシン蕎麦!正直驚
いた。この海原雄山もここまでやるとは思っていなかった、ウマイ!結構重量あるだろソレ!!
シール乾かして呑んで寝て、気温の低下と共に一年の緞帳が落ちていくのがわかる。
翌朝、御来光のため早出 0300 起きで出発。そんなに寒くはないがそれなりに寒い。ただ出発する場所
が無風だというのは本当にありがたいことだ。チセ北尾根でヘッドランプを off して歩く。
頂上に近づくにつれ風が強くなるが頂上稜線に辿りついた時に素晴らしいことが起こった。
御来光だ。初日の出を見るのは何年振りかだろう。地吹雪の中で光線を乱反射し大きく燃えている。
山の事象は素晴らしく一瞬でド素人な気持ちにしてくれる。しかもこの気分から滑降出来るという二
重の嬉しさ。すっかり視界が回復した南南東面を一気に滑る。道路二つを越えてニトへ登る。シールを
貼り直して休憩している最中に食べた行動食に含まれるナッツが凍っていて上顎歯茎に刺さって大量出
血するもニトへ登り返す。小一時間ほどでピークだ、さっきまでいたチセが遠くに見えて嬉しい。そこ
からニト東面へ滑り東コルへ。ここからシールなしのカニ歩きでもう一段向こうの東面まで頑張る。こ
れぞリアルスキー。東面をすべるがこれもアッという間だ。
ニトとポンイワヲ間の平坦地も長閑でとても良い場所なので思わず休憩、天気が良ければお山はどこ
でも楽園なのかも。あとは目の前の山を登ればこの今回の縦走は終了するのでゆるゆる歩きだす。イワ
ヲは人気なようで外国人が多い。南シュートを滑ろうと思うがピークにて話し合いが持たれ「あの斜面
は崩壊したため滑れない」ということになりもう少し緩やかなところから滑走するのだがそれでも本当
に楽しい。あとは五色温泉沢から温泉裏手にダイレクトにフィニッシュするという素晴らしさ。いや本
当のフィニッシュは温泉入浴である。ローマ人も言うように昼風呂は最高なのだ。