12月号 №56 アンモナイトの殻の断面

Dec
2015
No. 56
大垣市金生山化石館
化石館だより
コラム
アンモナイトの殻の断面
アンモナイトは恐竜や三葉虫とともに一般の方にもなじみが深く、とても人気のある化石生物です。
アンモナイトは軟体動物に属する生物で、巻貝の仲間と混同されやすいのですが、イカやタコなどに近
く頭足類の仲間に分類されています。生きた化石として知られているオウムガイも、アンモナイトに良
く似た形体をしており、頭足類に分類されています。けれども、オウムガイはアンモナイトとは全く別
の生物です。
アンモナイトの仲間は、古生代のシルル期後期にオウムガイのオルソセラス目から分化したと考えら
れています。そして、古生代末までに6つの目に分かれて進化しましたが、古生代末の大絶滅を生き抜
くことができたのはプロレカニテス目とセラタイト目の数種だけでした。そして、これらのアンモナイ
トも三畳紀の末には絶滅してしまいます。しかし、セラタイト目から分化したアンモナイト目のアンモ
ナイトは中生代を通じて大いに多様化し繁栄しました。一般にアンモナイトとよぶ化石は、このアンモ
ナイト目に属するものを指していて、中生代の示準化石として重要なものです。
アンモナイトやオウムガイが巻貝の仲間でないことは、殻の断面構造を比較して見ればよく分かりま
す。サザエのつぼ焼きを思い浮かべていただければ理解しやすいと思いますが、巻貝の殻は円錐形をし
た細長い筒になっており、殻口から巻き始めの殻頂部分まで空洞が続いています。一方、アンモナイト
やオウムガイの殻の内部には、隔壁とよばれる壁で仕切られた小部屋がたくさん見られます。また、こ
の隔壁を貫いて各小部屋をつなぐ連室細管という構造も見られます。さて、アンモナイトとオウムガイ
ベレロフォン(巻貝)
オウムガイ
アンモナイト
では、この隔壁の構造や連室細管の位置に違いが見られます。さらに巻き始めである初期室の違いは、
両者を決定的に区別しています。
当館では、アンモナイトとオウムガイの違いを、それぞれの正中断面(殻の巻きに平行な断面で、巻
きの中心を通るもの)を観察することで理解してもらおうと考えて自然講座を企画しました。講座では、
殻径が3㎝から4cmアンモナイトの化石を耐水ペーパーで磨くように削っていくことで正中断面を作
り出しました。
まず平らな板の上に120番の粗い耐水ペーパーを置き、
水を数滴たらして磨いていきます。
削り面が殻の巻きに平行
になるように、角度を調整しながら慎重に磨き進めます。途
中、数回水洗いして削り具合を確かめ、中心まで1㎜くらい
になるまで削ります。その後、240番、600番の耐水ペ
ーパーに替えて同じように削っていきます。
中心部分まで削ったら、最後に透明マニキュアを塗って完
成です。
講座参加者の作品 →
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お 知 ら せ
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んだ貝を展示・紹介しています。是非ご
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珍しい貝殻を探す体験ができるコーナーを開設しており、子供たちに
大人気です。見つけた貝殻は持ち帰ることができます。是非体験して
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問い合わせ:
大垣市金生山化石館
電話 (0584)71-0950 (ファックスも同じ)
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