平成 27 年 8 月 3 日 No.508 「遺言控除」の新設を検討 自民党の「家族の絆を守る特命委員会」は平成 27 年 7 月、遺言に基づき遺産を相続した場合に相続税の負担を軽減する「遺言 控除」を新設する検討を始めました。被相続人が遺言を残す場合が少なく、遺産分割をめぐり相続人間で争いになってしまうこと も少なくありません。遺言による円滑な資産承継を促し、遺産分割をめぐる争いを防ぎたいとの思惑があると考えらえます。 1.遺言の種類と作成件数の推移 民法において遺言は通常、 「自筆証書遺言(民法 968 条) 」 、 「公正証書遺言(民法 969 条) 」又は「秘密証書遺言(民法 970 条) 」のいずれかによってしなければならないと定められています。 近年では、 「争族」などがマスコミに取り上げられることも多く、遺言に対する関心が高まっています。遺言書の作成件数も、 年々増加傾向にあります。 「司法統計 家事事件編」より 「日本公証人連合会調べ」より 2.遺言書の作成方法等 「自筆証書遺言」 、 「公正証書遺言」及び「秘密証書遺言」は、それぞれ作成方法等が異なり、長所と短所があります。 (注)未成年者や、推定相続人等は証人になることができません。 (民法 974 条) 財産の多寡に関わらず遺産分割は必要となります。裁判所での遺産分割をめぐる相続人間の争いとなっているケースでは、相続 財産が 1 億円以下で約 87%を占め、相続財産が 5,000 万円以下で約 75%を占めています。 (司法統計家事編より) 「遺言控除」が新設されるか否かは現段階では不明ですが、遺言書の作成が遺産分割をめぐる相続人間の争いを防ぐ一つの選択 肢と考えます。 (担当:菅原 悠)
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