水中自己昇降式ウインチの開発 中村哲也, 川原寿能

水中自己昇降式ウインチの開発
○中村哲也, 川原寿能, 北澤裕司(日油技研工業)
Self Elevating Advanced System Adding Winch (SEASAW)の開発
2015/5/26 海洋理工学会
A1. 水中自己昇降式ウインチの開発
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開発の動機
沿岸 ⇒産業も活発で多種多様に利用されている。
人間活動影響を直接受けやすい地域
環境調査・観測は積極的におこなわれている。
調査解析の結果、もっと調査データが必要だと思われている。
従来の調査・観測内容を更に活かし、援護できるデータを増やす
ためには?
時系列の連続データ
水中の既存施設に迷惑
をかけない装置
鉛直方向の連続データ
(場所:設置位置固定)
(従来の係留観測+α)
私達の結論として、
「直接観測時以外にも無人自動観測出来る装置を開発する。」
センサーを製作会社ではないのでプラットフォーム開発
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沿岸定点観測用の昇降装置の取り組み (例)
SEPTER
海底設置型
水中ウインチ
Profiler
シャトル
出典:NATO Undersea Research Centre, La Spezia, Italy
(2006)
この他にもガス式昇降装置(1993)など、
定点・時系列・鉛直・表面・(沿岸)を
キーワードにした機器開発は、20年前から
複数件 試みられている。
やっぱり、望まれている!!
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Argoの移動原理と一緒
出典:海洋科学技術センター試験研究報告 41号(2000)
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沿岸、定点、鉛直・・・私たちが行きついたのがSEASAW
装置概要-1 (長期運用を可能にしたKey Unit)
フロートを外して上から見たところ
シーブユニット:
回転検出(ロープ長監視)
コンペンセンター(波浪影響緩和)
(水面検知)
ウインチ駆動部 ウインチドラム:
水平移動してロープを
均等に巻き取る。
ラッチ:
休止時に昇降部分をドッキングして、
ウインチロープに負担が掛からない
ようにする。ウインチロープの磨耗・
劣化を防ぐ。
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装置概要-2
主な仕様
最大繰出長
総移動距離
昇降速度
使用ロープ
最大180m/片道
質量
約60kg (センサーに依存)
20,000m
水中重量 -108N(-11kgf)
上昇0.19~0.13m/sec
使用電源 リチウム電池
下降0.15~0.10m/sec
(システム、センサ側)15V,30Ah
ダイニーマ φ2.2mm
(モーター側) 24V,60Ah
末端部強度:2.1kN(214kgf)
搭載実績
ACTD-RS-ZA
SBE 19+
約φ72cm
120cm
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運用作業-1 (設置)
特長:遊漁船でも運用できる大きさ・重さ
写真提供: (一財)漁港漁場漁村総合研究所
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運用作業-2 (回収)
設置から18日後、 326回の昇降動作後
回収後
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写真提供: (一財)漁港漁場漁村総合研究所
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運用作業-2 (回収)
設置から18日後、 326回の昇降動作後
至、9/07
最終回まで
回収後
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写真提供: (一財)漁港漁場漁村総合研究所
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実績紹介-1
試験の目的:
Oregon沖の秋、波高6mになる。
その時の耐久性を知りたい。
場所: 44° 38’ 38.4” N,
124° 18’ 10.8” W
設置場所の水深: 80m
期間中:1日3回の昇降。
内1回は水面まで上昇
波4.3m(9/28)
結果:
波5.8m(9/27)
波4.5m(9/25)
シーブユニットが表層の荒天波浪を検出。
上昇途中で引き返す。装置に損傷は無かった。
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水中自己昇降式ウインチの開発
出典:
Quick Look Demonstration Report(2011) 資料提供: OSU
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実績紹介-2(新青丸)
試験の目的:
動作監視・位置&データ伝送
結果: 28回の昇降動作中 海上で22回のデータ伝送成功
データ伝送装置
(イリジウムSBD)
動作監視
(音響リモコン)
CTD
(JFE Advantech)
音響信号で水中動作監視
移動水深(m) 通過時間
%D,00,065m 11:42:14
%D,00,053m 11:43:15
%D,00,042m 11:44:16
%D,00,031m 11:45:17
%D,00,023m 11:46:19
%D,00,016m 11:47:20
%D,00,009m 11:48:21
%D,00,003m 11:49:22
%D,00,001m 11:50:24
%D,00,000m 11:51:25
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今後の課題
センサー入力ポートの増設
海底設置型プラットフォームの開発。
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まとめ
•
沿岸域において定点集中観測を可能にする新しい観測プラットフォーム
として、自己昇降式水中ウインチ(SEASAW)を開発した。装置は観測用設
備を持たない遊漁船でも設置・(運用・)回収できるものとなった。
•
2011年から本格的な海域試験を複数回実施して、1ヶ月程度の運用実績
は安定して挙げられるようになった。
現在、夏季の成層化が発達した時期など、季節的な調査に利用され、
実用的になってきた。
•
今後、センサー用のインターフェイスを増強し、海底固定用プラットフォー
ム(オプション)を充実し、広範囲の利用に向けた開発をおこなう。
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