2011 年度 京都女子大学 HP 用過去問題解説 英語(長文)

2011 年度 京都女子大学 HP 用過去問題解説 英語(長文)
長文読解問題について
問題構成は毎年ほぼ一定しており、英語①で長文読解問題が 2 題出題されています。英文の素
材文には、例年身近なテーマを扱った評論文やエッセーなどが多く用いられています。英文のレ
ベルは標準的ですが、分量はやや多めであるため、できるだけ短い時間で効率的に解答できるよ
う練習しておくことが重要です。普段から、日常的な話題を扱った英語の文章を使って、時間を
意識した読み方の練習をしておくとよいでしょう。また、2 題の読解問題のうち 1 題は内容一致
問題、もう 1 題は適語補充・語順整序・文整序・同意語句選択等を含む総合問題であるため、そ
れぞれの出題に応じた解き方も身につけていく必要があります。
本学の出題には意図的な難しさを含んだ難問はなく、受験生の力が素直に反映される問題とな
っています。設問のレベルも標準ないしはやや易しめですので、とにかく怖がらずにまずは過去
の出題例に触れることが大切です。まだ 6 月ですから少し難しく感じるかもしれませんが、根気
よく練習を続けていくことによって、コツをつかむことができるはずです。もし現段階でそれが
難しい場合には、学習材料をセンター試験の長文に変えることも一つの方法です。センター試験
の読解は偏りのない問題がバランスよく配合されているので、1 学期の練習には最適です。
では、ここから実際の過去問を研究して、もう少し実践的な注意点を見ていきましょう。今回
は、平成 23 年度公募制推薦入試 B 方式の英語①大問Ⅰで出題された内容一致問題を研究します。
平成 23 年度
公募制推薦入試
B 方式
英語①
Ⅰ
本学の内容一致問題では、本文の記述に沿って設問が作られています。したがって、1 段落読
み終わるごとに解答していくようにすると効率的です。また、本文を読む前に選択肢を通読して、
おおよそのチェックポイントを決めておくという解き方も、効率的に解くために有効な方法です。
選択肢に含まれているキーワード(たとえば、固有名詞や数や量や程度に関する語句など)を事
前に確認しておけば、本文と照合することも手早くできることになりますし、本文がどんなこと
を話題にしているのかということも、予測できることになるはずです。ただ、あまりこのことに
深入りするとかえって時間がかかる場合もありますので、選択肢の通読はあくまでできる範囲に
とどめて、時間をかけ過ぎないように注意してください。
それでは、いくつか内容一致問題の実例を紹介しましょう。以下の例は、いずれも一般的な内
容一致問題で着目すべき点ですが、本学の問題を解く際にも有効なものばかりです。
①書き換え表現(パラフレーズ)
(1)の文を見てみましょう。本文第 1 段落第 2 文がこの選択肢に当たる部分です。本文では
In the Middle English period books were handwritten and were therefore a luxury, but with
the invention of printing they were made available to everyone.(中世の英語の時代には本は手
書きされ、したがって贅沢品だったが、印刷の発明により、本は誰の手にも入るようになった)
となっていますが、この文中の a luxury(贅沢品)が、(1)の文では very expensive と書き換
えられています。つまり、本が贅沢品であったということは、非常に高価だったということと同
1
じだと判断できるため、この文は本文の内容に一致しているということになります。このように、
本文と一致する文や選択肢では、本文中の表現が別の表現に書き換えられていることがよく見ら
れます。
②数に関する情報
次に(2)の文 The early period of Modern English was 1600-1800.(現代英語の初期は 1600
年から 1800 年であった)を見てください。この文の「1600-1800」という部分は、本文第 2 段落
第 2 文の During the early period of Modern English ― the sixteenth, seventeenth, and
eighteenth centuries(現代英語の初期 ― 16 世紀、17 世紀、18 世紀 ― の頃)と一見一致して
いるように見えるかもしれませんが、よく考えると、本文の記述を意図的に捻じ曲げて作ってい
る選択肢であることがわかります。本文で現代英語が始まるとされているのは「16 世紀」ですか
ら、これは「1600 年」ではなく「1501 年」でなければなりません。このように数に関する記述
をわざと差し替えておくというのは内容一致問題によく見られるトリックの一つです。数に限ら
ず、量や程度についてのはっきりした記述が選択肢に含まれている場合は、必ず正確な確認をと
ることが大切です。
③固有名詞
(3)の文 The Renaissance was the time when Europeans became acquainted again with
Latin and Greek literature.(ルネッサンスはヨーロッパ人がラテン文学とギリシャ文学に再び精
通した時代であった)には、
「ルネッサンス」
「ラテン文学」
「ギリシャ文学」という 3 つの固有名
詞が出てきます。数や量や程度を表す語句が、本文との一致箇所を見つける際のキーワードにな
ることは上記②で述べた通りですが、それと並んで固有名詞も一致箇所を見つける重要なキーワ
ードになります。この例のように 1 つの文に 3 つもの固有名詞が含まれていれば、それらが同時
に出てくる場所を見つければいいわけですから、より効率的に本文を検索できることになります。
選択肢に含まれる情報が多くなればなるほど、それだけ本文の該当箇所を見つけることはたやす
くなります。というわけで、(3)は本文第 3 段落第 3 文の Thousands of words were borrowed
during the Renaissance, when the rediscovery of Latin and Greek literature produced what
was called “the rebirth of learning.”(何千もの単語がルネッサンスの間に借用された。この時期
に、ラテン語の文献とギリシャ語の文献の再発見によって、いわゆる、
「学問の復興」が生まれた)
と一致すると判断できます。
④本文の内容の簡潔な言い換え表現
(10)の文 According to the passage, the rules of English spelling were fixed by English
scholars and writers during the Modern English period.(この文章によると、英語のスペリン
グルールは現代英語の時期に英語学者や作家たちによって固定化された)に該当する箇所を本文
中から探すと、第 4 段落冒頭の部分が近い内容だとわかります。(10)の文とこれらの 2 文を比
較してみてください。第 4 段落第 1~2 文の During the Middle English period many of the Old
English inflections were lost. If you compare Modern English words with those from Middle
English, you’ll see that the simplification has gone even further.(中期英語の時期の間に、古英
語の語尾変化の多くは失われた。現代英語の単語を中期英語の単語を比べると、単純化がさらに
ずっと進んだことがわかるだろう)では、複雑な語尾変化がなくなり、スペルが統一される方向
2
に単純化されたことが記されています。このことを(10)の文では「スペリングルールが固定化
された」とやや簡略に言い換えています。これは今回の出題の中では少し難しく思えたかもしれ
ませんが、内容一致問題ではよく出るパターンと言えます。
このように、内容一致問題では、それぞれの選択肢に込められた出題者の意図を読み取ること
ができるようになれば、正誤の判断は容易になってくるものです。もちろんその前提として、本
文の内容を的確に読み取る力が必要であることは言うまでもありません。
夏に向けての対策
最後に、これから夏に向けて準備しておくポイントを整理しておきましょう。
まず学習面の準備としては、夏までに基礎を確実なものにしておくことが大切です。高度な知
識や解法のテクニックを身につけるのは 2 学期以降でも間に合いますが、そのための準備として
も夏までにまず土台をしっかりとしたものにしておく必要があります。特に文法は、英文を読む
上でも、文法問題や整序作文問題を解く上でも、非常に重要なものです。文法の教科書や参考書
で苦手な項目が残っていないか見直し、苦手意識のある単元があれば、参考書で重点的に復習す
るようにしましょう。その際、文法事項の基本の形に加えて例文を暗記しておくと、整序作文な
どで文を組み立てるのにも役立ちます。また、文法の基礎固めと並行して、単語集・熟語集を夏
までにまずは 1 回終わらせることを目標に進めるとよいでしょう。もちろんそれですべて覚える
ということは難しいと思いますので、2 学期以降も 2 回目、3 回目と繰り返し、着実に単語力・熟
語力をつけていくようにしてください。
推薦入試を受ける場合には、内申書や推薦状も重視されますので、定期試験や模擬試験で高得
点をとることはもちろんのこと、規律正しい生活を送り、遅刻や欠席などにも注意する必要があ
ります。それと同時に、勉強に対する目標をしっかり持つためにも、なぜ京都女子大を志望する
のか、なぜその学部・学科に行きたいのかということを明確にしておくようにしましょう。大学
のホームページに掲載されている大学紹介などを読んだり、オープンキャンパスに参加したりす
ることも、目標を明確化するのに役立つはずです。頑張ってください。
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