不破高校朝読通信 第27号 平成27年5月 8日(金) 発行 岐阜県立不破高等学校図書部 クラス別・個人別 図書貸出冊数 ベスト1 ベスト2 月 4月 種 類 総合貸出冊数 朝読書用学級文庫貸出冊数 個人貸出冊数 ベスト1 1年3組 3年1組 1年1組 ベスト2 3年1組 3年2組 1年3組 紹介する本 題 著 者 画 家 発行所 発 行 定 価 『新・落窪物語 舞え舞え蝸牛』 田辺 聖子 (株)文藝春秋 1979年10月09日 724円+税 図書館に 国語科教諭 岩田 眞和 古文というと「難しい」「わからない」という言葉が聞こえてきますが、そんな人のために、現 代の作家が古典の作品を現代語に読みやすく書き直したものがいくつかあります。今日はその中 から、10世紀の終わり(今から千年以上前!)に書かれた「落窪物語」を土台とした田辺聖子 さんの『舞え舞え蝸牛』を紹介します。 時は平安時代の中頃、主人公は中納言である源忠頼の娘(落窪の姫)です。母と死別した落窪 の姫は父親が再婚したので、継母のもとで暮らすことになります。ところが継母は自分の娘ばか りを大切にして、この落窪の姫を冷遇し、落窪の間(落ちくぼんだ住みにくい狭い部屋)に住ま わせ、ぼろを着せて針仕事をせっせと言いつけるという扱いをします。(似たような状況をどこ かで聞いたことはありませんか?ほら、あのお話とよく似ていますよね。) しかし、そこに現われた貴公子、右近の少将である道頼に見出されます。この姫君に恋した道 頼はなんとか方法を考えて彼女のもとに通うようになります。男がいることがばれた姫君は継母 に閉じ込められてしまいますが、そこを道頼に救出され、二人は周囲に内緒で結婚します。 子供にも恵まれ幸せに暮らしている姫君ですが、道頼は姫君をいじめた継母やそれを見逃して いた父親である中納言忠頼を許すことができません。 権力もお金もある右近の少将道頼は、何とかして懲らしめてやろうとあれこれ策を練ります。 中納言にある家の改装をさせて、いざ引っ越しというときになって実はその家は姫君の母親の家 だからあなたにはすむ権利がないと自分がさっさと入居してしまうというような復讐をして、さ んざん痛い目に遭わせた上でようやく自分の妻の正体を明かし、中納言や継母を許します。その 後は道頼は中納言一家にも目をかけ保護していくので、みんなおだやかに幸せな生活を送るよう になりましたとさ。 というように、最後はめでたしめでたしで終わる日本版シンデレラともいうべきお話です。実 際には姫に仕える”あこぎ”という侍女や、右近の少将の乳兄弟で、あこぎと恋仲になっていく”帯 刀”や継母の叔父である”典薬の助”などの脇役も活躍し、読み始めると一気に読み進められるよう な話になっています。身分制度があったり、役職名がいろいろ出てきたりと今とは違ってわかり にくいところもいくつかありますが、ラブストーリーとサスペンスにあふれた古典の世界に触れ るきっかけにしてみてください。
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