学 位 論 文 の 要 旨 ふ ※ 氏 整 理番 号 り が な 名 つか もと ひ とし 塚本 仁 Clinical effect of a lnultidisciphnary teaHl approach to the initial treat】mё nt of patients with hospital‐ acquired bloodstream infections 学位 論 文題 目 at a Japanese university hospital (院 内発 症 血 流感 染 症 患者 の初期 治療 に対す る集 学 的 チ ‐ ム介入 の 臨 床 的効果 ) 【目的】 血流感染症 (BSI)は 血液 中か ら病原微 生物が分離 され る重症感染症である。入院患 者 にお いて BSIは 死亡率が高 く、死 亡の リス ク囚子 として初期 の不適切な抗菌薬治療 が ぐ 夏雑化 してお り、専門的 知 られてい る。近年、薬剤耐性菌 の増加 に伴 って抗菌薬治療 はイ な知識 に基づいた適切な初期治療 を実施す ることが必要 である。福井 大学 医学部附属病 院 では、感染症専門医 (IDP)、 感染管理認定看護師、感染制御専門薬剤師、感染制御認 定微生物検査技師 による集学的 な Infection Control Team(ICT)を 構成 し、BSI患 者 の 初期治療 に対 して助言、介入 を行 つてい る。本研究 は、ICTに よる介入 が BSI患 者 の臨 床転帰お よび抗菌薬治療 の適 正化 に及ぼす影響 を評価す るために行 った。 方法 】 【 1.研 究対象 デ ザ イ ンお よび 対 象 福 井 大 学 医学部 附属病 院 にお い て (入 院後 48時 間以 降 に BSIを 発 症 した患者 を対象 と した 。 18歳 未満 の 患者 、血 液 培養 が 陽性 にな るまで に退 院 した患 者 、血 液培養 よ り複 数 菌 が 検 出 され た患者 は除外 した。 介入 前 (2010年 4月 ∼ 20■ 年 9月 )を 対照 に 、介 入 後 (20■ 年 10月 ∼ 2013年 3月 )の 臨床 転 帰 お よび 初 期 の抗菌薬 治療 の適切性 (BSI 発 症 48時 間以 内)を 評 価 した。 2.介 入 i)介 入 前 の BSI管 理方 法 血 液 培養 自動 分析 装置 が培 養 陽性 を検 出 した場 合 、直 ちに微 生物 検 査技 師 が主 治 医 に 対 して グ ラム染色所 見 を電話 連絡 して い た。 そ の後判 明す る菌種 、薬剤感 受性 の情報 に つ いて は特 に連絡せ ず 、電子 カ ル テ に結 果 が記録 され る の み で あ つ た 。 そ の た め 、抗 菌 薬 治療 を含 む BSI管 理 に つ い て は 、す べ て主 治 医 の み で判 断 して い た 。 工)介 入 後 の BSI管 理 方 法 微 生物 検 査技 師 は、グ ラ ム染 色 所 見 を主治 医へ 連絡 す る と同時 に ICT薬 剤 師 へ 連絡 し 又 目機 能 、肝機 能 、過 去 の抗 菌 た 。 ICT薬 剤 師 は 直 ちに患者 の電 子 カル テ を レビュー し、 臣 薬 曝露 歴 、耐性 菌分 離歴 、デ ィバ イ ス の有無 、基礎 疾 患 な どを記録 し、 グ ラム染色所 見 、 ア ンチ バ イ オ グラ ム お よび 得 られ た カル テ 情報 を も とに主 治 医 に対 し抗 菌薬治 療 の提案 (選 択 、投 与経 路 、投 与 量 、投 与 ス ケ ジ ュール な ど)を 行 つ た (lstレ ビュー )。 ICT薬 剤 師 が 行 つ た提 案 に 関 して は 、毎 日行 ってい る ICTミ ー テ ィ ン グにお いて IDPを 含 む ICTメ ンバ ー で 再評価 し、 必 要 に応 じて IDPよ り BSI管 理 に関す る追加 の提案 を行 つ た (2ndレ ビュー )。 さ らに、菌種 同定 、薬剤感 受性 が 判 明 した 際 は 、ICTメ ンバ ー で 経 過 を確 認 し、抗 菌薬 の合 理化 、De‐ escalationに 関す る提案 を行 つ た (3rdレ ビュー )。 ICT介 入 は、病棟 担 当薬剤 師 とも連 携 して実施 した。 3.デ ー タ収集・解析 患者 の背景囚子、基礎疾患、デ ィバ イ スの存在、30日 以 内の手術、免疫抑制剤 の使用、 ステ ロイ ドの使用、がん化学療法、BSIの 感染源、分離菌な どを電子カルテ より抽出 し た。各患者 の重症度 の評価 には Pitt菌 血症 ス コア、Charlson合 併症 ス コアを用 いた。臨 床転帰 として、死亡 (BSI発 症後 7日 以内、14日 以内、30日 以内)、 BSI発 症後 の在院 期間お よび BSI再 発 の有無 を使用 し、介入前後 の比較 を行 った。また、30日 以内の死亡 お よび初期 の適切な抗菌薬治療 に関連す る独 立 した予測因子 を評価す るために ロジステ ィック回帰分析 による多変量解析 を行 つた。 結果 】 【 基準 を満た した院内発症 BSI患 者 469名 (介 入前群 210名 、介入後群 259名 )が 解 析対象 となつた。介入前群、介入後群 の患者背景、基礎疾患、重症度、BSIの 感染源、 分離菌 の分布 に有意な差は見 られなか つた。ICT介 入 によつて行 つた提案事項 は全体で 324件 あ り、そ の うち 80.6%が 主治医に受け入れ られた。介入後群は介入前群 と比較 し て 30日 以内の死亡率が有意に低 かった (介 入前 22.9%,介 入後 14.3%;P=0.02)。 また、 介入後群 は初期に適切な抗菌薬治療 を受けた割合 が有意 に高か つた (介 入前 69.00/0,介 入後 86.5%;P<0,001)。 多変量解析 の結果 か ら 30日 以内の死亡に関連す る独 立 した予 千硬変 測因子 は、固形 がん (Odds比 [OR],2.08;95%信 頼区間 [CI],1.06-4.06)、 月 (OR, 3.98;950/OCI, 1.52-10。 38)、 真菌 (OR, 2.40,95%CI, 1.04-5.53)、 高 Pitt 菌血症 ス コア (OR,1.98;95%CI,1,08-3.61)、 ICT介 入 (OR,0.49;95%CI,0.25 -0。 95)で あつた。 また、ICT介 入は初期 の適切 な抗菌薬治療に関連す る独 立 した予測 囚子 であつた (OR,2.22,95%CI,1.27-3.89)。 考察】 【 集学的チーム介入 が感染症患者 の在院期間の短縮や コス ト削減に役 立つ ことを示 した 報告 は多数 あるが、予後改善につ ながるとい う報告 は少ない。本研 究において、ICT介 入は院内発症 BSI患 者 の 30日 以内の死亡率を 8.6%改 善 し、多変量解析 の結果 か ら30 日以内の死亡を改善す る独 立 した予測因子 であることが示 された。また、ICT介 入は適 切 な抗菌薬治療 の遅れを有意 に改善 した。BSI管 理にお いて適切 な抗菌薬治療 の遅れ は 死亡 の リス ク因子 であることが報告 されてお り、初期 の適切な抗菌薬治療 の改善 が予後 方 、BSI管 理 にお いては、抗菌薬治療だけでなくデ 改善 に寄与 した もの と思われ るも ィバイ スの除去な ど感染巣 コン トロールが死亡 と関連す るとの報告 もある。本研究 では、 ICT介 入によって行 った提案 の 28.4%(92/324件 )が 抗菌薬治療以外 の項 目であ り、IDP による抗菌薬治療以外 の管理に姑す る言及 も死亡率 の改善 に大きく寄与 した と考 えられ る。 結論 】 【 院内発症 BSI忠 者 に対す る集学的チームの タイ ム リー な介入は、適切な抗菌薬治療 の 遅れ を減 らし、臨床転帰を改善す る。 備考 1 2 ※印 の欄 は、記入 しない こ と。 学位論文 の要 旨は、和文 に よ り研 究 の 目的、方法 、結果 、考察、結論等 の順 に記載 し、 2ぅ 3 000字 程 度 で タイ プ等 で印字す る こ と。 図表 は、挿入 しない こ と。
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