堀場最高顧問メッセージ[PDF:259KB]

総会に寄せて
本日、大勢の関係者のお集まりをいただき、総会が
開催出来ますことに、会長として心からお礼申し上げ
ます。本日の総会はこれからのイノベーションネット
の取組むべき事業計画等をご審議いただく最も重要な
会議であります。それにも拘わらず、本日、出席する
ことがかないませんでした。
総会欠席のお詫びとその理由
一部の新聞報道で、ご存じの方もおられるかと思いますが、実は、私は春先から体調を
崩し、入院加療中でございます。車椅子での出席を試みたのですが、医者からの外出許可
を得ることが出来ませんでした。ご出席いただいた皆さまに、誠に申し訳なく存じます。
本日、出席はかないませんが、ご提案させていただきました議事につきましては、事務局
とも連絡を取り合い、協議し、提案した内容でございます。ご審議のほど、よろしく
お願いいたします。
今回の総会では、私に関する案件を 2 つ、ご提案しております。1 つは、私の後任に係る
人事案件です。私は、平成 11 年 6 月、新事業創出促進法に基づき、全国 47 都道府県、
並びに政令指定都市に 1 か所設けられました、中核的支援機関の全国ネットワークである、
日本新事業支援機関協議会(略称:JANBO)の代表者に就任いたしました。以来、産・学・
官連携による地域経済の振興・発展と新事業の創出に、微力でありますが取組んでまいり
ました。
企業経営経験者は私一人―-結果として長期代表者を務めることに
私が長きにわたり、代表を続けてまいりましたのは、民間の企業経営経験者が、私一人
であったからであります。産・学・官連携による、地域イノベーションによって、各地に
新事業創出やベンチャー育成、
既存企業の第 2 創業に組織的に取り組むための推進組織に、
企業経営者が一人もいないということでは・・・との事から私が選出され、代表に就任
いたしました。これまで私は、会長を辞任し、後進に道を譲ることについて、機会ある
ごとに経済産業省関係者に申し入れてきました。しかし、私が辞任すると、
「経済界出身の
関係者が一人もいない」という最悪の事態になるとの理由から、慰留されつづけてきま
した。
今日にみる新事業創出、ベンチャー育成の原型は JANBO 時代の 10 年
イノベーションネットが出来て 6 年、その前身である JANBO が出来て 16 年になります。
産業支援機関のトップに、民間の企業経営経験者がおらず、結果として、新しく事業を
起こすための全国ネットワークの代表者を長きに亘り務めてまいりましたが、その間、
各地域の産業支援機関の創意工夫の発揮による、新しい施策が次々と打ち出され、数々の
成果を上げることが出来ました。例えば、イノベーションネットアワードに通じる表彰
事業であり、インキュベーション・マネジャーや産学官連携コーディネータ等の支援人材
育成、全国情報ネットワーク化等々であります。そして、なんといっても大きな成果は、
小泉内閣時代に私どもの提言が採り上げられた、地域再生 4 事業であります。その中には、
現在各地域で取り組まれております地域特産物のブランド化による販路の拡大や、第 1 次
産業の第 3 次産業化、いわゆる 6 次産業化による、まちおこしのための地域再生の取組み
があります。また、全国各地でセミナーを開催し、これらを通じて、地域の産学官金の
皆様に、広くイノベーション創出、ベンチャー企業育成、そして、地域が自らの力で経済
的に自立することの重要性について、多くの関係者に理解していただくことができました。
吉川新会長を中心にイノベーションネットの発展と新たな事業展開を期待
この度、イノベーションネットアワードの審査委員長を務めていただいておりました
吉川東京大学元総長に、会長職をお引受いただくことについてご内諾を得ました。
皆様ご承知のとおり、吉川先生は、これまでに東京大学総長や産総研理事長等を歴任
され、大学や公設試等の技術シーズや人材を活用した新事業創出や技術開発、イノベー
ション創出に関わってこられております。吉川先生に会長就任について懇願いたしました
ところ、お引き受けいただく運びとなりました。吉川先生には、公務ご多用の中、ご快諾
いただきましたことに、心から感謝しております。
日本人は欧米人に比べ、ベンチャーを興す遺伝子が相対的に少ないと言われております
が、相対的であって、絶対的ではありません。それは、戦後日本の経済発展を見れば、
理解出来ることであります。問題は、ベンチャーや新事業を起こす人を評価し、応援し、
育て、そして失敗しても再チャレンジ出来る風土、環境が不足していることだと思います。
吉川先生とも、産総研の技術活用による、イノベーション創出の必要性については意見
が一致しており、会員をはじめ、全国の産学官金の皆様には、吉川先生とともに地域発
イノベーションによる地域の活性化と振興・発展を実現して欲しいと思います。
もう一つの案件は、私のこれからの立場についてであります。残念ながら、企業経営
経験者については、色々と経済界の方々に働きかけを行っていますが、実現出来ており
ません。現在のところ、イノベーションネットには、私一人という実態でございます。
体調が回復すれば、役割分担の下、出来る限りのお手伝いをさせていただきます。
直接、皆様にお目にかかって申し上げることが出来ず非常に残念ですが、どうぞお許し
下さい。
平成27年6月19日