分数型の漸化式

分数型の漸化式
初期条件 a1 = a と分数型の漸化式 an+1 =
p an + q
(n ∈ N, p, q, r, s は定数, r ̸= 0, ps−qr ̸= 0)
r an + s
によって定められる数列 {an } について考える.
(1) ps − qr = 0 のとき, ps = qr ゆえに
an+1 =
すなわち, a1 = a, an =
q(r an + s)
q
ps an + qs
=
= (一定)
2
rs an + s
s(r an + s)
s
q
(n ≧ 2) となる.
s
(2) r = 0, ps ̸= 0 のときは, an+1 = A an + B の型に帰着する.
(3) r ̸= 0, ps − qr ̸= 0 のとき, 分数型の特性方程式
α=
pα + q
rα+s
の解に対して
(a) 異なる 2 つの解 α, β をもつとき
bn =
an − α
an − β
とおくとき, 数列 {bn } は等比数列となり, これを用いて {an } の一般項を求めること
が出来る.
(b) 重解 α の場合
bn =
1
an − α
とおくとき, 数列 {bn } は等差数列となり, これを用いて {an } の一般項を求めること
が出来る.
証明 (3) 漸化式より, an+1 − α =
an+1 − α =
=
=
=
p an + q
− α だから
r an + s
p an + q − α(r an + s)
r an + s
(p − α r)an + q − α s
r an + s
(p − α r)(an − α) + α(p − α r) + q − α s
r an + s
(p − α r)(an − α) − {r α2 + (s − p)α − q}
r an + s
従って
r α2 + (s − p)α − q = 0
のときに, 漸化式をさらに変形することで, 一般項を求めやすくなる. ちなみに, この α の 2 次
方程式は, 与えられた漸化式の項を α に置き換えた
α=
pα + q
rα+s
(∗)
の分母を移項して整理したものに他ならない. 従って, (*) を分数型の特性方程式と呼び, α をそ
の特性解と言う.
(a) 特性方程式が異なる 2 解 α, β をもつとき
an+1 − α =
(p − α r)(an − α)
(p − β r)(an − β)
, an+1 − β =
r an + s
r an + s
なので, それぞれを除することで
an+1 − α
p − α r an − α
=
·
an+1 − β
p − β r an − β
を得る. これは, 等比数列の型になっている.
(b) 特性方程式の解が重解 α であるとき
an+1 − α =
(p − α r)(an − α)
r (an − α) + r α + s
ゆえに, 両辺の逆数をとれば
1
rα+s
1
r
=
·
+
an+1 − α
p − α r an − α
p−αr
(#)
ここで, r α2 + (s − p)α − q = 0 に対して, 解と係数の関係から, 2α =
ことで r α + s = p − α r. 従って, (#) は
p−s
. これを変形する
r
1
1
r
=
+
an+1 − α
an − α
p−αr
となるので, 等差数列の型になっている.
参考文献 : 改訂版 科学新興社モノグラフ 1. 漸化式 (宮原繁著,1975, 科学振興社)
2015/2/1
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/˜hirosawa/