女子急性単純性 膀胱炎におけ る抗菌剤治療効果 のdose response に

女 子 急 性 単 純 性 膀 胱 炎 に お け る抗 菌 剤 治 療 効 果 のdose
に 関 す る 研 究:Cinoxacinに
熊 本 悦 明 ・西 尾
response
お け る検 討
彰 ・生 垣 舜 二 ・塚 本 泰 司 ・酒 井
茂
札幌医科 人学泌尿器科
水 戸
部 勝
幸
酒田市立病院泌尿器科
本
間 昭 雄 ・腎 山 龍
旭 川赤十宇病院 泌尿器科
生
田宮
高 宏 ・高塚 慶 次 ・宮 本
砂川市立病院 泌尿器科
慎一
村
政
博
雅 生 ・江 夏 朝
王子総合病院泌尿器科
松
島
昭
吾 ・疋
田
札幌逓信病院泌尿器科
寺
田
児
玉
直
彦
市立室 蘭総合病院泌尿器科
丹 田
均 ・加 藤 修 爾 ・大 西
東 札幌三樹会病院泌尿器科
古
屋
聖
茂樹
児
北見赤十字病院 泌尿器科
三
宅
浩
次
(コン トローラー)
札幌医科 大学公衆衛生学教室
(昭和56年6月9日
女 子 急 性 単 純 性 膀 胱 炎 症 例244例
100mg(2分
(1)尿
服)の4群
に 対 し,Cinoxacin1日
に 分 け て,治
中 濃 度 は 投 与 後12時
療 効 果 のdoseresponse的
間 後 で も か な り高 く,50mg投
2μg/ml,200mgで9±2μg/ml,400mgで20±4μg/mlで
(2)患
受付)
投 与 量 を800mg,400mg,200mg,
検 討 を二 重 盲 検 法 で 施 行 した。
与 で1±1μg/ml,100mgで3±
あ った。
者 尿 分 離 起 炎 菌 の 大 部 分 を 占 め るE.coliのMICは98.2%が3.13μg/ml以
25∼50μg/mlが1.8%で
あ っ た 。 起 炎 菌 の6%を
下 であ り
占 め る グ ラ ム 陽 性 球 菌 は す べ て800μg/ml以
上
であ った 。
(3)総
合 臨 床 効 果 ば800mg/日
%,100mg/日
98.0%,97.8%と
た 。 しか し,グ
群 で91.3%で
群 で100.0%,400mg/日
あ り,グ
群 で90.9%,200mg/日
群 で96.1
ラ ム 陽 性 球 菌 を 除 い た 場 合 は そ れ ぞ れ100.0%,97.6%,
き わ め て 高 い 有 効 率 で あ っ た 。 そ し て 有 意 なdose
ラ ム 陽 性 球 菌 も 考 慮 す る と800mg/日
responseは
認 め られ なか っ
群 が や や 高 い 有 効 率 を示 して い る。
急 性単 純 性 膀 胱 炎 は 生 体 内 の 感 染 症 の 中 で 最 も単 純 な
れ ば フ ラス コ状 の 粘 膜 性 パ ッ ク内 に外 因 性 細 菌 が 侵 入 増
形態 の臓 器 にお け る急 性感 染症 とい え よ う。 た とえ てみ
殖 して 発 症 した 感 染 症 で あ る。 炎 症 反 応 機 構 と各 種 の 感
CHEMOTHERAPY
260
MAR.1982
染 防 御機 構 とを合 わ せ 持 ちは す る が,極 め て単 純 な内 空
I.研
臓 器 で あ る膀 胱 の炎 症 で は,そ の生 体反 応 と管 腔 内 細 菌
〔I〕
の 状態 とが極 めて 直 接 的 な 相 関 関係 を示 して い る。
(1)血
そ の た め本 疾 患 での 抗 菌 剤 の治 療 効果 は,試 験 管 内 で
究 対 象 と 方法
投 与 量 決 定 の た め の検 討
中 濃 度,尿
i)対
中濃 度
象 お よ び 方 法:健
康 成 人 男 子 ボ ラ ン テ ィ ア6例
の効 果 と薬 物 の吸 収 ・排泄 な ど を含 む複 雑 な生 体 内で の
(年 齢 は31歳
効 果 との 中 間的 意 味 合 い を もっ て い る。 複 雑 な 生 体 で の
170cm,平
治 療 効果 を理 論 的 に分 析 す る こ とは 困難 で あ り,現 在 の
kg)を
医学 知識 の 中 にあ って,こ の 中 間的 な感 染 モ デル と もい
カ プ セ ル,あ
え る 本疾 患 で の検 討 は 複 雑 な生 体 で の感 染 治 療 学 検 討 の
隔 を あ け,50mgカ
た め に極 め て示 唆 に富 ん だKey
dataを 提 供 して くれ る
お よ び200mgカ
プ セ ル1コ
もの と考 え られ て い る。 そ の 意味 で新 しい 抗 菌 剤 の臨 床
与 後,1,2,4,6時
間 に 末 梢 静 脈 血,ま
∼43歳,平
対 象 と し た 。 方 法 は,空
れ の濃 度 を 測 定 した。
そ こで わ れわ れ グ ル ー プは 本 疾 患 で の薬 剤 臨 床 効 果 研
究 に は,dose
responseを
ii)濃
検 討 して こそ 意 義 あ る と考 え
て,か ねて か ら各 種 薬 剤 に つ い て,そ の検 討 を 行 な って
きて い る。
管 内 の それ にか な り近 く,(a)薬 剤 濃 度 と,(b)感 染 菌 の薬
剤 感 受 性(MIC)と
か らあ る程 度 推 定 が 可 能 と も考 え ら
In
約4
倍 の条 件 に お い て治 療 効 果 が期 待 で き る とい う知 見 を え
て い る。 そ の よ うな解 析 が可 能 な と こ ろが 急 性 単 純性 膀
胱 炎 の 治療 検 討 の興 味 あ る点 で あ る と考 え て い る。
今 回,新
し く開 発 さ れ たQuinolonecarboxylic
系 抗 菌 剤Cinoxacin(構
造 式 はFig.1に
示 す)の
i)使
acid
効 果 を検 討す る機 会 を えた の で,そ の よ うな立 場 に立 っ
て 本 薬 剤 の 治療 効果 のdose
responseを
女子急性単純
性 膀 胱 炎 に お い て検 討 し,治 療 効 果 が上 述 の尿 中薬 剤 濃
度 お よび感 染菌 の薬 剤 感 受 性 と どの よ うに結 び つ くか を
種 々分 析 して み た 。
Fig. 1
structure
of cinoxacin
model
systemに
用い
お け る生 菌 数 変 化
NIHJ
ii)使
colony
用 薬 剤 と し て は,
Lilly-塩 野 義 製 薬)を,使
6.25μg/ml
用 菌 株 と して
JC-2〔MIC:3.13μg/ml
(108cells/ml)〕
用 培 地:ABM-3
countに
は,
(106cells/
を 用 い た。
Broth(Difco)を
Brain
Heart
Infusion
用 い,ま
た,
(Difco)を
用
いた。
iii)被 検 菌 液 の 調 整:ABM-3
接 種 し,37℃
期 の 菌 を 用 い,実
107cells/mlと
iv)尿
BrothにE.coli
で3∼4時
NIHJ
間 前 培 養 した対 数 増 殖
験 開 始 時 の 菌 量 は105cells/mlお
よび
した 。
中 濃 度 にSimulateし
tem:前
記6名
mg,200mg投
たIn
vitro
model
sys-
の ボ ラ ン テ ィ ア の 空 腹 時1回50mg,
100
与 時 の 尿 中 濃 度 よ り 尿 量 を1分
と 仮 定 し 補 正 し た 尿 中 濃 度 に 準 拠 し たIn
systemを
Chemical
漿 中 濃 度 は モ ニ トロール
リ ン酸 緩 衝 液(pH7.0)を
用 薬 剤 お よ び 使 用 菌 株:使
JC-2を
治 療
漿 中 お よ び 尿 中 濃 度 の 測 定 は, E.
vitro
Cinoxacin(Eli
ml),
者 ら が すでに発表している
れぞ
実験
は,Ecoli
検 討1)で は,尿 中薬 剤 濃 度 がMICの
た0∼2,2∼4,
た。
が そ の(a),(b)に何 らか の 因子 が加 わ る こ と も当 然 お こ り
うる訳 であ る。 例 え ば,筆
ず つ 経 口投 与 し,投
検 定 菌 とす る 寒 天 せ ん 孔 平 板 法 で 行 な っ
中 濃 度 は1/20M
れ る。 しか し,単 純 とは い え生 体 で あ るが 故 に 薬 剤 効 果
Miloxacinの
プ セ ル2コ,
を1回
た 。 標 準 希釈 液 の 調 整 は,血
1,尿
50mg
間以上の間
間 の 尿 を 採 取 し,そ
度 測 定:血
(2)
膀 胱 の形 態 が 単 純 な だ け に抗 菌 剤 の治 療 効 果 は,試 験
プ セ ル を1週
プ セ ル1コ,50mgカ
る 意 義 は深 い。 そ の意 味 に お い て も,そ の検 討 が,対 照
coli X-161を
均66
腹 時 にCinoxacin
る い は200mgカ
4∼6,6∼8,8∼10,10∼12時
を 半減 させ てい る と私 考 して い る。
。 身 長 は164cm∼
体 重 は59kg∼70kg,平
検 討 の第 一 段 階 と して,本 疾 患 で の治 療 効 果 が 検 討 され
薬 との単 純 な治 療 検 討 に 終 る よ うで は,そ の検 討 の意 義
均37歳
均167cm。
間1ml
vitro
model
v)生
作成 した。
菌 数 の 測 定:培
ン グ し,10倍
地 中 よ り1時
希 釈 系 列 に よ るcolony
間 ご とに サ ン プ リ
count法
に て生 菌
数 を測 定 した。 サ ンプ リ ン グ した試 料 中 に薬 剤 を 含 む場
合 に は,薬
剤 除 去 を 施 し た 後 測 定 に 供 し た2)。
〔II〕 二 重 盲 検 法 に よ るdoseres
(1)対
1979年6月
Chemical
name:
1-ethyl-1,
4-dihydro-4-oxo
〔4,5-g〕cinnoline-3-carboxylic
Molecular
Molecular
Melting
formula:
weight:
point:
About
acid
C12H10N2O5
262.22
265•Ž
(Decomposition)
[1, 3] dioxolo-
Ponseの
検討
象
か ら1980年1月
施 設 外 来 を 受 診 し た16∼69歳
ま で の期 間 中 に参 加 診 療
の 女 子 に み られ た 急 性 単
純 性 膀 胱 炎 症 例 を 対 象 と し た 。 た だ し次 の 条 件 を 充 た さ
な い 症 例 は 除 外 し た 。 す な わ ち 発 症 か ら14日
以 内 の他
VOL.30
CHEMOT
NO.3
Fig. 2
Dosage
schedule
HERAPY
261
験,製 剤 試 験 を 星薬 科 た学 薬 剤 学 教 室(永 井恒 司教 授)
に お い て実 施 した 。
(3)
薬剤の割付け
あ らか じめ コ ン トロー ラ ーが 各 投 与群 を お の おの2症
例 づつ 計8症 例 分 を1組 と し,35組280症
例分を無作
為 に割 付け した。
識 別 不能 性,無 作 為割 付 け,Key
codeの
保 管,Key
codeの 開 封 お よび 開封 後 の デ ー タの 不 変 翼,統
計処理
の 公平 性 等に 対 す る 保証 を コン トロ ー ラー の札 幌 医 得 大
学 公 衆 衛 生学 教 室 三 宅 浩 次 教授 に 依 頼 した。
(4)
観察項 目
初 診 日(0日
目),投 与 終 了 後 翌 日(3日
目)に 自覚 症
状,膿 尿検 査,細 菌 学的 検査 を 行 な った。 実施 項 目お よ
び そ の 記 載 はす べ てUTI研
究 会 急 性 膀胱 炎 薬 効 評 価 基
準3)に従 った 。 な お,3日
目が 休 診 日な どの 場 合 は,4
日 目の 検査 を も って 代 え る こ と と した 。
尿中 細 菌 は 各 施 設 で ウ リカル ト(R)(第1化 学 薬 品)に
抗 菌 剤未 使用 の もの で,尿 路 に形 態 お よび 機 能 異 常 の考
え られ な い症 例 。 尿 所 見 が,(1)尿 沈 渣 検 鏡 所 見(400倍
て24時
視 野)で 白血 球 が10/hpf以
て,塩 野 義製 薬(株)製 造 部 微 生 物部 門 に送 付 し,同 定,
ml以
上,(2)尿 中 細 菌 数 が104cells/
上 で あ る もの 。 ま た,妊 娠 ま たは 授 乳 中 の患 者 や
重篤 な肝 腎機 能 障 害 を 有 す る患 者 に は投 与 を 避 け た 。
(2)
MIC測
副 作 用 が 発 現 した場 合,そ の 種類,程 度,発 現 日,処
含 有 したCinoxacinカ
ケジ ュール に従 い,3日
置 お よび 経 過 を 明記 し,消 失 す る まで観 察 した。
(5)
間連 続 投 与 した。Cinoxacinの
お よび50
Key
き,そ の 他 の 症 例 はす べ て評 価 対 象 と した。
デ ー タの 解 析 に は主 と してX2検
定 法 お よびKruskal
Wallisの 順 位和 検 定 法 を 用 い て行 な っ た。な お有 意 水 準
は禁 止 した。
割 付 け時 に コ ン トロ ー ラー が無 作 為 に抜 き と っ た試 験
薬剤 に つ い て,試
** Chemical
codeが 開 か れ る前 に上 記 判 定 を 再確 認 した。な お,
安 全 性 の 評 価 に つ い ては デ ー タの 完 全 欠落 症 例 だ け を 除
たは 副 作用 発 現 に 影 響 を 及 ぼ す と考 え られ る薬 剤 の 併 用
* 0<Trace<2
よび 臨
床 効 果 の 判 定 を 行 な い,さ らに 各施 設 代表 者 に よ って,
の4投 与 群 と した 。 なお,薬 剤 服 用 中,薬 効 ま
Table
症 例 の取 扱 い な らび に解 析方 法
試 験 終 了 後,判 定 委 員 会 に て,除 外,脱 落,お
示す投薬 ス
の成 績 の 項 で 示 す よ うな 根 拠 に 基 づ き,
400mg×2/日,200mg×2/日,100mg×2/日
mg×2/日
50mg,
プ セル と賦 形 剤
のみ の プ ラセ ポ ー カ プセ ル を 用 い,Fig.2に
投与 量 は,後
定 を施 行 した 。な お,念 の ため,各 施 設 で も別 途
菌 数 計 算,同 定 を行 ない 参 考 に した。
投与薬剤
大 きさ の同 し2号 硬 カ プセ ル 中 に,Cinoxacin
お よび200mgを
間 培 養後 菌 数 算 定 し,分 離 され た もの を す べ
験 開 始 前,な
1
らび に 終 了後 に 含 量 試
Plasma levels of cinoxacin
after single
at fasting state by cross over method
.5μg/ml
assay
は,両 側5%を
用 い た。ま た,検 討項 目 ご との 検 定 結 果
に は,有 意 水 準 も付 した。
oral
administration
to 6 healthy
volunteers
(Mean±S.E.)
CHEMOTHERAPY
262
II.成
〔I〕
血 中 濃 度 は,Table
mg,100mg投
与 例 で は,全
1に
な お,100mg投
与 時 の2時
考 の た め,よ
値1.8±0.7
た 。 ま た,別
間 値1.3±0.3
腹 時 投 与 の デ ー タ4)と,今
デ ー タ を み る と,血
responseが
60∼75%排
μg/ml)で
間 お よ び4時
間1
示 し た 。 以 下 の 尿 中 濃 度 の 資 料 は,す
間
あっ
泄 さ れ,尿
らか な
2に
示 す よ う に,12時
間 で
か も,長
μg/ml,
ml, 50 mgで134±34
10∼12時
3±2
μg/m1と
μg/ml,1±
,対
も,Ecoliの
1μg/mlと
な って い た。
持 っ て い る こ と を 考 え る と,1回50
で の 血 中 濃 度 は 低 い が,尿
な りな バ ラ ツ キ を み せ る の
Urinary levels of cinoxacin
after single
at fasting state by cross over method
のpeakを
mg,100
mg投
研 究 の 最 低doseを1
vitro
model
administration
systemに
to 6 healthy
お け る生 菌 数 変 化 の
volunteers
(Mean±SE.)
Table
3
与
設 定 した。
〔五 〕In
oral
か
述す るよ う
中 濃 度 か ら充 分 治 療 効 果 を期
回50mgに
2
あ り,し
μg/mlにMIC値
待 で き る の で は な い か と 考 え,本
Table
2μg/ml,
本 剤 に 対 す る 感 受 性 分 布 は,後
11)1.56∼3.13
μg/
29μg/
μg/ml,9±
象 疾 患 の 起 炎 菌 は 殆 どE.coliで
る 。 た だ 尿 中 濃 度 は,実
験 条 件 の 差 に よ り大 き く変 動 す
与 で858±109
各 投 与 量 と も か な り高 い 。
時 間 あ る程 度 の 尿 中 濃 度 を 保 持 で きる 特 徴 を 示 して い
る 尿 量 の 影 響 を 受 け て,か
べて こ
100 mgで292±
間 の 値 も そ れ ぞ れ20±4
に(Table
中 濃 度 が 比 較 的 高 く,し
仮 定 した 場 合 に 補 正 した 結 果 を
200 mgで599±49
一方
あ っ た。
中 に はTable
mlと
尿 中 濃 度 の ピ ー ク値 は400mg投
ml,
回 の100mg,
中 濃 度 に は,明
3に
の補正濃度を用いている。
あ った 。
μg/mlで
れ を 補 正 す る 必 要 が あ る と考 え る 。 そ こ で す べ て
Table
物
間 の検 体 を 参
1982
尿 量 が1分
に 行 な っ た 成 人 健 康 男 子 ボ ラ ン テ ィ ア12
名 の400mg空
一 方 ,尿
と も,生
り感 度 の よ い 蛍 光 法 で 測 定 す る と,2時
μg/ml,4時
200 mgの
示 す よ うに,50
測 定 時 点 で6名
学 的 測 定 法 で の 検 出 限 界 以 下(<2.5
dose
で,そ
績
血 中お よび 尿 中 濃 度
Cinoxacinの
MAR.
Urinary levels of cinoxacin after single oral administration to 6 healthy volunteers
at fasting state by cross over method (Urine volume was corrected to 1 ml/min.)
(Mean±S.E.)
VOL.30
CHEMOT
NO.3
Fig. 3
Surviving
HERAPY
263
E. coli NIHJ JC-2 after exposure
to cinoxacin
mlの 時 の よ うに 生菌 数 の 急 激 な 下 降 は 認 め られ な か っ
検 討
In vitroに
お け るdose
responseを
た が,6時
確 か め る た め,前
間 後 に は102cells/ml台
記 尿 中 濃 度 推 移 を 経 時 的 に 薬 剤 濃 度 と し てsimulateし
9時 間 で101cells/ml台
た 培 地 内 に お い て,生
度 が細 菌 のMICよ
菌 数 変 化 が どの よ うな も の にな る
mg,100mgの
か を検 討 してみ た。
成 績 はFig.3に
場 合 は3
dose
中 濃 度)と
示 す よ う に,接
種 菌 量105cells/mlの
(200mg,100mgお
も投 与 後2時
下 に ま で 減 少 し,8時
い た 。dose間
間 で,生
よ び50mg投
与 の尿
菌 数 は102cells/ml以
間 後 には 完 全 に 消 失 して し ま って
Table
* Not done
4
場 合 は3
doseと
Pharmaceutical
に 達 して い る。そ の後 の薬 剤 濃
りわ ず か で も高 く保 たれ て い る200
群 では,ほ ぼ その 生 菌 数 が そ の ま ま保 た
間 に いた るが,10∼12時
を 下 回 る50mgの
間 で 薬 剤 濃度 がMIC
群 で は 生菌 数 は 徐 々に ゆ る い上 昇 傾
向 を 示 し 始 め て い た。12時
間 で薬 剤freeに
なれ ば,
101∼2 cells/ml残 存 せ る 細菌 は 当 然 の こ となが ら 再 増 殖
が み られ て い る。
に差 は認 め られ なか っ た。
接 種 菌 量107cells/mlの
れ12時
の レベ ル ま で減 少 し,
も105cells/
studies
on cinoxacin
しか し,こ れ も薬 剤 濃 度 を12時
capsules
used
in the comparative
間 ごと に繰 り返 して
trial
CHEMOTHERAPY
264
MAR.
1982
お れ ば,当 然 完 全 消 失 へ もっ て い け る こ とに な り うる訳
MIC以
で,50mg×2/日
得 に くい の で は な い か とい う こ とが 示 唆 され て い る 。
で もin
vitro実 験 で は,有 効 とな る と
上 に 最後 ま で 維 持 しな けれ ば 充 分 な 臨床 効果 が
推 定 され た 。 しか し,本 実 験 で(1)薬剤 の殺 菌 効 果 が 菌 数
〔III〕二 重 盲 検 法 に よるdose
で 大 き く異 な る こ と と(2)この程 度 の尿 中濃 度 の上 昇 と維
(1)検
持 で,し
薬 剤 割 付 け 時 に,コ
か も菌 数 が 多 い 時 に は 尿 中薬 剤 濃 度 を 細 菌 の
Table
5
Number
Table
6
Table
of cases
Reasons
7
evaluated
for exclusion
Background
responseの
検討
討薬剤の含量試験
for clinical
ン トロー ラー が 無 作 為 に 抽 出 した
efficacy
and dropt-out
of patients
(1)
VOL.30
NO.3
CHEMOT
HERAPY
265
Table
8
Background of patients (2)
Table
9
Background
of patients
(3)
CHEMOTHERAPY
266
Table
*Higher
value
of
MIC
10
was
Sensitivity
selected
Table
11
in
distribution
mixed
Sensitivity
MAR.
of isolates
before
the treatment
infections
distribution
of isolated
organisms
1982
CHEMOT
VOL.30NO.3
Table12
Overall
(400
(
): cases
infected
with gram
Table13
positive
Overall
(200
( ): cases infected
with gram
clinical
mg •~
2/day,
positive
efficacy
3 days
of
cinoxacin
267
in
acute
simple
cystitis
treatment)
cocci
clinical
mg •~
HERAPY
2/day,
cocci
efficacy
3
days
of
cinoxacin
treatment)
in
acute
simple
cystitis
CHEMOTHERAPY
268
Table 14
Overall clinical efficacy of cinoxacin in acute simple cystitis
(100 mg x 2/day, 3 days treatment)
( ): cases infected with gram positive cocci
Table 15 Overall clinical efficacy of cinoxacin in acute simple cystitis
(50 mg X2/day, 3 days treatment)
( ): cases infected with gram positive cocci
MAR.
1982
CHEMOT
VOL.30NO.3
サ ンプル に つ い て,試 験 開 始 前,お
HERAPY
よび 試験 終 了後 に,
269
が あ っ た が,他
星 薬科 大 学 薬剤 学 教 室 に 依 頼 して 薬 剤 の 含 量 試験,製 剤
集 中 し て い たoし
試験 が行 な わ れ た。 そ の結 果 は,Table4の
μg/ml以
は か な り低 い 値 で1.56∼3.13μg/mlに
よ4に,い
(4)
ず れ も規 格 に 合 致す る もの であ った 。
(2)
か し,グ
ラ ム 陽 性 疎 菌 け す べ て800
上 で あ っ た、
臨床効果
各 投 与 群 別 に 臨 床 効 果 を 検 討 し た 結 果 をTable12∼
症 例 構成
薬 剤 を投 与 され た総 症 例 数 は244例
で,各 群60∼62
15に
示
し た。 また総 症 例 を 対 象 と し た 臨 床 効 果 を
例 ず つ で あ った。 この うち臨 床 効 果 の 検 討 対 錬 例 と した
Table16に
のは,Table5に
効 果 を 各 投 与群 別 に 集 計 し,そ
示 す よ うに,各 群44∼56例
除 外,脱 落 症 例 の 内 訳 は,Table6に
(3)
で,そ の
示 し た 。 自 覚 症 状,膿
て,年 齢.発 症 時
布 と,In
も い え る が,50mg×2/日
均 一性 を検 討 したが,Table7,8に
い てCinoxacinの
示 す よ うに,各 投 与
果 に お い て,各
群間 に 有意 差 は 認 め られ な か った。
尿中 分離 菌 の菌 種 別 分 布 を 示 す とTable9の
よ うに
な り各 投与 群 間 に 菌 種 分 布 に 差 は なか っ た。 混 合 感 染 が
12例(6%)か
み られ て い る。 殆 どがE. coliを 中 心 とす
合感 染 の1例
も 含め て
ろ グ ラ ム陽 性球 菌 が分 離 され てい る。 そ
れ ら分 離 菌 に 対 す るCinoxacinのMIC分
10お よび11に
布 をTable
示 した。106cells/mlて の 分 布 で み る と
グラム陰 性 桿 菌 の3株(E.
Table16
( ): cases infected
coli)は25∼50μg/mlの
もの
positive
cocci
vitro
model
system
を 含 め た すべ て の 投 与 群 に お
臨 床 効 果 は 顕 著 て あ っ た 。総 合 臨 床 効
投 与 群 と も有 効 率 は91∼100%と
高 く,
各 投 与 群 間 に 推 計 学 的 有 意 差 は 認 め られ て い な い。 な
お,MICの
高 い球 菌 感 染 例 を 除 い た 有 効 率 は さら に 高
く な っ て お り,97.6∼100%と
な お,投
Fig.7に
い うと ころ まで達 す る。
与 群 間 に は 前 述 の よ う に 有 意 差 は な い が,
み ら れ る よ う に800mg投
与 群 は 他 の投 与 群 に
比 較 し て 行 効 奉 が 高 い 傾 向 を 示 唆 して い る 。
こ の 結 果 を さ ら に 分 離 菌 に 対 す るCinoxacinのMIC
値 に よ り高 感 受 性 群(0.78∼50μg/ml)お
Overall clinical efficacy of cinoxacin
(all cases, 3 days treatment)
with gram
示
に お け る 生 菌数 変 化の 検 討成 績 か らす れ ば 当 然 の結 果 と
期 お よび投 与 前 の 自覚 症 状,尿 所 見 に つ いて 背 景 要 因 の
6例(3%)に
の 結 果 をFig.4∼7に
合臨 床
し た。
分 離 起 炎 菌 のMIC分
る グラ ム陰性 桿 菌 てあ るが,混
菌 尿,総
示 した。
背景因子
臨 床 効果 の 評 価 対 須 とな った197例
尿,細
in acute
simple
cystitis
よひ 低 感受 性
270
CHEMOTHERAPY
Fig. 4
Efficacy
Fig. 5
Fig.
on
Efficacy
6
Efficacy
Fig. 7
Overall
MAR.
symptoms
on pyuria
on
bacteriuria
clinical
efficacy
1982
CHEMOT
VOL.30NO.3
Fig.8
群(800μg/ml≦)の2群
してみ た。Fig.8に
MIC of cinoxacin
HERAPY
and overall clinical efficacy (106 cells/ml)
に 区 分 し,総 合臨 床 効 果を 検 討
み られ る よ うに,800mg投
271
Fig.9
Correlation
clinical
与群は
of MICs,
efficacy
urinary
levels
and
of cinoxacin
他 の投 与量 の 少 な い 群 に 比較 す る と,高 感 受 性 菌 分 離 症
例 では 差 は認 め られ て い な い が,低 感 受 性 菌 分 離 症 例 に
お いて は,有 効 率 が 著 明 に高 くな っ て い る。 お そ ら く尿
中 濃度 との関 係 て,こ
の よ うな 成 績 と な った の で あ ろ
う。 これ は,Fig.7で
の800mg投
与 群の 高 有 効 率 の理
由を説 明す る一 つ の デ ー タ とい え よ う。
(5)臨
床 効 果 と分離 菌MIC分
布 との 関 連性
尿中 薬剤 濃 度 が 臨 床 効 果 に重 要 な意 味 を もつ と考 え ら
れ てい るが,実 際 に 今 回 のtrialに
おけ ろ臨 床 効 果 と,
尿 中薬 剤濃 度 との 関 係 が どの よ うに な って い るか 興 味 あ
る ところ であ る。
そ こで各doseで
得 られ る 尿 中濃 度 とそ のdoseで
臨 床効 果 が,分 離 細 菌 のMIC分
なるか をFig.9に
の
布 と どの よ うな 関 係 に
示 した よ うな 図 を書 いて 検 討 して み
た。
図中 に示 す よ うに,ま ず 分 離 菌 のMIC累
画 き,そ れ に 各doseに
積率曲線を
よっ て 得 られ る 薬 剤 尿 中 濃 度
(左右 が 治療 中 の 最 高 最低 濃 度 を示 す)と,そ
た め,薬 剤 のdose別
Table中
のdoseで
効果 を 分 離 細 菌 のMICと
に て検 討 して み た 。 そ の ま とめ がTable17で
の関 係
あ るが,
に み られ る よ うに 治 療 前 分離 菌 のMICが800
の臨床 効果 の 著 効 率 と有 効率 を上 下 に と った 有 効 率 マ ス
μg/mlと 高 い も の で は 残 存 菌 も 同 じ高 い800μg/mlの
を 書 き入れ てみ た 。各doseの
MICを
有 効 率 マ スがMIC累
積率
示 して い た(そ れ らは す べ て グ ラ ム陽 性 球菌 で
曲線に ほぼ 重 な って い る とい う所 見 に な っ て い る。 これ
あ る)。 と ころ が,治 療 前 分離 菌 のMICが
は,丁 度各doseで
療 後菌 が残 存 した もの は 大 部 分 治療 前 の菌 よ りMICが
きるMICま
得 られ る薬 剤 尿 中濃 度 でcoverで
で の菌 を分 離 す る症 例%に 匹 敵 す る臨 床 効
は,薬 剤 尿 中 濃
度 と細 菌除 去 率 で つ くる著 効,有 効 率 マ スがMIC累
曲 線 と重 な ら ず,薬 剤 濃 度 の1/2でcoverし
MICの
上 と高 値 に 上 昇
して い る。 こ の デ ー タを み る と,治 療 前 分 離 菌MIC別
果 上の 有効 率 を 得 られ る こ とを 示 して い る訳 で あ る。
前 にわ れ わ れ が報 告 したMiloxacinで
高 くな っ て お り,殆 ん どが100μg/ml以
低 い もの で 治
積
てい る
分離 菌 累 積 率 相 当 の 有 効 率 しか 得 られ て い な か
有 効 率 を 云 々 して も,そ の 菌 は す べ て 消失 して しま って
い て,別 のMICの
高 い 菌 が 出 て い た の で は正 確 な治 療
前 菌 の 消 失 率 とい え な くな って しま う。
こ こで 問題 とな る のは 治 療 前 の 分 離 菌 よ り高 いMIC
上 述 の よ うな 成 績
の 菌 が 残 存菌 と して 出現 す る こ とで あ り,そ の理 由 と し
を得 られ て い る こ とは 本 薬 剤 の 臨 床 使 用 上 の 一 つ の 有 利
て は 新 た な菌 に よる 感染 で あ る とす る よ り,初 め か ら感
な点 とな る と考 え られ る。
染 して い たminor
った こ とを 比較 すれ ばCinoxacinが
と ころで,こ の 図 の 所 見 を さ らに 詳 細 に 分 析 して み る
floraが 治療 でmajor
fioraの 消 失 し
た あ と増 菌 した と解 釈す る方 が 妥 当で あ ろ う。
CHEMOTHERAPY
272
MAR.1982
Table 17 MIC of cinoxacin and efficacy on bacteriuria
(106 cells/ml)
* Urinary concentration of cinoxacin (see Table 3)
():
MIC of strains isolates after treatment
N.D.: Not done
しか もTable18に
ま とめ た よ うに 菌 が103≦ に 残 存
評 価 す る方 が現 実 的 な デ ー タ とい え る。 そ こ で強 調 して
して いて も尿 中 白血 球所 見 や 自覚症 状 の残 存 度 が まち ま
お きた い こ とは,こ のTable19の
ち で あ る。 菌 が い るか らな お炎 症 が残 っ て い る とは い い
示 を試 み る と,そ れ がす なわ ち 前 述 のFig.9に
切 れ な い デ ー タで あ る。一 部 の菌 は ただ 残 存 す るだ け で
である。
病 原 性 に つ い て は 疑わ しい とい え る もの さえ あ る。 し
か も面 白 い こ とに は,800mg/日
投 与 群 で は,菌
が残存
す る に も拘 らず 臨床 所 見 の 改善 例 が多 い とい う事 実 もあ
る。 そ こで,む
MICと
しろTable19の
よ うに,治
療前菌の
臨 床 効 果 との 関 係 を薬 剤 の 尿 中 濃 度 と 比 較 で き
所 見 を 別 の形 での 図
な るの
この よ うな 図示 に よ り,臨 床 効 果 を検 討 して ゆ くこ と
は,今 後 尿 中濃 度 の定 義 を考 え て ゆ く上 に,種 々 な示 唆
を与 え る も の と私 考 して い る。
(6)副
作用
Cinoxacin服
用 に よ り 訴 え られ た 副 作 用 的 愁 訴 を ま
る よ うな 形 で 表 示 して検 討 す る方 が,臨 床 所 見 と よ り符
とめ る とTable20に
示 した よ う に な る。 主 と し て
合 す る治 療 効 果判 定 表 とな る と考 えて い る。 この よ うに
Quinolonecarboxylic
acid系 抗 菌 剤 に一 般 的 な 胃腸 障害
VOL.
30
CHEMOT
NO.3
Table
*Treated
as "Eliminated"
18
HERAPY
Comparison
of symptom, pyuria
before and after treatment
in Table
273
and MICs
of isolates
17
が殆 ん どで あ り,す べ て 特 に 処 置 を 施 さず に薬 剤 の3日
間投与 が 可能 で,症 状 は 投 与終 了 と と もに 消失 した。 副
れ て い る5)。
本 治 療 検 討 の対 象 と した女 子 急 性 単純 性 膀 胱 炎 の主 た
作用 の発 生頻 度 に つ い て,投 与 群 間 に推 計 学的 な有 意 差
る 起 炎 菌 で あ るE.
は認 め られ なか った が,や
106cells/mlで3.13μg/mlに
は り投 与量 が 多 くな る に つ
れ,多 少 多 発化 の 傾 向 に あ る事 を 示 唆 す る デ ー タ とい え
6.25μg/ml以
よ う。
1idixic
III.
Cinoxacinの
あ り,RNAへ
考
coliに
対 す るCinoxacinのMICは
ピ ー ク を も ち,82%は
下 に 分 布 し,そ
acidと
のMICは
同 系 薬 剤Na-
ほ ぼ 同 様 な 分 布 を 示 し て い る と報 告 さ れ
て い る6)。
案
薬 理 作 用 は 細 菌 のDNA合
between
成阻害作用で
の 作 用 は ほ とん ど な く,蛋 白合 成 に 対 し
て も,あ ま り作 用 を 示 さず,人 細 胞 には 影 響 は ない と さ
た だ,尿
lidixic
中 回 収 率 が12時
acidの7.6%よ
間 で59.4%と
高 く,Na-
りは る か に 高 い 点 が 臨 床 上 意 義
あ る と こ ろ と い え よ う6)。 そ の た め 尿 中 濃 度 を 充 分 な 高
CHEMOTHERAPY
214
Table
*
Urinary concentration
N.D.: Not done
19
MIC of cinoxacin
and overall
efficacy
(106 cells/ml)
20
Side effect
P=0.355
さに 長 時 間維 持 し うる 訳 で,今
mg投
clinical
1982
of cinoxacin (see Table 3)
Table
N.S.
MAR.
与 で も12時
coliのMIC値
回 の 検討 で も1回100
間 まで は4μg/mlを
与
保持 して い る こ とも
明 らか に な っ て お り,こ れ が 今 回 の 成 績 で,1回50
投 与 で も か な り高 い有 効 率 が 得 られ た こ
とを説 明 して い る とい え よ う。 起 炎 菌 がEcoliで
を 保 持 で きて い る こ とは 臨床 的 有 用 性 を
高 め て い る理 由 と考 え られ る。さ らに,1回50mg投
で さえ も10時
mg,1日2回
間後 の 尿 中濃 度 が3μg/mlとE
な らば,そ のMIC分
布 か ら考 え1日100mg投
ある
与でも
充 分 な 臨 床 効 果 が 得 られ る筈 で あ る。
た だ,本 薬 剤 も他 のQuinolonecarboxylic
抗 菌 剤 と同 様,グ
acid系 合成
ラ ム陽 性 球 菌 に 対 す るMICが
高いと
VOL.30
CHEMOT
NO.3
HERAPY
275
い う一 つ の問 題 点 が あ る。 た だ,最 近 は,そ の グ ラム陽
き る とい え る。 これ は 臨 床 使 用上 心 す べ き点 で,巷 間,
性 球菌 が女 子 急 性 単 純 性 膀 胱 炎 の 起 炎 菌 と して分 離 され
膀 胱 炎 は 水 分 を 多量 摂 取 し,排 尿 回 数 を増 や す方 が 良 い
る頻度 は低 下 傾 向に あ り,10%以
と考 える風 潮 な き に しもあ らず で あ る が,そ の よ うな誤
下 に な りつ つ あ る。 し
か し,本trialの よ うに 比 較 的 大 量 の400mg1日2回
投
った 考 え を改 め るべ きで あ る と指 摘 して お きた い。
与 を行 な った群 で は,か な り高 い薬 剤 尿 中濃 度 が 得 られ
尿 中 濃度 の臨 床 的 意 義に つ い て はSTAMEY(1974)9)ら
るた め,そ の グラ ム陽 性 球 菌 感 染 例 で も推 計 学 的 有 意 差
もす で に指 摘 して い る と ころ で もあ る が,尿 路 感 染 症 の
はで なか ったが,総 合 臨 床 効 果 判定 上 良成 績 を得 て い た
有効性 と尿 中 濃 度 とは 極 め て 密接 な関 連 性 が あ り,そ れ
ことは,臨 床 上 示 唆 に とん だ デ ー タ とい え よ ら。 起 炎 菌
は 今回 のわ れ わ れ の デ ー タで も,ま た,さ きに 発 炎 して
不 明 の場 合,グ ラ ム陽 性 球 菌 感 染 例 に も有 効 性 を期 待 し
あ るMiloxacinで
つつ治 療 しよ うとす るな らば,1口800mg投
る と考 え て い る。
与が望 ま
しい と い う こ とに な ろ う。 と ころ で800mg投
与 で,
もし使 用上 問 題 が あ る とす る な らば,そ れ は 副 作 用 の 発
現 頻度 で あ ろ う。 本trialで
もdose
のデ ー タで も 明 らか に 証 明 され て い
response的
に投与
謝 辞:In
vitro model systemに
検 討 お よびMICの
量 の増 加 とと もに 副 作 用発 現 頻度 の 増 加 傾 向が み られ て
薬(株)製 造 部微 生 物 部 門,加 藤
い る。 しか し,推 計 学 的 には 有 意 差 は 出 て い な い 。 熊 沢
軒末 和氏 に謝 意 を 表 し ます 。
(1980)のCinoxacinの
群,800mg投
あ り,1日400mg投
与
1)
(別論文 で 発表),800mg投
与群 は,他 の400mg投
3)
4)
得 られ た こ とか ら考 え て も,充 分 な 治療 効果 を期 待 す る
時は800mg投
要 す るに,本 剤 を 臨床 使 用 す る場 合,治 療 開 始 時 の 起
炎菌 検査 能力 との 関連 で,投 与doseに
考慮が必要であ
用 で1.54±0.44時
をみ る8)。ま た,Cinoxacin単
独 の 腎Clearance値
152.6±59.8ml/min/1.73m2で
あ るの に 比 べ,proben-
ecid併 用 では65.8±8.7ml/min/1.73m2と
7)
大 越 正 秋,
河 村 信 夫(UTI研
神 木 照 雄,
は
8)
濃度 が高 い程 臨床 有 効率 が 高 い とい う臨 床 的 な観 点 か ら
Cinoxacinの
28 :
臨床第一相試
: 104∼123,
1980
of
RChe-
1978
日本 化学 療 法 学 会 東 日本 支 部
新 薬 シ ソ ポ ジ ウ ム。Cinoxacin,
東 京,
K.
S. ;
BRUNSON,
effect
18
: 491•`499,
STAMEY,
A.
Serum
trations
New.
量 を抑 え ぎみ にす る方 が,よ
1974
H.
R.
J. F.
:
the
M.
副 作 用(各
種尿路感染症
368∼
1980
WOLNEY
9)
Cinoxacinの
の 検 討)。Chemotherapy28(S-4):
ISRAEL,
すれば,本 薬 剤 で 治療 中 は,あ ま り水 分 摂 取 を せ ず,尿
り有 効 性 を あ げ る こ とが で
1980
究 会 代 表) : UTI
688∼689,
第26回
熊 沢 浄 一:
K.
高 い ことを 意 味す る。
換 算 して尿 量 の影 響 の 除 去 に 努 め た 。 尿 中
山 田 秀 雄:
大 越 正 秋:
376,
な って い
そ の点 を考 慮 して 今 回 の検 討 で の 尿 中濃 度 を尿 量 を1
殺菌効果
: 1887∼1894,
OTT, J. L. & R. S. GORDEE:
Inhibition
factor transfer
by
cinoxacin.
Current
906例
て8), この こ とは 腎 の 近 位 尿 細 管 よ りの 排 泄 率 がか な り
分間1mlに
最 新 医 学35(9)
1980
Sodiumの
1979
間 と され て い る
間 と著 しい延 長
Cephfalothin
(第2報)。
総 会,
本薬 剤 の血 中 半減 期 は0.96±0.16時
: 563∼581,
博,他:
motherapy1:
6)
る とい うこ とに な ろ う。
が6),probenecid併
加藤
response
お け る 検 討)。
験 。Chemotherapy28(S-4)
5)
与 が 望 ま しい と もい え る。
:女 子 急 性 単 純 性 膀 胱
(尿 路 感 染 症) 薬 効 評 価 基 準 。Chemotherapy
321∼341,
1980
与群
以下 の少量 投 与 群 よ り再燃 率 が や や 低 い とい うデ ー タが
設)
Chemotherapy28(4)
2)
また,本 試験 で3日 間 治 療 後 菌 消 失 例 に つ い て ブ ラセ
ーボを7日 間 服用 させ た 後 の 再燃 率 を 検 討 した とこ ろ
献
他(9施
に 関 す る 研 究(Miloxacinに
も問 題 は な い と判 断
して よい と考 え て い る。
熊 本 悦 明,
炎 に お け る 抗 菌 剤 治 療 効 果 のdose
与 群 の 間 に 差 異 は な か った とされ て い
る。 そ の点 を 考 え る と,800mgで
博,西 村 欣 也 お よび 三
文
全 国 集計7)で も全 体 と して 副 作
用 の発 現頻 度 は わず か3.6%で
おけ る生 菌 数 変 化 の
測 定 に際 し,御 協 力 戴 い た 塩 野義 製
BLACK,
NASH,
Cinoxacin
of
T.
R.
G.
L.
L.
NELSON,
BRIER
&
M.
J.
: Pharmacokinetics
probenecid.
D.
and
J. Clin.
Pharmacol.
1978
A.
;
MILLAR,
W.
G.
versus
R.
FAIR,
MIHARA
urinary
in
cure
of
Engl.
J.
Med.
&
M.
M.
TIMOTHY,
Y.
C.
LOWERY
antimicrobial
concen-
urinary-tract
291
(22)
infections.
:
1159•`1163,
:
CHEMOTHERAPY
276
A DOSE-RESPONSE
STUDY
ON ACUTE
MAR.
ON THE
SIMPLE
THERAPEUTIC
CYSTITIS
EXAMINATION
1982
EFFECT
IN WOMEN:
OF CINOXACIN
YOSHIAKI KUMAMOTO, AKIRA NISHIO, SYUNJI IKEGAKI,
TAIJI TSUKAMOTOand
Department
of Urology,
SHIGERU SAKAI
Sapporo Medical College
KATSUYUKI MITOBE
Department
of Urology,
Sakata Municipal
Hospital
AKIO HONMA and TATSUO AOYAMA
Department
of Urology,
Japan Red Cross Asahikawa
Hospital
TAKAHIRO TAMIYA, KEIJI TAKATSUKA and SHINICHI MIYAMOTO
Department
of Urology,
Sunagawa
SHOGO SHIMAMURAand
Department
of Urology,
of Urology,
Hospital
MASAHIRO HIKITA
Sapporo Teishin
MASAOKI TERADA and
Department
Municipal
Hospital
CHOSYO ENATSU
Tomakomai
Oji General Hospital
NAOHIKO KODAMA
Department
of Urology,
General Muroran
HITOSHI TANDA, SYUJI KATO and
Department
of Urology,
Department
of Urology,
Higashi
City Hospital
SHIGEKI OHNISHI
Sapporo Sanjukai
Hospital
SEIJI FURUYA
Japan Red Cross Kitami Hospital
HIROTSUGU MIYAKE
(Controller)
of Public Health, Sapporo Medical College
Department
A
dose
was
response
(1)
3•}2
(2)
less
major
(3)
the
than
clinical
And
group
100
the
and
dose
the
CINX
dose
of
from
MIC
causative
cinoxacin(CINX)
after
10-v12
CINX
400,
on
acute
simple
cystitis
in
women
urine
in
hours
in
200,
the
6
100
healthy
and
patients
50
was
male
mg
E.
volunteers
were
20
+4,
respectively.
coli,
and
98.
2%
of
those
E.
coil
values.
organisms
efficacy(effective
mg/day(b.
more
were
Gram(+)
cocci,
and
the
MIC
values
of
those
rate)
i. d.)
higher
as
of
100,
was
CINX
97.
100,
91,
96
respectively.
6,
98.0
and
and
With
97.
8%
for
91%
for
the
exception
the
each
the
each
of
dose
dose
group
Gram(+)
group
of
of
cocci,
800,
400,
respectively.
response
800
of
,ug/ml.
100
was
a
isolates
in
clinical
mg/day
of
of
effect
method.
of
for
,ug/ml
clinical
200
efficacy
and
therapeutic
blind
,ug/ml
800
Overall
400,
on
double
part
3. 13
of
higher
800,
the
1•}1
than
percents
were
a
concentrations
and
The
was
6
by
Urinary
9•}2,
200
study
performed
mg/day
of
CINX
showed
of
CINX
was
no
seen
significant
best
dosage
difference,
in
the
but
study.
considering
Gram
(+)
cocci,