[430]“饭后百步走”――わたくしの健康法 成語・ことわざ雑記(28)

上野先生と歩こう 中国語遊歩道 『中国のことばと文化Ⅱ』
[430]“饭后百步走”――わたくしの健康法
成語・ことわざ雑記(28)
(109)本と土と微量の酒を友に
今年 2015 年の年賀状に「わたくしは昨年秋に後期高齢者の仲間入りを致しましたが,幸い健康に恵
まれ,本と土と微量の酒を友に気ままな山麓生活を楽しんでおりますので,他事ながらご放念くださ
れたく存じます」と書いたら,後日,顔を合わせた何人かから「健康の秘訣は?」と尋ねられた。
決して頑強とは言えないが,生まれてこの方一度も病院に通った記憶がないのであるから,まあ健
康法の一つくらい披露させてもらう資格は十分あるかと思う。
ところが,「これがわたくしの健康法です」と誇れるような秘訣は,いくら考えても思いつかない
のである。決して出し惜しみしているわけではないが,そう思われても困るので,或いは多少は健康
維持に役立っているかなと思われるいくつかの格言を,以下に記すことにする。
(110)春は厚着,秋は薄着
〇“春捂秋冻,老来无病”chūn wǔ qiū dòng,lǎo lái wú bīng
「風邪は万病の元」と言われるが,風邪をひかないためには季節の変わり目,特に春先と晩秋が要
注意である。春が来たというので急に冬着を脱いで薄着に着換えたり,冬が近づいたというので急に
厚着をしたりしないで体を徐々に季節の変化に慣らせていくのがよい。
“捂”は覆う,閉じ込める意で,厚着すること。“冻”は冷やす,凍らせる意で,薄着すること。
後半の“老来无病”は老いても病気をしないということ。“老来无病”の代わりに“一年不生病”(yī
nián bù shēngbìng)という人もいる。
(111)食べたら動く
〇“饭后百步走,活到九十九”fàn hòu bǎi bù zǒu,huódào jiǔshijiǔ
直訳すると「食後 100 歩歩けば 99 歳まで生きる」だが,もちろん 100 歩と 99 歳に限られるわけで
はない。食後の軽い運動は長寿のもとであるというのである。
わたくし自身は食後は散歩の代わりに庭に出て雑草を抜いたり落ち葉や枯れ枝を掻き集めて焚き火
をしたりして過ごす。
特に運動というほどのものはしないが,筑波山麓のかなり辺鄙な所に住んでいるので,ほぼ日課に
なっている郵便物の投函やそのついでの散策で,たいてい 1 万歩は歩いている。車を使えばと家人は
笑うが,よほどの悪天候か重い荷物でもない限り,徒歩で済ませる。
(112)腹八分目
上の“饭后百步走,活到九十九”に似たことわざに,
〇“饭后三百步,不用进药铺”fàn hòu sānbǎi bù,bù yòng jìn yàopù
がある。こちらは 300 歩だが,要するに 100 歩にしろ 300 歩にしろ軽い運動をすすめているだけで,
大きな違いはない。そうすれば薬局通いをしないですむというのである。わたくしの散歩コースに大
きな薬屋があるが,中に入ったことがない。
〇“八分饱,不求医”bā fēn bǎo,bù qiú yī
腹八分に医者いらず。解説するまでもないだろう。満腹するまで食べずに八分目くらいに控えてお
けば医者のお世話にならずにすむということ。
2015/12/4
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