相続分の譲渡と放棄

第
四
十
三
号
発行日:平成27年11月1日
~資産税耳より情報~
発 行 元: 税 理 士 法 人 望 月 会 計
相 続 手 続 そ う だ ん 室
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相続分の譲渡と放棄
相続分の譲渡と相続分の放棄とは何か、又どの様な時に使ったら良い
のでしょうか!?
【相続分の譲渡】
相続人は、自分自身の相続人という身分を譲渡することはできません。しかし、
相続人が有する「相続分」は財産的価値があり、相続人は、相続開始時点以後遺産
分割時点に至るまでの間は、自己の相続分を他の共同相続人や第三者に対して譲渡
することができます。
(参考条文、民法第905条)
効力発生要件としまして、譲渡人と譲受人の意思の合致が必要となります。
(譲渡
契約など)
その効果:譲受人が相続人である場合は、譲渡人の相続分を承継し、譲受人が第三
者の場合は、譲渡人に替わり遺産分割協議に参加することとなります。いずれも、
譲渡人は、遺産分割協議から脱退することとなります。
有効なケース:①内縁の妻など(非相続人)を遺産分割に参加させたい場合
②共同相続人が遺産分割協議に係わりたくない場合
【相続分の放棄】
共同相続人がその相続分を放棄することです。
(放棄した共同相続人の相続分
は、他の残された共同相続人に帰属する。
:単独行為)
その効果:放棄した共同相続人は、相続人としての身分は維持しつつ、自己の有す
る相続分がゼロとなります。
有効なケース:①譲渡と同様に共同相続人が遺産分割協議に係わりたくない場合
(注意事項)
・
「相続分の譲渡」に関しましても、課税科目は相続税となります。そ
の他相続人以外への有償譲渡か無償譲渡かにより、
譲渡所得が発生したり、贈与税が発生します。不動
産取得税も要注意です。
・各制度を利用するに際し、相続財産に債務のある
場合は、慎重な取扱が必要となります。
(債務は、
譲渡、放棄が出来ない。
)
・
「相続分の放棄」は、
「相続放棄」と間違えやすい
のでご注意下さい。
ご利用の際は、複雑な知識や手続が必要となり
ます。慎重にご対応下さい。