市川税理士事務所通信10月130号(後見人報酬 相続税と所得税)

10月
税務・会計・経営・金融ミニ情報
後見人報酬 相続税と所得税
亡くなった方(被相続人)が認知症で、後見人(相続人)が付いていた場合の相続税の申告書を作成
しました。後見人が報酬付与の審判を申し立てて裁判所が報酬額を決定しました。最近はこうした
事例が増えてきているようです。
成年後見人が、
通常の後見業務を行った場合の報酬は、
通常月額2万円程度です。
●管理財産額が 1,000万円を超え5,000万円以下の場合 月額3万円∼4万円
●管理財産額が 5,000万円を超える場合 月額5万円∼6万円
となっています。
東京家庭裁判所においては、
保佐人、
補助人も同様との事です。
成年後見人等が複数の場合には、基本報酬額と付加報酬額を、分掌事務(割り振りしている事務権
限)の内容に応じて、
適宜の割合で按分
(分ける)
。
さて、この後見人への報酬は相続税の計算上債務控除として相続財産から控除できると考えてい
ます(相続税が減ります)。その一方でこの報酬は後見人の雑所得(後見人が司法書士等で業務とし
て行っている場合は事業所得)
として所得税・住民税が課税されます。
相続税率は10%∼ 所得税・住民税率は15%∼となっていて、相続税が減る金額よりも支払う所
得税・住民税が増える金額の方が多いというケースになりました。
他に相続人がいれば報酬付与の審判をする意義もありますが、他に相続人がいなければ何もせず
に相続した方が手許には多く残るケースもあると思います。
今後、後見人の相談を受けた際には後見人報酬についても注意していかなければなりません。
用語解説
●成年後見制度:認知症、
知的障害、精神障害などの理由で判断能力の
不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわ
りの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約
を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこ
れらのことをするのが難しい場合があります。また、自分に不利益な
契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の
被害にあうおそれもあります。
このような判断能力の不十分な方々を保護し、
支援する制度です。
●成年後見人に選ばれる人:本人のためにどのような保護・支援が必要かなどの事情に応じて、
家庭
裁判所が選任することになります。本人の親族以外にも、法律・福祉の専門家その他の第三者や、福
祉関係の公益法人その他の法人が選ばれる場合があります。成年後見人等を複数選ぶことも可能で
す。また、成年後見人等を監督する成年後見監督人などが選ばれることもあります。
法務省HPより抜粋
http://www.moj.go.jp/content/001130908.pdf
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