Thermal Analysis Excellence DMA/SDTA861e STARe システム Innovative Technology Versatile Modularity Swiss Quality 動的粘弾性測定装置 新たな基準の設立 DMA/SDTA861e 精密測定の技術と柔軟な拡張性 動的粘弾性測定装置(DMA)は、周期的な応力を与えたときのサンプルの機械的・粘弾 性特性を温度、時間または周波数の関数として測定します。対象となるサンプルは、プラ スチック、エラストマー、セラミック、金属および複合材です。 DMA/SDTA861e の特長 n 変位と荷重を実測 – 正確な弾性率測定が可能 n 幅広い設定荷重:0.001 N∼40 N – 軟らかいものから硬いものまで測定可能 n 幅広い周波数領域に対応:0.001∼1000 Hz – 実用領域から高周波数領域まで測定可能 n 革新的なサンプルホルダー – サンプルの取り付け作業は装置外部で行うことが可能 n サンプル温度を測定 – SDTA測定により熱的事象だけでなく正確な温度校正も可能 n 幅広い弾性率範囲 – 単一のサンプルホルダーで幅広い温度領域が測定可能 モジュラー構造により、ニーズに合わせて後でのアップグレードも可能 DMA は材料プロセスエンジニア、 研究開発の方々に、以下の特性 について定量的・定性的な情報 を与えてくれます。 • ヤング率、弾性率 • 減衰特性、粘弾性特性 • ポリマーの分子構造/形態 • 流動性、緩和特性 2 周波数領域: 0.001 ∼1000 Hz 1 kHz までの周波数領域で測定 が可能になりました。1 Hz 以上の 領域は短い時間で測定できます。 幅広い弾性率により精密な測定 が可能に DMA/SDTA861e は 6 桁以上の弾 性率の変化が測定できます。これ により、粘弾性からガラス転移ま でをサンプルのジオメトリーや測 定モードを変えることなく、一度 に測定できます。そのため、2 つ の異なる測定結果をつなぎ合わ せる必要がありません。また、軟 らかいものから硬いものまで、さ まざまなサンプルの測定が可能 です。 果、サンプルの変位量のみを測定 できます。これにより遅延時間( すなわち位相のずれ)の精度が高 まります。さらに、LVDT センサの 温度依存性を測定し、リファレン ス温度からの偏差を補正すること で変位測定の再現性はさらに向 上します。 正確な変位測定 LVDT は、ナノメーターの分解能で サンプルの変位を測定します。こ の LVDT はサンプル近傍に取り付 けられているのでスタンドの変位 の影響を除くことができ、その結 3 DMA/SDTA861e これまでにない高い性能 応力と変位を直接測定 応力 : 最大 40 N 幅広い周波数領域 : 1 mHz∼1 kHz 革新的なサンプルホルダー サンプル温度の測定(SDTA) 幅広い弾性率範囲 圧電結晶を用いた応力の測定 従来の DMA では印加電流のグラ フを用いて応力を設定していまし たが、DMA/SDTA861e では圧電結 晶を用いてサンプルにかかってい る応力を直接測定します。そのた め、摩擦や膜にかかる応力を補 正する必要はありません。また、 応力を直接測定することにより、 通常の DMA ではできなかった モードでの測定、すなわち、応力 または変位のコントロールが可能 になりました。 幅広い応力範囲 弾性率は変位と応力から決まり ます。サンプルにかける応力は サンプル特性と測定温度に依存 しますが、DMA /SDTA861e では 1 mN から最大 40 N まで設定可 能です。 革新的で使いやすいサンプルホ ルダー DMA/SDTA861e のサンプルホル ダーは、測定作業時間を短縮す るため新たに設計されました。サ ンプルは装置の外でセットしま す。また、サンプルホルダーは簡 単に装置本体に取り付けること ができます。この設計により、例 えば、曲げモードから引っ張り モードへの変更が別途、装置を 調整することなく行えます。 専用のアルゴリズムによるシグナ ル解析 ドイツの Ulm 大学で開発された 専用のフーリエ変換アルゴリズム を用いることにより、計算の高速 処理とドリフト補正が実現しまし た。これにより応力と変位を正確 に測定でき、その結果、正確な弾 性率が得られます。 自動オフセットコントロール サンプルに印加される応力と変 4 位の測定のため、自動オフセット コントロールが開発されました。 測定中にひずんだ正弦波が検出 された場合、サンプルに応力が十 分かかっていないことになります が、自動オフセットコントロール は自動でこれを補正します。 (静 的応力を用いたアプリケーション) 高い精度を生み出す動作原理 DMA/SDTA861e の動作原理は、 通常の DMA 装置と多くの点で異 なります。その装置重量により、 共振周波数は測定周波数以上の 約 1500 Hz となります。さらに、 サンプルは応力センサに直接セッ トされるため、サンプルにかかっ ている応力が実測できます。この 技法はドイツの Ulm 大学 Institute of Dynamic Material Testing で研 究開発されたものです。 参照標準にトレーサブルな装置 校正 温度、応力、変位の校正は参照標 準に基づいて行われます。サンプ ル近傍での温度測定(SDTA )は 純物質の融点を用いた温度校正 を可能にします。ゲージブロック により変位が、ばねにより応力が 校正できます。ゲージブロックに よる軸の校正後は、Z 軸方向での 自動長さ調整が1 µm のステップ で可能になります。 応力を変位で割ったものに、サ ンプル形状から決定される形状 係数をかけることで弾性率が求 められます。固定部と可動部は 3 次元同軸調整器を通じて調整可 能なので、応力はサンプルに対し て正確に 90°の角度で印加でき ます。 サンプル温度測定 温度校正には特に注意が必要で す。温度センサはサンプル近傍に セットされているため、熱量変化 も同時に測定できます。 (SDTA) 有用なソフトウェア 新たな機能が、わかりやすく実行 性のある STARe ソフトウェアに加 わりました。重要な機能として、 • 室温と測定開始温度でのサン プル締め付け確認 • 実数軸、または対数軸での評価 • マスターカーブの作成(時間-温 度換算則) サンプルが正しく締め付けられて いるかどうかを、測定前の室温お よび測定開始温度で確認できま す。動的粘弾性測定では弾性率は しばしば何桁もの大きさで変化 しますので、対数軸表示は有用で す。もちろん、対数軸表示での解 析が可能です。 小さな炉内容積 DMA/SDTA861e の炉は 2 つの対 称パーツから構成されています。 このデザインにより炉内容積を 最少にでき、望ましくない温度勾 配を排除します。各炉の温度は常 にモニターされ、そのずれは直ち に補正されます。 ヒータ周りは 、液 体窒素が揮発する 熱交換部になって います。測定中、冷 却効果は炉内の雰 囲気を介して伝導されるため、測 定結果は冷却ガスの流入に影響 されません。 また、気化した液体窒素を直接炉 に吹きつけることで高速冷却が でき、迅速に測定を開始すること もできます。 炉内は、吸気バルブを経由して不 活性ガスから酸化性ガスへと変 更できます。炉はキー操作一つで 開閉でき、また、炉を支える 2 つ の腕を装置背面に回すことで作 業は容易に行えます。 5 DMA/SDTA861e さらに、時間 -温度換算則により マスターカーブの作成が可能にな ります。これは高周波数でのサン プルの挙動が低温での挙動と類 似していることを基づいており、 直接測定できない周波数領域へ 補外することでサンプルに関する 幅広い情報が得られます。 さまざまなプログラミングメソッド STARe ソフトウェアでは以下のメ ソッドが使用できます。 • 等温/昇降温測定 • 単一、シリーズ、マルチ周波数測定 • 周波数掃引測定 等温、昇降温セグメントからなる 温度プログラムを作成できます。 あわせてサンプルに印加する応 力と変位を設定できます。単一周 波数での測定が最も定量的な結 果を与えてくれます。周波数依存 性の検討には、測定中に一連の 設定周波数で連続的に測定する シリーズ周波数測定と、4 つの周 波数(基本周波数の 1 倍, 2 倍, 5 倍, 10 倍)を同時測定するマ ルチ周波数測定の 2 つの方法が あります。どちらの方法において も各周波数におけるカーブが得ら れます。これにより、ガラス転移 6 のように周波数に依存する効果 と、融解のように周波数に依存 しない効果とを容易に区別でき ます。 また、等温での周波数掃引測定 も興味ある方法です。等温測定に よりサンプル内の温度勾配の可 能性を排除でき、さらに、一回の 測定で幅広い周波数での測定が 可能です。周波数の間隔は線形、 または対数ステップで設定でき ます。この測定作業は通常、マス ターカーブの作成のために用い られます。 他の興味深い測定方法として応 力、または変位の掃引測定が可 能です。等温において応力、また は変位の大きさを変化させるこ とにより、線形領域を決定するこ とができます。 DMAの理論 測定された応力 Fa と変位の大きさ La 、および位 相のずれから弾性率が算出されます。 • 引っ張り、せん断モード:複素弾性率 M* および G*、ヤング率 E* • 弾性的で、可逆的に貯蔵されるエネルギーに比例 する貯蔵弾性率 M‘ • 熱に変換され、不可逆に損失するエネルギーに比 例する損失弾性率 M“ • 損失係数(tan δ ) :完全弾性体の場合、位相のず れは生じません。完全粘性物質の場合、90°の位 相のずれを生じます。すなわち、粘弾性物質の損 失係数は 0 から無限大の範囲にあります。 tan δ は M“ に対する M‘ の比で、弾性率は以下の 式により算出されます。 F Fa M * = S • g = –––a g S = ––– La La 1Hzにおける応力と変位 位相のずれδは遅延時間と次式から算出でき ます。 δ = 2π f∆ g はサンプルの形状によって決まる形状係数で、S はサンプルの剛性です。剛性はサンプル形状によっ て影響を受けます。 M“ M‘ = M* cos δ M“ = M* sin δ tan δ = ––– M‘ F: 応力 ∆L: 変位 厚いサンプルは薄いものよ りも剛性が高くなります。 7 Options and Accessories The STARe システム – 多種多様なソリューション 堅実な投資 モジュラーコンセプト 6 つの測定モード 堅実な投資 現在必要な仕様でご購入頂い た後、新たな要求に対してはオ プションやアクセサリを購入い ただくことでシステムをアップグ レードできます。 外部アクセサリ ガスコントローラーを接続する ことにより異なる雰囲気下での 測定が可能です。 8 シンプルな制御 コンピュータ上でのシンプルな作 業により測定は進められ、追加 や変更も容易にできます。また同 時に、プログラムは入力された項 目が正しいかどうかをチェックし ます。全てのデータは自動的にデ ータベースに保存され、その後、 何年経っていてもアクセスできま す。また、多くのソフトウェアオプ ションにより、日ごろ行っている 作業をシンプルにします。 モジュラーコンセプト DMA/SDTA861e には多くの優位性があります。今、 必要な仕様の装置を購入しておいて、将来、新たな 要求が生じた場合はアップグレードが可能です。オ プションとしては以下のものがあります。 • 最大応力: 12, 18, 40 N •最大周波数: 200 または 1000 Hz • 剛性範囲: 4 桁または 6 桁(以上) これらのオプション間で相互に制限するものはあり ません。 キーパッドによる直接制御 測定は PC 、または装置のキーパ ッドを通じて進めることができま す。 キーパッドを通じてのコマンドの 直接入力や、装置画面上で測定 値の読みとりが可能です。 (2) (1) 6 つの測定モード DMA/SDTA861e には 6 種類の測定 モードがあります • • • • • • (4) (3) せん断(1) 3 点曲げ(2) デュアルカンチレバー(3) シングルカンチレバー(4) 引っ張り(5) 圧縮(6) (5) (6) 9 Options and Accessories サンプルホルダー シンプルかつ独創的、作業時間を節約します せん断 技術が進むにつれ、せん断モード が採用されるようになってきまし た。2 つの同一サンプルを、2 つ の固定された外側パーツと正弦 波応力を与えるための中央にあ る可動部との間に対称に固定し ます。せん断モード測定の長 所 は、やわらかいものから硬いもの まで幅広いサンプルを測定でき ることにあり、エラストマーや熱 可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の測 定に向いています。せん断用クラ ンプは均一な温度環境を与えま す。そして、クランプには熱電対が とりつけられるため、正確なサン プル温度に加えてエンタルピー変 化も同時に測定できます(SDTA)。 直径 : 厚さ : 10 ≤ 14 mm ≤ 6.5 mm 3点曲げ 3 点曲げモードでは、サンプルの 両端を 2 つのナイフエッジ上にの せ、その中央に可動するナイフエ ッジを通じて正弦波応力をかけ ます。また、サンプルを固定する ため初期応力を印加します。 この方法でのサンプルの取り付 けにより、実測の干渉を最小にし ます。 3 点曲げモードは強化樹脂、複合 材料、金属、合金のように硬い物 質の測定に適しています。 最大サンプル長 : 100 mm サンプル長 : 30 ∼90 mm (5 mm 間隔で選択可能) デュアルカンチレバー デュアルカンチレバーモードで はサンプルの両端を固定し、中 央部分は正弦波応力を印加する ための可動部に固定します。 このモードは、熱可塑性樹脂や 熱硬化性樹脂など、応力を与え たときに大きく曲がるサンプルに 適しています。 最大サンプル長: 100 mm サンプル長: 20∼80 mm (5 mm 間隔で選択可能) シングルカンチレバー シングルカンチレバーはデュア ルカンチレバーとよく似ています が、サンプルが片端だけが固定さ れている点で異なります。中央部 分は正弦波応力を印加するため の可動部に固定します。このモー ドは、特に熱可塑性樹脂のよう に、測定中に長さ方向に膨張、ま たは収縮するサンプルに適してい ます。 引っ張り 引っ張りモードでは、サンプルの 一方の端を固定し、もう一方の端 は正弦波応力を印加するための 可動部に固定します。測定中、サ ンプルが座屈するのを防ぐため、 初期応力をかけます。このモード はフィルム、繊維の測定に適して います。 サンプル長: 5.5 mm, 9.0 mm, 10.5 mm および19.5 mm 最大サンプル長: 100 mm サンプル長: 10∼40 mm (2.5 mm 間隔で選択可能) スモールクランプアセンブリー ラージクランプアセンブリー 3点曲げ 曲げ デュアルカンチレバー 圧縮 圧縮モードでは、固定部分と正弦 波応力を印加するための可動部 の間にサンプルを固定します。サ ンプルを静的に圧縮した後、応力 を加えます。サンプルの左右両側 に応力が逃げるため、サンプル形 状は応力によって変化し、その結 果、体積も連続的に変化します。 (一軸圧縮)したがって、この測 定は弾性率の値を得る目的には 向いていません。しかしながら、 のり状の物質やエラストマー、発 泡体など、やわらかい物質に関し ての比較データを得ることが可 能です。 直径 : ≤ 20 mm 厚み : ≤ 9 mm シングルカンチレバー 引っ張り スモールテンション(9 mm) せん断 せん断(テクステュアあり・なし) 5.5 mm テンション 10.5 mm テンション 19.5 mm テンション せん断(液体用) 圧縮 圧縮 11 Applications Overview DMAによる材料特性分析 日常において、物質はさまざまな 機械的なストレスを受けますが、 その主要なものは周波数、応力 の強さと温度です。 たとえば、粉体塗装のプロセスに おいて、その物質は表面に均一に 分散されます。加熱によって、均 一な液膜がはじめに形成され、 表面には液滴が存在しない状態 となります。その後、硬化が始ま ります。塗装物は、基板の熱膨張 による機械的応力に対してひび 割れすることなく耐えなくてはな りません。さらに、剥がれたり、 破損することなく低温での衝 撃 に耐えなくてはなりません。 多くの機械的特性が製造、保存、 加工およびそれらの応用に際し て極めて重要なものとなります が、幅広い周波数と温度範囲で の物質の粘弾性挙動に関する知 見は、分子の配列や構造と関連 する情 報を得るための助けとな ります。また、これらの知見は以 下のような多くのアプリケーション をもたらします。 • 材料特性の決定 • 材料・プロセスの最適化 • 品質管理 • 材料の故障解析 幅広い測定範囲とサンプルサイ ズと形状の観点から、硬いもの から粘 性 液 体まで 測 定で きる DMA/SDTA861e の重要なアプリ ケーションは以下の通りです。 •熱可塑性樹脂 • 熱硬化性樹脂 • エラストマー • 接着剤 • 塗装剤 • フィルム、繊維 • 複合材 • 食品 • 製薬 • 脂質、油類 • セラミックス • 建築材料 • 金属 • 結晶化と融解 • 相分離 • ゲル化 • 形態変化 • 混合組成分析 • フィラー活性 • 材料故障 • 硬化反応 • 架橋反応 • 加硫反応 次のページから DMA/SDTA861e により可能なアプリケーション例 をいくつかご紹介します。DMA を 用いて検討できる効果と特性を 次にあげます。 • 粘弾性特性 • ガラス転移 • 弾性率 • 減衰挙動 • 軟化 • 粘性流動 PTFE の DSC カーブは、 -100℃ 、30℃ 、 327℃ 付近に相転移があることを示しています。 DMA 測定でもそれらの転移が観測されてい ますが、DMA では特に -100℃ の転移が明確 に現れています。せん断と引っ張りモードの 測定結果は 130℃ におけるガラス転移の存 在を示しています。また、DSC と DMA での結 果 は よ く一 致 し て い る の が わ か り ま す。Poisson 比により、E は常に G よりも大 きな値となります。 12 図のカーブは、せん断測定用ホルダーを使用 し 10 Hz にてエポキシ-アミン系の硬化反応 を測定したものです。–50℃ に冷却後、昇温 測定を行いました。0℃ で樹脂はガラス状態 から液体に変化し、貯蔵弾性率は約 7.5 桁減 少しています。架橋反応に伴い、130℃ 以上 では弾性率が増加していきます。 G’ とG’’ の カーブが交差している150℃ がゲル化点で、 その後、サンプルは硬くなっていきます。 せん断測定により、熱可塑性樹脂の機械的挙 動が一度の測定で行えます。図は急冷した P E T の 測 定例です。二 次 緩 和(β - 緩 和 ) が –70℃ に、メインの緩和(ガラス転移)が 80℃ に観測されます。また、弾性率は冷結晶 化により約110℃ で増加しています。さらに加 熱していくと、再結晶化と融解が起こり、この とき G’ は 109 から 5×102 まで変化します。 せん断測定用ホルダーにセット後、–150℃ ま で急冷されたシリコンオイルは、昇温時に -115℃ でガラス転移、-100℃ で結晶化、-40℃ で融 解を生じ、その後は液状になります(G’’ > G’ )。 120℃ で位相角はほぼ π/2 に到達し、貯蔵 弾性率は約 7.5 桁減少しています。) 物質の特性は周波数によって変化します。図 は SBR の測定例で、DMA/SDTA861e が幅広 い周波数で測定可能であることを示していま す。-10℃ において緩和を示し、G’ は 1 mHz ∼1 kHz で約 3 桁変化しています。損失係数 は、0.32 Hz において2.29 と最大となってい ます。 13 フィラーを含有するポリマーの場合、弾性率 はフィラー含有量とともに増加する一方で、 変位量がある程度以上に大きくなると低下し ます。図には、カーボンブラック含有量の異 なる 4 種類の NR の例が示してあります。せ ん断モードにて 30nm ∼ 1mm 変位させて います。直線領域(Hooke の法則が成り立つ 領域)のデータから、ポリマーとフィラーとの 相互作用に関する情報が導き出されます。 引っ張りモードにて、厚さ 22µm のポリエー テルイミドを –150℃ ∼ 480℃ の範囲で測 定しました。ヤング 率は –10 0 ℃ のとき約 5.1GPa で、300℃ では 1.9 GPa まで減少し ます。 ガラス転移温度は370℃と高く、損失係数の カーブから –82℃ 、42℃ および 370℃ に緩 和領域があることがわかります。 シングルカンチレバーモードにて、P VC を –90 ℃ ∼ 110 ℃ の範囲で測定しました。周 波数に依存する 2 つの緩和領域が観測され ています。–30℃ にピークを示す二次緩和は ブロードで、 E´ に小さなステップを与えてい ます。また、一次緩和はガラス転移に相当し ます。このときサンプルは軟化し、弾性率は 約 10 MPa まで減少しています。 架橋ポリマーからなる複合材は大きな弾性率 を示します。3 点曲げ測定により、プリント基 板の弾性率が 24.2 GPa であることがわかり ました。ガラス転移における軟化も観測さ れ、貯蔵弾性率は 8.3 MPa まで減少してい ます。このステップは、損失弾性率と損失係 数のピークを伴っています。 14 機械的特性に加えて、エラストマーのせん断 モード測定では熱的事象の分析も可能になり ます。図は、クロロプレンのガラス転移、融 解、加硫反応を示しています。加硫反応のプ ロセス検討は、品質保証や損傷分析にとても 重要です。これは、故障解析によって不適切な 架橋にまで遡ることがしばしばあるためです。 幅広い周波数領域での機械的特性評価は物 質の詳細な情報を与えます。高周波数での測 定が可能であることに加え、優れた温度安定 性と精度により正確でかつ、簡単にマスター カーブが作成できます。図は加硫処理のされ た SBR とされていない SBR のマスターカー ブの例です。周波数依存性に加えて、分子構造 やネットワークに関する情報が導かれます。 ビデオテープには室温において非常に高いヤ ング率を示す延伸 PET が用いられており、図 のサンプルは引っ張りモードで 7.3 GPa の値 を示しています。2 つの緩和領域が 確認さ れ、100℃ 以上の大きなものは PET 由来の ガラス転移に帰属されます。表面コーティン グにより、50℃ に小さな緩和領域が生じて います。ガラス転移において E´ の変化が小さ いのはその高い結晶性に起因します。 フィルムと繊維は引っ張りモードで測定しま す。図には厚さ 35µm のエポキシベースのフィ ルムの測定例が示してあります。90℃ ∼ 120℃ のガラス転移において、 E´ は 2GPa から 30 MPa まで減少しています。また、ガラス転移 は損失弾性率と損失係数のピークを伴ってい ます。 15 仕様 温度 範囲 分解能 精度 –150 … 500 ° C 0.003 K 0.5 K 応力 範囲 分解能 感度 0.001 … 40 N, (12, 18 or 40 N) 0.15 mN (0 ... 5 N), 1.5 mN (0 …50 N) 1 mN 変位 範囲 分解能 感度 ±1.6 mm 0.6 nm 5 nm 弾性率 範囲 精度 10 … 108 N/m 0.2 % Tan δ 範囲 分解能 感度 0.0001 ... 100 0.00001 0.0001 周波数 範囲 分解能 精度(∆f) モード 0.001 … 1000 Hz (*) 0.00001 0.0001 • 対数および線形掃引 • マルチ周波数 (連続) • マルチ周波数 (同時) 測定モード 3点曲げ/デュアルカンチレバー 弾性率範囲 せん断 弾性率範囲 引っ張り 弾性率範囲 圧縮 弾性率範囲 長さ: 3090 mm / 20∼80 mm 幅: < 15 mm, 厚み: < 5 mm 最大サンプル長: 100 mm 10 … 106 N/m 直径: 15 mm 以下, 厚み: 6,5 mm 以下 10 … 108 N/m 長さ: 19.5 mm (19.5, 10.5, 9.0, 5.5 mm ) 幅: 7 mm 以下, 厚み: 3 mm 以下 10 … 107 N/m 直径: 20 mm 以下, 厚み: 9 mm 以下 10 … 107 N/m Approvals 電気保安 電磁環境両立性 IEC/EN61010-1:2001, CAN/CSA-C22.2 No. 1010.1-92, UL Std. No. 3101-1:1993 EN 61326-1:1997+A1:98 (class B), EN 61326-1: 1997+A1:98 (Industrial environments) (せん断 1000Hz 、曲げ 300Hz , 引っ張り (*) 測定モードごとに設定可能な最大周波数は異なります。 300 Hz 、圧縮 300 Hz ) また、変形の大きさやサンプルの特性により、測定できる最大周波数は低くなる ことがあります。 www.mt.com/DMA For more information メトラー・トレド株式会社 ラボラトリー事業部 熱分析プロダクトチーム 東京 TEL:03-5815-5511 FAX:03-5815-5521 E-mail:[email protected] 東京本社 〒110-0008 東京都台東区池之端2-9-7 池之端日殖ビル8F 大阪支社 〒541-0053 大阪市中央区本町2-1-6 堺筋本町センタービル15F ©03/2014 Mettler-Toledo K.K., Printed in Japan 96130220 ●製品の仕様は予告なく変更することがありますので、あらかじめご了承ください 代理店名
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