校長室だより№40

八代中学校「校長室だより」№40
平成 27 年2月 20 日(金)発行
~和して同ぜず~
「少年の主張」作文(2)
本号でも、
「少年の日」を迎えた生徒の主張作文を掲載します。
先週の橋本はるかさんの文章を読まれてどんな感想をもたれましたか。私は、自分がつくった新
しい品種には“こはる”と命名するというところに、思わず笑みがこぼれました。
主張作文は2年生全員が書いており、それは記念文集として冊子にまとめました。2週にわたっ
て紹介する作文は、少年式の中で読み上げた代表者のものです。
〈注〉市町合併 10 周年を記念して作文募集
がありました。先週と今週掲載する作文は、その応募作品で内容・量ともに式典で発表したものとは若干異なります。
僕の夢
竹中 熙輝(よしき)
僕は将来、魚にかかわる仕事に就きたいです。その中でも漁師か板前になりたいと思っています。
それは八幡浜の名産品でもある魚が好きだからです。小さいころから、僕は祖父といつも海に出か
け、船に乗って魚を釣っていました。だから、僕は魚にかかわる仕事である、漁師か板前になりた
いのです。
11 月に職場体験へ行きました。体験先を決める前から、
「魚屋で働きたい。
」と思っていたので、
「どーや市場」の中にある「有田鮮魚店」へ行くと決まったときには、本当に嬉しかったです。漁
師の朝は早いと分かっていましたが、5時半に集合と聞いたときは、驚きました。僕は早起きが苦
手だったので、職場体験の数日前から早起きをする練習をしました。
朝6時に始まる競り(せり)の見学もさせてもらいました。朝早いにもかかわらず、魚市場には
たくさんの人が集まり、活気がありました。仲買の人たちは、たくさんの魚を目で見て、手で触っ
て、よりよいものを選ぼうとしていました。自分のほしい魚を手に入れたときの有田さんの笑顔は
輝いていました。お客さんによい魚を提供しようとするプロの姿を見ることができました。
競りから戻ると、買ってきた新鮮な魚をケースに並べ、開店の準備をしました。開店と同時に、
魚を買いにたくさんのお客さんがやって来ました。最初僕は、恥ずかしくて小さな声しか出ません
でした。それを見ていたのか、お客さんの一人が「頑張ってね。
」と僕に声を掛けてくださいまし
た。本当は僕が声を掛ける側なのに、小さな声しか出せない上に、声を掛けてもらうなんて・・・。
これではだめだと思いました。思い切って、大きな声を出し、
「ありがとうございました。
」と言っ
てみました。そこからは、自然と声が出るようになりました。接客だけでなく、実際にあじや太刀
魚の3枚おろしをさせてもらいました。専用の細長く鋭い包丁を使いました。ぴかぴかに磨かれ、
切れ味のよい包丁を使うのは、思った以上に難しく、手を切るのではないかと怖かったです。しか
し、怖いという気持ちと同じくらい楽しいとも思いました。
職場体験の三日間を通して、自分を見つめ直すことができました。そして、これからの目標をも
つことができました。高校を卒業したら、水産関係の学校へ進みたいです。そして、漁師になり、
沿岸漁業をしてみたいです。八幡浜には、トロール漁業という伝統的な漁法があります。この仕事
もやってみたいと思うものの一つです。
これからは、地元八幡浜の人とのかかわりを大切にしていきたいと思います。待っているのでは
なく、自分から積極的にかかわっていきます。この気持ちを忘れず、自分の夢に向かって努力して
いきます。
夢が語れる2年生
今からちょうど 10 年前、50 年間続いていたNHKのあるテレビ番組が姿を消しました。毎年、
1月 15 日の成人の日(以前は月曜日ではなく、固定されていました)に放送されていた「青年の
主張」
(のちに「青春メッセージ」という番組名に変わります)という番組です。全国をいくつか
に分け、各地区の審査で優秀だった何名かの若者(20 歳とは限らない)が、全国に向けて自分の夢
や思いを発信する番組でした。
「番組が始まった当初は、全国から5千人近くの若者の応募があった。ところが、徐々にその数
は少なくなり、応募者は3分の1まで減った。若者の主張をテレビで見て、
『感心した』
『もらい泣
きした』と手紙を寄せる人は、お年寄りばかりになっていた。
」これらが番組をやめることにした
原因の一つだそうです。
「夢や目標をきっぱりとした態度で語れる若者は、今はもういない」とか、
「食べるために働く。
世のため、人のために尽す。そんな職業観は、今の若者には通用しない。
」などと、とらえる大人
がいるかもしれませんが、私は今の若者を決してだめだとは思いません。現に今回校長室だよりで
取り上げた二人の文章は、私が 14 歳のときには書けなかった志であり、ふるさと八幡浜に対する
深い愛が感じられます。
純粋で繊細、胸の奥にはこんな仕事やこんな生き方をしてみたいという「炎」を、みんな燃やし
ているのです。どうか2年生のみなさん、その灯火を大事にしてください。そして、大好きな自分
を、じっくりとつくりあげていってください。みなさんが書いた作文、みなさんが述べた決意が達
成できたかどうかが問題ではありません。
「やれなかった やらなかった どっちかな」
(相田みつ
を)――大事なことはそこにあるような気がします。
先輩を見て伸びる1年生
さる2月 12 日(木)、入学説明会を開催しました。そこで1年生の代表者 22 名が、6年生とその
保護者を前に、
「総合的な学習の時間」で学んだことを発表しました。本来は、先月1年生全員が
行う予定でしたが、インフルエンザ流行の兆しがあったのでとりやめ、今回縮小版で実施しました。
学年通信に掲載されていた6年生の感想を一部紹介しましょう。
「みんな真剣で、中学生ってす
ごいなあと思った。インタビューや、家まで行っての聞き取りは小学校ではやらないので驚いた。
」
「中学生なので、まとめ方やしゃべり方がうまかった。聞き取りやすい声の大きさだった。
」
「どの
発表もとてもおもしろかった。早く八代中に入りたいと思った。安心して入れそうです。
」
昨年始まった、この発表会。一年前の体験や先輩(現2年生)に対するあこがれが、すばらしい
発表会につながりました。そして、1年生にとっては初めての少年式。一年後の自分に早速思いを
はせている生徒もいます。給食待ち時間に、2年生の記念文集をめくっている生徒も見かけます。
進路を切り拓く3年生
先週から今週にかけて、私立高校一般入試、県立高校推薦入試の発表がありました。結果、3年
生 83 名中 24 名の進路が決定しました。あとは、3月6日(金)の県立特別支援学校、3月 11 日(水)・
12 日(木)に行われる県立高校の学力検査を残すのみとなりました。
少年式で決意を述べて一年、総体やコンクール、学校行事や生徒会活動にリーダーシップを発揮
してきた3年生が、今まさに自分(たち)の力で進路を切り拓こうとしています。団体戦もここか
らが佳境。一年で最も寒い今、清掃一つ手を抜かない3年生の姿に春は必ずやってくると信じてい
ます。
(文責 井上
靖)