烏帽子岳(2628m)、野口五郎岳

山行記
裏銀座を歩こう
山行部
Dランク
烏帽子岳(2628m)、野口五郎岳(2924m)、
水晶岳(2986m)、南真砂岳(2713m)
【山行日】 2015年8月9日(日)~12日(水)
【交 通】 マイカー(安曇野ICから一般道を経て、七倉Pに駐車。トイレ有)
【費 用】 40,000円(七倉P~高瀬ダム間タクシー片道 2,100 円/4 人を含む)
雷鳥もお出迎え
【参加者】 4名
≪コース≫ 9日:高瀬ダム・・・(ブナ立尾根)・・・烏帽子小屋・・・烏帽子岳・・・烏帽子小屋(泊)【7.5 時間】
10日:烏帽子小屋・・・野口五郎岳・・・真砂岳・・・水晶小屋・・・水晶岳・・・水晶小屋(泊) 【8.5 時間】
11日:水晶小屋・・・(竹村新道)・・・南真砂岳・・・湯俣岳・・・湯俣温泉晴嵐荘(泊) 【8.0 時間】
12日:湯俣温泉晴嵐荘・・・高瀬渓谷の噴泉丘・・・湯俣温泉晴嵐荘・・・高瀬ダム【3.5 時間】
山想会に入会して2年目、私にとって初めての北アルプス縦走は好天に恵まれ、最高の山行とな
った。あまりに天気が良すぎて、標高 2,800m の稜線歩きも暑さとの戦い。毎日小屋に着くと疲労
困憊ではあったが、充実した4日間を過ごすことができた。
【1日目】
朝4時に野木町役場駐車場を出発し、7時に七倉駐車場着。既に車は一杯で多くの路上駐車が。
我々もその最後尾に駐車しタクシーでブナ立尾根登山口である高瀬ダム堤体へ。因みに高瀬ダムは
下部調整池である七倉ダムとの間で最大 128 万キロワットを発電する日本有数の大規模水力発電施設であり、
その規模は黒部ダムよりも大きいとのことである。ダムに堤体に到着した我々は早速、北アルプス三大急登
と言われる「ブナ立尾根」を一路烏帽子小屋
目指して登り始めた。
暑い。後頭部を雲一つない空から夏の太陽
が容赦なく照りつける。標高 1270m の登山口
から 2,500m の烏帽子小屋まで、鉄の女と言わ
れるSLの足が攣りそうになるほどの急登、
標高差 1,230m を休憩時間を除く実行程5時間
半で登り、小屋にチェックイン、荷物をデポ
して約1時間半で烏帽子岳をピストン。雪渓
で冷やしているのか、食事前のビールがとて
も冷えていて最高においしかった。寝床も4
人部屋で一人一組の布団が確保でき、ぐっす
りと休むことができた。
(と、言いたいところ
だが、実際は某CLの想像を絶する鼾のお蔭
烏帽子岳に咲くコマクサ。ピークは過ぎていたが・・・
で・・・ 耳栓必携を痛感!)
【2日目】
朝5時半に烏帽子小屋をスタート。今日も快晴、スタート時点こそ上着を着るほどの涼しさだっ
たが、30 分も歩くと汗ばむようになり、衣服調整。日差しは昨日に続き厳しかったが、右手に赤牛
岳、そして本日の目的地である黒岳(水晶岳)を見ながらの稜線歩きは何とも言えない清々しさで
ある。
烏帽子小屋を出て、まずは目の前にある三ツ岳を目指す。三ツ岳の先は右ルートの展望コースと
左ルートのお花畑コースに分かれているが、すれ違った登山者の情報をもとにお花畑コースを選択。
途中、大きな雪渓を右に見ながらチングルマなどの高山植物を鑑賞しつつ進むと、再び展望コース
トと合流し、一路、野口五郎岳を目指す。「あれが野口五郎岳だから、さっき過ぎたのは西條秀樹
岳か?」などと、下らないおやじギャグと笑いが出るほど、この頃まではみんな元気であった。野
口五郎小屋で水を購入(500mℓで 100 円、これがこの辺の相場である)し、岩がゴロゴロした野口
五郎岳(岩がゴロゴロしているから五郎岳と言うらしい、黒部五郎岳も同様)で記念撮影。真砂岳
で3日目の下山路となる竹村新道を左に分けたところで、ドーンと遥か彼方に双耳峰の水晶岳が。
その少し左に、みんなは小屋がみえるというのだが、目の悪い私にはよくわからない。ただ、遠く
て高いところにあることだけは良くわかる。東沢乗越まではアップダウンを繰り返し、乗越からは
大きな岩がゴロゴロした斜面の急登。ここまで来ると私にも水晶小屋が確認できたが、行けども行
けども近づかず、心が折れる。まだか、まだかと思いながら登っていると急に最後の稜線に出て、
目の前に水晶小屋が。一日中強い日差しを浴びながらの稜線歩きであった為、結構体力を消耗して
いて、この時が今回の山行で一番の感激と安堵を感じた時であった。
昨日と同様、小屋にチェックインして荷物をデポ、水晶岳山頂に向かったが、ここにきて今回の
山行で唯一の雨雲が近づいてきた。雷を伴っていないのでそれほど不安には感じなかったが、どし
ゃ降りになると低体温症の恐れもある。途中撤退も頭に置きながら無事ピストンを終えて再び水晶
小屋に到着。水晶岳山頂では残念ながら雲に覆
われて眺望はなく、記念撮影中に小雨も降りだ
す状況ではあったが、幸いずぶ濡れにならずに、
小屋では昨日よりも少し冷えが足りないビー
ルで祝杯をあげることができた。
また、寝床は烏帽子小屋とは違って大部屋で
布団一組に2人。CLは横になって3分も経た
ずに轟音を響かせて周囲の失笑を買い、同じ布
団に寝る私が恥ずかしい思いをしながら睡眠
姿勢に入ったが、隣の静岡から来た4人組のお
ばちゃんが私の頭の上にストックを倒すは、太
っているために私の領域に太い腕が侵略して
くるはで、ほとんど寝た気がしなかった。(疲
れていたので、たぶん寝ていたのだと思う
水晶岳山頂にて
が・・・)
【3日目】
5時30分、水晶小屋発。出発の際、若い女性スタッフから「ありがとうございました、またい
らして下さい。」と声を掛けられたが、昨日の到着までの苦労を思い出すと、
「来年もあなたに会い
に来ます。」とは言えず、「お世話になりました。」と無難な挨拶しかできなかった。
水晶小屋では天水が枯渇寸前で、水の販売は、
宿泊している一般の縦走者には 500mℓ=100 円で
1本、途中に水の補給手段のない我々竹村新道
への下山者は 500mℓ=100 円で2本限定となって
いた。
水晶小屋(2,900m)から真砂岳の分岐を経て
竹村新道に入り、南真砂岳、湯俣岳を越えなが
ら晴嵐荘のある湯俣温泉(1,420m)までのルー
トは延長 9.5km 高低差約 1,500mであり、左膝
痛持ちで下りの苦手な私にとっては苦しむこと
が目に見えていたため、左膝対策は昨日からの
テーピングに加え、サポーターも装着して万難
を排して挑んだ。
急な下りのルートではあるが、真砂岳分岐か
ら南真砂岳までは、ほぼ平坦。水晶岳から下っ
南真砂岳まではずっと槍ヶ岳が見えていた・・・
てきた稜線と表銀座の稜線、槍ヶ岳の威容、点在するお花畑を満喫しながらの快適な稜線歩きであ
る。ここまでは昨日Yさんに頂いた湿布の効果もあり、膝の痛みもない。
しかし、南真砂岳から先は眺望も乏しく、小さな虫もまとわりつくようになり、登山道のすぐ脇
まで崩れ落ちた崩壊地もあるなど、長くつらい山歩きとなる。唯一の感動は晴嵐荘到着直前、約 200
m下に流れる高瀬川を見下ろす展望台であろうか。温泉成分のせいか、白い砂地の河川敷の中央を
流れる青白い流水は実に美しいものがある。そこから先は 200mの落差を一気に下るのだが、つい
に左膝が悲鳴をあげ始める。左ひざを庇いながら「温泉、ビール、温泉、ビール」と頭の中で連呼
しながら下り、ようやく13時半頃に晴嵐荘到着。43~45 度くらいはあろうかという源泉かけ流し
の温泉に浸かって3日間の汗を流し、夕食までの長時間にわたる大宴会が始まった。
【4日目】
いよいよ最終日。5時に朝食をとり、晴嵐荘スタッフのお勧めもあり、湯俣川を20分ほど遡っ
て国の地質・鉱物天然記念物の「高瀬渓谷の噴湯
丘と球状石灰石」を見に行った。噴出する泉質は
たぶん、奥に烏帽子岳が・・・
硫化水素を主成分とした単純泉で、河原の中に白
色をした成層火山型の噴湯丘が形成されており見
ブナ立尾根
事である。
再び晴嵐荘に戻り、6時40分、ザックを背負
って最後の3時間の歩程。高瀬ダムに近づくにつ
れ、3日前に苦労して登ったブナ立尾根、その右
に不動岳、鉢ノ木岳が姿を現してくる。最後に900
mにわたる隧道を抜ければ、高瀬ダム堤体に到着
である。10時30分、堤体で客待ちをしている
タクシーに乗って七倉まで降り、タクシーの運転
手さんに教えてもらった蕎麦屋さんで「信州蕎麦」
を堪能して帰宅の途についた。
初日に上ったブナ立尾根が目の前に
(野木町役場着16時30分 記録:Oさん )
七倉P
1日目
烏帽子岳
烏帽子小屋
高瀬ダム
三ツ岳
2日目
野口五郎岳
4日目
水晶岳
真砂岳
水晶小屋
3日目
南真砂岳
湯俣岳
噴湯丘
縦走ルート
晴嵐荘