ー 研究の目的と概要 馬鈴薯は本道の基幹作物であるが加工品の種類は

平成 14年 度事業報告 ・平成 15年 度事業計画 試 験研究 35
規 格 外 馬 鈴 薯 の 酵 素 処 理 に よ る新 食 品 の 開 発
(H14)
一
加 工食 品部 農産食 品科 槙 賢治 岩 下敦子 山 木 史 中 野敦博
研究の 目的 と概要
馬鈴薯 は本道 の基幹作物 であ るが加 工 品 の種類 は限 られ てお り、近年 の健康志 向
や食 に対 す る ニ ー ズ の 多様 化 を背 景 に新 た な加 工 技術 に よる新 規加 工 品 の 開発 が
望 まれ て い る。 これ まで 当セ ン ター では馬鈴 薯 の酵素処理 に よる加 工 技術 につ い て
の基礎研 究 を行 つ て きた。本研究 では酵 素処理技術 を用 いて 生 体調節機 能 の 高 い新
た な馬 鈴 薯 加 工 品 の 商 品化 を 目的 に 分岐 オ リゴ糖 (イ ソマ ル トオ リゴ糖 )の 高度 生
成条件 につい て検討 した。
予 定 され る成果 】
【
生体調 節機能 の 高 い新 たな馬鈴薯加 工 品 の 商品化
試験研究の方法
(1)供 試酵 素剤
供試酵 素剤 は基礎研 究 の結果 か ら、分 岐 オ リゴ糖 生成 をは じめ とす る高 い 生 体調
節機 能 の発 現 が 期待 され るフ レー バ ー ザイ ム 500L(ノボザイ ムズ ジ ャパ ン (株))お
よび トラ ンス グル コシダー ゼ L(天野 エ ンザイ ム (株))を併用 した。
(2)裏 ご しポテ トの調製お よび酵素剤添加 法
男爵 い もを剥皮 、 ボイル して裏 ご しし、裏 ご しポテ トを調 製 した。裏 ご しポテ ト
重量 の半量 の蒸 留水 に酵 素剤 を溶解 して添加 、均質化 した。
(3)酵 素剤処理温度 の検討
裏 ご しポテ トに上記酵 素剤 をそれ ぞれ 0.1%添 加 し、40,50,60,70℃
に 3時 間
保 持 した。 1時 間 ごとに試料 を採 取 し、分岐 オ リゴ糖含 量 を測定 した。
(4)酵 素斉1添加 量 の検討
① フ レー バ ー ザイ ム添加 量 の検討
フ レー バ ー ザイ ム を 0.05∼0.5%ま での濃度範 囲 で添加 し、 50℃で 3時 間保 持 し
た。 1時 間 ご とに試 料 を採 取 して糖度 を測 定 した。
② トラ ンス グル コシダー ゼ 添加 量 の検討
フ レー バ ー ザイ ム 0.2%と トラ ンス グル コシダー ゼ をそれ ぞれ 0.05,0.1,0.15,
0.2,0.3%添 加 した。 50℃で 3時 間保持 し、 1時 間 ご とに試料 を採 取 して分岐 オ リ
ゴ糖含 量 を測定 した。
(5)測 定方法
糖度 はデ ジタル 糖度計 PR-1(ATAGO)によ り試料 の汁液 の 屈折計示度 を測 定 した。
分岐 オ リゴ糖含 量は試料 を遠 心分離 し、4倍 量 のエ タノー ル を加 えて上 澄 を分析用
サ ンプル とし、高速液体 ク ロマ トグラ フ ィーで測定 した。
一-78-―
平成 14年 度事業報告 。平成 15年 度事業計画 試 験研究 35
(1)酵 素剤処理温度 の検討
温度別 の分岐 オ リゴ糖 生 成 量 を図 1
ュ 薇督 ゛
→︶
繹・
実験結果
に示 した。 50℃では処理 時間 の経過 と
0
1
2
3
処理 時間(H)
ともに生 成 量 が 安 定 的 に増加 した が 、
・
口 : 酵 素 剤 処 理 に よる 分 岐 オリコ 精 含 量 の 変 化
・ ・
・
・ ・
レーハ ―サ イム, トランスクルコシタ―セ ( 各0 1 つ )
( 酵素剤 : フ
60℃では 1時 間後 か ら急激 に増加 した。
生成 量 は 2時 間後 までは 50℃が最 も多
また 、40℃で は生成 が緩慢 で 70℃では
じ日澤
︵
く、3時 間後 は 60℃が最 も多 かった。
全 く生成 しなかった。処理温度 につ い
て は分 岐 オ リ ゴ糖 の 生 成 速 度 が 安 定
0
1
2
処理 時間( H )
・
・
レーハ ―サ イム) 処理による精度の変化( 5 0 ℃)
図2 酵 素剤( フ
して お り、 短 時 間 で の生 成 量 が 多 い
3
・
・
スク ルコシタ ーセ Й
垂カロ量
(2)酵 素剤添加 量 の検討
フ レー バ ー ザ イ ム の 添 加 に よ る糖
度 の 変化 を図 2に 示 した。糖度 は 、添
加 量 の増加 に伴 い 高 ま っ たが 、 0.2%
以 上 では大差 がなかった。 分岐オ リゴ
ュ 薇督 ぶ
︵
じ繹 ・
50℃が最適 と考 え られ た。
0
1処
理 時間(H)2
3
・
3
酵
図
素 剤 処 理 に よ る 分 岐 オリコ 糟 含 量 の 変 化
・
・
・
・ ・
( 酵素剤: ト
ランスクルコシタ―セ 及びフレーハ ―サ イム( 0 2 % ) . ( 5 0) ℃
)
糖 は で ん ぶ ん の 分 解 と糖 転 移 に よ り
生成 す る と考 え られ 、 でんぷ ん分解 に よる糖度 の増加 は 、分岐 オ リゴ糖 を生成 す る
た めの条件 とな る。 分岐 オ リゴ糖 を高度 に生成す るための最適 な フ レー バ ー ザイ ム
添力『量 は 0.2%と 考 え られ た。フ レー バ ー ザイ ム (0.2%)に トラ ンス グル コ シ ダー ゼ
併用 時 の トラ ンス グル コ シダー ゼ 添加 量 の検討結果 を図 3に 示 した。分岐 オ リゴ糖
生成 量 は添加 量 0.2%以 上 では差 がな く、最適 な添加 量 は 0.2%と 考 え られ た。 ま
た 、そ の場合 、
分岐オ リゴ糖 の増加 傾 向か ら処理 時間は 2時 間 が適 当 と考 え られ た。
以 上 の 結果 よ り分 岐 オ リゴ糖 生成 の た めの 最適 条件 は フ レー バ ー ザイ ム お よび
トラ ンス グル コ シ ダー ゼ 各 々0.2%、 温度 50℃、処理 時間 2時 間 と考 え られ 、そ の
場合 、約 2%の 分岐 オ リゴ糖 の生 成 が認 め られ た。
4要
約
裏 ご しポテ トに フ レー バ ー ザイ ム と トラ ンス グル コシ ダー ゼ を併用処理 した場合
の分 岐 オ リゴ糖 の 高度生成条件 を検討 し、最適 な温度 、添加 量お よび時 間 を明 らか
に した。本研 究結果 に基 づ き、共 同研 究機 関 にお い て ジ ャ ム様食 品 と ドリンク様食
品 の試 作お よび生 体 内機能性 の評価 を行 い 、商品化 に向けて取組 中で ある。
(共同研 究機 関 :く つ ちゃん産業 クラス ター研 究会馬鈴薯部会 ・酪農 学園大学)
(H14地
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域産学官連携技術 開発事業)