大 使 館 情 報 2015年10月 【目次】 1.ブラジル・マクロ経済情勢 (1)経済情勢等(9月発表の経済指標) (2)経済政策等 (3)中銀の金融政策等 (4)為替市場 (5)株式市場 2.ブラジル政治情勢 内政 (1) ルセーフ大統領による独立記念日の演説 (2) マリーナ・シルバ氏の新党承認:選挙高等裁判所の決定 (3) 緊縮財政実現に向けた動き:議会における大統領拒否法案の審議 外交 (1) テメル副大統領の訪露 (2) 国連総会における気候変動に関するルセーフ大統領による演説 (3) G4首脳会合 防衛 (1) ワギネル伯国防大臣の訪中 (2) グリペン戦闘機に関するスウェーデンとの協力 3.トピックス (1)第3回日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会の開催 (2)梅田大使夫妻ミナスジェライス州公式訪問 (3)井戸敏三兵庫県知事のパラナ州来訪:兵庫県パラナ州友好提携 45 周年記念 4.大使館からのお知らせ (1)文化イベント (2)ブラジル渡航情報 ※大使館情報の最近のバックナンバーを大使館ホームページに掲載していますのでそち らも御覧ください(在ブラジル日本大使館 www.br.emb-japan.go.jp) 。 -1- 1.ブラジル・マクロ経済情勢 (1)経済情勢等(9月発表の経済指標) (ア)9月 23 日,中銀はインフレ報告書(四半期に一度公表)を発表し,本年の経済成長率 見通しをマイナス 2.7%(前回6月の報告書から 1.6%下方修正)とし,本年のインフレ 率見通しは 9.5%,明年は同 5.3%,2017 年第3四半期は 4.0%とした。 (イ)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づく経済成長予測に関し,9 月 25 日時点では,本年の経済成長はマイナス 2.80%で 11 週連続で下方修正,明年の経 済成長はマイナス 1.00%で8週連続で下方修正となった。一方で,本年のインフレ率見 通しは 9.46%,明年のインフレ率見通しは 5.87%とされた。 (ウ)8月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で 0.22%となり,前月比マイナス 0.40%の 大幅な下落となった。本年当初からの累計で 7.06%,12 か月累計で 9.53%の上昇とな り,本年当初からの累計でも政府のインフレ目標の上限である 6.5%を上回っているも のの,伸びは鈍化している。 (エ)7月の鉱工業生産指数は,前年同月比マイナス 8.9%で 17 か月連続のマイナス,前月 比でもマイナス 1.5%となった。また,8月の輸出額は 154.8 億ドル(前年同月比マイ ナス 24.3%,前月比マイナス 16.4%) ,輸入額は 128.0 億ドル(前年同月比マイナス 33.7%,前月比マイナス 20.8%)で,差し引き 26.9 億ドルとなり7か月連続で貿易黒 字を記録した。 (オ)7月の小売売上高は,前年同月比マイナス 3.5%となり,前月比でもマイナス 1.0%で 6か月連続のマイナスを記録。 (カ)国内主要6都市における8月の失業率は前月から 0.1%上昇して 7.6%となり,8か月 連続で悪化。 (2)経済政策等 (ア)9月9日,大手格付会社であるS&P社が外貨建て国債の格付けを1段階引下げ, 「投 機的等級」とした。 (当館注:なお,同社は長期債務の大半を占める自国通貨建て国債に ついては,引き続き「投資適格級」を維持している。 ) (イ)9月 14 日,伯財務省及び企画予算省は,2016 年度の基礎的財政収支の黒字目標を達 成するため,総額 663 億レアルの歳出削減及び歳入増加策を発表した。 (3)中銀の金融政策等 (ア)9月2日,中銀の通貨政策委員会(Copom)は,これまで7回連続して引上げられてき た政策金利(Selic)を 14.25%に据え置く旨全会一致で決定した。 (イ)9月 23 日に中銀が発表したインフレ報告書において,Copom は,現在の政策金利を十 分な長期間に渡り維持していくことが 2016 年末にインフレ目標を収束させるために必 要であり,そのため,格下げによりリスクバランスは悪化しているが,2016 年末のイン フレ率を 4.5%に収束させるシナリオを維持するとした。 (ウ)9月 24 日,トンビーニ中銀総裁は記者会見において, 「為替スワップ取引を含め,為 -2- 替市場の安定のため必要な手段は十分にあり,今は外貨準備に手を付けないが,必要な らあり得る」と発言し,レアル安の阻止に向けて外貨準備を活用する可能性を排除しな い姿勢を表明した。 (4)為替市場 (ア)9月のドル・レアル為替相場は,景気後退の長期化,大手格付会社による格下げ,財 政調整をめぐる政局の不透明感等を背景にリスクセンチメントの悪化が継続し,通貨レ アルの導入後最安値を記録する大幅なレアル安・ドル高が進行した。 (イ)上旬は,財政状況への懸念に加えて世界的な株安を背景とするリスクセンチメントの 悪化等により大幅なレアル安が続き,4日には1ドル=3.8 レアル台に入った。その後, 9日にS&P社による格下げにより一時的にレアル安が進行したものの,中銀の為替介 入により1ドル=3.8 レアル台で推移した。 (ウ)中旬に入り,米国の FOMC 会合を控えて1ドル=3.8 レアル台で方向感なく推移したも のの,ルセーフ大統領への弾劾要求等の政局の混乱を嫌気し,18 日には1ドル=3.9 レ アル台に突入した。 (エ) 下旬に入り, 景気後退の深刻化に加えて財政再建策の実現性に懐疑的な見方が広がり, 2002 年 10 月以来の1ドル=4レアル台に突入した。中銀は本年3月末に終了していた 新規の通貨スワップ取引を再び実施する等の大規模な為替介入を行ったものの,大幅な レアル安は止まらず,24 日には一時1ドル=4.2 レアル台の過去最安値を記録した。同 日, トンビーニ中銀総裁が外貨準備を使用した為替介入の可能性に言及したことを受け, 相場は反転し1ドル=3.9 レアル台まで戻った。その後は中銀による介入への警戒感か ら1ドル=4レアルを挟んだ展開が続き,月末は1ドル=3.9475 レアルで取引を終えた (前月末比 9.1%のレアル安・ドル高) 。 (5)株式市場 (ア)9月のブラジルの株式相場(Ibovespa 指数)は,月の半ばにかけて上昇したものの, その後は一転して大きく下落する値動きとなった。 (イ)月の前半は,46,000 ポイント台で推移した後,14 日に政府が発表した財政再建策を好 感して株価は上昇した。その後,16 日は上海株式市場の急騰を受けて株価はさらに上昇 した。 (ウ)月の後半は,急速なレアル安の進行が嫌気されるとともに,上海株式市場の急落等か らグローバルに株価が全面安の展開となり,28 日まで8営業日連続で下落し,43,000 ポイント台まで下落した。その後,月末にかけて国営石油企業のペトロブラスがガソリ ン等の値上げを決定したことを好感して株価は上昇し, 月末の株価は 45,059 ポイントと なり,前月末比 3.5%の下落となった。 2.ブラジル政治情勢 内政 -3- (1)ルセーフ大統領による独立記念日の演説 (ア)9月7日,ルセーフ大統領による独立記念日の演説が大統領公式フェイスブック及び 大統領府ホームページに動画形式で掲載された。演説のポイントは以下のとおり。本年 5月1日のメーデーに続き,抗議行動の発生等を懸念して公の場やテレビ,ラジオによ る放送も避ける形となった。 (イ)以下,演説のポイント。 ●危機の原因が過去の政府支出の増大にあったと,公のスピーチで初めて言及。今後は 支出の引き締めに転じると明言。 ●欧州のシリア難民問題を全世界の課題としつつ,難民を積極的に受け入れていく方向 性を確認。 ●過去の政策の誤りを改めて認め,痛みを伴う改革の重要性を指摘。インフレ抑制,金 利引き下げ,失業率の低下,所得と収入の増加に取り組みつつ,成長軌道への回復を 目指すと発言。 ●経済を成長軌道に戻し,国民の生活水準を高め,失業率を低下させるべく国を率いて いく決意を表明。 ●労働者党(PT)政権の成果である貧困層の減少と中間層の拡大を確認。次の課題とし て教育の質の向上を挙げ,そのためには経済成長が不可欠とした。 ●本年8月にサンパウロで開催された技能五輪国際大会において,ドイツ,日本等を退 けブラジルが総合1位となったエピソードを紹介し,国民の意欲を鼓舞。 ●民主主義と現行の選挙制度は,ブラジルがこれまで勝ち得たものの中で最も重要なも のと強調。 (2)マリーナ・シルバ氏の新党承認:選挙高等裁判所の決定 (ア)9月22日,選挙高等裁判所(TSE)は,マリーナ・シルバ元環境大臣が設立準備を進め てきた新党,「レデ・スステンタビリダーデ(持続可能性ネットワーク。以下レデ党と 略記。)」の登録を満場一致で承認した。伯で34番目のTSE登録政党となったレデ党は, 明年10月の統一地方選挙(市長及び市議会議員)から候補者の擁立が可能となる。 (イ)2013年2月,シルバ氏は翌年10月の大統領選挙に向けレデ党設立を発表したが,法律 で定められた数の署名を期限内に集めることが出来なかったため,2013年10月に伯社会 党(PSB)に参加。シルバ氏は,今回の政党登録決定後のインタビューで,レデ党は伯政 界の「調整役」になるとした上で,多数派と政府の手によってのみ政治が進められてい く現状を変えなければならないと述べた。 (ウ)シルバ氏はルセーフ大統領に対し,現在は支持率を気にしている場合ではなく,財政, 政治,教育,インフラ等の様々分野で調整を行い,国民の信頼を取り戻すべきとのメッ セージを送った。弾劾については,大統領は憲法に則った選挙で選ばれているため,不 正への関与が明らかにならない限り弾劾は行われるべきではないとの見方を示した。 (3)緊縮財政実現に向けた動き:議会における大統領拒否法案の審議 (ア)政府の歳出増防止のため,ルセーフ大統領が拒否権を行使した32本の法案に対する再 -4- 審議が9月22日に上下両院合同会議にて開始され,投票の結果,26本については大統領 の拒否が認められ廃案となった。廃案が決まった法案には,金額は低いものの50歳代か ら年金受給が可能となる現行制度を改め,高齢者の労働意欲を高めるため,年金の支払 い年数と年齢の合計が男性は95年,女性は85年となった時点で年金給付を始めるとした ものも含まれる。 (イ)伯政治経済に対する先行き不透明感等により,9月22日には94年7月のレアル・プラ ン導入後初となる1ドル=4レアル台(4.08レアル)をつけたこともあり,政府には32 件の法案の廃案を早々に確立させ,緊縮財政実行を不安視する市場を安心させたいとの 思惑があった。 (ウ)今回,約8割の法案の廃案が決まったことで政府勝利との見方もあるが,成立すれば 4年間で362億レアル(約1兆1千億円)の歳出増となる司法府職員給与の78%増を認め る法案(通称「爆弾議題」)の投票は先送りされるなど,財政再建の進展は予断を許さ ない状況が続いている。同法案が成立した場合,来年の歳出は53億レアル(約1640億円) 増,2019年までの4年間では362億レアル(約1兆1千億円)増となり,緊縮財政の実現 はほぼ不可能になると見られている。 外交 (1)テメル副大統領の訪露 (ア)テメル副大統領は,14日から16日にかけてロシアを訪問し,メドヴェージェフ首相と 第7回伯露協力ハイレベル委員会を共催した。両国の副首脳レベルで開催される同ハイ レベル委員会は1997年に設立され,二国間での主要な戦略的パートナーシップ対話メカ ニズムである。 (イ)同ハイレベル委員会への出席に加え,テメル副大統領はモスクワで露要人と会談し, 「World Food Moscow」マーケットにけるブラジル・パビリオンの開会や,伯露ビジネス フォーラムの閉会式に出席した。また,同行閣僚は委員会の会合に参加し,漁業,航空, 防衛,観光,農業,交通,エネルギー,ロジスティック・インフラ,工業発展等のテー マに関し,露側の閣僚との会合を実施した。 (ウ)メドヴェージェフ露首相は,ルーブル及びレアルによる決済の早期実現を主張し,テ メール副大統領は,現地通貨での取引における問題点の克服に向けて,中央銀行に再度 検討させることを約束した。両者は,政治的対話の進展についても言及し,両国は国際 システムがより代表性及び効率性を高めるための改革を主張している。テメール副大統 領は,露が伯の国連安保理常任理事国入りを支持したことを強調した。 (2)国連総会における気候変動に関するルセーフ大統領による演説 9月27日の国連総会において, ルセーフ伯大統領が気候変動に関する演説を行ったところ, 概要は以下のとおり。 (ア)我々は,気候変動枠組条約を強化すべきである。我々の義務は,共通ではあるが差異 ある責任の原則に則った,野心的なものでなければならない。 (イ)再生可能なエネルギー源の多様化を続けてきたことにより,伯エネルギー・マトリッ -5- クスは, 世界で最もクリーンなものの一つとなっている。 低炭素農業に力を入れており, アマゾンの森林伐採を82%減らすことに成功した。伯が2025年までに温室効果ガスの排 出を37%削減(2005年比)することを宣言する。2030年の目標は,43%の削減である。 (ウ)土地利用及び農牧業に関し,2030年までに,①不法伐採ゼロ化,②1200万ヘクタール 相当の森林回復及び植林,③荒地化した牧草地1500万ヘクタールの回復,④農地・牧草 地・森林500万ヘクタールの統合,を実現しようとしている。 (エ)エネルギー分野に関する目標は,①再生可能エネルギーがエネルギー・マトリックス に占める割合を45%にする,②水力発電が発電量全体に占める割合を66%にする,③再 生可能エネルギー(風力,太陽光及びバイオマス)が発電量全体に占める割合を23%に する,④電力効率を約10%向上させる,⑤エタノール及び他のサトウキビ由来のエネル ギーがエネルギー・マトリックスに占める割合を16%にする,の5つである。 (オ)伯は,排出量削減目標の絶対値を掲げる,数少ない途上国の一つであり,伯の目標は, 先進国のそれと比べても勝るとも劣らないものとなっている。我々は,気候変動対策に おける南南協力が重要と考える。 (3)G4首脳会合 (ア)9月26日,ルセーフ大統領はニューヨークで開催されたG4首脳会合に出席した。G 4首脳会合の開催は11年振りであり,安保理改革に関する文書が第70回国連総会の議題 に盛り込まれたことから, 改革に弾みがつくものと期待されている。 ルセーフ大統領は, 同文書は安保理改革の議論を容易にするものであり,コンセンサス形成に向けて各国首 脳に働きかけていく旨述べた。 (イ)もっとも,この戦略が短期間で実現するとは考えられておらず,ガルシア大統領国際 担当補佐官は,「安保理改革の実現は我々の子供の世代になろう。」と述べている。安 保理拡大への最大の障害の一つとして,日本の常任理事国入りに対する中国の拒否があ る。一部アナリストは伯のG4戦略の誤りを指摘している者もいるが,同補佐官は2004 年に発足したG4を放棄するのは最早遅く,常任理事国の内,露英仏は伯への支持を表 明している旨指摘している。 (ウ)ルセーフ大統領はG4首脳会合後,世界の新たな権力関係を適切に反映した国連安保 理が必要であり,既に常任理事国であるが伯同様の新興国である中露からの支持を模索 すると述べた。また,安保理の抱える問題は深刻であり,70回目の国連総会は改革の議 論を再開させる象徴的タイミングである旨主張した。 防衛 (1)ワギネル伯国防大臣の訪中 (ア)伯中パートナーシップの強化のため,ワギネル国防大臣(当時)が訪中し,中国の工 業地区の視察,中国軍高官との会談,第二次世界大戦の戦勝70周年記念式典(9月3日) にルセーフ大統領の代理として出席した。 (イ)1日,ワグネル伯国防大臣は常万全(Chang Qanquan)中国国防大臣と1時間にわたり 会談し,防衛分野における相互理解を深めた。常大臣からは伯との防衛交流・協力を継 -6- 続させていく旨発言,ワグネル国防大臣からは中国が平和維持活動への参加に加え,両 国間の兵員訓練での交流拡大を通じた相互信頼・協力関係の深化を期待している旨述べ た。 (ウ)また,Xu Dazhe国家国防科技工業局長とも会談している。同行したメナンドロ伯国防 省戦略局長によれば,ワグネル大臣は学術,軍事,航空宇宙分野での交流に理解を示し た他,アマゾン保護システム運用管理センター(CENSIPAM)における技術協力や,(未 だ模索の段階なるも)防衛産業における新たな中国の投資についても議論された。 (2)グリペン戦闘機に関するスウェーデンとの協力 (ア)本年10月19日より,EMBRAER社(伯航空機製造会社)及びAEL Sistemas 社の46名の専 門家がスウェーデンのSAAB社に派遣され,戦闘機「新型グリペン」の開発プログラムに 従事する予定。これにより,主力戦闘機購入に関する伯スウェーデンの二国間協定に係 る実質的な取り組みが開始される。 (イ)伯スウェーデン二国間協定には,伯への技術移転が認められており,技術移転プログ ラムの伯側責任者はEMBRAER社である。更に,同社は新型グリペン(乗員2名タイプ)を 開発し,サンパウロ州ガヴィオン・ペイショット市の工場で組み立てる予定である。 (ウ)SAAB社長のBuskhe氏は,伯専門家のスウェーデン派遣について,「この出来事は新型 グリペン開発プログラムの正式な開始を意味する重要なものであり,我々は,今後,同 戦闘機が伯空軍に予定通り納入されるよう全力で支援する。」と述べている。納入開始 は2019年であり,最後の36機目は2024年に納入の予定である。 3.トピックス (1)第3回日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会の開催 9月3日,ブラジリアにて第3回日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会が開催され,日 本側からは民間も含めて 65 名以上,伯側からは 45 名以上,合計 110 名以上が参加した。同 委員会では,スマートコミュニティや医療分野での日本の協力や,対ブラジル投資促進につ いて議論が行われた。 (2)梅田大使夫妻のミナスジェライス州公式訪問 9月 27 日から9月 28 日にかけて,梅田大使夫妻がミナスジェライス州を公式訪問した。 27 日には,ミナスジェライス日伯文化協会訪問,日本語教育関係者との懇談,Voda Nova 地区の交番視察を行った。ミナスジェライス日伯文化協会において,梅田大使はフードフェ スティバルに出席し,同フェスティバルに参加した約 400 名の日系団体関係者の家族等と共 に,日本舞踊や太鼓の演奏等の文化的催し物を見学した。日本語教育関係者との懇談では, 梅田大使は,日本語教育の普及におけるこれまでの貢献に謝意を示すとともに,日本語教育 の更なる普及に向けて意見交換を行った。 28 日には,ピメンテル州知事との会談,日本企業関係者及び州政府幹部の意見交換への出 席,日伯外交関係樹立 120 周年記念として友好の森での桜及びイペーの植林等を行った。ピ -7- メンテル州知事との会談において,梅田大使は同州知事による日系社会及び日伯関係への配 慮や交番制度での協力に謝意を表するとともに,今後日本からの投資の増加に向けた環境整 備や中等教育での日本語教育の導入等を要請した。更に,日伯外交関係樹立 120 周年を記念 して,120 本の桜とイペーの苗及び 330 本のツツジの苗を植樹する記念式典に参加した。 (3)井戸敏三兵庫県知事のパラナ州来訪:兵庫県パラナ州友好提携 45 周年記念 (ア)平成27 年8月17 日~26 日の井戸兵庫県知事の海外出張(ブラジル連邦共和国,アル ゼンチン共和国及びパラグアイ共和国)において,8月19日~21日,同知事はパラナ州を 訪問した。 (イ)本年は兵庫県とパラナ州との友好提携45 周年にあたり,両県州の交流と相互理解を一 層促進するため,井戸兵庫県知事は同県議会,経済界,日伯協会及び柔道使節団等,7 団体総勢80名以上のメンバーと共に来訪し, リッシャ パラナ州知事との会談や友好提携 45 周年共同声明の調印等を行った。 【井戸兵庫県知事のパラナ州訪問概要】 (ア)井戸敏三兵庫県知事とベト・リッシャ・パラナ州知事の会談 ベト・リシャ・パラナ州知事は井戸兵庫県知事の来訪を歓迎するとともに,今次の井 戸兵庫県知事のパラナ州滞在が有益なものであることを期待する旨述べた。一方,井戸 兵庫県知事は,今後も経済,文化等の分野で一層兵庫県とパラナ州の関係を深めていき たい旨述べ,さらにリッシャ州知事の訪日を招請した。 (イ)兵庫県パラナ州友好提携45周年記念式典 〈1〉パラナ州政庁イグアス宮殿行事の間にて,リッシャ州知事,井戸県知事,トライア ノ州議会議長,石川県議会議長,タカヤマ連邦下院議員,ニシモリ連邦下院議員他及び 池田在クリチバ日本国総領事の計15名が来賓として雛壇に座り,行事の間会場には多く の関係者の参加を得て,兵庫県パラナ州友好提携45周年記念式典が開催された。 〈2〉両県州知事は,1970年5月に両県州首脳が調印した協定文書に基づく友好連携の成 果を確かめ合うとともに,今後の両県州の友好提携関係を一層進めるための「兵庫県・ パラナ州友好提携45周年記念共同声明」に署名した。また,井戸県知事より,ニシモリ -8- 連邦下院議員に対して兵庫県功労賞が授与された。 (ウ〉パラナ州知事主催歓迎昼食会 井戸兵庫県知事一行を招待し,リッシャ州知事主催の歓迎昼食会がクリチバ市内のグ ラシオーザ・カントリークラブにて開催された。 (エ)石川憲幸兵庫県議会議長一行によるトライアノ・パラナ州議会議長表敬 〈1〉石川兵庫県議会議長一行はパラナ州議会を往訪した。石川兵庫県議会議長は,20年 前の阪神淡路大震災の際のパラナ州議会からの支援に感謝の意を表し,45周年の機会に 両州県議会の友好がさらに深まることを祈念する旨述べた。 〈2〉トライアノ・パラナ州議会議長は,石川兵庫県議会議長一行のパラナ州議会訪問を 歓迎し,パラナ州・兵庫県議会の一層の関係強化を希望すると共に,兵庫県の日本企業 のパラナ州進出を期待する旨述べた。 (オ)パラナ州知事工業連盟との経済交流会議 〈1〉ビラタン・イジノ・ジャコモーニFIEP(パラナ州工業連盟)会長代理(副会長)の 歓迎の辞につづき,シルヴィオ・バーロス・パラナ州政府州知事代理(企画総合調整長 官)及びルイス・ニシモリ連邦下院議員が,両州県の実りある45年間を振り返り,今後 の経済面でのますますの進展を期待する旨を挨拶した。 〈2〉井戸兵庫県知事及び兵庫県パラナ州友好提携経45周年経済ミッション(兵庫県企業 等15団体)が兵庫県の魅力と各団体の取り組みをそれぞれアピールした。 〈3〉FIEP側からパラナ州に関する魅力(電力や水資源が豊富,質の高い労働力等) が紹介された。 (カ)田在クリチバ日本国総領事主催歓迎夕食会 〈1〉井戸県知事,バーロス州知事代理(同州企画調整長官),石川同県議会議長,三野 日伯協会理事長(住友ゴム工業株式会社会長),兵庫県代表団一行,パラナ州政府関係 者等を池田在クリチバ総領事公邸に招待し,歓迎夕食会を実施した。 〈2〉井戸県知事,バーロス州知事代理及び池田在クリチバ総領事より,両県州のますま -9- すの友好関係の発展を祈念するスピーチが行われた。本夕食会では,両県州関係者が今 後の交流のあり方について意見交換する機会となり,両県州関係者よりパラナ兵庫友好 提携45周年祝賀への当館の協力に対して感謝の意が表せられた。 また, 井戸県知事より, 本年度末でブラジル兵庫県事務所を退職する山下亮同事務所長に対して兵庫県人会功労 賞が授与された。 (キ)兵庫県パラナ州姉妹提携45周年記念コンサート 〈1〉在クリチバ日本国総領事館,パラナ州政府,日本ブラジル外交関係120周年パラナ州 日系実行委員会,ブラジル兵庫県事務所,兵庫県進出企業及びパラナ州電力公社が連携 し,パラナ州立グアイラ劇場小ホールにて,クリチバ・フィルハーモニー交響楽団,日 伯ソプラノ歌手(マサミ・ガネヴ及びルイザ・ウアデン)による記念コンサートを企画 実施した。なお,本コンサートにはクリチバ日伯文化援護協会の歌謡,和太鼓,舞踊の 日系人グループも参加しコンサートを盛り上げた。 〈2〉同コンサートにおいて日本人とブラジル人の音楽家が共演し,日伯の曲を演奏する ことで,パラナ州と兵庫県の友好関係をアピールした。当地の要人のみならず一般層の 日系人,非日系人の日本文化への関心を喚起し,当地メディアでも報道された。 【兵庫県とブラジル・パラナ州の歴史】 1908年 最初の移住者を乗せた笠戸丸が神戸港を出発 - 10 - 1926年 日伯協会誕生(現会長:住友ゴム工業株式会社会長三野哲治氏) 1960年 ブラジル兵庫県人会発足 1970年 兵庫県-パラナ州友好提携締結(訪問団の相互派遣開始) 1986年 パラナ州兵庫県人会の発足 1988年 兵庫県連絡事務所の設置(於:クリチバ) 2009年 海外移住と文化の交流センター開設(在日外国人支援機能施設) 2015年 兵庫県パラナ州友好提携 45 周年 4.大使館からのお知らせ (1)文化イベント ブラジリア大学文学部外国語・翻訳学科日本語専攻科による相互文化交流イベント(ブラジ リア) 日時 : 9月28日(月)~ 10月3日(土) 場所 : ブラジリア大学ダルシー・ヒベイロ・キャンパス,L2 Asa Norte - DF 内容 : 日伯外交関係樹立120周年を記念し,ブラジリア大学外国語・翻訳学科が折り紙,映 画,アニメ,太鼓,よさこいソーラン等のワークショップを開き,文化交流を促進す る。 鎌田 悠紀子先生の日本書道展示会(ブラジリア) 日時:9月28日(月)〜10月23日(金) 場所:Espaço Cultural,SESC DF, 504 Sul,ブラジリア日本語普及協会 内容:書道家鎌田悠紀子先生による書道展(20~30作品を展示予定)。 独創的アニメ上映会(ブラジリア) 日時:10月6日(火)~12日(月) (注:ストにより、7日(水)までの実施) 場所:シネ・ブラジリア,EQS 106/107 Asa Sul 内容:国際交流基金の巡回上映。数々の名作を生み出し続けるSTUDIO 4℃の元にアニメの天 才が集結制作した7つの短編集「GENIUS PARTY」のほか,独創的な短編,長編を一挙に 公開する。ポルトガル語字幕付き。 五嶋龍とブラジルのオーケストラ(サンパウロ) 日時:10月10日(土)21時から 場所:サラ・サンパウロ Praça Júlio Prestes 16, Luz, São Paulo - SP 内容:世界的バイオリニストの五嶋龍を迎え,ブラジル各地のオーケストラと共演を行う。 リハーサルや演奏の合間にはマスタークラスを開催するほか,音楽の道を歩む地元青 少年とのワークショップや交流を行い,ブラジルにおける音楽教育とクラシック音楽 の水準向上にも貢献する。 - 11 - 五嶋 龍・平和劇場オーケストラ・コンサート(ベレン) 日時:10月15日(木)20時 場所:平和劇場 内容:北伯地域最大級のホールである平和劇場において,五嶋 龍ヴァイオリンと平和劇場オ ーケストラによる公演会を開催する。 第21回全伯日本語スピーチコンテスト(リオデジャネイロ) 日時:10月18日(日) 場所:Sohaku-In(リオデジャネイロ市) 内容:ブラジル各地で実施された日本語スピーチコンテストで優秀な成績を修めた者をリオ デジャネイロに招へいし,日本語スピーチコンテストの全国大会を実施する。 五嶋龍バイオリンコンサート(リオデジャネイロ) 日時:10月21日(水) 場所:セシリア・メイレレス劇場 内容: 日ブラジル外交関係樹立120周年を記念し,リオデジャネイロ連邦大学交響楽団がバ イオリニスト五嶋龍をソリストに迎えコンサートを開催。 第2回パリンチンス日本文化祭(アマゾナス州) 日時:10月23日(金)~24日(土) 場所:アマゾナス州文化局パリンチンス市ボイ・ブンバ会場 内容:アマゾナス州パリンチンス市において,折り紙,日本式包装,日本料理ワークショッ プなど,様々な日本文化紹介を実施する。 独創的アニメ上映会(日伯外交関係樹立120週年記念)(レシフェ) 日時:10月23日(金)~25日(日) 場所:東北伯人類博物館映画館 内容:国際交流基金の巡回上映。数々の名作を生み出し続けるSTUDIO 4℃の元にアニメの天 才が集結制作した7つの短編集「GENIUS PARTY」のほか,独創的な短編,長編を一挙に 公開する。ポルトガル語字幕付き。 (2)ブラジル渡航情報 (ア)外務省 海外安全ホームページ 各国の危険情報や安全対策など,海外赴任,出張及び旅行をする際の留意点が掲載され ています。 http://www.anzen.mofa.go.jp/ (イ)ブラジル渡航情報 ①危険情報 7月 23 日付で内容を改訂しましたので御確認ください。以下の地域が「十分注意してく ださい。 」となっていますので,詳細をホームページで確認してください。 ・ブラジリア連邦区(継続) ・サンパウロ州大サンパウロ圏及びカンピーナス市(継続) - 12 - ・リオデジャネイロ州大リオ圏(継続) ・アマゾナス州大マナウス圏(継続) ・パラー州大ベレン圏(継続) ・ペルナンブコ州大レシフェ圏(継続) ・バイア州大サルバドール圏(継続) ・エスピリトサント州大ビトリア圏(継続) ・パラナ州大クリチバ圏(継続) ・リオ・グランデ・ド・スル州ポルトアレグレ市(継続) http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo.asp?id=259#header ②安全対策基礎データ 主要各州,都市毎の犯罪発生状況,防犯対策及び滞在時の留意事項等に加え,査証, 出入国審査や大使館,総領事館の緊急連絡先が掲載されています。 http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure.asp?id=259 ③テロ・誘拐情勢 http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror.asp?id=259 - 13 -
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