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大 使 館 情 報
2015年5月
【目次】
○ ブラジルマクロ経済情勢
○ トピックス
・
“フィールドミュージアム構想”によるアマゾンの生物多様性保全プロジェクト
・内政(閣僚の交代、伯全土で行われた大規模反政府デモ)
・外交(伯ウクライナ宇宙開発協定の破棄の決定、伯米首脳会談、パク・クネ韓国大統
領の訪伯、インドネシアにおけるブラジル人受刑者の死刑執行)
○ 大使館からのお知らせ
・文化イベント
・外務省 海外安全ホームページ
・ブラジル渡航情報
※大使館情報の最近のバックナンバーを大使館ホームページに掲載していますのでそち
らも御覧ください。在ブラジル日本大使館 www.br.emb-japan.go.jp
-1-
○ブラジルマクロ経済情勢
1.経済情勢等
(1)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づく経済成長予測に関し、4
月30日時点では、本年の経済成長はマイナス1.18%と前週より下方修正、明年の経済
成長は1.00%と前週から据え置きとなっている。
(2)4月10日、IMFは、ブラジルの4条協議報告書の概要を発表し、本年の経済成長
率をマイナス1.0%、明年の経済成長率を0.9%と予測した。
(3)4月10日、格付け機関フィッチは経済状況の低迷、財政状況の悪化等を理由にブラ
ジル国債の格付けを「弱含み」へと引下げた。
2.経済政策等
(1)
4月1日、
ブラジル財務省は、
これまで免税されていた金融収入に対するPIS
(Pasep)
/Cofins を7月1日以降、4.65%の税率で適用し、本年約27億レアルの税収増を見込
んでいると発表した。
(2)4月15日、ブラジル企画予算省は、2016年度予算編成方針法(LDO)案を議
会に提出し、2016年度のプライマリーバランス黒字目標は、連邦政府で対GDP比1.
65%、政府全体で同2.0%と設定した。
(3)4月19日、レヴィ財務大臣は、ニューヨークでの投資家に向けた講演会で、ブラジ
ル政府は5月に投資促進のためのコンセッションプログラムを発表予定であり、同時に投資
金融メカニズムについて世界銀行と協議中であると述べた。
(4)4月19日、レヴィ財務大臣は、上記講演会で、中銀は予想インフレ率を4.5%に
つなぎとめるよう、価格調整が行われている間警戒を緩めるべきではないと発言した。
(5)4月20日、ルセーフ大統領は2015年度年間予算法(LOA)を裁可した。
(6)4月27日、レヴィ財務大臣は、議会において、経済状況の見通しについて安定感が
見え始めており、政府が確実な実行力を持てば、ブラジル経済は成長と投資家の信頼を取り
戻すとし、財政調整を超える政策への議会の理解を求め、とりわけインフラの整備、商品流
通サービス税の改革が投資の流入にとって基礎的条件となると述べた。
3.中銀の金融政策等
(1)4月14日、トンビーニ中銀総裁は、講演において「規制価格の再調整が及ぼす二次
的影響を回避するため、引き続き慎重な姿勢を維持する」と発言し、金融政策自体に規制価
格の上昇を抑制する効果を期待することはできないため、中銀は価格の二次的影響のみを考
慮するとの姿勢を示した。
(2)4月29日、通貨政策委員会(Copom)は、政策金利(Selic)を0.50%
引上げ、13.25%とする声明を全会一致で発表した。
(3)4月30日、ブラジル中銀は、為替スワップのロールオーバーの比率を5月以降低下
させる方針を示した。
-2-
4.為替市場・株式市場
(1)為替市場
(ア)4月のドル・レアル為替相場は、第2次ルセーフ政権が進める財政緊縮案や、ペトロ
ブラスの決算をめぐり、
落ち着きを取り戻し出し、
ドル安レアル高が進行する展開となった。
その結果、月末は1ドル=2.9930レアル(買値)と前月末比で6.68%もレアル高と
なった。
(イ)月の初め、地方政府の債務削減策に関してレヴィ財務大臣が政府の意向に沿って議会
の説得に成功したことへの好感や、ルセーフ大統領が連立を組むPMDBのテメル副大統領
に議会運営を任せる決断を下したことにより、政治的混乱が沈静化するとの見方からレアル
買いが強まった。ただし、月の半ば、中国の3月の輸出の大幅な減少をはじめ経済成長の減
速傾向が示されたことや、ギリシャのデフォルトが現実味を帯びてきたことを受け、ドルが
買われる場面も見られた。
(ウ)しかし、Copom開催前にトンビーニ中銀総裁が金融引締め継続をほのめかす発言
をしたため、しばらくSelicの0.50%引き上げは維持されるとの見方から金利上昇を
見越したレアル高傾向が続いた一方、米国の雇用や住宅に関する経済指標が予想を下回った
ためドルは売られる展開となった。
(エ)そして、汚職等の損失による財務状況の悪化が懸念されていたペトロブラスの決算が
大幅赤字ながらも発表されたことが評価された一方、米国の利上げ時期が先送りされるとの
見方が強まったことで、28日にレアルは 1 ドル=2.8937レアル(買値)の月内最高値
を記録した。ただし、その後発表された政府の財政状況が3月として過去最低だったことも
あり、月末は若干ドルが戻すかたちで取引を終えた。
(2)株式市場
(ア)4月のブラジルの株式相場(ボベスパ指数)も為替市場と同様、政府の経済対策やペ
トロブラス問題を前向きに評価するかたちで落ち着きを取り戻し始め、ほぼ続伸する展開と
なった。その結果、月末の終値は56,229ポイントと前月末比で9.93%も値上がり
した。
(イ)月の前半における株価の上昇要素としては、レヴィ財務大臣が議会の説得に成功した
ことで懸案となっている政府の財政緊縮案が承認される可能性が高まったこと、ペトロブラ
スの決算報告への期待感から同社株が買われたことなどが挙げられる。ただし月の半ば、米
国の小売売上高や中国の2015年の第 1 四半期GDPが市場予想を下回ったことや、ギリ
シャの債務問題に対する悲観的な見方が強まったことで、上値の重い展開となった。
(ウ)その後、月の後半になると、鉄鉱石の国際価格の上昇や第1四半期の生産高が好調だ
ったことでヴァーレ他の鉄鋼関連株が買われ、株価全体も上昇。そして、ペトロブラスが5
ヶ月遅れで決算を発表し、汚職関連の62億レアルを含む損失が446億レアルに上り、9
1年以降初めての赤字となり、負債総額も過去最高を記録した。しかし、デフォルトが懸念
されていた同社の財務状況が実際に数値で公表されたことで市場には安心感が広がり、株価
は年初来最高値となる56,
594ポイントまで上昇し、
月末はほぼ同じレベルで終了した。
-3-
「“フィールドミュージアム構想”
によるアマゾンの生物多様性保全プロジェクト」
国立アマゾン研究所(Instituto Nacional de Pesquisas da Amazônia: INPA)は,アマゾン熱
帯地域の動植物・環境・生態学の研究を目的として1952年に設立されました。
近年は,その活動領域を広げ,アマゾンの熱帯地域の研究機関という役割に加え「市民の
自然科学に対する興味や環境意識の向上」といった教育や,
「科学技術開発とその活用」
,
「住
民に興味及び憩いの場所の提供」というアマゾンの人々の環境整備や教育に重要な役割を
担っています。
現在このINPAでは,京都大学と日本の様々な研究機関及びJICAが提携し,大規模
プロジェクト「“フィールドミュージアム構想”によるアマゾンの生物多様性保全プロジ
ェクト (ポルトガル語:Museu na Floresta)」が進められていますが,本記事ではそのプ
ロジェクト概要等を紹介していきます。
(以下執筆協力:JICA)
INPA本部:マナウス
撮影者 池田威秀
ポルトガル語プロジェクト名: Museu na Floresta
協力期間: 2014 年 7 月 22 日~2019 年 7 月 21 日(5 年間)
ブラジル側の実施機関: 国立アマゾン研究所(INPA)
日本側の実施機関: JICA、JST(科学技術振興機構)
、京都大学(研究
機関代表)
、水産工学研究所、森林総合研究所、総合地球環境学研究所、
須磨海浜水族園
プロジェクトの HP
http://www.wrc.kyoto-u.ac.jp/satreps/index.html
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プロジェクトの意義
アマゾナス州の州都マナウスは、アマゾン川本流と支流ネグロ川の合流点に位
置しアマゾンでも特に生物多様性に富んだ地域ですが、200 万人近い人口と急速な都
市の拡大により、貴重な自然環境が失われつつあります。この問題を解決するには、
絶滅危惧種や生態系の研究・保全を進めると同時に、正確な情報にもとづいた環境教
育を通じて都市住民の環境保全への理解・協力を得る必要があります。
近年、先進諸国では、一部の先進的な動植物園や水族館が、研究・保全・環境教育の
拠点としての役割を担うようになってきましたが、アマゾンにはまだそのような動植
物園や水族館は存在せず、環境保全に必要な生態研究も、研究技術や施設の制約によ
り大きく遅れています。
本プロジェクトは日本とブラジルの共同研究活動を通じて、研究・環境教育・
エコツーリズムの拠点を整備し、それらをネットワーク化して展示することで、アマ
ゾンの生物多様性に関する正確な情報を地域住民に対して提供し、保全活動や環境教
育、エコツーリズムに貢献することを目指しています。
プロジェクト概要
“フィールドミュージアム”とは、従来の博物館のような「箱もの」を
飛び出し、各拠点をネットワーク化したものを展示する一連の活動と定義づけて
おり、マナティやカワイルカなど、アマゾンの環境保全のシンボルとなっている
野生動物の保護と環境教育を行います。
本プロジェクトは、ブラジル国内外からも注目を集めておりますが、より
効果的にかつ継続的に事業を進めるためにも様々なステークホルダーとの協力が
欠かせないため、企業からの支援(CSRなど)も大切なコンポーネントである
と考えています。
観光分野においては、将来マナウスの観光ツアーの一候補として、日本が支
援した本プロジェクトの現場への訪問も視野に入れ、研究の拠点に留まらないマ
ナウス市に加え、クイエイラス川周辺の熱帯雨林プロジェクト等も活動サイト等、
アマゾンの貴重な生態系を体験できるエコツーリズムも試行予定です。
また、INPAでは複数のマナティが保護されており、野生復帰に向けて
準備が進められておりますが、同プロジェクトではアマゾンマナティなどの絶滅
の危機にさらされている野生動物を飼育、半飼育(半野生)
、野生下で観察・研究
できる施設と保護区の整備を進めております。
(撮影者 山本友紀子)
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プロジェクトの様子
水面から鼻を出すマナティ。アマゾン川の水は濁っている
ため、このように至近距離でも生物の直接観察は難しい。
最新の技術・機材によって生態系を明らかにすることがプ
ロジェクトの目標の一つ。
(撮影者 菊池夢美)
もう一つのプロジェクト活動サイトであるクイエイラス川周辺の
熱帯雨林。研究の拠点となるだけでなく、アマゾンの貴重な生
態系を体験できるエコツーリズムも試行予定。
(撮影者 池田威秀)
絶滅が危惧されているアマゾンカワイルカの音声を記録し、分布
や行動を調査している。これらのデータは保護活動に活かされ
る。(撮影者 矢部恒晶)
プロジェクトの目標、期待される成果、活動
プロジェクトの目標: アマゾンの生物・生態系の科学的研究成果に基づき、研究・
保全・環境教育の核となるフィールドミュージアムを構築する
活動を通じて得られる成
活動を通じて得られる成
活動を通じて得られる成
果①: 対象地域の代表
果②: フィールドミュージ
果③: フィールドミュージ
的生物・生態系の研究・保
アムのコンポーネント(施
アムの運営プログラム及
全が最新の技術・手法に
設および展示)が構築・ネ
びマネジメントシステムが
よって促進される。
ットワーク化される。
構築される
活動内容①: 水生哺乳
活動内容②: 生物およ
類(マナティー、カワイル
び森林生態系の研究・展
カ)、魚類、森林生態系に
示のための施設を整備す
ついて、調査研究を行
る 。また 、こ れら の施設
い、アマゾンの生物多様
と、既存の保護区や環境
性・生態系の実態を解明
教育施設との連携を進め
する。
る。
活動内容③: フィールド
ミュージアムが持続的に
運営されるよう、ステーク
ホルダーを組織化する。
またステークホルダーと
連携して、環境教育やエ
コツアーのプログラムを
構築する。
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【内政】
1.閣僚の交代
(1)4月7,伯大統領府は,ヴァルガス大統領府政治調整担当庁長官の職を辞任し,テメ
ル副大統領がこれを兼任すること発表した。なお,報道によれば,大統領府政治調整担当庁
長官の交替は,
昨今一連の政府とPMDBとの関係悪化に鑑み,
PMDBや一部のPT議員,
そしてルーラ前大統領がルセーフ大統領に対して,ヴァルガス政治調整担当長官を交替させ
るべきとの圧力をかけたことから,交渉が始まったものとされている。
(3)4月8日,伯大統領府はサルヴァッティ大統領府人権庁長官が辞任し,ヴァルガス前
大統領府政治調整担当庁長官が後任となる旨発表した。
(3)4月15日,伯大統領府は,ラジェス観光大臣が辞任し,エンリッケ・エドゥアルド・
アルヴェス前下院議員(前下院議長)が後任となる旨発表した。
2.ブラジル全土で行われた大規模反政府デモ
(1)4月12日,反政府デモが25の州及び連邦区の約200都市において行われ,約7
0万人(警察発表)が参加したが,先月15日のデモ(約170万人)と比べれば,動員数
は半分以下となった。なお,今回のデモは,終始,平和的に行われ,警官隊との衝突,略奪
等の混乱は見られなかった。
(2)主要都市に於ける参加者数及び前回との比較は以下の通り。サンパウロ:27.5万
人(前回:100万人),リオデジャネイロ:2万人(10万人),ブラジリア:2.5万
人(4.5万人),ベロオリゾンテ:5千人(2.6万人),ポルトアレグレ:3.5万人
(10万人),サルヴァドール:2千人(1.2万人),レシフェ:8千人(5千人),マ
ナウス2.3千人(1.3万人)。
(3)今回のデモが前回と比べて下火となったのは,前回のデモは4か月以上前からデモが
告知されていたが,今回の告知期間が短く,また前回デモから一ヶ月も経たないうちに行わ
れたことによるタイミングの問題が原因ではないかと見られている。
また,
サルヴァドール,
ベレン,マナウス等では雨天が原因とされている。
(4)デモの参加者の主要な主張は,反ルセーフ大統領,反政府,反PT,反汚職等であっ
た。少数派ではあるが,軍事政権の復活を求めるグループが今回のデモにおいても出現し,
注目を集めた。
(5)フォーリャ・デ・サンパウロ紙の分析記事は以下のとおり。
今回のデモにより,反政府運動が下火となったと見るのか,または未だにこれだけのデモ
隊を動員できるだけの勢いを持っていると見るのかで意見が分かれるところであるが,デモ
の参加者が前回から減ったとは言え,
今回も相当な規模のデモが発生したと見るべきである。
政府からしてみれば,一息つけたということなのであろうが,最新の世論調査によれば,国
民の63%がルセーフ大統領の弾劾を支持しており,危機から脱したとは言い難い。
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【外政】
1.伯ウクライナ宇宙開発協定の破棄の決定
(1)ルセーフ大統領は,関係省庁が作成した報告書を受け,伯ウクライナ宇宙開発協定の
破棄を決定した。右協定の破棄は,本年1月,同大統領と関係閣僚(国防,科学技術,外務
各大臣及び文官長)の会議で決定されたが,ウクライナ政府には通報されていないので,同
協定は未だ効力を有している。
(2)協定破棄の理由は,伯の財政難により,サイクロン4型衛星打ち上げロケットの非常
に高いコストに対応できなくなったことにある。伯ウクライナ両国は,協定の締結(200
3年)から約12年間に亘り,商業衛星をサイクロン4型ロケットにより伯のアルカンタラ
基地から打ち上げるとの計画に約10億レアルを投資してきたが,未だに打ち上げは行われ
ていない。両国は,2006年に「アルカンタラ・サイクロン・スペース社」を設立し,2
010年に打ち上げを行う予定であったが,資金難並びに先住民との間で土地の所有権を巡
る争いが発生したため,打ち上げは2015年に延期されたが,今のところ,打ち上げ基地
の施設は半分ほどしか完成していない。
ウクライナが2014年から内戦状態にあることも,
同国に対する不信感を募らせる要因となっている。
(3)ウクライナとの協定が破棄されれば,対米交渉への道が開けることになる。米国は,
アルカンタラ基地の商業利用に強い関心を有している。伯米両国は,2000年に米国が同
基地を使用することで合意したが,
米国が技術の共有を拒んだため,
実現には至らなかった。
ルセーフ大統領は,米国情報機関の盗聴事件により冷え込んだ米国との関係を修復しようと
しており,同基地の使用が再び俎上に上る可能性がある。また,ロシアは,以前から,伯に
対し,ウクライナとの協定を破棄するよう働きかけていたところ,ロシアが伯に衛星打ち上
げロケットを提供する可能性がある。
2.伯米首脳会談
(1)4月11日、パナマで開催された米州首脳会議と並行して、ルセーフ大統領はオバマ
大統領との首脳会談を行い、本年6月30日に米国を実務訪問することで合意した。会談に
おいて、両首脳は科学技術、イノベーション及び防衛分野における協力,民間航空,米州に
おける民主主義の構築,気候変動及び代替エネルギーについて意見交換を行なっている。
(2)ルセーフ大統領は、国賓訪問ではなく,実務訪問を選択したことに関し,「国賓とし
て訪問するのであれば明年にせざるを得ないが、それでは米国の大統領選挙と重なることと
なる。そのため、我々は本年6月末に訪米を行うこととした。」と述べた。
(3)オバマ米大統領は、「ルセーフ大統領が6月にワシントンを訪問することになり、非
常に満足している。その際、我々は気候変動、エネルギー、教育、科学技術等のテーマにつ
いて話し合いを行う予定である。また、議論を深めるだけでなく、協力に関する具体的なプ
ランを作ることが出来るであろう。」と述べている。また、伯米関係を揺るがしたNSAに
よる盗聴事件に関し、「米国政府は、伯だけではなく全ての友好国に対し、スパイ行為の対
象とはならないことを伝えている。」と述べた。これに対しルセーフ大統領は、「オバマ大
統領が何かについて知りたければ、自分(ルセーフ大統領)に電話する。」と補足した。
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3.パク・クネ韓国大統領の訪伯
(1)4月24日、ルセーフ大統領は、パク・クネ大統領と首脳会談を実施し,両首脳は貿
易及び投資を中心に二国間及びグローバルなアジェンダにおける諸課題を議論したほか、両
国間の協力の深化等について話し合った。首脳会談後には、成果文書への署名式が行われ、
両国首脳、関係閣僚及び企業トップが、教育、租税、エネルギー、保健、情報技術の分野に
おける成果文書に署名した。
(2)ルセーフ大統領は、より高い付加価値の品目の対韓国輸出などを通じ,両国間貿易の
品目を多様化させるべく努力する余地があるとした上で,貿易円滑化及び中小企業間取引促
進に係わる2つの合意によりこれを後押ししていく旨発言し,サンタカタリーナ産生鮮豚肉
の韓国輸入解禁を繰り返し要請した。
(3)ルセーフ大統領は、パク・クネ大統領の朝鮮半島の平和・安定のための努力を讃えた
上で、双方の2016-2018年、2017-2019年の人権理事会理事国立候補に係
わる相互支持で一致した旨発言。また,伯は韓国・北朝鮮の両方と外交関係を有する国とし
て、六者協議の早期再開を求めるとともに,地域の和平プロセスや人権擁護のために協力す
る用意がある旨表明した。
(4)両国のアジェンダは科学技術協力・学術交流といった分野にも広がっている。201
2年以降,韓国の大学は,「国境無き科学計画」を通じ525人の伯人留学生(アジアでは
最大)を受け入れている。
4.インドネシアにおけるブラジル人受刑者の死刑執行
(1)4月28日,インドネシアで伯人男性1名を含む8名の銃殺刑が執行された。伯政府
は,インドネシアに対する措置の検討を発表するとともに,世界的な死刑のモラトリアムを
主張するとしている。
(2)ダネーゼ外務次官は,「(伯人男性の死刑執行は)二国間関係にとり深刻な事態であ
る。二国間貿易は50億米ドルに達し,伯の黒字となっているが,大統領が何度も働きかけ
を行ったにも拘らずインドネシア政府から満足の行く回答が得られなかったことは,検討に
値するものである。大切なのは,同国との対話を試みることである。その次に,両国がこの
問題の克服方法について検討する必要がある。我々は,死刑を適用している国々が死刑を漸
次廃止するよう,説得するための取組に努力を傾注している。一つの方法としては,死刑の
モラトリアムが考えられる。」と述べている。
(3)両国関係は,既に儀礼的なものとなっている。本年1月17日に最初の伯人死刑囚が
処刑された後,ルセーフ大統領は駐インドネシア伯大使を呼び戻した。同大使はそのまま離
任となったが,後任の大使は未だ任命されていない。本年2月,ルセーフ大統領はリヤント
駐伯インドネシア大使の信任状奉呈を拒否し,同大使は帰国しなければならなかった。
(4)今回処刑された死刑囚は,2004年にコカイン6キロをインドネシアに密輸しよう
として空港で逮捕され,翌年に死刑を宣告され,家族及び伯政府による控訴,助命嘆願等の
働きかけは全て失敗に終わっている。今回処刑された伯人男性は,平時に海外で処刑された
伯人としては,
同じく本年1月にインドネシアで麻薬密輸の罪により処刑された男性に続き,
2人目である。
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○大使館からのお知らせ
【文化イベント】
折り紙展示会(リオデジャネイロ)
日時:オープニングカクテル(5月6日(水))、展示会(5月7日(木)~6月3日(水)、月
~金、9時~12時、14時~17時)
場所:在リオデジャネイロ総領事館 広報文化センター講堂
内容:日伯外交120周年を記念し、当地の折り紙愛好家サークルのメンバーによって製作され
た、美しく精巧な折り紙の展示会を実施。
国際交流基金巡回展「日本人形展」(日伯外交関係樹立120周年記念行事)
日時:5月7日(木)~5月26日(木)
場所:アマゾナス州文化局裁判所文化センター
内容:日伯外交関係樹立120周年記念事業。季節毎の日本人形の展示や,日本の各地域の日本
人形を展示。
文部科学省国費留学生制度説明会(ブラジリア)
日時:5 月 11 日(月)
、10~12 時
場所:ブラジリア連邦大学(UnB)工学部講堂
内容:研究、学部等各国費留学生スキームについて、元留学生の体験談も交えながら応募方
法、募集のスケジュール、日本での受け入れ体制等を紹介する。
濱野龍峰氏講演会(クリチバ)
日時:5 月 15 日(金)
、午後7時
場所:パラナ州立大学音楽美術学校(EMBAP)
内容:パラナ州立大学美術学部等の学生及び教員を対象に、文字や書の歴史について実演を
交えながら説明。
日本語教師研修会における濱野龍峰氏講演(クリチバ)
日時:5 月 16 日(土)
、午後 2 時
場所:ハラ・パレスホテル(Hotel Hara Palace)
内容:パラナ州の日本語教師を対象に、文字や書の歴史について実演を交えながら説明。書
道の教え方についても指導。
日本文化祭(ブラジリア)
日時:5 月 17 日(日)
、午前 10 時
場所:ブラジリア日本語モデル校
内容:書道や折り紙の展示、日本食の販売、留学説明会等を行う。
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濱野龍峰 書道デモンストレーション(クリチバ)
日時:5 月 17 日(日)
、午前 10 時
場所:クリチバ市営市場(Mercado Municipal de Curitiba)
内容:クリチバ市営市場にて 3m x 3m の布をキャンバスとし、書のデモンストレーションを
行う。
濱野龍峰 講演会&ワークショップ(クリチバ)
日時:5 月 17 日(日)
、午後 2 時
場所:パラナ連邦大学(UFPR)ドン・ペドロ 2 世棟 4 階
内容:日本文化や書道に興味を持つ一般市民を対象に、文字や書の歴史について実演を交え
ながら講演会を行う。また、2 回に分けて書道のワークショップを実施する。
日ブラジル外交関係樹立 120 周年記念日本文化紹介(ベレン)
日時:5 月 29 日(金)~6 月 7 日(日)
場所:ハンガー(アマゾン・コンベンション・センター)
内容:折紙、生花、習字、算盤、太鼓、民謡、アニメ・漫画芸等の講習会・展示、太鼓の演
奏、日本民謡の披露、浴衣のデモンストレーション、コスプレ大会、日本文化セミナー、
「結」
邦楽公演、「石州流伊佐派」茶道レクデモ等につき「パン・アマゾニカ・ブック・フェア」
内のプログラムとして実施。
【ブラジル渡航情報】
1 外務省 海外安全ホームページ
各国の危険情報や安全対策など、海外赴任、出張及び旅行をする際の留意点が掲載され
ています。
http://www.anzen.mofa.go.jp/
3月19日付でISILから帰還した戦闘員によるテロの潜在的脅威に関する注意喚起
に関する渡航情報(広域情報)が発出されています。
2 ブラジル渡航情報
(1)危険情報
1月9日付で内容を改訂しましたので御確認ください。以下の地域が「十分注意してく
ださい。
」となっていますので、詳細をホームページで確認してください。
・ブラジリア連邦区(継続)
・サンパウロ州大サンパウロ圏及びカンピーナス市(継続)
・リオデジャネイロ州大リオ圏(継続)
・アマゾナス州大マナウス圏(継続)
・パラー州大ベレン圏(継続)
・ペルナンブコ州大レシフェ圏(継続)
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・バイア州大サルバドール圏(継続)
・エスピリトサント州大ビトリア圏(継続)
・パラナ州大クリチバ圏(継続)
・リオ・グランデ・ド・スル州ポルトアレグレ市(継続)
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo.asp?id=259#header
(2)安全対策基礎データ
主要各州、都市毎の犯罪発生状況、防犯対策及び滞在時の留意事項等に加え、査証、
出入国審査や大使館、総領事館の緊急連絡先が掲載されています。
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure.asp?id=259
(3)テロ・誘拐情勢
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror.asp?id=259
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