山本 篤志 - 愛媛大学工学部 環境建設工学科

生活道路における交通事故リスクに関する研究
愛媛大学 工学部 環境建設工学科 交通工学・都市環境計画研究室
山本篤志
吉井稔雄 白柳洋俊 兵頭知
1.背景・目的
現在,道路全体での交通事故発生件数は年々減少傾向にあるのに対し,
生活道路での交通事故件数は減少傾向となっておらず,道路全体において
生活道路での交通事故発生件数の占める割合は増大している.
8%減
生活道路での交通事故減少に向けた効果的な対策が必要で,
生活道路の危険個所の抽出が重要となってきている
本研究では、松山市を地区に分け、その地区の人口,道路延長,交差点数に着目し
て、生活道路における交通事故の起こりやすさを定量的に評価する
2.研究方法
Step1.生活道路と幹線道路の分類
Step3.事故発生リスク
Step2.生活道路で考えられる事故類型
デジタル道路地図データのコードより
幹線道路と生活道路を分類
道路種別コード
幅員区分コード
高速自動車国道
幅員13.0m以上
一般国道
幅員5.5m以上13.0m未満
都道府県道
幅員3.0m以上5.5m未満
市町村道
幅員3.0m未満
その他道路
事故類型別に,事故発生リスクに与える影響は
異なると考えられる
事故類型別に事故発生リスクを評価をおこなう
各ゾーンの類型別事故件数を同ゾーンにおける道路延長,
交差点数,人口を用いて基準化し事故発生リスクとする
事故件数𝑁𝑖𝑗
[件/1000人]
人口1000人当たりの事故件数 =
人口𝑝𝑖
事故件数𝑁𝑖𝑗
単位延長当たりの事故件数 =
[件/km]
道路延長𝐿𝑖
定義
 幅員13.0m以上:幹線道路
 幅員5.5m未満:生活道路
 幅員5.5m以上13.0m未満 : 県道以上は幹線道路
: 県道未満は生活道路
[自転車対車]
[車相互]
[車単独]
[人対車]
3.研究概要
事故件数𝑁𝑖𝑗
交差点数当たりの事故件数 =
[件/箇所]
交差点数𝑘𝑖
ここで,i:地区番号 j:事故類型
使用データ①
対象地域⇒ 愛媛県松山市
ゾーン⇒ 幹線道路を基準に松山市の境界地図データと
要因
デジタル道路地図データを地理情報システムに
反映させ加工
人口
道路延長
(m)
102地区
使用データ②
データ
出典
平成22年国勢調査
(町丁目単位)の数値
境界地
図デー
タ
ゾーン内の生活道路の
総延長
交差点数
ゾーン内の生活道路上の
交差点数
松山デ
ジタル
道路地
図デー
タ
松山市
年度
件数
2011-2013
3,856
発生日時
発生場所
事故類型(自転車対車,車両相互,人対車,
項目
車両単独)
衝突地点(単路,交差点)
衝突路線(一般国道,県道,市町村道)
車道幅員
生活道路において発生した交通事故件数を事故類型別に同ゾーン単位で集計をおこない,
各ゾーンの生活道路の交通事故件数と同ゾーンにおける道路延長,交差点の数,人口を用いて
基準化し事故発生リスクをそれぞれ算出し,事故類型別に交通事故リスクの評価を行う.
4.結果
道路延長と事故発生リスクの関係
[車両相互] [自転車対車]
[人対車]
事故発生リスク(件/km)
交差点数と事故発生リスクの関係
[車両単独]
 都心部で事故発生リスクが高い
 車両単独事故に関しては都心郊外部でのリス
クが高い
5.まとめ
[車両相互] [自転車対車] [人対車] [車両単独]
事故発生リスク(件/箇所)
事故発生リスク
(件/1000人)
都心郊外部で事故発生リスクが
高くなっている
人口と事故発生リスクの関係
[車両相互]
[自転車対車]
[人対車]
[車両単独]
車両相互・自転車対車・人対車の事故発生
リスクは都心部で高くなっている
車両単独の事故発生リスクは,中山間地域
で高くなっている
車両単独の事故は,人口と関係なく起こる
可能性がある
 道路延長,交差点数,人口を用いて地域ごとの事故類型別事故件数を基準化した
 道路延長,交差点数,人口によって事故発生リスクの高い場所(都心部,都心郊外部,郊外部)で違いが見られた
生活道路における交通事故リスクの定量的評価手法の確立が必要