ア 地域のバス 交通不便は郊外の大きな課題のひとつですが、観光バス会社との契約で、 地域のバスが実現されています。 実例:E バス(下和泉住宅) 下和泉住宅(泉区)は昭和 37 年に生協が開発・分譲した戸建て住宅団地で、最寄り 駅まで徒歩で約 25 分かかる上に、路線バスのバス停まで高齢者の足で 15 分かかり ます。平成 21 年 11 月現在の自治会員は約 970 世帯 2,500 人で、65 歳以上人口比率 は 32%です下和泉住宅の方々は、若年層の流出や高齢化への危機感の中、平成 14 年に自主運営によるミニバス「E バス」 (イージィー・簡易・手軽る・イイバス)の 運行を実現させました。 どこからも補助を受けない、完全に独立採算の地域のバスです。 E バスの運行により、今は高齢者でもバス停まで 2 分以内で乗れるため外出が容易 になり、高齢者が閉じこもらなくなり、介護予防になっていること、通勤時間が短 縮され、便利になったので、地域から転出した若者が戻ってきたことなど、まちづ くりに大きな効果を上げています。 E バス実現に、次の創意工夫を行ったことが成功ポイントになっています。 ①自治会とは分離した自主運営組織「下和泉地区交通対策委員会」 (通称 E バス委員 会)を設置し、E バス実現に専門的にあたりました。 ②観光の一般貸切バスを通勤バス用に運行する上での法的規制を、地域の方々が知 恵を絞って克服しました。 法的規制 克服策 不特定の人を乗せて、料金をとっ 特定の人に乗ってもらうために会員 てはいけない。 制として会費(2000 円)をとり会員 証を提示して乗車する。 運転手は運転するだけで料金を 乗車する人が会員であるかの確認 取る行為をしてはいけない と、乗降の安全管理の業務を行う添 乗員(ボランティア)を募集する。 バス停を置いてはいけない。 バス停は置かず、会員に文書で通知 し徹底を図る。 ③地域の人々が報酬を得て、関わっています。運転は観光バス会社のドライバーが 行いますが、添乗員は地域の方々ですが、この方々は自治会などによる口コミで 確保されています。添乗員の仕事は、会員であることの確認と安全管理を行うこ とです。添乗員は、月~金曜日の間に必ず週 1 回は添乗していただいています。1 回 1000 円の報酬で、添乗員の方々には月 2 万円くらいの収入になっています。 ④長期的に健全な運営ができるようにするために、会費収入が支払額に満たなかっ た場合の赤字補填として、E バス基金を募ることとしました。950 全世帯をまわり 協力をお願いしたところ、850 世帯から 50 万円が集まりました。 【E バスの運行状況】 ・E バスは平日の午前(6:30~10:30)に 9 便と夕方(16:00~21:00)に 9 便の運行で、土曜と日曜、祭日、年末年始は運行しません。これは天台 交通の事情よるもので、Eバスが運行しない 10:30~16:00 までは学校 関係の送迎に使っています。また土曜、日曜は観光バスとして利用する。 すなわち天台交通のバスの空いている時間帯で運行しています。 ・平成 21 年現在、1日の平均乗車数は 150 人を突破、今年の 10 月1日に は 20 万人に達しました。
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