信頼性保証

事業プロセス別 事 業戦 略
信頼性保証
基本方針
2014 年 9 月には、全く新しい作用機序を有する2 型糖尿病
医 薬 品 を 安 心して 使 用して い ただくために、研 究、開 発、
た欧米では、効果の実感できる優れた薬剤として高く評価さ
生産、営業という事業プロセスのそれぞれの段階において、
れています。しかし、全く新しい作用機序であることから、そ
有効性、品質および安全性に関する信頼性を保証するため
の安全対策は非常に重要です。当社には、レミケードやテラ
の体制を構築しています。それぞれの事業プロセスに関係
ビックなどで予測予防型の安全管理を行い、適正使用を促進
する部門は、薬機法 をはじめとした法令やガイドラインを遵
してきた貴重な経験があります。それらの経験を最大限に活
守する必要があります。その遵守状況は社内の薬事監査部
かし、カナグルの安全対策に努めていきます。
治療剤「カナグル」を発売しました。日本に先行して発売され
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門や品質保証部門といった独立した監査組織が客観的な立
場から確 認しており、必 要に応じて、改 善 の 指 示や提 言を
医薬品の品質確保
行っています。これらの取り組みにより、創薬研究や臨床試
験、市販後調査で得られた有効性や安全性に関するデータ
当社では、患者さんの安全を第一に考え、結果だけではなく
の信頼性を保証するとともに、臨床試験に用いられる治験薬
プロセスを重視したさらなる品質確保に向けた取り組みを推
および市販後製品の品質保証につなげています。
進しています。国内外のグループ生産工場の管理、監督、指
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等
1. 旧「薬事法」。正式名は、
導を通じて、品質目標の策定と品質保証計画の履行による
に関する法律」。
品質向上を図っています。
また、当社製品がどのように医療現場で貢献しているかに
市販後調査の実施
ついて、医師や看護師、薬剤師の先生に講演いただくことで、
医薬品の創製に携わる使命感と誇りを従業員一人ひとりが再
医薬品は、臨床試験をはじめとした様々な試験成績をもと
認識し、品質向上への意識を高めることにも努めています。
に、規制当局から製造販売承認を得て、販売が開始されま
2014 年に、日本は PIC/S( 医薬品査察協定および医薬品査
す。臨床試験は、医薬品の有効性と安全性を科学的に検証
察 協 同スキ ーム)2 に正 式 加 盟したこともあり、ますますグ
するために必要十分な患者数で行われますが、限られた条件
ローバル化が加速することが予想されます。当社および全グ
下で実施されたものであることから、市販されるまでに得ら
ループ生産工場で制定した「品質保証基準」をベースとし、さ
れる情報には限界があります。そのため、臨床試験では見出
らにグローバルな品質保証基準の統一をめざしていきます。
せなかった副作用等が市販後に発現することがあります。当
2. 各国の医薬品の「製造・品質管理基準( GMP )」と「基準への適合性に関する製造
社は、実際に医療現場で処方された新製品に関するデータ
を集積および解析することによって、これらの情報をいち早
く捉え、医療現場にフィードバックすることで、より安全かつ
有効に使用いただけるように努めています。このような「予
測予防型の安全管理活動」を推進することにより、新製品の
副作用を未然に防止し、適正使用を促すことが、医療現場で
新製品を活用いただくことにつながると考えています。
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田辺三菱製薬コーポレートレポート 2015
事業者の調査方法」について、国際間での整合性を図る団体。