消費者行動の類似性についての一考察〟

消費者行動の類似性についての一考察
野
本
明
成
I `よじめに
消費者行動に多くの要因が影響をおよぼしていることはこれまでの研究で明
1)
らかである。その中で, 特に大きな影響をおよぼしていると考えられる要因と
して, 文化 , 下位文化 , 準拠集団等の個人が帰属している集団の影響が考えら
2)
れ,これまでに数多くの研究がなされてきている。特に,文化は消費の対象を
3)
規定し,消費者の行動様式に強い影響を与えることは,これまでに議論されて
きているところである。他方 ,文化と強い関係を持っていると考えられる要因
には言語があげられ,言語に基づいて文化が構成されていることは,種々議論
4)
されてきている。したがって, 言語と強い関係を持つ文化が異なれば消費者行
5)
動も異なることが推察され,文化の指標として言語を使用することは可能であ
ろう。また逆に,類似する文化を背景に持つ同一言語を使用する消費者行動が
類似していることは十分に考えられる。
そこで,本論においては言語構成が類似した地域の消費者行動が類似性を持
つことをデータに基づいて明らかにする。
正類似性の尺度
ここでは,オーストラリアにおける各州の消費支出と各州における家庭で使
1)Kotler[8]参照。
2)Howard[4],Kasattan[5]参
3)大塚 [11],渡辺 [12]参照。
4)丸山圭三郎 [9]参照。
5)野本 [10]参照。
照。
44
彦根論叢第 320号
用される英語以外の言語 (以下 , LOTEと
する。比較する 2州間の LOTEの
呼ぶ)の構成をデータとして使用
構成が異なれば,その 2州間の消費支出の
構成が異なることは野本 [10]において明きらかにされており￨ここでは 2州
構成が類似している場合に 2州間の消費支出の構成が類似してい
ることを明らかにする。そこで,そのために野本 [10]において使用されたニュー
の LOTEの
サウスウェールズ州 (以下,NSWと
呼ぶ)とビクトリア州 (以下,VICと
呼ぶ)の消費支出データに南オーストラリア州 (以下 , SAと呼ぶ)のそれを
付加し,検討する。
表 1から明らかなように,1991年度においてNSWに
おいては,中国語系 ,
アラビア語系の LOTEの
比率が高く,VIC, SAに
ギリシャ語系の LOTEの
比率が高いことが示されている。
表 1.州別 LOTE使
NSW
言語
用人数 (単位 :人)(1991年度)
VIC
イタリア
113,818
ギリシャ
98,495
おいてはイタリア語系 ,
179,324
S A
オースト
ラリア
48,810
418,804
29,904
285,700
国
124,783
75,672
9,594
261,648
アラビア
117,826
34,802
3,194
162,857
クロアチア
51,078
46,732
8,563
130,739
ドイッ
34,290
32,441
14,872
113,336
中
(出典 :Kipp,et al.[6])
LOTE:家庭で使用される英語以外の言語
NSW iニューサウスウェールズ州 VIC:ヴ
SA:南オーストラリア州
ィクトリア州
また, 表 2 に示されるように, イタリア語系 L O T E と
E の和に対する中国語系 L O T E と
W においては大きく, V I C お
アラビア語系 L O T E の
よび S A についてはN S W に
ギリシャ語系 L O T
和の比率が , N S
比較してかなり小
6)オーストラリアは数多くの移民により成り立っている社会であり,各州毎にその母国の
構成が異なっている。また各家庭においても,英語以外の言語 (LOTE)を
話す人々が
おり,1991年の国勢調査において全人口の14.80/0を
占めており,各州毎にLOTEの梼成
が異なることが示されている。そこで消費者行動が文化に影響されることから,野本 [10]
においては文化と関係の強い指標として言語を取り上げ,州毎にLOTEの構成が異なる
ことにより州毎の消費支出の構成が異なることが明らかにされている。
一
消費者行動の類似性についての考察
さいことが明かである。
表 2.州房U主要 LOTE比
率
(単位 :%)
VIC
NSヽV
SA
比率
1986
1986
アラビアLOTE)
(中国LOTE十
l 114,2
73.8Ⅲ
24.142
(イタリアLOTE十ギリシヤLOTE)
り算出)
(出典 :Kipp,et al.[6]よ
記載されている図
ネ1),*2),*3)1986年
度のデータについては、Kipp,et al.[6]に
い
を基に算出しているので、表の数値には多少の誤差が含まれてる。
ー
また、VICおよびSAの 1986年度のデタのうち、アラビアLOTEの
ビア系生ま
データが記載されていないので、Hugo[5]におけるアラー
れの1986-1991年度の増加率が正なので、1991年度のデタを使用
り少
して算出している。したがつて、実際にはそれぞれ24.1,9.6よ
ない数であると推察される。
LOTEの
したがって,NSWの
成は異なり,逆にVICの
LOTEの
構成と,VICお
よび SAの LOTEの
構成とSAの LOTEの
構
構成は類似して
いることが理解される。
また,表 3に示されるように,NSWと
VICの
所得水準の大きさが 1988年
は
度と1991年度の間において逆転していることが見受けられ, SAの所得水準 ,
それよりも低いことが見受けられる。
NSW,VICの
表 3.各州別所得水準 (単位 :オーストラリア・ドル)
VIC
NSW
SA
士
ヒ国
筆
1984
週平均世帯所得
1988
1984
1993
458.43 651.93 754.01 472.22 681.43 711,82 417.13 557.79 680.73
( 出典 : A B S [ 1 ] [ 2 ] [ 3 ] )
そこで , 3 州の消費支出デ
構成と, V I C お
ータを比較することにより, N S W の
消費支出の
よび S A のそれが異なることを明らかにすることにより, V
I C の消費支出の構成とS A の消費支出の構成が類似していることを明らかに
のN S W , V
する。そのために, 1 9 8 4 年度, 1 9 8 8 年度, および1 9 9 1 年度の 3 期
46
彦
根論叢第 320号
IC, SAの各消費支出を比較することにより, 3期にわたって所得水準の大
きさに関わりなくNSWの
消費支出と,VICお
よびSAの消費支出が異なる
傾向を示すことにより,すなわち3期にわたってVICお
出が NSWの
よびSAの各消費支
それより大きいか,あるいは小さいかを示すことにより,VIC
およびSAの消費支出が類似した傾向を持つことが示されたものとみなしてよ
いであろう。
皿消費支出の分析
そこで,野本 [10]においてNSWと
VICの
消費支出が一定の傾向を示す
ことにより,すなわち1988年度から1991年度の間にNSWの
所得がVICの
そ
れを追い抜いていることを考慮し, 3期にわたってNSWの消費支出が VIC
のそれよりも大きいか,小さいかを示すことによリー定の傾向を示すことが明
らかにされており,ここではそれらの一定の傾向を示した消費支出項目につい
て,上記の方法に基づいて,VICお
よび SAの消費支出が類似しているかど
うかについて検討する。
まず,表 4に示されるように,住居関連支出については,家賃および住居関
連支出全体について, 3期にわたってそれぞれの支出の大きさがNSW,VI
C, SAの
消費支出の類似性が示されている
順になっており,VIC, SAの
と考えられる。
表 4.住居関連支出
NSW
1984
支出計
1988
28.08
家賃
52.05
単
ス
VIC
1984
15
39。
79.10
ラリア・ドル
SA
1993
13.30
16.84
27.82
45.70
72.17
83.11
1984
36。
63
62.75
43
70。
(出典 :ABS[1][2][3])
光熱費については, 表 5 に示されるように, 電気料金について 3 期にわたっ
てN S W の
消費支出が , V I C , S A の
それよりも大きく, 他の項目全ておよ
消費者行動の類似性についての一考察
び光熱費支出全体については, 所得水準に関わりなくV I C , S A の
がNSWの
それを上回つており, V I C と
47
消費支出
S A の消費支出の類似性が示されて
いると考えられる。
表 5.光熱支出
NSW
1984
オース
ラリア・ドル
VIC
1988
SA
1984
1984
電気料金
8.25
12.22
7.77
9 . 6 4 11.29
ガス料金
1,02
1.40
2.25
4 . 1 6 5.40
7.92
2.21
2.85
3.46
その他
0。
49
0.22
0,88
0.60
1.10
0。
74
0.55
1.17
9.76
11.86
支出計
10。
24
12.34
7.44
20
9。
0。
41
15。
47
21.25
13.04
(出典 :ABS[1][2][3])
穀類支出については表 6に示されるように,小麦粉について 3期にわたって,
所得水準に関わりなくVICお
おり,VICと
よび SAの消費支出が NSWの
それを上回つて
SAの消費水準の類似性が示されていると見受けられる。
表 6,穀類支出
NSW
位 :オーストラリア・ドル)
(単
VIC
1984
1984
SA
1988
1984
1993
小麦粉
ケーキ・ビスケット
0.18
22
0。
19
0。
0.23
0。
28
0。
23
0。
22
3.31
3.96
5.06
3.43
4.28
5,24
3 . 1 1 3.89
4.70
朝食用穀類(シリアル)
1.29
2.12
2.79
1.31
2.32
2.88
1.06
2.61
支出計
11.77
0。
22
1.81
0,20
7.53
(出典 :ABS[1][2][3])
肉・魚介支出については表 7に示されるように,魚介類について 3期にわたっ
て消費支出の大きさが ,NSW,VIC, SAの
順になっており,VICと
Aの消費支出の類似性が示されているとみなしうると
S
彦根論叢第 320号
・魚介支出
表 7.肉
NSW
(単位 :オーストラリア・ドル)
VIC
1984
SA
1984
1988
1984
加工肉( ハム・ベーコン等)
4,46
5,33
5 1。2
4.70
牛肉
4.01
4.29
3.68
月
家肉
0.70
0.86
0.87
家禽・捕獲獣
1.74
2.49
魚介類
1.71
2.38
5.25
4.21
5.07
5.27
4 . 1 1 4.36
3,80
2.78
3.46
2,98
0.84
1.02
0.98
0.63
0.71
0.71
2.44
1.93
2 . 7 1 2,75
1.32
1,81
2.17
2.79
1.47
2 . 0 4 2.22
1.37
1.79
2.01
5,71
( 出典 : A B S [ 1 ] [ 2 ] [ 3 ] )
日用食品支出については表 8 に示されるように, チーズについて 3 期にわたっ
て所得水準に関わりなくV I C , S A の
消費支出がN S W のそれを上回ってお
り, マーガリンについて 3 期にわたってV I C , S A の
消費支出がN S W のそ
れを下回つており, V I C お
よび S A の消費支出の類似性が示されているもの
と推察される。
表 8。日用食料品支出
NSW
1984
ミルク・クリーム
1988
VIC
1984
4.86
1.47
1.73
2.15
0.45
39
0。
0,32
0.87
0.83
0.81
0.84
バター
マーガリン
0.84
支出計
9.70
ラリア・ドル
SA
1993
4.50
3.65
チーズ
オース
4.03
3.60
4.45
5.52
1.55
1.94
2.24
0.48
0。
38
0.25
0.87
0,78
4.59
5.07
1.69
2.08
2.36
0.61
0.55
0。
41
0.77
0.83
11.22
9.28
よ算出)
( 出典 : A B S [ 1 ] [ 2 ] [ 3 ]り
果実・野菜支出については表 9に示されるように,乾燥果実について 3期に
わたって所得水準に関わりなくVICと
SAの消費支出がNSWの
それを上回つ
ており,他の 4項目については 3期にわたって消費支出の大きさがNSW,V
IC, SAの
順になっておりヵ VICと
ると考えられる。
SAの消費支出の類似性が示されてい
消費者行動の類似性についての一考察
果実・野菜支出
表9
NSヽV
1984
オース
VIC
1988
1993
ラリア・ドル)
SA
1984
1988
3.22
4.75
4.87
2.39
3.39
1993
1984
1988
青果物
3.39
5.05
5。
65
乾燥果実
0.73
0,79
0。
89
0,75
0。
94
0.96
0.72
0.95
1.21
生じゃがいも
0.88
1.32
1.01
0.71
1,20
0.79
0.86
1.20
0.79
3.01
4.64
4.40
2.59
13.53
13.15
生鮮野菜
支出計
3.15
4.90
4.99
9.77
13.98
14.78
3.88
4.02
4.04
11.43
11.86
り算出)
( 出典 : A B S [ ユ] [ 2 ] [ 3 ] よ
香辛料・嗜好品については表 1 0 に示されているように, ポテトチップス。そ
の他菓子について 3 期にわたってV I C と S A の消費支出がN S W のそれを下
回つており, チョコレート菓子については 3 期にわたって所得水準に関わりな
く, V I C と
S A の消費支出が N S W の
それを上回っており, V I C と
SAの
消費支出の類似性が示されていると考えられる。またコーヒー, その他飲料に
ついては 3 期中 2 期についてはV I C と
S A の消費支出の類似の傾向を持って
いることが見受けられる。
表10.香辛料・嗜好品支出 (単位 :オーストラリア・ドル)
NSW
1984
VIC
1988
1993
1984
SA
1988
1984
1988
ポテトチップス・その他菓子
0。
57
1.04
1.58
0.51
1 . 0 0 1.33
0 . 5 4 0。
42
1.43
チョコレート菓子
1 . 1 9 1.43
2.02
1.29
1.73
2.31
1,25
1.67
2.07
冷菓
2.02
2.70
41
3。
2.07
2,99
3.50
1.89
2.61
3.43
紅茶
0.51
0.60
0.57
0.54
0.60
0,60
0.45
0,42
0.50
コーヒー
0.93
1.08
0.95
1.00
1.27
1.08
0.83
1.17
1902
その他飲料品
0.41
0.68
0,74
0,52
0.82
0.88
47
0。
0.63
0。
79
(出典 :ABS[1][2][3]より算出)
非アルコール飲料支出については表1 1 に示されるように, 果物ジュース・野
菜ジュース, その他について 3 期にわたってV I c と s A の消費支出がN S W
のそれを下回つており, V I C と
えられる。
S A の消費支出の類似性が示されていると考
50
彦
根論叢第 320号
表 11.非アルコ耳ル飲料支出 (単位 :オーストラリア・ドル)
NSW
1984
果物ジュース・野菜ジュース
その他
支出計
VIC
1988
1984
SA
1988
1984
1988
1.46
2.05
2.18
1.43
2.01
2.01
1.17
1.91
1.82
0。
97
1.33
1.56
0.60
1.04
1.13
0.76
1.17
1,31
6,95
7.56
7.24
7.92
4.87
よ算出)
( 出典 : A B S [ 1 ] [ 2 ] [ 3 ]り
外食・持ち帰り食品支出については表 12に示されるように,レストラン・ホ
テル等外食 ,および支出全体について 3期にわたって消費支出の大きさがNS
W,VIC, SAの
順であり,VICと
SAの消費支出の類似性が示されてい
ると推察される。
表12,外食・持ち帰り食品支出
NSW
1984
1988
レストラン・ホテル等外食
8.95
12.00
支出計
16.74
オース
VIC
1984
1988
ラリア・ドル
SA
1993
1984
17.97
5.86
32.88
8.29
19.37
(出典 :ABS[1][2][3]より算出)
アルコール飲料支出については表 1 3 に示されるように, ビールおよび支出の
全体について 3 期にわたって消費支出の大きさがN S W , V I C , S A の
あり, V I C と
順で
S A の消費支出の類似性が示されていると見受けられる。
表13.アルコール飲料支出 (単位 :オース
スト
VIC
NSW
1988
ビール
支出計
1984
7.87
8,58
17.85
SA
1993
1984
6.04
1988
7.82
16。
12
( 出典 : A B S [ 1 ] [ 2 ] [ 3 ] よ
り算出)
衣料・履物支出については表 1 4 に示されるように, 3 期にわたってV I C お
よび S A の N S W に対する一定の傾向を示す項目は存在せず, V I C お
よび S
A の消費支出の類似性は見受けられない。
消費者行動の類似性についての一考察
表 14.衣料・履物支出 (単
単位
NSW
1984
履物類
クリーェング
―
ラリア・ドル
ス
VIC
1988
1984
51
SA
1988
1984
1993
4.40
5。
56
5.74
4.45
5.65
6.87
3.73
4.96
4.77
0.58
0.65
0.76
0.61
0。
69
0。
78
0.48
0,58
0,56
(出典 :ABS[1][2][3]より算出)
家具・設備類支出については表 1 5 に示されるように, 3 期中 2 期について
消
費支出の大きさがN S W , v l c , s A の
順であり, その限りにおいてはv I
C と S A の類似性が見受けられる。
表15.家具 ,設備類支出
NSW
オーストラ 1 】ア
VIC
1984
1993
SA
1984
1984
1993
庭芝刈機等庭園設備
3.67
(出典 :ABS[1][2][3]より算出)
家事サービス類支出については表 16に示されるように,郵便料について 3期
にわたって,所得水準に関わりなくVIcと sAの消費支出がNSWの
それを
上回っており,保育サービスについて 3期にわたって vlcと
が,NSWの
sAの消費支出
それを下回っており,VIcお
よび sAの消費支出の類似性が見
‐
受けられる。また,家事サビスについて3期中 2期についてvICと sAの
消費支出の類似の傾向が示されている。
表 16.家事サービス類支出
NSW
1984
郵便量
家事サービス
保育サービス
1988
オース
VIC
1993
1984
ラリア・ドル
SA
1993
1984
1993
0。
60
0.85
0.74
0,98
1.19
0 . 7 1 0。
97
1.21
1.00
1 . 1 2 2.28
0.92
0.76
2.03
0。
78
1.74
1.33
1.02
2.02
0.81
1.71
2,36
0。
30
0.60
1.74
1.13
2.59
(出典 :ABS[1][2][3]より算出)
医療関係費については表 17に示されるように, 3期にわたってvlcぉ
ょび
52
彦根論叢第 320号
SAの NSWに
一
対する定の傾向は存在せず , V I C と
S A の消費者支出につ
いての類似性は見受けられない。
表 17.医療関係費
NSW
:オーストラリア・ドル
VIC
SA
1984
1984
保険費用
7,32
13,00
9.61
7.52
10,32
(出典 :ABS[1][2][3]より算出)
交通費については表 1 8 に示されるように, 登録・保険費用について 3 期にわ
たってV I C と
それを下回うており, V I C と
S A の消費支出がN S W の
SA
の消費支出の類似性が見受けられる。また, その他車両購入費について 3 期中
2 期についてV I C と
S A の消費支出について類似の傾向を示している。
表 18.交通費
NSW
1984
その他草輌購入費
燃料費
登録・保険費用
(単
位 :オーストラリア・ドル)
VIC
SA
1984
0.44
0.66
0。
38
16.67
20。
36
24.70
8.59
13.92
15.54
1984
1988
1993
0.73
0.49
43
0。
1.44
0。
55
23.64
27.85
16.54
19.55
23.13
8 , 1 3 11.75
15.24
6.98
11.22
14.09
0.48
1941
よ算出)
( 出典 : A B S [ 1 ] [ 2 ] [ 3 ]り
余暇支出については表 1 9 に示されるように, 3 期にわたってV I C と S A の
N S W に対する一定の傾向を示す項目は存在せず , V I C と
S A の消費支出の
類似性は見受けられない。
表 19.余暇支出
NSW
1984
オース
VIC
1988
ラリア・ドル
SA
1984
1984
1988
書籍等購入費
4.25
5.77
7.55
4.40
5。
95
7.99
3.49
娯楽費
7.38
12.20
15.15
8.43
13.10
16.36
6.86
国内旅行費用
6.83
9.06
12.32
7.57
10.91
15.70
4.66
8.73
42.34
62.93
45989
65.83
36.47
54.13
支出計
(出典 :ABS[1][2][3]より算出)
78.27
5.34
1993
6.80
1 1 . 013.23
0
11,78
消費者行動の類似性についての一考察
53
よび SA
衛生費については表 20に示されるように, 3期にわたって VICお
の NSWに
SAの消費支出の類似
対する一定の傾向は見受けられず ,VICと
性は示されていない。
表20.衛生費
NSW
1984
歯磨き粉・石鹸等
ラリア・ドル
VIC
1988
4,20
位 :オース
SA
1984
6.13
1993
7.03
1984
7.02
6.15
7.20
よ算出)
( 出典 : A B S [ 1 ] [ 2 ] [ 3 ]り
その他・財サービスについて表2 1 に示されるように, 小物類について 3 期中
にわたってV I C お
それを下回つており, V I
よび S A の消費支出が N S W の
C および S A の消費支出の類似性が見受けられる。
表 21。その他・財サービス支出
NSヽV
1984
位 :オース
VIC
1988
1993
小物類
7.70
9。
46
11.67
教育費
3 . 3 1 4.73
8908
1984
SA
1988
5.06
9.42
3.93
8.79
ラリア・ドル
1993
1984
9 . 5 4 4.94
10.63
2.45
1988
1993
8.42
9.62
4.99
5 5。4
(出典 :ABS[1][2][3]より算出)
その他の選択支出については表2 2 に示されるように, 3 期にわたって消費支
出の大きさが N S W , V I C , S A の
順であり, V I C お
よび S A の消費支出
の類似性が見受けられる。
表22。その他の選択支出
NSW
1984
その他の選択支出
1988
ス
VIC
1993
124.24 195.67 228.16
1984
ラリア・ドル
SA
1988
1988
120,54 175.54 202.62
1993
138,71 191,29
り算出)
( 出典 : A B S [ 1 ] [ 2 ] [ 3 ] よ
総家計支出については表23に示されるように, 3期にわたって消費支出の大
きさがNSW,VIC, SAの
順であり,VICお
性が示されていると考えられる。
よび SAの消費支出の類似
彦根論叢第 320号
表23.総家計支出
NSW
1984
総家計支出
1988
オース
VIC
1993
1988
ラリア・ドル
SA
1993
1984
497.55 718,47 851.92 490985 709.60 804.38 417.18 586.84 742.62
(出典 :ABS[1][2][3])
野本 [10]において示されたNSWと
異なる傾向を示す項目についてVICお
VICの
消費支出について,それらが
よび SAの消費支出とNSWの
それが
SAの消費支出の類似性が見受けられ
異なる傾向を示すことにより,VICと
ることをデータに基づいて検討してきたが ,57項目中29項目について,すなわ
ち50%を越える項目についてVICと
3期中 2期についてVICと
SAの消費支出の類似性が見受けられ,
SAの消費支出の類似傾向を示す項目を含めれば,
約60%に至ることが示された。また,VICと
SAの LOTEの
構成割合が全
く等しいということはないことから推察すれば,上記の結果はVICと
SAの
消費支出の類似性について十分満足しうる結果とみなすことが可能でありL0
TEの構成が類似していることにより消費支出の類似性が存在しうることが示
されたと考えることができよう。すなわち,言語と強い関係を持つ文化が消費
者行動に強い影響を及ぼすことが明らかになったと推察しうる。
Ⅳ 結論
上記の分析結果に基づいて,数多くの消費支出項目について,VICと
SA
の消費支出が類似していることが明らかにされたと考えられる。この結果に基
づいて,LOTEの
構成が類似していることにより,消費支出が類似している
ことが明らかになったと推察される。また,野本 [10]において既にLOTE
の構成が異なることにより,消費支出の構成が異なることが明らかにされてき
ており,これらの結果より言語と関係の強い文化が消費者行動に強い影響を与
えていることが明らかにされている。
これまでに,文化の消費への強い影響として考えられる例として歴史的に種
7)
々の事例が見受けられるが ,マーケテイング活動 ,すなわち製品開発,販売促
消費者行動の類似性についての一考察
55
進等への指針となりうるであろう。
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12.渡辺実,『日本食生活史J,吉川弘文館 ,1959年,pp.55-57.
7)大塚 [11],渡辺 [12]参照。

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