1年生最終報告 1 目指す児童の姿・目標 ・ 文字の点画や字形に気を付け、鉛筆を正しく持って、書くことができる。 ・ 主語や述語、句読点に注意して簡単な文章を書くことができる。 ・ 「次も書きたい」と意欲を喚起させるために、教師・保護者・友達が称賛する場面を継続し て取り入れる。 2 目標達成の手立て 文章の「はじめ・中・おわり」の構成,句読点・助詞・かぎ( 「 」 )の使い方を考えた ・ り,文のつながりを意識したりして文章を書くことができる児童 単元「おはなしをしよう」において、たぬきとうさぎの会話をモデル化して提示することに ・より、分かりやすい会話文を考えるきっかけを与えた。さらに、友達のいいところを見つけて 「書くこと」に意欲的に取り組み,自分の考えを相手に分かるように表すことができる児童 称賛したり、家庭で保護者と同じ活動をさせたりすることを通して、書く喜びや書く意欲を喚 起させた。 ・ 単元「よく見てかこう」において、文を書き出しやすいようにモデル文を提示した。また、 短冊カードを使用することで、文の構成をしやすくさせ、さらに、保護者からの称賛コメント をもらうことで、書く喜びや書く意欲を喚起させた。 ・ 単元「くらべてよもう」において、図鑑等で調べて分かったことをメモ用紙にまとめさせた り、文を書き出しやすいようにモデル文を提示したりした。短冊カードは、罫線だけのものと ひな型のあるものの2種類を用意し、実態に応じて使い分けた。 3 成果 モデル文に押さえさせたいポイントを盛り込んだり、教師の意図する書きぶりを盛り込んだりすれ ば、 「このように書けばいいのか」「この部分を真似してみよう」「こんな文を書きたい」と、子ども たちのよい見本となり、書く意欲を高められると考える。 教師・保護者・友達から褒められる、いわゆる「称賛の場」を継続して取り入れたことで、「はや く書きたい」と書く意欲を高めたり、 「ほめられてうれしい」と書く喜びを味わわせたりすることが できたと考える。とりわけ、保護者から称賛されることは1年生にとっては大きな自信となるため、 保護者を巻き込んだ称賛の場の設定は効果があったと考える。 完成した文を友達と読み合う活動を繰り返していく中で、「読み手」を意識した文を少しずつでは あるが書くことができるようになってきた。 「友達がほめてくれた」と友達から称賛されることで、 「次も書きたい」と意欲を高めることができた。 4 課題 句読点やかぎ( 「」 )の使い方、誤字・脱字などについては、個人差が極めて大きいため、個別対応 がどうしても必要になってくる。しかしながら、1年生の発達段階においては、これらのことを事細 かに指導し過ぎては、書くことが嫌いになってしまうことが懸念される。 今後は、児童の書く意欲を保ちつつ、いかにして、句読点やかぎ( 「」)の使い方、誤字・脱字を指 導していくかが課題であると考える。 2年生最終報告 1 目指す児童の姿・目標 ・ 文章の「はじめ・中・おわり」の構成、句読点、かぎ( 「 」 )の使い方を考えたり、文の つながりを意識したりして文章を書くことができる児童 ・ 「書くこと」に意欲的に取り組み、自分の思いや考えを相手に分かるように表すことができる 児童 2 目標達成の手立て ・ 単元「お話を作る」において、物語の書き出しのパターンを4つ紹介することにより、他の人 が読み進めたくなるような書き出しの工夫についてつかみ、お話の「はじめ」を書くようにした。 また、書いた文章を友だちと読み合うことにより、書く喜びを実感させるようにした。 ・ 単元「しょうかい文を書こう」において、文章の構成を理解させるために、段落の構成ごとに 色分けしたカードに紹介文を書くようにした。また、つなぎの文のみ提示して与えることにより、 段落をつなぐ文の大切さや便利さを実感させるようにした。 3 成果 文章を書いた後、お互いの文章を読み合う時間をもつようにしたことで、自分や友だちの文章の良 さに気付き、自分の文章に対する自信をもつことができるとともに、表現する楽しさを味わうことが できた。また、新たな書き出しのパターンに挑戦しようという意欲にもつながった。 色カードに分けて文章を書かせることで、視覚的に文章の構成を意識させることができた。教科書 の例文も色分けして、自分の書いた紹介文と比べさせることにより、文章の構成についてより深く考 えさせることができた。また、モデル文を提示し、作文練習をさせることにより、ほとんどの児童が モデル文を活用して、スムーズに文章を書くことができた。 4 課題 書く喜びを実感できるように、題材を工夫したり、友だちと読み合わせたりすることにより、書く 活動に意欲的に取り組む児童の姿を多く見ることができた。しかし一方で、何を書けばいいのか分か らず、書く喜びを実感できなかった児童もいた。そのような児童には、別プリントを用意するなどの 個別の支援を考える必要があった。また、文章の構成については意識させることはできたが、句読点、 かぎ( 「 」 ) 、助詞、主語と述語の関係などについては、個人差が激しく、繰り返し個別の指導 が必要であると感じた。しかし、細かい表記について指導しすぎるのは、二年生の段階では、書くこ とを嫌いになってしまう恐れがある。書く喜びを感じさせながら、正しい文章の書き方を押さえるこ とができるようにするのが今後の課題である。 3年生最終報告 1 目指す児童の姿・目標 ・ 自分の思いや考えが相手にはっきり伝わるように, 「はじめ」 「中」 「終わり」の段落に注意して 文章を構成したり,考えの根拠や理由を,豊かな表現で具体的に書いたりすることができる児童。 ・ 他の児童の優れた表現を学んだり,よさを認め合ったりすることによって,自分の書いた文章 をよりよいものにしていこうとすることができる児童。 2 目標達成の手立て ・ 単元「手紙を書こう」において、手紙に書く感謝の思いを豊かな表現で書かせるために、手紙 メモを用いて、相手に対して思ったことを具体的に書くようにした。 ・ 単元「ちいちゃんのかげおくり」では、早く取りかかることができ、何を書けばよいのか分か らず困る児童が出ないように、事前に場面ごとで読み取り、感じたことを記入するプリントを書 くようにした。 3 成果 複数の単元を通して書く活動を行ったことで、文章の「はじめ」 「中」 「終わり」への意識が出てき た。 プリントを活用し、目標とする文章を書くまでにスモールステップを設けることで、何を書けばよ いのかが明確になり、書くことに困る場面が少なかった。 プリントで、自分の思いを整理し、表現する活動を取り入れたことで、目標とする手紙や感想を書 くことができた。 4 課題 自分の思いを豊かな表現で具体的に書くことに課題が残る。「悲しい」や「嬉しい」など単純な言 葉でしか書くことができない児童も見られる。語彙も少ない。 文章が書くことが得意な児童と、そうでない児童との差が大きく、この個人差を埋める手立てが必 要である。 スモールステップとなるプリントの使用により、書く内容が重複したり、活動が煩雑になったりし た。プリントの構成も再考する必要がある。 4年生最終報告 1 目指す児童の姿・目標 ・ 思いや考えを表す表現の仕方や語彙力を身に付け、それを文章に取り入れて、自分の思いを書 くことができる児童。 ・ 書いた文章を互いに読み合い、思いや考えを共有したり感想を伝え合ったりすることができる 児童。 2 目標達成のための手立て ・ 単元「読んで考えを話し合おう」において、「ごんぎつね」を読んだ感想を読み合い、思いや 考えを伝え合う感想交流会を行った。 ・ 単元「物語を読んでしょうかいしよう」において、ワークシートを工夫し、気持ちを表す言葉 を書く欄を作った。今回の感想文に合う言葉を考えて書くようにした。また、自分ではなかなか 思いつかない児童のために、グループで情報交換する時間を作った。 ・ 単元「物語を読んで感想文を書こう」において、ワークシートを工夫した。 ①原稿用紙に書く前に、「始め・中・終わり」を考える組み立てメモを用意した。 ②原稿用紙を特別なものにし、友達からの感想を書き込めるようにした。 また、思いや考えを表す言葉を「言葉の掲示板」に貼り、いつでも見てよいことにした。 3 成果 思いや考えを表す言葉を意識させ、ワークシートに書かせたり、「言葉の掲示板」を作ったりした ことで、それを文章に取り入れて書くことができた。 ワークシートを工夫したことは、苦手な児童にとっては特に効果があった。原稿用紙を、6年生が 卒業文集を書くときに使う用紙を拡大して使用したことにより、原稿用紙に書くことに苦手意識をも っている児童でも、意欲的に取り組むことができた。 また、組み立てメモを用意することで、原稿用紙に書く前に考えをまとめることができ、自信をも って書くことができた。 感想交流を様々な場面で行うことで、グループで話し合うことに慣れ、自分の意見を発表すること ができるようになった。また、友達からの感想を聞くことで、思いを共有したり、よいところを認め 合ったりすることができ、自信につながった。 4 課題 思いや考えを表す言葉は、授業で行ったときには言い換えの言葉を積極的に使うことができるが、 他の場面では、こちらから声をかけないと使うことができない。特に文を書くことが苦手な児童は意 識できず、児童によって大きく差がある。 語彙力は増えたと思うが、活用する力はこれからも継続して指導していく必要がある。 思いや考えを共有したり、伝え合ったりする活動では、友達の意見に賛成・反対や共感など、伝え やすい内容は言えるが、考えを述べたりよいところを見付けたりするなど、少し難しい内容になると、 見当違いなことを言ったり、表面的な内容になってしまったりした。 5年生最終報告 1.目指す児童の姿・目標 ・ 場面や課題に応じた言葉で、自分の思いや考えを積極的に書くことができる児童。 ・ 文章の構成を意識して、読み手に分かりやすい文章が書ける児童。 2.目標達成の手だて ・単元「百年後のふるさとを守る」 手だて① 感想文の表現で「すごい」 「えらい」などを禁句として指定する。 ・単元「大造じいさんとがん」 手だて② 文章構成の見通しがもてるように工夫したワークシートを使う。 3.成果 手だて①・②の成果 手だて①は、 「場面や課題に応じた言葉で、自分の思いや考えを積極的に書く児童」を育てるため に有効であった。それは、他の語句や具体的な説明で自分の考えを言い換えながら、児童が積極的に 文章を書き進めていた姿から分かる。 手だて②は、 「文章の構成を意識して、読み手に分かりやすい文章を書く児童」を育てるために有 効であった。このワークシートは、自分の考えを書き進めると、文章の構成が大体でき上がるように なっている。また、書くことが苦手な児童のために、文章のひな型付き(ヒント付き)ワークシート も用意した。これらが有効だったことは、自分の思いが分かりやすく書かれた文章や、段落の見通し をもって書かれた文章から分かる。 1年間を通した指導の成果 5年生では、年間を通して、児童がお互いの文章を読み合う活動や、教師が児童の良い文を紹介す る活動などの日常実践を行ってきた。その積み重ねは、着実に作文に表れている。 年度当初、児童の思いや考えを表す語彙力が未熟であった。書くことに抵抗を感じる児童もいた。 しかし、日常実践や授業研究を積み重ねる中で、児童は自分が知らなかった文章表現を知り、モデル となる文の構成イメージを意識できるようになっていった。 そのため、実践を重ねるたび、作文には自分の思い、考え、体験を具体的に詳しく説明している記 述が増えた。そして、接続詞の表現も増え、読み手に分かりやすい構成にした文が増えた。 このように、児童の作文に変化が見られたことから、今年度の研究は一定の成果があったと言える。 4.課題 文章構成のひな型を与えられた単元では作文が書けたが、その学びが次につながらない児童への指 導が課題である。年間を通して類似したひな型を使ったり、いろいろな構成の方法を紹介したりして、 定着を図りたい。 また、授業実践において、教師がモデル文を示したり、児童同士が交流をしたりする時間を多く取 り過ぎたため、児童にじっくりと書かせる時間を保証できなかったことが課題である。書くことを中 心にして、余裕をもった授業の組み立て方を考えたい。 6年生最終報告 1 目指す児童の姿 ・ 自分の思いや考えを整理し、生き生きとした表現で書き表し、積極的に相手に伝えることが できる児童。 ・ 2 読み手を意識し、書く喜びを味わうことができる児童。 目標達成のための手立て ・ 「文章と対話しながら読み、自分の考えをもとう」では、筆者の「マイナスの感情も生きて いく上で大切である」という意見に対して、自分はどう思うのかを文章表現する活動を行った。 ① 筆者の意見の「マイナスの感情も生きていく上で大切である」について自分はどう考えた のかについて、グループで意見を交流させた。 ② 意見交流して、友達の意見と自分の意見とを比べてどう思ったのかをワークシートに記述 させた。(「A 似ている」「B 異なる」「C 新発見」「D 疑問」の4つの視点から1つ選ばせ る) ③ 「A 筆者の考え→B 初めの自分の考え→C 意見交流後に深まった自分の考え→D 今後、どの ようにしていきたいか」という文章の型を提示した。 ・ 「この絵 ① わたしはこう見る」では、絵画を見て感じたことを文章表現する活動を行った。 自分なりに絵を読み取ることができるようにするため、場所、季節、音、においなどの視 点を与えた。 ② 読み取ったことについて、同じ絵を選んだグループで意見交流させた。 ③ 文章を書く際に、モデル文や表現の仕方を提示した。 3 成果 文章の型やモデル文を掲示することで、文章を書くことが苦手な児童もそれを参考にして書くこと ができた。 グループで意見を交流することで、友達のよい考えを取り入れ、より内容が深まる文章を書くこと ができるようになった。 書いた文章を読み合い、感想や助言を伝え合う活動を定期的に行うことで、読み手を意識して書こ うという思いをもって文章を書く児童が増えた。 4 課題 筆者の意見に対してどう思うのか、絵画を見てどう感じたのかなど、自分の思いや考えをもつこと はできるが、文章を書くことが苦手な児童は、「どのように書き表せばよいのだろうか・・・」と迷 う姿が見られた。高学年は、書くことに対しての意欲の差が児童間で大きいため、苦手な児童にとっ て迷わず自分の思いを書き表すことのできるようなワークシートの工夫などを考えていく必要性を 感じた。 今回の実践は、全体的に「自分の思いを伝えたい」という思いをもって、楽しみながら書く児童の 姿が見られた。この実践以外にも、児童にとって「もっと伝えたい」と思えるようなテーマ設定を考 えていきたい。 いずみ・ひまわり 1 努力点最終報告 目指す児童の姿・目標 児童の実態や学習状況に応じていずみグループとひまわりグループの2つのグループでねらいを 設定した。また、いずみ・ひまわり合同で行う単元を設定し、書く活動の定着を図る。 ◎ 相手に伝えることを意識して文字や絵を書くことができる。 (共通) ◎ 文や単語を構成する力を育てる。 (いずみ G) ◎ 活動を想起して自分のことと結び付けて考えることができる児童(いずみ G) ◎ 書くことの意欲を高め、書いて良かったという実感を味わう。(ひまわり G) ◎ 児童にとって身近な言葉から始めて、言葉の語彙力を高める。(ひまわり G) 2 目標達成の手立て ・ 単元「朝の会をしよう」では、書いて伝わる実感を味わうために、教師が伝わった喜びを大き く表現したり全体に発表したりする。(共通) ・ 単元「書きたいことを選んで」では、自分のイメージしたことや、伝えたいことを考え、書き 表わす活動を行う。 「ことのはカード」や「ひとこと詩」などを用いてスモールステップで考えを 整理して表現できるようにする。(いずみ G) ・ 単元「ことばのべんきょう」では、児童の実態に応じて、 「書く」活動を『なぞり書き』 『模写』 『視写』の三段階に分けて指導する。(ひまわり G) 3 成果 単元「朝の会をしよう」では、児童の実態に応じてプリントの内容を変え、児童が主体的に取り組 めるプリントを作成した。自分の名前を書いたり、一日の予定を書いたりすることで、身近な文字に 興味、関心をもち、表現することができるようになった。 また、プリントの内容を基に教師に伝え る活動を取り入れたことで、書いた内容を教師に言葉で伝えることができるようになった。教師が大 きなジェスチャーで伝わったことを喜ぶと、児童はうれしそうな様子を見せ、伝わる実感を味わうこ とができた。 (共通) 7月「書きたいことを選んで」では、考えやイメージしたことを言葉で伝えようとする姿が見られ るようになった。適切な文章にすることが難しいが、「ことのはカード」や「ひとこと詩」などの一 行でも書いて伝えることができればよいという手だては、苦手意識を軽減し、書いてみようという意 欲が育った。 (いずみ G) 12 月「ことばのべんきょう」では、児童に身近なものをテーマに設定して書く活動を行った。児童 が普段身に付けている「しゃつ」や「ずぼん」などの名詞の絵カードを見せながら読み書きをしてい き、その言葉にまつわる動作語「きる」 「はく」などの言葉の学習へと広げていった。 (ひまわり G) 4 課題 相手を意識して適切に表現しようとするまでには至らなかった。(共通) 考えや気持ちを整理して表現するまでには至らなかった。(いずみ G) 音読や読書活動を通して、文の構成や適切な表現手段など、語彙を増やすことが大切である。 (い) 動作語の学習については、教師がその言葉のジェスチャーをしたり、その真似を児童にさせたりす ることで、イメージを広げていったが、名詞と動詞の文字カード同士のマッチングが難しい児童がい た。動作語についても絵カードを工夫してイメージを広げる手立てが必要であった。 (ひまわり G)
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