平成26年度 ふくしま未来学 事業報告書 文部科学省「地 (知) の拠点整備事業」 ― 原子力災害からの地域再生をめざす「ふくしま未来学」の展開 ― 平成26年度 ふくしま未来学 事業報告書 文部科学省「地(知)の拠点整備事業」 ― 原子力災害からの地域再生をめざす「ふくしま未来学」の展開 ― ―1― 地(知)の拠点整備事業 平成26年度 ふくしま未来学 事業報告書 目 次 ごあいさつ 「ふくしまの未来」を切り拓く 拠点ということ 福島大学学長 中 井 勝 己 …… 4 ふくしま未来学推進室室長(副学長・教育担当) 神 子 博 昭 …… 4 ふくしまの未来を担う人材の育成に期待 日本の未来を創造する人材の育成を 福島県知事 内 堀 雅 雄 …… 5 大熊町長 渡 辺 利 綱 …… 5 はじめに 原子力災害からの地域再生をめざす「ふくしま未来学」の展開について ……………… 6 事業実績 平成26年度「地(知)の拠点整備事業」事業実績 ………………………………………… 8 平成26年度「地(知)の拠点整備事業」事業活動一覧 …………………………………… 10 成果報告/教 育 成果報告 教 育 教育① 「ふくしま未来学」カリキュラムの構築 …………………………………………… 12 教育② 「ふくしま未来学」コア科目授業紹介 (1) ………………………………………… 15 災害復興支援学Ⅰ・Ⅱ 「ふくしま未来学」コア科目授業紹介 (2) ………………………………………… 16 ボランティア論 「ふくしま未来学」コア科目授業紹介 (3) ………………………………………… 17 地域実践学習「むらの大学」 南相馬市フィールドワーク実施報告/学生の感想 ………………………… 19 川内村フィールドワーク実施報告/学生の感想 …………………………… 22 教育③ 教育FD 実施報告 ……………………………………………………………………… 25 【小括】教育事業の課題と今後 ………………………………………………………………… 27 成果報告/研 究 成果報告 研 究 平成26年度地域志向教育研究経費 成果報告 ……………………………………………… 30 平成26年度地域志向教育研究経費 採択一覧 ……………………………………………… 31 ―2― 地域志向教育研究経費 成果報告(1) ………………………………………………………… 33 とりもどそう、若者の力で福島の農業を 地域志向教育研究経費 成果報告(2) ………………………………………………………… 34 地域条件に応じた農とくらしの再生プラン策定支援プロジェクト 地域志向教育研究経費 成果報告(3) ………………………………………………………… 35 書をもって地域に出かけよう 【小括】教育事業の課題と今後 ………………………………………………………………… 37 成果報告/社会貢献 成果報告 社会貢献 社会貢献① 平成26年度シンポジウム 実施報告 ………………………………………… 40 地域における学校現場と大学の連携による人づくりの可能性 社会貢献② 学生の自主的なボランティア活動(1) ………………………………………… 58 「蕎麦フェスタ in 川内村」 のイベント支援で地域を元気に 学生の自主的なボランティア活動(2) ………………………………………… 59 南相馬市「ママカフェ」の支援で子育てを応援 【小括】社会貢献事業の課題と今後 …………………………………………………………… 60 参 考 資 料 平成26年度 ふくしま未来学推進室会議 実施報告・議事録 ………………………… 62 出張報告(1) 高知大学COC事業視察について ……………………………………………… 72 コミュニティ・ベースド・ラーニング視察 出張報告(2) 鳥取大学シンポジウム視察について ………………………………………… 74 「地域と学ぶ高大連携をめざして」シンポジウム視察 平成26年度「地(知)の拠点整備事業」アンケート実施結果 …………………………… 75 平成26年度「地(知)の拠点整備事業」に関する報道一覧 ……………………………… 81 ふくしま未来学ニュースレター ………………………………………………………………… 84 平成26年度「地(知)の拠点整備事業」関係者一覧 ……………………………………… 94 ―3― ごあいさつ 「ふくしまの未来」を切り拓く 福島大学学長 中 井 勝 己 福島大学は、平成25年度の文部科学省の「地(知)の拠点整備事業(COC事業)」で「原子力災害からの地 域再生をめざす『ふくしま未来学』の展開」の採択を受けました。 「ふくしま未来学」は、東日本大震災と福島 第一原発事故の被災地の現場に出向き、その解決を見出すという、地域課題を実践的に学び、地域再生に取 り組む人材の育成をめざすものです。 被災から4年が過ぎましたが、福島県では、いまだに県民12万人以上が避難生活を余儀なくされています。 被災者の医療・福祉・教育の弱体、放射能汚染による農業・漁業・林業などの休止、風評被害など、福島復 興に向けての課題が山積みされています。 このような人口減少、産業の衰退、教育・医療・福祉の弱体化、集落の消滅は、日本が直面する課題でもあ り、その意味で、 「ふくしま未来学」は、日本の21世紀課題の解決策を探る大学教育のひとつということもで きるでしょう。 「地方創生」が国の重点政策として掲げられる中、福島大学は地域の拠点大学として「ふくしま未来学」の 一層の充実を図っていきます。 拠点ということ ―― 地(知)の拠点整備事業 平成26年度事業報告書に寄せて ― ふくしま未来学推進室室長 神 子 博 昭 (副学長・教育担当) 震災直後、なにか福島のためにできないかと思い、ここに入学しました、という学生の声をきき感動した ことは、これまでに何度か書きました。 「ふくしま未来学」はまさにその声に応えるものであり、今年度から 本格的に学生向けの授業が開始されましたことは大きな歓びです。とりわけ南相馬市、川内村の皆さまの御 支援をいただき、 「むらの大学」の合宿を昨年秋に実施できましたことは、ささやかではありますが、大切な 一歩でした。御協力、御助力いただきました地域の皆さまには、厚く御礼申しあげます。今後、学生の皆さ んがいよいよ福島の地に関心を抱き、こころを開き、学びを深めることができますよう、教育・研究の体制 をととのえたいと思います。 その一方で考えますに、学生は開かれた可能性そのものです。若い皆さんの興味、関心は世界へと、宇宙 へと広がっているでしょう。また学問・研究は時間の堆積であり、その奥深さに誘惑される学生もいるでしょ う。地球の裏側に流れつく痴れ者もいれば、知恵の暗がりにうずくまる痴れ者もでてきます。大学は、そう した(痴)の拠点でもあってほしいものです。ここ福島の地で復興に知恵をしぼる卒業生の労苦には、世界 の果てを歩む福大卒業生の声が応えていると想像するのは、こころ踊ることではないでしょうか。 ―4― 福島県知事 内 堀 雅 雄 本事業は原子力災害からの地域再生をめざすもので、本県も双葉8町村等とともに連携自治体として協力 しております。 本年度は、双葉郡の小中学校で実施した「ふるさと創造学」や、来年度開校予定の「ふたば未来学園高等学校」 の独自教育プログラムの検討など、まさに現場主義で取り組んでまいりました。 本県は少子高齢化など将来の課題を先取りした「課題先進地」であり、困難な課題に果敢に挑戦する人材 の育成は、地方創生の一助ともなると期待しています。 日本の未来を創造する 人材の育成を 大熊町長 渡 辺 利 綱 福島大学におかれましては、復興計画作成支援や教育等、様々な分野で双葉地方の復興をご支援いただき 感謝を申し上げます。双葉8町村は連携を深めながら諸課題に取り組んでおり、常磐自動車道の再開通やふ たば未来学園の整備など、少しずつではありますが復興が目に見えてまいりました。地域再生には若い世代 の力が欠かせません。 「ふくしま未来学」で学んだ皆様が地域再生の担い手となり、そして双葉地方のみなら ず日本の未来を創りだしていくことを期待しております。 ―5― ご あ い さ つ ふくしまの未来を担う人材の 育成に期待 原 子 力 災 害 からの 地 域 再 生 を め ざ す「 ふ くしま 未 来 学 」の 展 開 につ い て 「ふくしま未来学」の展開でめざすこと 「ふくしま未来学」は、原子力災害からの経験をふまえ、地域課題を実践的に学び、未来を創造できる人材の輩出 と原子力災害からの地域再生をめざしています。そのために、 「ふくしま未来学」授業科目群を体系化し、学類の枠 を超えて全学生に開かれた特修プログラムとして開講し、被災地復興に寄与する実践的教育を展開します。また、 「教 育」「研究」「社会貢献」を大きな柱とし、全学的に地域を志向した教育・研究・社会貢献を進めていきます。 「ふくしま未来学」による未来を創造できる人材育成 教 育 「ふくしま未来学」による未来を創造できる人材育成 東日本大震災および原子力災害による地域再生をめざし、特修プログラム「ふくしま未来学」の体系化によるカリキュ ラム改革を行います。各専門領域の枠をこえ全学生を対象にした「ふくしま未来学」を、地域実践学習「むらの大学」 を含む選択科目を教育プログラムとして展開し、地域課題を実践的に学習し、未来を創造できる人材として養成します。 研 究 地域における研究・実践の推進 被災地の復興から今後の地域社会の再生に向けた地域振興を研究面から推進します。 教員の地域志向性の向上支援として、地域の自治体や住民と協働した取り組み(地域志向の教育)や研究を財政 的に支援するため、 「地域志向教育研究経費」を設置し、教員の地域実践教育の向上をめざします。双葉郡を中心に、 被災自治体と連携した復興まちづくりのグランドデザインづくりを行い、被災地の復興から地域社会の再生に向け た地域振興を研究面から推進します。 社会貢献 地域循環型人材育成のモデル形成 原発事故による被災自治体と連携し、初等教育から高等教育まで連携した地域循環型人材育成に取り組みます。また、 地域住民へ広く大学を開放し、地域開放科目、公開講座を拡充します。学生においては、地域に対するアクティビティ の醸成のため、 「ふくしま未来学」科目による学生の意識向上とあわせ、ボランティアへの参加向上をめざします。 ―6― は じ め に ■ 事業概要図 教 育 「ふくしま未来学」による未来を創造できる人材育成 研 究 成果を還元 成果を還元 地域実践学習「むらの大学」の開講・展開 社会貢献 教員の地域における研究・実 践の推進 地域循環型人材育成プログラ ムのモデル形成 教員の地域志向性の向上支援 高大連携による地域循環型人材育成 被災自治体と連携した復興まち づくりのグランドデザイン 地域開放科目、公開講座、出前 講座の拡大 学生の地域に対するアクティビ ティの醸成 成果を還元 ■ 連携自治体 福島県内12自治体と連携し、事業の展開を 図ります。 連携自治体 ᅜぢ⏫ ᪂ᆅ⏫ ᱓ᢡ⏫ ఀ㐩ᕷ ఀ 㐩ᕷ ⚟ᓥᕷ ・福島県 ┦㤿ᕷ ・福島市 ႐ከ᪉ᕷ ሷཎᮧ すὠ⏫ ᕝಛ⏫ ༡┦㤿ᕷ ༡ ┦㤿ᕷ ⊦ⱑ௦⏫ ᕝᮧ ὠᆏୗ⏫ ᕝᮧ ᮏᯇᕷ ☬Დ⏫ ⴱᑿᮧ ⴱᑿᮧ ୕ᓥ⏫ ⏣ᮧᕷ ὠⱝᯇᕷ ᰗὠ⏫ ὠ⨾㔛⏫ 㒆ᒣᕷ 福島県 ⴥ⏫ ⴥ⏫ ⇃⏫ ⇃⏫ ᐩᒸ⏫ 㡲㈡ᕝᕷ ᴍⴥ⏫ ᑠ㔝⏫ ኳᰤᮧ ༡㒓ᮧ ᾉỤ⏫ ᾉ Ụ⏫ ୕⏫ ᕝෆᮧ ᮧ ྈぢ⏫ ୗ㒓⏫ 㙾▼⏫ 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「ふくしま未来学」の一つである「むらの大学」の受講生が、地域でのボランティアに積極的に参加し、地域 での学びを深め、地域に貢献している。 公開授業・公開講座・出前講座等の社会人や地域向けの人材プログラムを実施することはできなかった。来年度は、 「ふくしま未来学」のコア科目の一部を公開授業とする予定である。また、地域のニーズを把握したうえで連携自 治体での出前講座を実施し、双方向的な学びの場、気づきの場を創出する。 ④ 全体の成果 今年度は基盤整備期と位置づけ、3つの柱である教育・研究・社会貢献を進めることができた。教育では、「ふ くしま未来学」の新規科目を含むコア科目が開講した。1年生の受講者は556人であり、平成26年度入学者全体の ―8― に根ざした研究を支援する地域志向教育研究経費を公募したところ、昨年よりも多くの申請があり、徐々に「ふく しま未来学」の認知度が教員の中で上がっていること、また地域に関わる教員が増えているといえる。社会貢献で は、シンポジウムの開催において、約170名が参加し、大学が地域で果たす役割や課題が明確になった。 教育・研究・社会貢献、すべてに関して連携自治体との協力が不可欠であり、今年度において自治体との関わり は じ め に 55%という結果であった。平成29年の最終年度には受講率7割をめざしている。研究面では、昨年に引き続き地域 から信頼関係を構築することができた。 総括 ふくしま未来学実施責任者 丹波 史紀(行政政策学類 ふくしま未来学実施責任者 丹波 史紀 (行政政策学類 准教授) 本学のCOC事業は、 「教育」 ・ 「研究」 ・ 「社会貢献」とする大学が地域に果たすべき役割について、とりわけ「教育」 を中心に事業を展開している。 「ふくしま未来学」では、本学にある4つの学類のすべてを横断する全学統一の教育 プログラムである。アクティブ・ラーニングなど課題解決型の実践的教育プログラムを展開している。各学位とは 別に副専攻として特修プログラムを展開することによって、地域課題を解決する未来を創造できる人材の育成をめ ざしている。 平成26年度の本学におけるCOC事業は、前年度のプログラム開発の準備期間をふまえ、平成26年度新入生から「ふ くしま未来学」の教育プログラムの展開を行った。本年度は、コア科目(4単位以上)の実施、およびモデル選択 科目(16単位以上) の科目選定を行った。その結果、新規科目を含むコア科目13科目、モデル選択科95科目を選定した。 特にコア科目の中で、地域実践学習として「むらの大学」の科目を新設し、南相馬市・川内村の連携自治体において、 2週間の実践学習を行った。この授業においては、事前・現地実習・事後の一連の教育プログラムを、連携自治体・ 関係機関・企業・NPOなどと連携し、地域一帯となって学生の教育プログラムを実施した。科目の具体的な実施 において、ステイクホルダーとの連携が一層図られた。来年度も引き続き地域との連携を深めつつ、科目履修にか かわらず学生が地域との結びつきを継続的に深めようという動きも生まれた。 「研究」においては、地域志向教育研究経費の公募を広く学内にすることによって、教員個人あるいは複数教員に よるプロジェクトの研究活動の展開を図った。それによって、配分された教員は34人となり、一層の地域志向性が 高まった。さらに単に教員個人の経験則にとどめることなく、地域志向の教育研究のノウハウを教育FDなどを通 じて共有するなど組織的な教員の教育および研究の力量の向上をめざした。 「社会貢献」では、双葉郡の8町村の教育委員会など学校現場と連携し、双葉地方全体の新しい教育のあり方を追 求した。特に、双葉郡内の小中学校で展開されている「ふるさと創造学」、平成27年度開校をめざす「ふたば未来学 園高校」との連携を図った。 なお、地域実践的な学習の学生の教育効果を検証する取り組みも行っており、地域実践学習が具体的な身につけ るべき「力」にどう寄与しうるのかを指標化する試みも行った。ただし、来年度に向けて課題も存在する。 「ふくし ま未来学」としての安定した教育体制の確保、帰還が困難な地域をかかえる自治体における教育プログラムの展開、 地域志向教育研究経費の教員の意識付けなどである。 ―9― 事業実績 今年度はホームページ開設、ニュースレター発行など情報発信にも力を入れ、学内外に向けた広報に努めた。 平成26年度「地(知)の拠点整備事業」事業活動一覧 月 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 主 な 実 施 内 容 教 育 ・「ふくしま未来学」コア科目開講 ・ 「ふくしま未来学」概要説明 平成26年度新入生ガイダンス(4月4日∼8日)、 「むらの大学」ガイダンス (4月11日) 研 究 ・平成26年度地域志向教育研究経費募集(4月25日∼5月21日) そ の 他 ・平成25年度評価委員会開催(4月17日) ・ 「ふくしま未来学ニュースレター Vol. 2」発行 ・ 「地(知)の拠点整備事業」アンケート実施(4月9日∼18日) 【全学類生、全教員、全職員、連携自治体向け】 ・第16回ふくしま未来学推進室会議(4月24日) 教 ・「むらの大学」南相馬市スタディーツアー実施(5月31日) 育 そ の 他 ・第17回ふくしま未来学推進室会議(5月22日) 教 育 ・「むらの大学」川内村スタディーツアー実施(6月14日) 研 究 ・平成26年度地域志向教育研究経費採択審査会(6月3日) そ の 他 ・第18回ふくしま未来学推進室会議(6月5日) 研 ・高知大学のCOC事業等視察(7月19日∼22日) 究 社会貢献 ・南相馬市小高区プチボランティアスタディーツアー実施(7月5日) そ の 他 ・第19回ふくしま未来学推進室会議(7月17日) 教 ・「むらの大学」南相馬市フィールドワーク実施(7月25日∼9月6日) 育 そ の 他 ・オープンキャンパスにて「ふくしま未来学」概要説明(8月10日) 教 ・「むらの大学」川内村フィールドワーク実施(9月1日∼9月14日) 育 社会貢献 ・川内村で「ふたばワールド2014」ボランティア(9月28日) 社会貢献 ・ 「蕎麦フェスタ in 川内村」ボランティア(10月26日) そ の 他 ・「ふくしま未来学ニュースレター夏・秋合併号」発行(10月15日) ・第20回ふくしま未来学推進室会議(10月20日) 教 ・ 「むらの大学」川内村フィールドワーク現地報告会実施(11月24日) 育 社会貢献 ・南相馬市ママカフェボランティア(11月30日) そ の 他 ・第21回ふくしま未来学推進室会議(11月17日) 教 育 ・教育FD実施(12月10日)【福島大学】 ・ 「ふくしま未来学」モデル名称及びモデル選択科目確定 研 究 ・鳥取大学シンポジウム視察(12月20日) そ の 他 ・第22回ふくしま未来学推進室会議(12月15日) 社会貢献 ・平成26年度シンポジウム開催(1月22日)【福島大学】 そ の 他 ・ 「地(知)の拠点整備事業」アンケート実施(1月5日∼23日) 【全学類生、全教員、全職員、連携自治体向け】 ・ 「ふくしま未来学ニュースレター Vol. 4」発行 ・第23回ふくしま未来学推進室会議(1月19日) 教 ・ 「むらの大学」南相馬市現地報告会パネル展実施(2月17日∼22日) 育 そ の 他 ・第24回ふくしま未来学推進室会議(2月20日) 研 ・平成26年度地域志向教育研究経費成果報告会(3月20日)【福島大学】 究 そ の 他 ・平成26年度「ふくしま未来学」学内評価委員会実施(3月9日) ・平成26年度「ふくしま未来学」学外評価委員会実施(3月26日) ・第25回ふくしま未来学推進室会議(3月23日) ・平成26年度ふくしま未来学報告書 発行 ・ 「ふくしま未来学ニュースレター Vol. 5」発行 ・平成27年度ふくしま未来学パンフレット 発行 ― 10 ― 成果報告/教育 ふくしま未来学カリキュラム構築 ふくしま未来学コア科目授業紹介 教育FD 実施報告 【小括】教育事業の課題と今後 ― 11 ― 教育①「ふくしま未来学」カリキュラムの構築 「ふくしま未来学」の特徴・ カリキュラムについて 「ふくしま未来学」の全体像 「ふくしま未来学」は、原子力災害からの経験をふまえ、地域課題を実践的に学び、未来を創造できる人材の輩出 と原子力災害からの地域再生をめざすための特修プログラムである。 コア科目 (4単位) モデル選択科目 (16単位) 4単位を超えて修得したコア科目の単位は、 モデル選択科目の単位として6単位までカウ ントできる。 「ふくしま未来学」 修了 自分が所属する学類のモデルに設定された科 目を履修することが望ましいが、他の学類モデ ル選択科目の履修も可能。 (大部分が開放科目) 20単位以上 ふくしま未来学のポリシー ▶▶1年次から4年次まで複数年にわたり、継続的に地域(コミュニティ)に関わることにより、その地域が抱 える社会的課題を理解すると共に、地域住民が実践的に取り組む地域づくりに参画することができる。 ▶▶継続的な関わりを通して地域の変化や発展を追うことができ、学生自らの学習・成長と地域の発展を結びつ けることができる。 ▶▶東日本大震災と原発事故の経験をふまえ、 「ふくしま」の持つ歴史的でグローバルな文脈を理解し、さらに具 体的な地域的課題を分析し、かつ課題解決のミッションを発見することをめざす。 ふくしま未来学におけるコンピテンシー 「ふくしま未来学」の履修をとおして、地域の課題解決に必要な5つの力を学生が身につけることをめざしている。 表−1 「ふくしま未来学」における5つのコンピテンシー 地域課題を発見する力 地域にあらわれる多様な課題を発見する力 地域を分析する力 科学的にかつ総合的に地域課題を理解する力 地域を興す力 地域課題のミッションを明らかにし、自ら主体的に解決するために行動する力 地域をつなげる力 地域課題を解決するために、多様なセクターと協働する力 地域を伝える力 地域課題の社会的解決に向けて、現状や地域の主体的な取り組みを外部に発信する力 今年度の成果 今年度において、コア科目の開講ならびにモデル選択科目の選定により、特修プログラム「ふくしま未来学」の 体系化に向けたカリキュラム改革の基盤づくりを行うことができた。 ― 12 ― (1) コア科目の開講 平成26年度入学生を対象として、表−2の前期後期あわせ10科目を対象科目とし、本年度は9科目を開講した。 表−2 平成26年度開講「ふくしま未来学」コア科目 授 業 科 目 名 (総)NPO論 (総)原子力災害と地域 成果報告/教育 (総)災害復興支援学Ⅰ (総)災害復興支援学Ⅱ (総)ボランティア論 (総)水・土地の汚染と私たちの健康・生活 (総)むらの大学 地域論Ⅱ ※平成26年度に限り開講なし 現代社会へのアプローチ 平成26年度入学者における受講人数は、全学生1008人のうち556人の受講と55%の学生が受講した。現代教養コー スは夜間が主となるため、昼間に開講する科目の履修は難しい状況にあった。 表−3の通り、各学類によって受講人数にばらつきが見られるため、全学生の多くがコア科目を受講し、震災復 興や地域再生における基礎知識を得られるよう、周知徹底が必要である。 表−3 平成26年度「ふくしま未来学」コア科目受講者・受講率 人間発達学類 行政政策学類 経済経営学類 共生システム理工学類 受講者数 153人 207人 130人 66人 受講率 52% 95% 54% 34% (2) コア科目の充実に向けた検討 コア科目の受講生を増やすにあたり、 「ふくしま未来学」の新規コア科目の充実を図るべく検討を行った。平成27 年度より、今期開講したコア科目に加え、表−4の通り、3つの科目を開講する。 表−4 平成27年度「ふくしま未来学」コア科目新規科目 授業科目名 授 業 の ね ら い (総)ふくしま未来学入門 地域再生に関わる自治体・企業の実践的な取り組みの話から課題解決型の思考 を養う。 (総)小さな自治体論 小規模自治体の地域づくりの事例から、地域づくり実践の分析仕法とと地域づ くりの手法を習得する。 (総)グローバル災害論 グローバルとローカルの視点で世界の大規模災害についての基礎知識を身につけ、 評価できる力をつける。 (3) コア科目の地域開放に向けた検討 地域課題解決にかかわる住民が、学生とともに学ぶ機会を提供することを目的とし、コア科目の授業を「地域開 放科目」として一般に公開することとした。平成27年度からは「ふくしま未来学入門」を公開授業として開放する。 平成28年度以降は、より多くの科目を公開授業として開放することをめざしていく。 ― 13 ― ﹁ふくしま未来学﹂カリキュラム構築 地域論Ⅰ (4) モデル選択科目の名称・カリキュラムポリシーの決定 平成27年度から開講する、モデル選択科目のカリキュラムの検討に伴い、モデルの名称とカリキュラムポリシー を協議し、表−5の通り、決定した。 表−5 モデル選択科目モデル名称・カリキュラムポリシー モデル名称 カリキュラムポリシー 教育と文化による地域支援モデル (人間発達文化学類系科目) 人間や文化に主体的にかかわり、地域課題を解決し、新たな文化を創造す ることができる。また、地域が求める人材育成に寄与することができる。 コミュニティ共創モデル (行政政策学類系科目) 災害前から地域社会が抱えていた人口減少、少子高齢化、過疎・中山間地 域など、社会構造の変化を具体的な地域において理解し、分析することが できる。さまざまな地域課題を、多様なセクターの協働によって、主体的 に解決する能力を身につけることができる。 地域経済活性化モデル (経済経営学類系科目) 地域の復興と活性化に関する課題を解決する為の様々な知見や方法を経済 と経営の分野から学び、それらを自ら活用して課題解決を図るとともに、 地域と自治体の資源を活用する力を身につける。 地域産業・地域環境支援モデル (共生システム理工学類系科目) 地域社会が直面している産業分野における諸問題や、環境科学分野におけ る諸問題を科学的に理解し、分析することができる.今後の地域の発展に 対しての課題を見つけるとともに、解決するための力を身につける。 (5) モデル選択科目の選定 各モデルにおけるポリシーならびに「ふくしま未来学」における5つのコンピテンシーを考慮し、モデル選択科 目についての内容を協議した。学生の履修に結びつくような科目を検討した結果、表−6の通り、95科目を選定した。 なお、選定した科目は、大多数が学類関係なく受講できる科目とした。 表−6 モデル選択科目数と授業科目(一部) モデル名称 科目数 授業科目名(一部) 教育と文化による地域支援モデル (人間発達文化学類系科目) 25 復興教材づくり論、復興のための授業方法論、特別支援教育と 学校防災、復興教育学、自然体験実習 など コミュニティ共創モデル (行政政策学類系科目) 42 地方政治論Ⅱ、地域福祉論、社会計画論、地域社会学、特殊講義 (民事救済法Ⅰ・Ⅱ) など 地域経済活性化モデル (経済経営学類系科目) 16 地域経済論Ⅰ・Ⅱ、地域交通まちづくり政策論、中小企業経営論、 特別演習 Fukushima Workshop(Japan Study ProgramⅢ)など 地域産業・地域環境支援モデル (共生システム理工学類系科目) 12 環境計画論、地域計画論、生活環境論、産業構造論、地域産業政 策、知的財産権論 など 来年度に向けた課題 平成28年度のプログラム完成年度に向けて、コア科目ならびにモデル選択科目の実施・検証をもとに、より一層、 各科目の地域志向性の向上をめざす。また、地域志向教育研究経費による教育・研究活動の成果から、アクティブ・ ラーニングも取り入れた新規科目開設をめざす、平成27年度以降もモデル選択科目の充実に取り組む。 ― 14 ― 教育②「ふくしま未来学」コア科目授業紹介(1) 災害復興支援学Ⅰ・Ⅱ 学生が相互に読んでコメントを書きあい、他の学生が 授業のねらい どのような点に着目しているのか、それに対して自分 この講義はオムニバス方式によって実施されている。 成果報告/教育 初澤 敏生(人間発達文化学類 教授)ほか はどう考えるかを深めるようにしている。 原子力災害への対応や避難所運営など、理論と発災直 後の対応を、後期のⅡは避難生活からの暮らしの復興、 子どもたちへの支援、農業・商工業の復興など、中・ 長期的な課題を中心に取り上げる。これらを総合的に 学ぶことによって震災について多面的に理解し、被災 者を支援することができる「復興支援者」を育成する ことをめざす。 授業内容 主な授業内容を列記すれば以下の通りである。 「福 島県がめざす震災復興のかたち」 「原発と活断層」 「福島・ 授業の成果 災害復興支援の社会学」 「放射線とは何か−福島県の現状」 「避難所運営とボランティア」 「災害復興まちづくり計 授業中に行った独自アンケートによれば、 「被災地・ 画論」 (以上、前期) 「避難生活から暮らしの復興へ」 「福 被災者についてもっと知らなければいけないと思った」 島の子どもたちに寄り添いながら」 「食と農の再生」 「水 「生きていく上で災害にどのように対処するか考える 産業の復旧の現状と課題」 「震災被害の実態と中小企 ことができた」 「被災者支援などに力を入れたいと思 業の復興の課題」 (以上、後期) うようになった」学生が非常に多い。学生の生きる力 授業は単なる「連続講演会」にならず、学生が主体 と意欲を向上させることができた結果といえる。 的に学ぶように「学びのノート」を作成して毎週の作 成を義務づけている。このノートは最終回の授業時に 課題と今後の展望 独自アンケートでは、勉強や研究の必要性に関して の認識度が相対的に低くなっている。情報収集の方法 など、学び方の学習についても得点は低い。これらの 点を改善していくことが必要である。課題としては、 オムニバス方式の弊害として授業間の結びつきの悪さ がある。また、学生からは現場を見たいとの希望が強 く出された。改善に努めたい。 ― 15 ― ﹁ふくしま未来学﹂カリキュラム構築/﹁ふくしま未来学﹂コア科目授業紹介 前期のⅠは福島県の復興の方向性や災害のメカニズム、 教育②「ふくしま未来学」コア科目授業紹介(2) ボランティア論 鈴木 典夫(行政政策学類 教授) 初澤 敏生(人間発達文化学類 教授) ンティアとして、相馬市のマッピング(※店舗の状況 授業のねらい を訪ねて回り、情報発信する活動)に取り組んだ。 東日本大震災以来、多くの学生が復興に向けたボラ ンティア活動に関わっている。その中で、ボランティ 授業の成果 アとは何かを理論的に学びたいという意識を持つ学生 がいる。一方、ボランティアを始めるにあたって、実 災害に関するフィールドワークには81名の学生が参 践を学びたいという学生もいる。この授業では、実践 加した。初めて被災地や被災者に関わり再度参加した から理論へ、理論から実践へという2つの方向性に応 いという感想が多く見られ、既存の(学生団体)災害 えるねらいがある。さらに、震災を契機としたボラン ボランティアセンターに20名近くが新規登録し、ボラ ティアだけではなく、ボランティアの多様性について ンティア活動を続けている学生が見られる。85名が参 も学ぶ機会とすることを意図した。 加したマッピングボランティアの活動は、相馬市「復 興支援センター MIRAI」を通じて商工観光分野の基 礎データとして活用されることになっている。 授業内容 授業は座学と、グループ討論、フィールドワークの 課題と今後の展望 3スタイルに大別される。座学では、ボランティアの 理念、原則、多様性、倫理と責任等についてふれ、ボ ボランティア論では、理論的な項目にもアプローチ ランティアの価値感についての討論や、避難所運営の するが、大切なことは、学びのあとの実践につながっ 調整作業を小グループで行った。フィールドワークは、 ているか、実践に理論が応用されているかである。そ 災害に関する実践活動と、災害によらない実践活動に してそれらの活動が被災者や「地域」への貢献となっ 参加してもらった。前者は、仮設住宅(浪江町・飯舘村) ているか。大学外資源とどう連動しているかである。 での「足湯」活動・住民交流活動、被災地(南相馬市) 学生の創造性を引き出す授業として、外部講師の講話 での片づけ作業など約15種類のプログラムを提供し学 などまだまだ授業の組み立ての工夫は必要である。 生に選択してもらった。後者では、 「まちづくり」ボラ ― 16 ― 教育②「ふくしま未来学」コア科目授業紹介(3) 地域実践学習「むらの大学」 その後も、事後学習を通して学びを深めた。 授業のねらい 本授業は、平成26年度開講の「ふくしま未来学」の 授業の成果 発事故の経験をふまえ、地域課題解決に資するための ふくしま未来学におけるコンピテンシー (5つの力) 実践的学習である。受講生は、夏休み期間中に長期に に関わる基礎的な能力が醸成されたといえる。具体的 わたって被災地に滞在し、地域住民の方々とともに地 には次の3点が挙げられる。(1)学生たちは、フィー 域づくりに取り組む。事前・事後の学習をふまえなが ルドワークや実習によって、震災や原発事故によって ら、学生自身が地域を見る目を養い、地域課題を発見 引き起こされた具体的な地域問題や震災前に地域が抱 し、解決を探ることを目的としている。 えていた諸課題を、多面的かつ共感的に理解すること ができた。 (2)長期にわたって現地で滞在し地域住 民と交流することで、地域の資源とその意義を住民と ともに発掘、共有することができた。(3)実習後の学 授業は講義および実習形式で実施した。座学や1日 習や現地での活動報告をとおして、課題解決につなが のスタディツアー、グループワークを中心として事前 る地域の特性を発見し、それを伝えることができた。 学習を進めた後、現地でのフィールドワークに臨んだ。 4月11日(金) 「むらの大学」ガイダンス 4月18日(金) 南相馬市・川内村の概要説明 5月9日(金) 学内フィールドワーク「地域で活かせる視点」を学ぶ 5月23日(金) ステークホルダー講義 被災地の復興における課題を学ぶ 5月30日(金) 学内教員による放射線の基礎知識、測定器の使い方を学ぶ 5月31日(土) 南相馬市1日スタディーツアー 農地の放射線測定・津波被災地見学などをとおして現状を理解する 6月13日(土) 川内村1日スタディーツアー 村長講義・放射性廃棄物仮置場の見学などをとおして現状を理解する 7月11日(金) 7月18日(金) 7月25日(金) グループワーク 事前学習と現地視察スタディーツアーで得られた成果をもとに地域課題におけるテーマ を設定し、実習プログラムの内容を検討する 8月25日(月) 南相馬市フィールドワーク(2週間) ∼9月6日(土) 9月1日(月) ∼9月14日(日) 川内村フィールドワーク(2週間) 10月10日(金) フィールドワークのふりかえり 11月24日(月) 川内村フィールドワーク報告会 2月17日(火) ∼2月22日(日) 南相馬市フィールドワーク報告会(パネル展示) ※各フィールドワークの詳細は、実施報告(南相馬、川内村)を参照。 ― 17 ― ﹁ふくしま未来学﹂コア科目授業紹介 コア科目の一つで、平成23年の東日本大震災と福島原 授業内容 成果報告/教育 丹波 史紀(行政政策学類 准教授) が大きく、アドバイザーとして来年度以降関わってい 課題と今後の展望 くことが肝要である。受講生は授業以外でも社会貢献 今年度は授業初年度ということもあり、試行錯誤す 活動を数多く行った。学生たちの活動意欲は高く、地 ることが多かった。実習プログラム内容については、 域住民の期待も大きい。学生たちが積極的かつ自主的 今年度は自治体との協議をもとにスタッフ中心で組み に地域に関与することができるように、来年度は学内 立てていったが、次年度以降は学生の主体的な企画立 外でのしくみを整えていく必要があろう。 案が必要となろう。その場合に、今年度受講生の経験 ― 18 ― むらの大学 南相馬市フィールドワーク実施報告 南相馬市では8月25日から9月6日までフィールド を知り、愛着を持つ」ことを目的として次の活動テー ワークを実施し、学生8名が参加した。実習を前半と マを掲げた。まず、 (1) 「南相馬市に住む人に出会い、 後半に分け、前半では(1)地元企業における職場フィー 生き方を知る」 。南相馬市で暮らす人びとがどんな「思い」 ルド体験、 (2)地域貢献の方法についての研修を行っ を持って暮らし続けているのか、について理解するこ た。後半では引き続き職場フィールド体験を行ったほ とを実習前半のねらいとして位置づけた。さらに、 (2) か、 (3)子どもの外遊びを促すイベント、 (4)コミュ 「南相馬市に愛着を持ち、共感する」ことを後半のねら いとし、南相馬市で暮らす人びとへの共感を地域課題 ニティ FMでの取材活動、 (5)フィールドワーク活動 報告会等を実施した。 解決の活動に結びつけていく、ということをテーマ化 した。 前 半 目標: 「南相馬市に住む人に出会い、生き方を知る」 8月25日(月) ソーラーアグリパークにて研修、ウェルカムパーティー 8月26日(火) ソーラーアグリパークにて研修、(株)菅野漬物食品社長インタビュー 8月27日(水) 菅野漬物食品・職場フィールド体験(A班) 「みんな共和国活動」、 「夢たびと」にて竹細工制作(B班) 8月28日(木) 菅野漬物食品・職場フィールド体験(B班) 「夢たびと」にて竹細工制作、根本さん宅収穫、ひばりFMにて活動(A班) 8月29日(金) 塔前の家ご夫妻にインタビュー、大滝馬事苑にて乗馬体験、「夢たびと」でイベント準備作業、 高見公園下見 8月30日(土) シマ商会・駅前自転車撤去、イベント準備 後 半 目標: 「南相馬市に愛着を持ち、共感する」 8月31日(日) じゃぶじゃぶ池イベント 9月1日(月) シマ商会職場フィールド体験 9月2日(火) シマ商会職場フィールド体験 9月3日(水) 休日 9月4日(木) ひばりFM取材(相馬農業高校)、小高区農業者根本氏にインタビュー、活動報告会準備 9月5日(金) 活動報告会実施 9月6日(土) 小高区農業者根本氏宅にて種まき を形成し、集団で地域に関わることの意義、個人の 成 果 果たす役割の意味を理解することができた。 (3) そうしたグループ力に基づきながら、個々人は地 大きく3点挙げることができる。 (1) 学生たちは、実習の目標、目的を理解したうえで、 活動のよりどころとなるグループ目標を考え、それ に実際の活動内容を照らし合わせながら毎日の行動 をすすめることができた。 (2) 2週間の共同生活を送ることで濃密な人間関係 ― 19 ― 域への理解や共感を深めることができた。 ﹁ふくしま未来学﹂コア科目授業紹介 南相馬市フィールドワークでは、学生たちが「地域 成果報告/教育 実施内容 フィールドワークのねらい 課 題 今後の展開 毎日の実習の活動内容が多く、実習日誌を記入する 今年度受講生と次年度受講生の連携を通じて、新た 時間などを確保すると、自由時間があまり取れず、学 な活動の展開が可能となるだろう。 生たちの負担は大きかった。休日を2日間にするなど、 学生たちはむらの大学受講生であることに誇りを持っ スケジュールに余裕を持たせる必要があった。初年度 ている。新入生のメンターとしての役割が十分に期待 実施ということもあり、実習準備について手間取るこ できる。 ともある反面、準備時には想定していなかった事柄に さらに、南相馬市役所との強力なパートナーシップ 対する対応が多々あった。 に基づき、市役所を核とした多様なセクター(公・共・ 次回以降、実習準備、指導のノウハウを積み重ねて 私)との協働をさらにすすめ、新たな地域課題解決型 いく必要がある。 のプロジェクトを学生主導で行うことが期待できよう。 ― 20 ― 「むらの大学」南相馬市フィールドワーク − 学生の感想 − り実感が湧かないように思う。なので、初日に桜井市 長が言ったように、南相馬市自体の魅力を伝えていく ロボット化が進む現代で、手作業にこだわる理由な ことが今後の課題だと考える。 ど、会社とは何か、震災から一ヶ月あまりでなぜ復活 できたのか。学んだことはかなりありました。自分が 強く感銘を受けたのは、 「一つ一つ積み上げたものは絶 【地域への愛着について】 南相馬市をバスで出発して福島大学へ帰るとき、南 (社員、協力業者、お客、地域、株主)の二つです。イ 相馬市からどんどん離れて寂しくなってきた。その気 ンターンはここにいきたいと思いました。 持ちだけで自分では満足している。知らない間に南相 馬市への愛着が出てきたことを知った。将来、教師に なったとき、自分のこの体験を生徒に伝えてあげたい と思った。そういう実習だった。 【自分の成長について】 フィールドワークで関わった方々には積極的な発言 を心がけていたので、80%は達成できた。仲間内では ため込んでしまったことが多かった。仲間内での発言 の大切さを感じた。 2週間という長いようで短い期間のなかで衝突もあっ たが、それを解決する術、壁をうまくはないが乗り越 【子どもの外遊びイベントを終えて】 える術を少し学んだ気がする。実習中、私は多く、本 イベントは大成功といえる。当日は晴天で子どもた 当に多くの失敗をした。その失敗から学び、心にとめ、 ちも元気に走り回り、イベント開催をして良かったと 次の行動に早く生かしていきたいと思う。まだ、許さ 心から思える。しかし、この成功は我々だけの力では れるうちに数多くの失敗をして学びたいと考える。 なく沢山の人々の助力があってこそ。無計画さで迷惑 をかけてしまったことを反省し今後の教訓として肝に 銘じなければいけない。 【地域内のつながりの強さ、南相馬市の魅 力を伝えること】 「地域内でのつながり」の強さを再発見することが できた。誰もが必ずといっていいほどに知り合いを持っ ていて、感動すら覚えた。内輪だけの活動ではなく、 県外者を巻き込んだ取り組みが増えるとよい。これか らの課題は、どうやってそれらの活動、ひいては南相 馬市に興味を持ってもらうかである。実際に住んでみ ればその魅力に惹かれるが、話を聞いただけではあま ― 21 ― ﹁ふくしま未来学﹂コア科目授業紹介 対に流されない」という言葉と会社が守る5つのもの 成果報告/教育 【職場フィールド体験を通じて】 むらの大学 川内村フィールドワーク実施報告 川内村を全体的にとらえた前半と対照に、実際に村で フィールドワークのねらい 暮らす人たちの生活や、またどんな気持ちで震災から 前半は「川内村を多面的に知る」ということを目標に、 現在まで生活してきたのかという思いを感じることで、 川内村を把握するため、地理的理解、そして復興に尽 何を考え、何を感じたのか、メンバーで共有しながら 力している企業や団体にお話を伺った。後半は、 「高田 考えることをねらいとした。 島(第1区)に住む人たちの生活を知ること」を目標に、 実施内容 9月1日 (月) ・そば挽き見学 ・コドモエナジー社長 講義 ・川内村若者たちとバレーボールを通して交流 9月2日 (火) ・川内村を理解(地形、歴史)する 川内村の要所めぐり ・役場職員の前で、意気込み、個人目標を発表 9月3日 (水) ・川内村の文化を知る 7区で老人会とそばうち体験交流会 ・獏原人村訪問、木戸川水力発電所見学 9月4日 (木) ・食品検査場、とりじ商店、ビジネスホテル聞き取り 9月5日 (金) ・敬老会(村主催)準備 ・報告会準備 9月6日 (土) ・敬老会参加 ・1週間のまとめ報告会と交流会 9月7日 (日) ・住民案内による「高田島むらあるき」 ・高田島住民による歓迎会に参加 9月8日 (月) 休日 9月9日 (火) ・老人会と諏訪神社清掃活動 ・1区住民に聞き取り(歴史、祭り、文化、生活) ・元川内村役場 井出寿一氏 講義 9月10日 (水) ・1区住民に聞き取り(歴史、祭り、文化、生活) ・お祭りに向けた踊り練習 9月11日 (木) ・高齢者いきいきサロンで郷土料理づくり ・報告会準備 ・村で子育て中の遠藤陽子さん講義 9月12日 (金) ・農作業(遠藤きのこ園、区長さん宅畑) ・なたねの種まき 9月13日 (土) ・お祭り準備 ・報告会準備 9月14日 (日) ・お祭りに参加 ・1週間の学びを報告(お祭りの中で) 11月24日 ・川内村フィールドワーク報告会実施 (いわなの郷) (月・祝) 村長はじめ、住民など30名が参加 この他に、毎日実習ノートを記入し、それを基に毎 一人ずつ発表し、共有した。それぞれの気づきや考え 晩ふりかえりを行った。ふりかえりではそれぞれが感 方が違うこと、また問題点についてどう考えるか、私 じたこと、発見したこと、問題点など、考えたことを たちができることは何かを議論した。前半と後半の最 ― 22 ― 後には、お世話になった住民に対して学んだこと、考 課 題 えたことを、グループで発表する機会を設けた。 さらに、11月にはフィールドワーク報告会を川内村 今年度は初年度ということもあり、地域コーディネー で実施し、個人とグループでの発表、村長をはじめと ターが中心となりプログラムを立案したが、来年度は して講評をいただき、今後の活動につながる機会となっ 参加する学生の意見も取り入れ、受動的な参加になら た。 ないようにしたい。また今年度の受講者には、来年度 はスタッフとして協力してもらう工夫もしたい。報告 した内容から考えた部分が多く、来年度は住民とじっ 毎日のふりかえりのなかで、自分の意見を話し伝え くり話す機会を多く設けたい。 ること、多様な価値観を認め合うということが徐々に できていった。前半後半の2度の報告会では、住民に 成果報告/教育 会での学生の発表を聞くと、住民へのヒアリングで話 成 果 今後の展開 伝えることができ、その成果を発表することができた。 今回深く地域に関わることができ、学生自身も今後 また、11月に川内村で実施した「フィールドワーク も地域と関わっていきたいという思いが強く、授業だ 報告会」では、個人発表、グループ発表を行い、さら けの関わりではなく、学生の自主的な団体のようなか に成長した姿を見ることができた。地域住民も「すば たちで地域に関わることを期待している。学生自身が らしい発表だった」「来年度もぜひ実施してほしい」 地域への関わり方を考え、地域に定期的に行くことを とお互いよい関係を築くことができた。 自主的に進めてほしい。地域への成果はすぐに出るも 初年度とあってスタッフも手探り状態であったが、 のではないため、このような地道な関わりと積み重ね 自治体職員、地域のみなさんと協力しながら、無事終 が、地域を再生する新たな一歩につながると考える。 了することができた。 ― 23 ― ﹁ふくしま未来学﹂コア科目授業紹介 自分たちの学んだこと、考えたことを、自らの言葉で 「むらの大学」川内村フィールドワーク − 学生の感想 − わりに活かしていきたい。 【身についた力】 フィールドワークで培った観察力やコミュニケー 普段なら気にも留めないようなちょっとした魅力・ ションスキルは、大学生活のなかでは必須となるこ 問題点・疑問点・課題など発見する力・広い視野を となので応用していきたい。 持てるようになった。その発見した魅力や課題をど 人前で発表する力が特に身についた。この力はこれ のように活かすか?どう改善するか?と一歩踏み込 から多くの講義で使えると思う。 んで多角的に考える力が身についた。 村や地域のコミュニティ形成の仕方や地元を活かす 方法などを学んだ。 【感 想】 集団生活する力、集団生活の楽しさ、難しさを学んだ。 震災での体験談を直接伺って、リアルな震災当時の 初対面の方と話す能力。聞いたことをまとめる能力。 状況を知ることができた。 まとめたことを発信する能力。 お祭りにいたおじいさんが、 「来てくれてありがとう。 深夜の耐久性。コミュニケーション能力。積極的な また来てな」と涙ぐみながら手をとって言ってくれ アプローチ。聞く力。話す力。知る力。発信する力。 たこと。その地を訪れて過ごすことが思っていた以 企画する力。 上に、住民の方に影響を与えていた。 人に伝えること、行動力、友情、人のあたたかさ、田 震災の話を、涙を浮かべて話してくださった。この 舎のよさ。 涙をもう流させないために、私たちのような若い人 人間として成長できた。 たちでこれからやるべきことはたくさんあるのだと 感じた。 今後の学生生活では復興や震災について学びたい。 【今後の活かせること】 将来は福島県の復興に関する仕事がしたいと強く思 今後は、地元双葉郡広野町の復興会議や学生などの うようになった。この実習は私の将来に大きな影響 ボランティア団体と協力しながら地元そして双葉郡 を与えたので、取り組んだ意義はあると思う。 の復興に力を入れたいと思う。また、普段の生活で 本当に多くのことを学んだ。川内村で働くという選 も相手を考え、敬い、協力することは習慣化してい 択肢を考えるようになった。地元でも働きたい思い きたい。 もあるので、自分の将来を考えるきっかけにもなっ フィールドワークをとおして、真剣に語り合うこと た。 ができる関係を築けた。就職、今後の川内村との関 「支援」は今まで 何かしてあげないと や あれや これをしたら喜んでもらえるのではないか? など 一方的でした。しかし、 地域の人に寄り添うこと や 理解すること と考え方が変わりました。 自分たちが知ったこと、学んだことは、まだ表面の ものでしかないと思うので、これから継続して関わ る中で、さらにそのことについて深めていくことが できればと考える。 ― 24 ― 教育③ 教育FD 実施報告 「地域に貢献する大学の役割」 成 果 場 所:福島大学 M−3教室 成果報告/教育 日 時:平成26年12月10日 (水) 16:30∼18:00 地域社会の再生・発展に挑戦する高知大学の視察の 参加者:30名 ングは何かを考える機会となった。 開催目的 また、今年から開講した地域実践学習「むらの大学」 ふくしまの再生および活性化に貢献し、全学的に教 を履修した学生からは、現地に入り自ら地域住民と積 育・研究・社会貢献分野における地域志向性の向上を 極的に関わることで「調査対象地」としてではなく、 「愛 めざし、本学教職員の学び合いを通じて、実践的教育 着のある大切な場所」となったという話があった。学 の意義を考えることを目的として実施した。 生が実習を通して、受け身の姿勢から主体的な考えや ※ FD(ファカルティ・ディベロプメント) 行動へと変化が見られ、 「ふくしま未来学」の新しいア 知識イコール専門分野を素材に成り立つ学問の府 クティブ・ラーニングの理解を深めることができた。 としての大学制度の理念・目的・役割を実現するた さらに、富岡町の歴史文化遺産の保全と継承に取り めに必要な「教授団の資質改善」または「教授団の 組む教員からは、他自治体においても、発掘した歴史 資質開発」 (文部科学省定義) 資料の研究成果を地域の方々に還元することを第一に、 開催概要 䀝あいさつ ふくしま未来学推進室室長(副学長・教育担当) 神子 博昭 䀝地域志向教育に関する先進的事例紹介 −地域社会の再生・発展に挑戦する 高知大学の視察から− ふくしま未来学推進室地域コーディネーター 牧野 友紀、北村 育美 䀝ふくしま未来学 地域実践学習「むらの大学」報告 南相馬市での実習報告: 行政政策学類1年 後藤 誠智 川内村での実習報告: 行政政策学類1年 鈴木 健正 䀝地域志向教育研究報告 「福島原発周辺地域の歴史文化遺産の保全と継承」 行政政策学類准教授 徳竹 剛 ― 25 ― ﹁ふくしま未来学﹂コア科目授業紹介/教育FD 実施報告 報告からは、本学でも実施可能なアクティブ・ラーニ 今後の科目の設定に還元できるよう研究を行っていき アンケート結果(一部抜粋) アンケート結果(一部抜粋) たいという発言があった。地域で行う研究を教育と結 びつけ、 「ふくしま未来学」の科目としてどのように実 問:福島大学は、 「地域に貢献する大学」としてどのよ 現していくかを、参加した教職員と協議することがで うなことを推進すべきだと考えますか。 ・地域の要望をしっかりとらえ、地域が役立つと認識 きた。 される取組、人材の育成を推進する。 ・地域志向科目を担当する教員を増やし、その活動の 方法を進めてほしい。 ・地域との関わりを継続していく仕組みを大学内に設 ける。 ・その地域のニーズに応えるようなことをやっていく。 問: 「ふくしま未来学」に対してのご質問、ご要望が ありましたら、お願いします。 ・地域の個々の方が、本当に学生を育てようと思って 接してくださっているのを、一部参加して感じまし た。それに深く感謝するとともに、何を返せるのか、 本当に難しいと感じている。 ・引き続きCOC事業の取り組み内容成果について発 今後の課題 表をお願いしたい。 今回の教育FDをとおして見えた課題のひとつは、 「地 ・事務職員でも部署に関わらず、全学的な取り組みと 域に貢献する大学」として、できるだけ地域に負担を して、 「ふくしま未来学」に関わる機会があればと思 かけずに住民の方々に喜ばれる形で、教育活動を行う う。地元、立地県の現状を知ることは、事務職員に ことである。 とっても貴重な経験になると思う。 さらには、一教員に負担がかかりすぎることのない よう、アクティブ・ラーニングに関する具体的な教育 方法の情報提供や意見交換を行うことが今後の課題で ある。 また、教育FDとしての課題は、教職員への周知徹底 である。今回、各学類の教員会議後にそのまま移動す る形で行える時間帯を設定したが、会議の時間が長引 くなど想定以上に参加する教員が少なかった。今後、 カリキュラム改革を進めていくにあたり、教職員の意 識向上が不可欠である。教職員一丸となって取り組め るような機会の提供と工夫をしていきたい。 ― 26 ― 【小括】教育事業の課題と今後 ラム改編の必要性を示していると思われる。そのこと ふくしま未来学推進室委員 は、次年度からのモデル選択科目の創出過程にも表現 されている。モデル選択科目には、新規科目が少なく、 松 下 行 則 多くの科目が既存科目の改編によって設定された。こ のことは、 「ふくしま未来学」に意義を感じていたとし ても、新規科目を開設できるほどの客観的条件がない に実際に関わり、地域の課題を捉え、地域と関わる自 ことを意味していよう。そうであるならば、この点の 己課題を獲得する可能性を示した取り組みとして特質 改善なしには、壮大なこの教育事業は成功しないだろう。 に値すると思われる。それは多くの関係者の努力のた 今後、簡単ではないが福島大学全体の既存の科目数 まものだろうし、 「ふくしま未来学」のコア選択科目と を精選し、新規科目を開けるような教育体制の見直し して大きな価値があると思われる。しかし受講者数が と連動させることが必要だろう。と同時に、学生が地 少人数にとどまっており、ふくしま未来学において学 域に軸足を置く実践的取り組みが、従来の授業の延長 生の能動的な学習(アクティブ・ラーニング)を推進 線上で構成されるのではなく、「実践と理論との往還」 する観点から言うと、いまだ不十分だと言ってよいだ を学生自身が自己課題にできるように編成していく必 ろう。 要があろう。 広報の問題もあるが、根本的には大学全体のカリキュ が抱える課題、さらにこれらの課題を遂行する主体形 ふくしま未来学推進室委員 成まで幅広いテーマを取り扱っている。 しかしながら、1年生が履修できるこれらの科目は、 藤 原 一 哉 要卒単位を目標とするのであれば、「ふくしま未来学」 (経済経営学類 教授) の履修基準であるコア科目4単位修得は、一部の学生 「ふくしま未来学」における教育は、2011年の大震災 に留まり、4年間で「コア科目4単位履修学生の割合 と原発事故以降に本学で展開されてきた地域再生と復 70%」というCOC事業全体の目標の達成はおぼつかな 興を担う人材作りの実績を生かしながら今年度から開 い。 始された。 今後の課題としては、これらのコア科目を体系的に 今年度は初年度として主に総合科目、学群共通科目、 履修する事が、 「ふくしま未来学」の科目修了に繋がる 共通教育科目の中でコア科目として開講された。これ という明確な動機づけを学生にさせることである。 らのコア科目の担当者の多くが、地域志向教育研究経 その為には、教員の側が「ふくしま未来学」にふさ 費を使用し、 「ふくしま未来学」科目としてその内容を わしい内容にさらに改善するとともに、学生にもシラ 充実させている。つまり、様々なコア科目群は、地域 バスの工夫などでアピールし、また来年度から開始さ が置かれた現状の理解とこの現状を打開する為に地域 れるモデル選択科目の充実を図る必要がある。 ― 27 ― 教育FD 実施報告/︻小括︼教育事業の課題と今後 今年度から始まった「むらの大学」は、学生が地域 成果報告/教育 (人間発達文化学類 教授) ― 28 ― 成果報告/研究 地域志向教育研究経費 成果報告 地域志向教育研究経費 採択一覧 地域志向教育研究経費研究 成果報告 【小括】研究事業の課題と今後 ― 29 ― 地域志向教育研究経費 実施報告 平成26年度 地域志向教育研究経費 成果報告 地域志向教育研究経費審査委員会 「地域志向教育研究経費」概要 教員の地域を志向した教育・研究等を推進するた 採択においては、平成26年度地域志向教育研究経費 めに昨年度同様「地域志向教育研究経費」として、 採択審査会(ふくしま未来学推進室委員+各学類長) 12,000千円を計上し、公募のうえ、応募があった全教 を実施し、地域志向教育研究経費申請書をもとに、以 員の研究(29申請)が採択された。昨年度に引き続き 下の審査項目で5段階評価を行った(【5】については、 2回目の公募ということもあり、地域志向教育研究経 2択で評価)。 費について教員への関心は高かった。 【1】事業の適格性があるか 【2】「ふくしま未来学」の科目として実現性がある かどうか 募集区分及び対象 【3】地域志向性があるか 本年度の地域志向教育研究経費については、以下の 【4】経費の適格性があるか 4分野を設定した。今年度から、昨年度の「地域スター 【5】重複の申請の可否 トアップ経費」を改め、学生が主体的に活動を行う研 可能な限り多くの教員が地域志向性を高める教育・ 究を目的として、 「地域協働推進費」を設置した。 研究ができるようにすることをねらいとし、(2)地域 協働推進費(プロジェクト)に関しては申請枠に対し (1) 地域協働推進費(地域開放型科目担当者) 4プロジェクト多く採択し、予算を分配するかたちで、 300千円×5名 応募があった件数すべてを採択することとした。 地域を志向した授業科目の実績がある教員(開 採択後の義務として、経費予算及び成果報告書の提 講予定を含む)が対象で、 「ふくしま未来学」の 出する他、今年度より計画的に経費を執行するために 科目を担当できる教員。 各教員に四半期ごとの「執行計画書」を提出すること (2) 地域協働推進費(プロジェクト) を加えた。事務局としても執行等に遅れがある教員等 1,000千円×5プロジェクト に関しては注意喚起メール送るなどして対応を行った。 複数の教員による、教育・研究・社会貢献の いずれかにおける地方自治体等との連携した取 地域志向教育研究経費 成果報告会 り組みが対象で、その成果として「ふくしま未 来学」の科目開設を目指す教員。 日時:平成26年3月20日(金)9:30∼12:10 (3) 地域調査支援費 300千円×15名程度 場所:福島大学 M−21教室 地域志向の研究活動を行う教員が対象で、将 平成26年度の地域志向教育研究経費の成果を学内に 来的に「ふくしま未来学」の科目の開設、開放 周知するとともに、教員が取り組む教育と研究を結び 科目または公開講座の開設を目指す教員。 つけた「ふくしま未来学」の展開について参加者と考 (4) 地域振興推進費 200千円×5名程度 える場として成果報告会を開催した。採択をされた29 本学学生が自主的・主体的に行う地域活動が 名のうち5名の教員に事例報告をいただき、多様化す 対象で、当該地域活動を指導し地域振興を推進 る地域のニーズを反映しながら、成果をいかに学生の する教員。 能動的活動に活かしていくかを議論した。 ― 30 ― 平成26年度 地域志向教育研究経費 採択一覧 (1) 地域協働推進費(地域開放型科目担当者) № 取り組みの名称・科目など 所 属 氏 名 1 地域における豊かな生活を目指すライフプラン ニング(現在の「証券市場論」を活用する) 経済経営学類 西川 和明 300,000 2 新規開講「復興教育学」 人間発達文化学類 将来計画検討委員会 中村 恵子 300,000 3 地域交通まちづくり政策論 経済経営学類 吉田 樹 250,000 850,000 小 計 (2) 地域協働推進費(プロジェクト) 取り組みの名称・科目など 所 属 氏 名 配分金額(円) 特別支援学校における防災教育 人間発達文化学類 髙橋 純一 他 780,000 2 農業体験学習(地域生活文化クラス基礎演習 既存科目) 人間発達文化学類 小島 彰 他 762,000 3 地域条件に応じた農とくらしの再生プラン策定 支援プロジェクト 経済経営学類 小山 良太 他 600,000 4 会津地方を拠点にした伝統文化の伝承と活性化 ∼稲作を中心に∼( 「芸術企画演習」既存科目。 人間発達文化学類 その他新規開設可) 渡邊 晃一 他 600,000 藤本 典嗣 他 780,000 5 「交流人口の拡大と福島の復興(開設予定科目)」 共生システム理工学類 「地域産業政策(既存科目) 」 6 地域農業および食品産業の将来を担う若者育成 事業 共生システム理工学類 小沢 喜仁 他 776,000 7 福島原発周辺地域の歴史文化遺産の保全と継承 行政政策学類 徳竹 剛 他 780,000 8 福島の子ども外遊び支援プロジェクト「コドモ イナ GO」 (開設予定科目:ソーシャルビジネ ス調査実習) 経済経営学類 遠藤 明子 他 780,000 「むらの大学」 「原子力災害と地域」(既存科目) 行政政策学類 「専門演習」 丹波 史紀 他 749,800 9 6,607,800 小 計 (3) 地域調査支援費 № 取り組みの名称・科目など 所 属 1 自然エネルギーの地産地消とソーシャル・ビジ ネスに関する日米調査─市民参加型グリーン経 済への試み─ 経済経営学類 後藤 康夫 300,000 2 Fukushima Workshop: Fukushima and Recovery from March 11 Disaster: Global Dimension 経済経営学類 吉高神 明 300,000 3 放射性物質の化学的性質の測定・安全性の確保 共生システム理工学類 金澤 等 300,000 4 福島県におけるケーブルテレビ普及と地域メ ディアの課題 経済経営学類 佐藤 英司 300,000 「ふくしまの復興・未来に活かすグローバルな 視点─開発途上国と福島で共に考える復興と開 5 発─」(フィールドワークおよびイベントの開 催)(既存科目 「開発経済学」「経済政策」 経済経営学類 佐野 孝治 300,000 ― 31 ― 氏 名 配分金額(円) 地域志向教育研究経費 成果報告/地域志向教育研究経費 採択一覧 1 成果報告/研究 № 配分金額(円) 6 国見町集落活性化調査プロジェクト 行政政策学類 岩崎 由美子 299,000 7 原発事故と在往外国人支援調査(既存科目 現 代文化論 2014 後期科目) 行政政策学類 坂本 恵 300,000 8 水循環と地域社会に関わるリスク定量化に関す る教育展開(適用を目指す既存科目:流域水循 環システム調査実習) 共生システム理工学類 川越 清樹 300,000 9 地域協働型産業の創出実践に係る地域社会─行 政間関係に関する調査研究 行政政策学類 西田 奈保子 300,000 10 放射線量低減のための法的手段としての間接強 制の弾力的活用(科目名 演習Ⅲ、Ⅳ) 行政政策学類 金 炳学 300,000 11 地方自治体の原子力・放射線教材に関する調査 と新たな教材の開発 共生システム理工学類 後藤 忍 300,000 12 電力会社の会計をかんがえる 経済経営学類 平野 智久 300,000 3,599,000 小 計 (4) 地域振興推進費 № 取り組みの名称・科目など 1 大学生とともに考える地域の子育て環境:川俣 町での「子育てサロン」活動を通して 2 所 属 「グローバル化の中の地域づくり─福島市松川 町からの挑戦─」 (平成 26 年度教養演習) 氏 名 配分金額(円) 行政政策学類 西 伸子 200,000 行政政策学類 塩谷 弘康 195,000 3 会津地方の稲作文化の絵本の製作 人間発達文化学類 天形 健 153,000 4 海外から県内自治体に届いた文化芸術的な被災 見舞い品に関するプロジェクト∼調査・データ ベース作成・民間交流モデルの構築∼ 行政政策学類 辻 みどり 204,000 5 金上地区活性化プロジェクト 行政政策学類 千葉 悦子 191,200 小 計 ◎学類別結果(平成26年度合計) 学 類 件 数 金額(円) 人間発達文化学類 5 2,595,000 行政政策学類 10 3,519,000 経済経営学類 9 3,430,000 共生システム理工学類 5 2,456,000 29 12,000,000 合 計 ― 32 ― 943,200 地域志向教育研究経費 成果報告(1) とりもどそう、若者の力で福島の農業を ―農業体験学習― 牛に触ることすら躊躇する子ども達へのサポート、ア 教 員 名:人間発達文化学類 教授 小島 彰 テンダントの役割を担った。 うつくしまふくしま未来支援センター 小松 知未 <若者による川内村農業体験・イベント支援> 今夏∼冬にかけて本学学生が川内村に訪れ、下記の 対象地域:福島市松川町水原、川内村 内容をボランティアの方々とともに実施した。 ①川内村遠藤村長の講義受講、村内の企業の植物工 場KiMiDoRi見学、コドモエナジー、放射性廃棄物仮 課 題 置き場の視察。②「イワナの郷」の見学、田んぼ稲刈 り作業。③蕎麦フェスタイベントの支援。参加者の人 産は厳しい環境におかれている。飯舘村からの酪農避 数確認、誘導・案内、体育館内での高齢者の座席への 難者は福島市のミネロファームで酪農を継続している。 誘導。⑤商工会井出会長の講義受講。 ミネロファームにとっては酪農と乳製品の安全性のP Rが課題で、小学校生活科教育では牛とのふれあいを 通して生き物の生命への気づきと親しみが課題である。 また、川内村では徐々に避難者が帰村し始めている中 で、そのための様々な支援、イベント支援、そして農 業復興が大きな課題である。 実施内容 <御山小学校・福島大学連携によるミネロファーム酪 農体験> 農業の復興、飯舘村から避難した酪農家の支援も含 めて、福島市御山小学校と福島大学学生との連携によ る事業を行った。小学校の「いきものとなかよし」の 学習のなかで、本学の小学校教員を志望する学生が、 取り組みの成果 ミネロファーム酪農体験では、被災地からの避難者 らの酪農支援、小学校生活科の教育支援、そして、大 学生による児童のサポートと交流という三者にとって 意義あるものだった。田んぼの稲刈りでは学生にとっ ― 33 ― 地域志向教育研究経費 採択一覧/地域志向教育研究経費 成果報告 東京電力原子力発電所20∼30㎞圏内は農業および畜 成果報告/研究 実践教育推進センター 河津 賢澄 ては作業中の交流や稲刈りの大変さを理解することが 支援ばかりでなく、村の中で実際に暮らしている人々 できた。 へのきめ細か支援が大切であることを痛感した。 そして、最初の遠藤村長及び井出商工会長の講義に 具体的には、ファミリーマートによる商業施設のデ より、村の復興のためには過疎地特有の課題―医療・ ザインや高齢者でもより使いやすい施設への工夫、ま 介護・スーパーなど―が震災・原発事故により焦眉の た、商工会が管轄する「かわうちの湯」や「イワナの郷」 課題であることを知りえた。 のイワナ養殖・加工事業の展開、村直営の塾経営など の様々な課題がある。 同時に、川内村支援を掲げている長崎大学はじめ、 今後の展開 多くのボランテイア団体・個人との連携も今後強める 福島の復興を考えるとき、原子力発電所から20∼30 必要があることを確認した。 ㎞にある南相馬市と川内村が焦点である。帰村してい 大学として何ができるのか、さらに、学生への教育 る人々とまだそれを躊躇している人々がいる中で、医 目的もふまえたうえで検討し、次期に継続したいと考 療・介護・スーパーなど生活ラインを確保し、安心し える。 て暮らせるように支援することが肝要だ。今回の農業 地域志向教育研究経費 成果報告(2) 地域条件に応じた農とくらしの 再生プラン策定支援プロジェクト ― 住民が自らつくる復興プラン策定支援 ― 実施内容 教 員 名:経済経営学類 教 授 小山 良太 行政政策学類 准 教 授 丹波 史紀 対象地域は、特定避難勧奨地点に指定された世帯を 経済経営学類 特任教授 清水 修二 含む地区(伊達市霊山小国地区)を選定している。対 対象地域:伊達市霊山小国地区 象地域では、平成24年12月に設立した「小国地区復興 プラン提案委員会」が大学研究者のサポートにより復 興プラン策定に向けた協議を行った。本プロジェクト 課 題 では、全住民(約400世帯)を対象としたアンケート調 本プロジェクトは、原子力災害の被災地域において、 査結果を、委員(地域のリーダー)とともに解析した。 地域住民が主体となって「農とくらしの再生プラン」 また、その成果を住民間で共有するためのツール(冊 を策定するための学習・情報収集・情報共有をサポー トすることを目的としている。また、 「農とくらしの再 生プラン」策定に至るまでのプロセスを整理し、その 手法・成果を他地域へと波及させるための研究を行っ ている。問題解決型の研究成果を取りまとめ、地域単 位での復興ビジョン・復興計画策定とそれに向けた学 習体制を提案することが課題である。 ― 34 ― 子)を作成するとともに、委員会と住民との懇談会実 報収集・情報共有のサポートを実践する中から得られ 施への指導を行った。 た知見を整理し、地域単位での復興ビジョン・復興計 た。 取り組みの成果 大学と地域のリーダーが連携し、①住民意向の収集、 今後の展開 ②意向・要望の分析・取りまとめ、③結果の地域住民 平成27年3月末には、小国地区復興プラン提案委員 た。 会『小国地区復興についての住民要望書(最終提言) 』 本プロジェクトにより、プラン策定に全住民が関わ の取りまとめが完了する予定である。次年度以降も、 り(アンケート・説明会等) 、実効性の高いプランを 策定したプランを土台とした復興に向けた取り組みへ 策定することができた。 「農とくらしの再生プラン」は、 のサポートを継続する。 小国地区復興プラン提案委員会『小国地区復興につい 地域住民が主体となった学習・情報収集・情報共有 ての住民要望書(中間) 』 (2014年10月23日)として、 に関するサポートと合わせて、地域住民・大学・行政・ 伊達市に提出されている。 関係機関との、より効果的な連携体制のあり方を検討 また、住民主体の再生プラン策定に関わる学習・情 することに重点をおく計画である。 地域志向教育研究経費 成果報告(3) 書をもって地域に出かけよう ― 松川町を学びのフィールドに ― (平成26年度教養演習) 流があったとは言えず、互いに「近くて遠い存在」だっ 教 員 名:行政政策学類 教授 塩谷 弘康 た。しかし、少子高齢化が進み、松川町からは、大学 対象地域:福島市松川町 生に地域づくりに係わって欲しいという要望が出され ている。一方、大学では、座学により知識を得るだけ ではなく、学生が地域社会に出かけて、課題の発見か 課 題 ら解決までを探る実践的な学びの展開が求められてい 福島大学が金谷川キャンパスに移転してから30年以 る。 上が経過したが、大学と地元松川町との間に活発な交 ― 35 ― 地域志向教育研究経費 成果報告 との共有、④関係機関への提言を行うまでの実践を行っ 成果報告/研究 画策定とそれに向けた学習体制のあり方を取りまとめ 福島市役所松川支所職員と郷土史家から、松川町の概 実施内容 要・歴史を学んだうえで、松川、金谷川、水原、下川崎 前期は、テキスト(森岡清志編『地域の社会学』 ) の4地区に分かれて、キーパーソンから聞き取りを行 を輪読して、地域社会の諸課題を学びながら、大学隣 い、 「福島市こでらんに博」の一環として実施された「ぶ 接遊休農地復活・再生事業(通称Uプロジェクト)を らぶらめぐり」に参加した。そして、1年間の活動の 通して、金谷川地区住民との交流を深めた。後期は、 集大成として、松川町と福島大学を紹介するリーフレッ トを作成した。 取り組みの成果 リーフレットは5千部印刷して、2015年度の新入生 (全学類)と松川町全世帯に配布する予定である。新 入生には、松川町の魅力を知って積極的に地域に飛び 込んでもらい、松川町の住民には、大学や学生の様子 を知って身近に感じてもらうことを意図している。 また、今回の取り組みを契機として、松川町観光協 会の広報紙「よってがっせ松川」 (年2回発行)の第 2号(2014年秋号)と第3号(2015年春号)に、学生 による観光協会会員の取材記事が掲載され、第3号以 降、福大生が担当するコーナーが常設される予定であ る。このようにして、少しずつ、大学・学生と松川町 とを結ぶパイプが太くなっていることが、成果と言え るのではないだろうか。 今後の展開 今回の取り組みは、教養演習で実施したため、ゼミ 活動としては終了するが、受講生には、一人ひとりが 課題意識をもって、松川町と継続的に関わり、全学の 自己学習プログラムや学類の学生企画科目などの形で 学びを深めていって欲しいと願っている。 また、今後、地域社会との連携・協働を進めるうえ では、イベントへの参加や手伝いだけに終わることの ないよう、住民とともに、地域の魅力を探り、課題の 解決を議論していくような場を設定することが重要で あると考えている。 ― 36 ― 【小括】研究事業の課題と今後 が求められる。併せて、各モデル選択科目群の体系的 ふくしま未来学推進室委員 な整備を図るためには、地域志向的研究に新たに取り 組む教員を増やし、科目の広がりを追求することが必 岩 崎 由美子 要となろう。 (行政政策学類 教授) なお、現状では、研究経費の提供という金銭的支援 育研究経費については、今年度は29件の研究計画が採 ための情報提供や、教員の多忙化が進む中での人的ネッ 択された。多様化する地域ニーズを反映しその研究目 トワークの活用によるサポート体制づくりも求められ 的は多岐にわたり、また学生の能動的学習が意図され る。例えば、アクティブ・ラーニングの具体的な手法 た内容となっており、 「ふくしま未来学」研究事業とし に関する情報提供や講師派遣、共通課題を抱える教員 てふさわしい研究が進められている。実際に、今年度 間で情報収集や意見交換を行えるしくみづくり、福島 より始まった「ふくしま未来学」のコア科目担当者の の復興や地域再生に取り組む学外の主体(企業・団体・ 多くは、この地域志向教育研究経費を活用しており、 NPO等)のデータベース化により、教員と多様な人 また、平成27年度より開講されるモデル選択科目につ 材とをつなぐプラットフォームの構築等が挙げられる。 いても当該経費の採択を受けた教員が中心となってい こうした幅広い支援体制を整えることで、地域志向研 ることから、本経費の活用により「ふくしま未来学」 究の拡大展開を今後も図っていく必要がある。 科目の量的かつ質的充実を確実なものにしていくこと ― 37 ― 地域志向教育研究経費 成果報告/︻小括︼研究事業の課題と今後 のみであるが、今後は地域志向研究をより深化させる 成果報告/研究 「ふくしま未来学」研究事業の柱である地域志向教 ― 38 ― 成果報告/社会貢献 シンポジウム 実施報告 学生の自主的なボランティア活動 【小括】社会貢献事業の課題と今後 ― 39 ― 社会貢献① 平成26年度シンポジウム 実施報告 地域における学校現場と大学の連携に よる人づくりの可能性 日 時:平成27年1月22日(木)13:00∼16:00 場 所:福島大学経済学類棟 2階 大会議室 主 催:福島大学 後 援:福島県、福島県教育委員会、福島市、福島市教育委員会、伊達市、伊達市教育委員会、南相馬市、 南相馬市教育委員会、双葉地方町村会、福島県双葉地区教育長会 参加者:168名 東日本大震災復興支援財団専務理事 開催目的 荒井 優 氏 「ふくしま未来学」では、双葉郡をはじめとした被災 内閣府参事官 井上 博雄 氏 自治体と連携した地域循環型人材育成をすすめていま 富岡町・保護者 遠藤 絹子 氏 す。そのためには、高等教育機関である大学と初等中 福島大学人間発達学類教授 中村 恵子 氏 等教育の学校との連携をいかに図るかを考えることが コーディネーター 福島大学人間発達学類教授 中田スウラ 氏 必要である。大学と双葉郡をはじめとする学校現場が 連携し、地域で一貫した人づくりのあり方について議 論することを目的とし、シンポジウムを実施した。 成 果 海士町長の講演では、かつて若者の島外流出が進ん 開催概要 でいた海士町を、人口増加に至るまで立て直していっ たプロセスについてお話しいただいた。海士町唯一の 主催者あいさつ 福島大学ふくしま未来学推進室室長 高校である、島前高校の取り組みにもふれ、生徒の減 (副学長・教育担当) 神子 博昭 少が進んでいた高校が、今では「島留学」として全国 から生徒が集まってきていること、魅力あふれる人づ 来賓あいさつ 福島県教育委員会 教育次長 菅野 誠 様 くりこそ、魅力ある地域づくりに繋がる、島の未来に つながったことを力強くお話された。このことは、今 「ふくしま未来学」概要説明 福島大学ふくしま未来学推進室 実施責任者 後の双葉郡における教育、来年度開校するふたば未来 (行政政策学類准教授) 丹波 史紀 学園等の教育機関と本学の連携、地域循環型人材育成 のしくみづくりに大いに参考になった。 記念講演 離島からの挑戦 パネルディスカッションでは、5名の立場の違うパ ∼島まるごと未来をつくる学校∼ ネリストが情報提供をし、地域における学校現場と大 島根県隠岐郡海士町長 山内 道雄 氏 学の連携による人づくりの可能性について議論を行っ た。5名ともに現場での話が中心であり、色々な立場 パネルディスカッション の人たちが、協力・連携することが人づくり、さらには、 福島における学校現場と大学の連携 双葉郡をはじめとした福島県の復興につながると実感 パネリスト 大熊町教育委員会教育長 武内 敏英 氏 でき、地域における大学の役割も明確になった。 ― 40 ― 感 想 課 題 ・こうしたシンポジウムの開催をすること自体が大変 記念講演・パネルディスカッションともに、非常に 内容が濃く、実りあるものだった。シンポジウムを開 有意義であり、福島大学の取り組みを高く評価する。 ・海士町の取り組みに大変興味があったので、実際に 催したことで、連携自治体の関係者ならびに、教育関 係者、復興関係者等の参加により、新しいつながりも お話が聞けてよかった。 ・パネルディスカッションではそれぞれの立場、現場 でき、課題もあったが、たくさんの成果を得られたシ ンポジウムとなった。しかし、予想以上に来場者が多 での「生の声」を聞くことが出来た。 ・大学という機関が、地域における重要な役割になっ く資料が不足し、さらには立ち見も出てしまう盛況ぶ ていることを再認識した。 りであった。来年度は会場設定を考慮する必要がある。 要 望 ・時 間 が 少 な か っ た。 参 加 者 の 発 言の 機 会 を も っ 今後の展開 ともった方が良い。 「ふくしま未来学」では、地域に貢献する大学という ・ふくしま未来学がどのような活動をして、今後どの ことを大きな目標に掲げている。そこで今年度は、学 ような方向テーマをもって、このシンポを活かして 校現場と大学の連携および人づくりを考えるシンポジ いくか聞けたら良いかなと思った。 ・パネルディスカッションにおいて全体での講義の時 初等・中等教育機関との連携事業を進める第一歩とし 間がほしかった。それぞれの意見や発言に重みがあっ た。来年度以降も、地域に貢献する大学ということを た。 念頭におきテーマを絞り、主催者、参加者ともに利益 ・今年開校する、中高一貫校を卒業してからのフォロー をしっかり考えてほしい。 のあるシンポジウムを実施することを考えている。 学校現場と大学の連携や、人づくりに関して、 アンケート結果(一部抜粋) ・大学、教員がひらく、地域に降りていく必要性を、 自分を含め再認識した。 問:今回の「ふくしま未来学」(COC)のシンポジウ ・COC事業の補助が終わった後に、どのように継続 ムに参加した感想をお聞かせください。 していくのかを担保しておくことが必要だと思う。 人数(人) 割 合 大変よかった 16 44% ・いろんな事例・研究結果により、こうすればこうな よかった 18 50% るだろうというシナリオがあれば、現場は選択する 普通 1 3% あまりよくなかった 0 − よくなかった 0 − 無回答 1 3% 計 ことが出来ると思う。人づくりについては、学生の 持つ 力 に期待している。 ・行政機関では人手不足なところがある。(職員減、 財政改革等)大学から各行政機関のトップと、地域 における課題、解決策を取り組んでいくしくみが必要。 36 ― 41 ― シンポジウム 実施報告 大学が果たす役割について アンケート回答者36名(回答率21%) 項 目 成果報告/社会貢献 ウムを実施し、地域循環型人材育成プログラムの展開、 ― 42 ― 成果報告/社会貢献 シンポジウム 実施報告 ― 43 ― 記念講演 離島からの挑戦 ∼ 島まるごと未来をつくる学校 ∼ 島根県隠岐郡海士町長 山 内 道 雄氏 東日本大震災、特に福島県の場合は原 発災害の中で、昨年の1月に教育長さん に来ていただき、また昨年12月25日に双 葉郡の校長先生をしておられた教育長さ ん、そして高校生1名と中学生7名が「ふ たば未来学園」に備えて海士町にみえら れました。何の罪もないこの子たちが、 あえて「ふたば未来学園高等学校」を目 指しています。今日もこうして首長さん が来ておられますが、福島県というのは 教育の先進県だと思っています。改めて、 一日も早い復旧を私どもも祈っています。 いろいろ条件は違いますが、そのような 中で私たちは、やはり最後は地方が頑張るしかないの ていた。しかし、自分たちの島は自分たちの町なのだ です。国が直接やってくれるわけではなくて、制度は から。自分たちでやるしかないのだと。制度はつくっ 確かに国の交付金とかがないとやっていけませんが、 てくれても国が直接手を加えることはないと、そんな しかし、いくらどんな制度をつくっても、やっていく 思いでやっています。 のは地方だということです。そういう面では、お互い そういう中で、あの三位一体改革の要請が突然来て、 に気持ちを合わせながらやっていかざるを得ないと思っ その戦術が「海士町自立促進プラン」という、2つの ております。 戦略、守りと攻め。守りはどこもやりました。いわゆ 実は、私どもは平成の大合併はしておりません。海 る行財政改革です。ただ、私が思ったのは、まさに赤 士町、西ノ島町、知夫村があり、小さいながらも個性 字再建団体が予想される中で住民サービスをダウンせ や特徴があります。私の島は半農半漁、そして隣の島 ざるを得ない、私自身が身を削らない改革は認められ は漁業中心で、隣の島は農業という中で、島の個性・ ないだろうと自分の給与カットを経営会議で話したと 特性が合併すると活かされないということから合併は ころ、あくる日、総務課長がやってきて、 「僕たちもつ しませんでした。合併しない宣言はよかったのですが、 いてかせてください」と言ったのに私は泣いてしまい 基本的には、私がやらないのではなくて、住民の皆さ ました。そして、平成16年の4月から、管理職と私と んが、自分たちの島は自分たちで守るしかない、自主 三役がやり、職員も10月からみんな一緒にやりました。 独立でやろうというのが最終的な思いでした。 ところが、世の中は平成17年をまさに迎えようとし 私自身も、ここらあたりで、今までの海士町ではい ていますが、変わりません。このままだったらやっぱ けない、やはり流れを変えないと。シミュレーション りだめだなということで、私が給料を50%カット、そ では、海士町は赤字再建団体になる。なぜなら、公共 れから私は6年間やりましたが、今は議会に30%で抑 事業しかなかったのです。公共事業で生きてきた、生 えられています。そして係長・課長が給料30%を段階 かされた島なのです。国からの借金は、私が就任した 的にやっていましたが、職員の皆さんは、昨年の3月 ときには101億5,000万。私は議会を2期途中までやり で終わりました。ところが管理職の皆さんは、町長が ましたが、貯金が10億あったのが4億6,000万まで減っ やっている以上、俺たちもやるということで、今、 5% ― 44 ― に2億で出てきたのです。その中で、職員からの申し ますが、彼らが何かを期待している。今のIターンの 出で、全部それを見えない形で使うのではなくて、もっ 特徴といえば、いわゆる有名大学出でキャリアを持っ と子育てができやすい環境をという要望が出て、子育 て、一流企業に勤めていた若者が流れてきたのです。 て支援条例をつくりました。例えば、3人目50万円、 不思議と、町が寄せる前に集まってきたのです。 4人目100万の出産祝い金をやっていますが、既に100 平成16年から、40歳代以下のIターン者が437人、 万を渡した島民がいます。いずれにしても、あとの残 295世帯が来ています。1年契約の研修生がいるため、 りを公共事業、いわゆる島づくりに使ってくださいと 定着率は60%を切っていますが、結果的に、204人の雇 いうことでした。 用を生みました。起業しているのが7人で7企業、あ 結果的に、職員には迷惑をかけましたが、何がよかっ るいは加工グループがいくつかできました。それから、 たか。住民の意識が変わりましたね。ただ、私は、本 繁殖牛を飼う人も来ているし、一本釣り漁師が2人ぐ 当のことを言うことが大事だなと思っています。でき らい来ています。そのようなことから、人口はまだ微 ないことはできないと。なんだかんだいっても、会社 増ですが、島根県で唯一増えだしています。 もそうですが、 トップが変われば職員は変わりますし、 そういう中で、海士町にいなかった40代以下の彼ら 職員が変われば役場が変わると思っています。役場が が、今、新しい海士町の風と力になっています。彼ら 変われば住民が変わり、住民が変わるということは、 は仕事がなくなったから、つぶれたから来たのではな やっぱり地域が変わるということです。 く、ほとんどが攻めに来ている。逃げてきたのではや また、みんなで危機意識を共有できたのがよかった。 はり務まらないと思います。志をみんな持っている。 それにより危機を脱出して、今は借金も3分の1を返 攻めに来ている。彼らの志を聞いていると本当に泣か して約70億になり、基金も10億になりました。 されますね。そういう面では、彼らは島で本気でこの もう一方で、攻めは産業興しです。外から、本土か ために頑張ろうという思いを持っています。確かに島 ら原材料を持ってきても、これは収支が合わない。私 ですから閉鎖的で、親戚優先のところです。そんな中 のところは「地産地商課」という課がある。地産地消 でも、やっぱり地域は異質なものを取り入れたことに の「しょう」は「商い」になっています。品物を初めか よって私は多様性を持つことができたと、それで変化 ら首都圏に持っていく。なぜ近場で売らないか。やは して成長したと今は思っています。 り、近場な人にはその良さがわからないのです。昨秋 そういう中で、実はこの定住対策は1つもありませ の臨時国会で総理が申されましたが、「さざえカレー」 ん。ただ、来た人には家は完全に斡旋をしようと。今 はカレーショップでほっといても2万、3万で売れま 年度末でリニューアルしたのが51軒。約600万から800 す。やはり首都圏で認められればブランドになる。ひ 万かかり、それを10年借りて、家賃で償還する形です。 とつには、島はやっぱり海からとれたもの。シロイカ おおよそ1万5,000円から2万5,000円が最高です。 と養殖のいわがきをメーンにしています。おかげで、 また、若いお母さんが子育てをしやすい環境にする これで5期連続黒になりました。今は、いわがきは築 ための「子育て支援条例」があります。保育園は1つ 地でブランドになりました。 しかありませんが、60人定員が、一昨年に80人定員に そしてもうひとつ、潮風ファームという会社が隠岐 しましたが、今年は待機児童が出るということで、新 の牛を肉用牛に育てて、これも東京に持っていってい ます。昨年の11月に品川で開催された島根県の肉用牛 の共励会で、私どもの牛がチャンピオンになった。今 は少し安いですが、3,407円。店で売っているものと比 べると6倍のいい値がしていることから牛を飼う人が 増えてきたこと。また、塩をつくることによって漁師 の奥さん方がものをつくって自分たちで売るようにな りました。 さらに、中学校と大学との連携で、出前授業として 学生を海士町につれて来る取り組みを行い、学生が島 に来るようになった。彼らが卒業してから、やっぱり ― 45 ― シンポジウム 実施報告 海士町には宝物が眠っている。宝なんかないよと言い 成果報告/社会貢献 です。平成17年には、早期退職も出るなどして結果的 思えばなんぼでもできます。東京と大阪でも説明会を やっていますから百何人ぐらい来ているので、私は東 大に入るより難しいと言っていますが、県外は24人し かとっていません。県内で、受ける者は拒むことはで きませんので。いずれにしても、高校そのものの維持 は達成された。ただ、これからの新魅力化構想を昨年、 知事にいろいろ提言をしたところ、そのことが県内の 中山間地域の高校にも影響を与えまして、3年間で1,500 万を県も出してくれました。その他の本土の高校でも 県外からとってもいいというような枠が広がったみた いです。今、どこの中山間地域も、島前高校でなくて 年度に増築する話が出ています。 も大変な中で一つの先鞭をつけたかなと思います。塾 これまで財政はどこも厳しいですが、 「金がない、例 の中にはミニ松下村塾をつくったり、今年も慶応に1 がない、制度がない、だからできない」というのは行 人、早稲田に行った生徒もいたりします。 政の逃げです。私は、それは絶対に言いません。金が これから島前高校に求められるのは、仕事がないか なかったら省庁に行けということで、私でなくても、 ら帰れないのではなくて、仕事をつくるために帰るよ 課長の皆さんは各省庁に出向いています。やっぱり彼 うな、そういう子どもたちを育てていかねばならない。 らを見ていると、制度ではない。これはケアといいま 今は必ず飲んだら、最後に、管理職もお客さんも含め すか、平素の付き合い。声かけが大事。お金で留める て「ふるさと」を歌います。 「ふるさと」の3番、 「志を ことはできません。彼らは志が高いということ。この 果たしていつの日にか帰らん」を、今は「志を果たしに」 島のためにと。来ていただいた方は彼らと話せばわか と替え歌でやっています。 ると思いますが、本気なのですね。そこが私は本当に 今、松江の高校に出すと、だいたい420∼430万かか 彼らに脱帽ですね。 ります。3人いたら1,200万かかる。島の親父の給料じゃ 平成19年に「人づくり元年」を宣言して、私自身気 とても大学を出すことができませんので、15歳の子ど がついたのは、ものづくりから始まった島づくりです もが出るだけでなくて、両親も、お母さんも出ていく。 が、島づくりをやるというのはやはり人づくりだ、教 おやじも働くし、お母さんもパートタイマーかなにか 育だということです。それにやっぱり金をかける。確 で働く。そうすると、子どもが出るだけではなく、親 かに即効性もないし、見てもすぐには表れるものでも もついて出る。これは、30代、40代のお母さんも一緒 ないのですが、今、福島で取り組んでおられる「ふた に出ることになったら大変なことで、島前高校がなく ば未来学園」など必ずやあの子どもたちは何かを感じ、 なるというより島がなくなるということに私どもは気 また、必ずや福島に帰ってくると思っています。 づいたのです。ですから、必死に金を、初めはずっと 島前高校は、ふと気がついたときには3学年で80名 6,000万ぐらいをつっこんでいました。でも、それが今、 を切っていました。これは大変だと。絶対数が確かに 生きて形になっています。島前高校は地域創造コース 足りません。今の中学3年生が3つの中学校で40人い と特別進学コースがありますが、島まるごと未来の学 ません。その中で今まで、各学校優秀な5人ぐらいみ 校、 「島が学校」だと。そして、地域に学び、地域で支え、 んな町に出ます。それは島前高校に行ってもいい大学 地域に根ざす。以前、東京から来た子どもたちがこの に入れないと言われていたからです。 間あいさつに来ました。 「町長、許可をもらいました」 しかし、そうではありません。まず絶対数が足りな と。 「なんの」 。 「私は島根大学を受けて学校の先生になっ い地元の子どもたちを留めるにはどうするのか。単な て島根の教育に頑張ります」と。もう泣かせましたね。 る点数を上げるだけではなく、島に帰ってくるような こんなことを言い出したというのは本当にようやく形 教育をやらないと本物ではないと、 「島前高校の魅力化 が出てきたかなということです。 プロジェクト」を立ち上げ、町営の塾をやっています。 これまでは島前高校に子どもを集めるだけの高校か しかし結局、2クラスにならないことから、外から ら、これからは選ばれる高校、選ばれる島だという位 子どもたちを集める。とうとう今年度の1年生で全学 置づけで頑張ろうとしています。ですから、これは手 年が2クラスになりました。しかし、80人はとろうと を抜くことはできませんし、私はその陰には島の未来 ― 46 ― たし、また、地域に対する目の向け方が変わってき らも島前高校にますます力を入れて、それが島イコー たことが、一番私はよかった。ただ、父兄の皆さんは ル島前高校、島前高校イコール島だと。やっぱり地域 ちょっとまだ遅れております。子どもは変わった、あ に人がいなかったら意味はないし、その地域に残って とは親が変わる番だと私は思っています。 頑張っている者のレベルを上げないと、私は幸せ感と 実はまだまだ海士町は成功事例ではないのですが、 か幸福というのはないと思っています。ただ、子ども やっぱり、いろいろな面で、行政だけの責任でもない はすごく変わりました。子ども議会がありますけれど し、あるいは父兄の責任でもないし、学校の責任でも も、島全部に光ケーブルを引いたのも子ども議会の提 ないため、トータルで地域をつくっていくことを、も 案があったから私は早くしました。図書館もつくり、 う一回私は見直す時期が来ていると思います。その中 今変わりました。子どもたちが本をしっかり読んでい で、なんだかんだいっても、行政の私はトップですか ます。 ら、やはり決断と実行しかないと思っています。結果 ですから、教育に金をつぎ込むことが、これからの というのは、やってみなければわかりません。とかく 本当の意味での行政の仕事ではないかなと。高等学校 結果を恐れて何もしないのが一番悪いですから、私は でコーディネーターをしている岩本君いわく、 「教育の そういう面では、残されたのはあと3年ですが、そこ 魅力 島の活性化=持続可能な島」と彼は言っています。 に力を入れてやらなければならないと思っています。 私も全くそのとおり、同感だと思っています。グロー 確かにいろいろなことがありましたが、出る杭は打た カルに通じる魅力ある人づくりこそ、これからの魅力 れるけれども出過ぎた杭は打たれないというのが今よ ある地域づくりにつながる。グローカルな人材、グロー うやくわかってきました。町長がだめだからとすぐ言 バルな視野で地域の課題解決に向かうと言っています。 いますけれども、そうではないです。町長も人間です それがやはり、魅力ある地域づくりの核心になると思っ し、やっぱり、みんなが頑張るしかないなと思います。 ています。持続可能な未来をつくる学びの島として、 今回も、地域活性化モデルケースを全国で募集してい 【質 疑 応 答】 て、33の中にうちも選ばれています。その根幹が「持 (フ ロ ア) 中から生徒が集まる高校の魅力化や、あるいは海士町 2年ほど前に福島県建設業協同組合のリサーチで実 のモデルを広げる大学の設立、人づくりの大学づくり、 際に海士町に入りまして、いろいろな若者たちの思い 暮らし方、働き方の改革、循環型の6次産業の島、エ があって、また、彼らがどんどん下の世代につないで ネルギーの自給、海藻センターというものがあります。 いっている姿を見て、本当にいい流れができていると 世界一のド田舎モデルを海士町でつくろうと、内閣府 思いました。最初の取り組みのときにどのように情報 とやっているところです。 発信をしていったのでしょうか。今、地方でいろいろ ただ、私がちょっと気になるのは、人口減少の要因 な取り組みをやっているのですが、地域に行けば行く に、教育というものに対し目がいっていないというこ ほど決定的に情報発信力が欠けていて、あの小さな島 とです。これはほかの地域を見ていても、私が島根県 からどのように最初は情報発信を仕掛けていったのか、 内を見ても教育関係の項目がないのです。私は、教育 お聞かせいただければと思います。 が大事ではないかと。もう一つにはやはり本気度だと 思います。本気度がやっぱり最後はその地域を私は決 めるものだと思っています。その覚悟が大事ではない かと思います。人間力というのは「やる気×能力=人 間力」だと。それプラス「つながり力」。うちのIター ンの皆さんを見ていますと、あれだけの人脈を日本中 で持っているのはすごいですし、その「人間力+地域力」 が、うちでいえば「資源力」となるのかもしれません。 それが「持続可能な地域社会」になるということを言っ ています。 そして、非常に子どもたちの成績も上がってきまし ― 47 ― シンポジウム 実施報告 続可能な未来をつくる学びの島」をタイトルに、世界 成果報告/社会貢献 を築く子育ての島だという自負を持ちながら、これか また、賃金カットというのは、当時、副知事が「それ よくないよ」と言いました。自分がしたくないから。 それは決していいことではない。役場というのは「住 民サービス総合株式会社」だ。だから俺は今日から社 長だから、と言ったのです。そして、副町長は専務で、 管理職のみなさんは取締役だ。住民の皆さんというの は、これは税金を納めた株主であって、同時に住民サー ビスを受けるお客様だ、と。今までの行政が一番違っ ていたのは「上から目線」 。してやってやる。決裁権 のないものが、なんかやりましょうか、って簡単に言 いいよったものです。目線に「やらせていただく」姿 (山内町長) 勢がなかった。これは、私は営業マンから支店長になっ 仕掛けはしておりません。来ている若い若者の「つ た男ですから、そこが一番、議会のとき知っていたつ ながり力」があって、自然にマスメディアにつながっ もりでしたが、入ってみたらやっぱり違っていました。 ていった。向こうから来るものは拒まない。ですから だから、そこを変えないといけない。自分がなぜ町長 売ったというか、発信はしていない。人を集めるのに になったのかって、そこから始まったのです。そうい も来てくださいというのはやってない。ただ「シ」の う面では今非常に課長のみなさんに頑張っていただい つくもの、保健師とか看護師と保育士とかかはそうい ている。学歴じゃないです、 「志」です。 うものはネットで呼びかけます。 (フ ロ ア) (司 会) いろいろなメディア等で、海士町のことが出ていま 何もしなくてもその思いが伝わっていったというこ すが、ある種、我々外から見ていると、情報の出し方 とですね。トップが変わって役所が変わる、役所が変 を選択されている、もしくは受け入れるメディアをあ われば島が変わる、住民が変わるというお話がありま る程度選択されている感じがしますが、そのあたりの したが、まさに、その思いが住民に伝わり、その思い 戦略等はどのような形で行っているのか、お聞かせい をくんだ若者たちが自分たちの自主的な行動でどんど ただければと思います。 んつなげていったということになるのですか。 (山内町長) (山内町長) 戦略はございません。本当に来るものは拒まずです それはあります。課長のみなさんはいいのですが、 から。どのメディアにおいても場の提供は与えてあげ その下の主査が弱い。係長のほうがはまだいい。です ないといけない。それは誠意をもって対応しなさいと。 から、年功序列を完全に廃止しています。もういま3 選別なんて区別はしておりません。ただ、テレビ出た 年先の人事を考えておりますが、今、組織は変わらな からとか、マスコミに出たからとか、それだけではダ いといけません。 メだよと。必ず汗をかかないと。これまでの10年はよ (フ ロ ア) かったのです。私は旗をふってきたけど。これからの 賃金をずいぶんカットしたということですが、公共 10年をどう生きるか、これからが勝負です。 事業でどんどん道路や箱モノをつくる時代はとっくに 今度、私はオーストラリア大使館のディナーに行き 終わっているはずなのに、実際は同じ思考でそのパター ます。島前高校とオーストラリアとの交換留学をしま ンばかり繰り返すという、依然として正反対のことを しょうと飛び込んで行きました。そうしたら大使がえ されているところが多い中で、海士町ではそのカット らい喜んで海士に来てくれた。そういうことの中で、 はどうやって進められたのですか。 私は、テクニック、技術じゃなくて、やはりちゃんと (山内町長) 腹を据えてかかることが大事だと思っています。 まず、首長ではなく、住民が悪いのですよ。本当は、 間違ったことは謝る、それから素直さが大事だと思っ 首長さんは深い考えを持っています。住民の要求は依 ている。ごめんなさいね、と下がることも大事ですが 然として変わらないから行政もそうなる部分もたくさ 背伸びも大事。やっぱり「本気さ」が大事だと思って んあります。そこで、そこをどう断ち切るかは、首長 います。 の責任でもあります。 ― 48 ― パネルディスカッション 福島における学校現場と大学の連携 開いていくかといった場合には、その政 策行動を検証しながら、県民・住民の視 点から、その政策をどう鍛え上げていく かが問われます。 そのときに、人づくりという問題は根 幹の問題として再確認される必要がある だろうと思います。そうした人づくりの 問題に関しては、双葉郡の教育復興ビジョ ン等々で新しいチャレンジがされており、 場面でどう再構成していくのか。それは、 今の学歴競争社会の下ですと、高校受験、 大学受験等々で分担されていて、一貫し た人づくりというのはなかなか困難では 〈※敬称略〉 〈パネリスト〉 ないか、福島、双葉郡の未来を切り開い ていくときには、長期的展望、そして地 荒井 優(東日本大震災復興支援財団専務理事) 域の展望に足場を求めながら、一貫した 井上 博雄(内閣府参事官) 人づくりがなされていく必要があるので 遠藤 絹子(富岡町・保護者) はと考えます。 中村 恵子(福島大学人間発達文化学類教授) そうした課題意識に立って、福島の今 〈コーディネーター〉 後の学校教育をどのように構築していけ 中田スウラ (福島大学人間発達文化学類教授) ばいいのか。今、福島の学校はどうなっ ているのか、子どもたちはどう過ごして (中 田) いるのか。昨年末の調査では、福島県の避難者は12 パネルディスカッションのテーマは、 「福島における 万程度で、子どもはその2割程度と言われています。 学校現場と大学の連携」です。福島の東日本大震災以 2万4,000人前後の多くの子どもたちがまだ避難生活 降、人類が初めて直面している大きな課題、東日本大 をしていて、大事な成長過程を今どのように生活して 震災による地震・津波というのは、ほかの岩手・宮城 いるのかは、丁寧な目で検証されなければいけませんし、 県とも共有する課題ですが、福島県は、加えて原発震 そこに秘められている課題をどう改善していけばいい 災という大きな課題を抱えています。その中で福島の のか、そのために、社会、大人たちは何をすればいい 復興をどう進めていけばいいのか、これは人類が初め のか。初頭教育、中等教育で育てられた子どもたちを て直面する課題もいえる大きな課題だと思います。 引き受けて、高等教育機関たる大学がどのようにそれ その中で、海士町と共通するものは何か、それは地 を鍛え上げ、専門教育を行って社会につないでいけば 域の未来をつくるのはやはり人ではないかということ いいのか、こうした一貫にした視点で子どもたちの成 だと思います。国・県・市町村レベルで行われるさま 長、教育を考えていく必要があるのだろうと思います。 ざまな政策というのは、経済振興、産業振興、多々な こうした課題を、今日は教育関係者、子どもたちの 観点でつくられていると思いますが、その中でも、20年、 保護者、そして義務教育を含め、大学でどのように教 30年、50年を見越して、地域がどのように展望を切り 育を担っていけばいいのかということ、そしてそれら ― 49 ― シンポジウム 実施報告 武内 俊英(大熊町教育委員会教育長) 成果報告/社会貢献 未来を切り開いていく人づくりを教育の を社会的に見たときにどういう対応関係を結べるのか て変えることとしました。 という複眼的な視点で今日はパネルディスカッション その年の11月から、次はこのビジョンの具現化を図 を展開したいと考えています。 るために推進協議会というものを立ち上げました。そ ここからは、教育に関わる課題、現状認識、展望な の中心は3つのワーキンググループです。我々教育長、 どを、それぞれのお立場からご紹介いただきながら、 それから文科省、復興庁、福島大学、県教委、それか ご意見をいただきたいと思います。 ら一般の方々をメンバーに入ってもらい、ビジョンの 具現化を図るにはどうしたらいいか話し合いをしてき (武 内) ました。 私たち双葉地区教育長会は、平成25年の7月31日に その中で具体化されたものが「ふるさと創造学」です。 福島県双葉郡教育復興ビジョンを策定しました。前年 これを昨年度の4月に双葉郡内の小中学校全校でスター の9月に、私たちが文科省にお願いに行きました。と トさせました。学習方法は、アクティブ・ラーニング いうのは、避難してから8町村のうちの大部分が小中 を導入し、総合的な学習の時間を使っての授業です。 学校を立ち上げましたが、早く立ち上げたところは、 「子ども未来会議」との関連でお話します。 「子ども 区域外就学、転校生が続出してきました。それから、 未来会議」は、双葉郡の子どもたちを中心に、保護者、 少し後に立ち上げた学校は思ったほど子どもが集まり 教員も対象に行ってきました。子どもたちを中心に、 ませんでした。そこで次善の策として、双葉郡の子ど これからの学校はどんな学校ならいいか、どんな授業 もたちの教育を双葉郡全体で守ろうと教育長8人での ならいいか、どんな夢が叶う学校ならいいかを、自由 話になりました。その後、協議会を立ち上げ、文科省、 に話し合いをしてもらいました。この会議のアイデアは、 復興庁、福島大学、県教委の応援もいただきながら、 ビジョンをつくっている最中に、今日のパネリストの 会議を8回、そしてワーキンググループの会議を11回 一人である荒井さんから、教育長方は学校の主役は子 実施し、教育復興ビジョンを策定したのです。 「双葉郡 どもだと言っているのに、子どもたちの意見を聞かな の復興や持続可能な地域づくりに貢献し、全国や世界 いのではないかと指摘、提案をいただきまして、これ で活躍できる人材を育成」 「子どもたちの実践的な学 を実施に移しました。これまで8回実施をしました。 びで地域を活性化し、復興につなげる」ことが目標で これが新しい「ふたば未来学園高等学校」にも、私た す。そして、どういう生徒を育てるかを明確にする上 ちの現在取り組み、今後の取り組みにも反映されてい で、これまでの教育の反省点や大震災・原発事故に遭っ ます。特に、 「動く授業がいい」という意見が強く出さ てからどのような人間が必要かを議論しました。結果、 れました。今まで先生が黒板に書いたのを覚えるだけ 1つは主体性、もう1つは協働性、この2つの側面を の授業はもうたくさんですということです。最初、中 持った子どもを育てるのが肝要だということになりま 学生が発言したら、高校生が同意をして、小学校の高 した。 学年も我々教育長とか小中学校の校長先生の前で堂々 もう1つ、特徴的なことは、各学校段階を通して一 と話してくれました。我々教育長はすぐに学校現場に 貫した教育を視野に入れてやろうと。一貫した教育と 下ろし、そして生まれたのがこの「ふるさと創造学」 いうのは、1つは、やはり価値観を共有すること、そ です。 れから、これまでの入試一辺倒の学力観を本気になっ 「ふるさと創造学」をスタートさせるときにも、関係 ― 50 ― 職をし、結婚をして、子どもが生まれました。震災前は、 るぐらいでスタートしなければ何もできません。環境 主人の両親と、子ども3人と、7人家族で住んでいま を全部整えてからやるなどといったら5年も6年もか した。富岡町は兼業農家が多く、田んぼも畑もつくっ かってしまいます。今年スタートしてよかったと思っ ており、春になると田植え、秋には家族の年中行事、 ています。 稲刈りがありました。長男は、祖父母に小さいころから、 育てたい能力、資質等については、知識よりも、文化・ おまえは大きくなったらうちを継いで、地元の企業や 伝統理解、表現力、発信力の能力面の育成にあります。 役場とかに就職をして農家をやっていくんだぞ、と言 中間発表を9月に「ふたばワールド」という、郡内を われながら育ってきました。 挙げてのお祭りで小中学生が川内村で発表しました。 そんな長男だったので、震災後、時間が過ぎていっ また、 「ふるさと創造学サミット」で12月に郡山市で双 て、まず息子が言ったことは、 「母ちゃん、俺はどうし 葉郡の子どもたち、小中学生が、1年間の成果を発表 たらいい?」と。すぐに、帰るのか帰らないのか、帰 しました。互いに刺激を受けて、来年はさらに向上さ れるのか帰れないのかということを何度か聞いてくる せようとしています。 ことがありました。親としては、 「うーん」という日が 次年度に向けての「ふるさと創造学」の課題として、 続いていたのですが、ある日、やっぱりすぐには帰れ 1つは、発達段階を考慮して授業を組まなくてはなら ない、帰ったとしてもすぐに農業をすることはまず難 ない。それから、 「ふたば未来学園高校」にどのように しいと。だから、とにかく自分のやりたいことを見つ つなげていくかも課題です。また、教師の意識改革です。 けて進めとしか、親としては言うことができませんで アクティブ・ラーニングを、本当に大事だというとこ した。かなり自分の道を見つけていくには時間がかか ろまでいけるか、教育長にやらせられているからとい りましたが、中学校を卒業するまでには、なんとか自 うところではなかなかこれから続けていかれないし、 分の思いというのが見つけられました。 向上しないと思っております。 長男は、震災前から双葉翔陽高校に進学したいと話 をしており、3年前にいわき市でサテライト校として 開校したため、そちらに進学しました。当初は、寮生 「ふるさと創造学」は、今年度から双葉郡の小中学校 活の予定でしたが、祖父母が、自分たちがいわき市に で新しく取り組まれている総合的な学習の一貫です。 行って一緒に住むと言ってくれ、3年間、3人で生活 避難をして、生活空間として失いかけている地域をも をしてくれました。 う一回学び、親やおじいさんたちが、どのように地域 郡山市のほうでは、娘と次男と、私と主人の4人で を育ててきたのかを、高齢者から仮設住宅を回って聞 3年間生活をしました。娘は震災のとき、ちょうど小 き取りながら、ふるさとを再確認・再認識する総合的 学校6年生で、なかなか卒業式ができませんでした。 な学習の時間の中身で、これをとおして、高齢者の方々 PTAの仲間や役員をやっていたお母さんたちが、な も、孫たちが自分たちの生活、足跡を学び直してくれ んとか卒業式をやらせてあげたいと計画をし、郡山市 ていることを知り、コミュニティの再生という意味で で手づくりの卒業式をやりました。震災の年の夏ごろ、 の非常に重要な意味を持つ大切な科目だと思います。 これが、 「ふたば未来学園高等学校」では、 「産業社会 「お母さん。転校生って学校に慣れるのにこんなに大 変な思いして慣れていたんだね」と言われたときに、 と人間」という新しい科目の中に継承される構想で、 双葉郡の教育復興ビジョンは一つ一つ具体化し始めて います。 続きまして、こうした双葉郡の教育復興に関わる取 り組みを保護者としてどのように理解し、またこの4 年間をどのように過ごされてきたのか、そして教育に どんなことを期待されるのかなどをお話いただきます。 (遠 藤) 私は、もともと富岡町民ではありませんでした。生 まれは宮城の気仙沼ですが、仕事の関係で富岡町に就 ― 51 ― シンポジウム 実施報告 (中 田) 成果報告/社会貢献 者からいろいろな声もありましたが、拙速だと言われ いろいろあったんだなと親としては思いましたが、で んなことも乗り越え、課題を解決していけるような強 も、私が返した言葉は、 「そういう人の気持ちも理解す い精神力を持った子どもに育ってほしいと考えていま ることができてよかったね。その人の立場になって気 す。 持ちを理解できたのかもね」という話をしました。 一番下の次男は、震災当時小学2年生でした。最初 (中 田) は郡山市内の学校に通っていたのですが、今は、富岡 4年間、子どもたちや親御さんたちがどのように過 町が三春町で開校している小学校に毎日、約1時間か ごされてきたのか、社会的に受け止める機会というの けてスクールバスで通学をしています。 は十分につくられていないことを、今、改めて痛感さ そういう子どもたちと避難生活をずっと送ってきて、 せられております。子どもたちの生活を優先しながら よくお母さんたちと話をするのは、震災当初から高齢 過ごしていますが、まだまだ、今後どうしていくのか 者の問題には目が向けられることが多いけれども、子 という方向性に関しては模索の状況が続いていて、こ どもたちのことはなかなか進まないということです。 の問題をきちんと社会として受け止めていく必要があ ある教育関係の方にお話させていただいたときに「子 ると思います。親御さんたちの期待、それから、学校 どもたちは新しい環境にすぐに慣れることができるで 現場の期待を含めて、高等教育機関である大学はその しょう」と言われたことがありました。しかしそれは、 ことについてどのように対応、思考をしていけばいい 慣れているというより、慣れざるを得なかったと思い のかを中村さんのほうからお話いただきます。 ます。 私の友人が大阪に避難しています。下の娘さんは震 (中 村) 災当時小学1年生でした。子どもたちは関西弁も上手 福島大学では、避難所・仮設住宅における子どもの で地域になじみ、富岡町には帰らないと言っているか 遊び・学び支援として、震災直後は、第一次避難所、 ら、大阪に家を購入すると話していました。しかし、 二次避難所に学生と教員がグループになって週に2回 今年大阪で何年かぶりに雪が降り吹雪になった日、そ ほど巡回し、子どもの学びと遊びを支援する活動を行っ の娘さんが突然学校でしゃくりあげる程泣いたという てきました。 のです。帰宅した本人に話しを聞くと「あの日のこと 支援を通して、子どもたちに、遊ぶ場所、遊ぶ友達、 を思い出したの……」と言ったそうです。3月11日震 遊ぶ道具もないことから学習支援よりも遊び支援が非 災の日は、地震の直後突然吹雪が降りました。まもな 常に大事だったことがわかりました。さらに、震災半 く4年が経過しようとしている今、このようなことが 年後からは、仮設住宅での支援を始めました。仮設住 起こるということは、子どもたちがどれだけ自分たち 宅は、集会所の壁や床も薄く、思いきり遊ぶ場所すら の気持ちにふたをしてきたのかがわかる出来事ではな ないことが分かりました。また、クリスマスパーティ いでしょうか。 を大学で開いて各仮設に住んでいる子どもたちを一堂 大人がすごく困った顔をして、これから先どうした に集めてみると、友達同士が再会でき、まずは子ども らいいかと思っている中で、子どもたちは、なるべく の仲間づくりも必要だと分かりました。 自分たちは大人に心配をかけないようにしよう、困ら そうして、2012年から始めたのが「土曜子どもキャ せないようにしようと一生懸命だったのです。 ンパス」です。朝には仮設を巡回するバスに子どもた 今になって子どもたちが我慢をしていた気持ちが、 ひずみになって出てきており、学校へ行けなくなって いる子どもたちが多くいます。それを支えているお母 さんやお父さんたちがすごく息切れしていると感じま す。今、復興住宅に移り始めたり、家を購入したりと いう形でどんどん状況が変化している中で、決められ ないというふうに答える方が多いです。親の気持ちと しては、子どもたちにも状況を説明して、きちんと選 択をさせたいと考えていますが、現状としてなかなか そのようにはできません。世間やメディアでは福島の ことを色々と言われていますが、親としては、今後ど ― 52 ― ちが乗って大学に集まってきます。そして、1時間程 子どもたちの学びをサポートするのが、地域の住民で 度勉強して、そのあと運動遊びをし、お昼を食べたあ あり、NPOであり、私たち大学の役割であると思っ とにはチャレンジタイムなどの企画活動をやりました。 ています。 大学の施設のため、子どもたちは思いっきり声を出せ 具体的には、教職大学院というのを考えています。 る、走り回れる、あるいは、勉強するときは静かな環 子どもの学びを支える教員の再研修の場として、学校 境で勉強にだけ集中できました。また、例えば料理づ 現場に直結した教育課題について勉強できるような大 くりをしたり、9月のお月見で天体学習をしたりした 学院をつくっていきたいと思います。地域で支える人 ときは、学生が先生役をやっています。大学だけでは 材を育成するというのは、COC事業「ふくしま未来学」 なく、郊外にも遊びに出ています。 の目的でもあると思います。 こうした子ども支援活動をとおして学生教育の成果 また、イノバティブ・ラーニング・ラボラトリーと を見ると、1点目に、 「コミュニケーション力の向上」 いう革新的な学びの研究所をつくり、今までの「教える」 があります。学生は、1つ学年が違うと、それでもコ 教育を、子どもたちがどのように「学ぶ」かという発 ミュニケーションの壁ができてしまう。子どもと関わ 想の転換をして、教育実践を参観しながら大学教員間 ると、子どもの親、集会所の方、NPOの方、学校の先 の意見交換をしています。そういった意味で、今後も 生など、話さざるを得ないという場面ができて、コミュ 人づくりというところで、大学も関わっていきながら ニケーション能力の向上につながっています。 学校や地域と連携していきたいと考えています。 (中 田) なり、企画力や行動力、分析力も向上したと言えます。 学校、教育機関、それから保護者の取り組み、この それから、例えば、初期のころ、なぜそんなふうに 4年間の過ごし方というものが紹介されたわけですが、 暴言を吐くのか、会った途端になぐられるのか、学生 それと同時に、福島県の今後の社会をどのようにつくっ たちは非常に悩みました。子どもたちへの対応を話し ていけばいいのかということは、もう一方で、県レベ 合っていた際に、 「あっ、午前中の〇〇先生の授業、こ ルをはじめとしていろいろな構想が示されております。 こに活かせる」という声があがりました。それが、教 そういう福島県の将来構想と人づくりがきちんと対応 育として学んできた知識が、今、目の前の子どもたち 関係を結べるのかどうかという観点で、今、どういう に活かせる、理論と実践が直結した経験ができている 構想が進められ、手直しされているのかを今度は照ら ということだと思います。 し出していきたいと思います。 そして、子どもと接していると、その場での自分の 判断が問われることがあり、さまざまな問題に対処し (井 上) ていける問題解決能力も向上してきたと思います。 私は、事故があってから1年半後に今の仕事に着任 1年、2年と過ぎていきますと、ただ与えるだけの しましたが、政府が参加した住民説明会も200回を超え、 支援ではなくて、どう子どもを成長させていくか、支 先ほどの遠藤さんがおっしゃった通り、なかなか決め えるような支援をしたいと変わっていきましたし、子 られないという方が多いと思います。また同時に、一 どもと一緒に学生自身も変わりたいと思うようになり 部の地域では、地元の方々のとても強い志、本気をふ ました。 こういったさまざまな復興の支援活動をとおして、 人づくりの可能性ということで考えると、地域で学ぶ、 現場に出て行って、現場の課題を見つけながら、自発 的に学べるような環境が大事です。ふるさと創造サミッ トに行くと、地域を変えたい、ふるさとに帰りたい、 でも、そうしたらどうすればいいか、中学生や小学生 が自分の問題意識として真剣に考えている。そこが非 常に重要だなと思いました。 学校をオープンにして、地域自体を教育の場にして いくこと、それが重要ではないかと考えます。そんな、 ― 53 ― シンポジウム 実施報告 た遊びや学びをすることになると、教材研究が必要に 成果報告/社会貢献 また、ただ遊ばせるだけではなく、その子たちに合っ ティブな地域をこの地域でつくるのが構想のコンセプ トです。同時に、もともとおられた方と外から入って こられる方とが一緒で広域のまちづくりができないの だろうかというのが基本的な考え方です。 また、主要プロジェクト「ロボット開発・実証拠点」 の「国際廃炉研究開発拠点」。1Fのような状況になっ た燃料にいかにして対応していくのかは、世界の研究 者がものすごく注目しています。福島としては、それ に応じた研究者を呼んでくることはできないのだろう かと。また、これからもっともっと多様なロボットを 導入していかないと作業が進まない。そのためにいろ まえて、ふるさとをもう一回取り戻そうという動きも いろな施設をつくっていく必要があると。我々政府と 着実に始まり、進んでいると思います。 しては、次の新たな成長を担う一つの産業軸はロボッ 川内村でのさまざまな取り組みですが、いったいど トだと考えています。この地域にロボットのさまざま れぐらいなのかと、自分たちでも線量を把握しながら な研究施設がいずれにしても建っていくのなら、それ 健康相談を行う取り組みも進んでいます。長崎大学の を活用しようじゃないかということです。 保健師が中心となっている取り組みです。また、山間 今後の主な課題ですが、とにかく、この構想は机上 部で難しいにも関わらず企業の誘致も村の方々のご尽 の空論にしないことが最大の眼目だと思っています。 力で一生懸命進み、いくつかの企業が来始めています。 この構想自体、実際に既に動いております。 原発から20キロ圏内に、政府の支援を受けて工業団地 もう一つ大事なのは、教育との兼ね合いでいうと、 をつくることが決まっており、もう既に企業7社の進 狭い問題意識で取り組まないことだと、我々、肝に銘 出が内定しています。農業も同様、新しい営農に向け じています。浜通りの復興は日本全国の地域再生のモ た取り組みや、 「ふたばワールド」で「カエルと森の学校」 デルになるはずだと。また、 「イノベーション・コース をやるなどのさまざまな教育の取り組みが進められて ト構想」は、ソフトを含めた面の広がりにしていく、 います。 そして、県・市町村とともにこれから描いていく将来 こういう形で、できるだけ元に戻そうという取り組 像に明確に位置づけ具体化していくということを政府 みが進んでいると同時に、もう一つは、少し中長期で、 として決めています。究極的には、先ほど山内町長が 福島の、特に浜通りをどうしていこうかという議論が、 おっしゃった「島まるごと学校」 「魅力ある地域の核 政府、県、あるいは地元で今始まっております。その 心は数多くある学校」だと思っています。 「イノベーショ 一つである「イノベーション・コースト構想」は我々 ン・コースト構想」を実現するには、この構想自体は の部局が事務局になって始めています。これも、発端 息の長いものですので、しっかりした人づくりがなさ はさっき申し上げた住民説明会です。一番、私がよく れなければ実現できません。人づくりにちゃんと貢献 覚えているのは、双葉町96%を帰還困難区域にせざる していくという、しっかりした両輪で進めていければ を得なかったわけですが、残る4%の緑の区域の区長 いいなと思っております。 さんや住民の方々が最後におっしゃったのは、未来が まさに、具体化はこれからです。ぜひ、皆さんから ないじゃないか、子どもと孫はどうするんだと。戻る もアイデアをいただきたいと思います。ぜひ、 「イノベー か戻らないかは一人一人の判断だけれども、それを自 ション・コースト構想」を皆さんと議論するようなタ 分たちが消し去ってしまっていいのか、政府の力でな ウンミーティングもつくれたらと思います。また、大 んとかしてくれよと言われたのをすごくよく覚えてい 学生、高校生、中学生、小学生とも対話できる、そして、 ます。 そこで考えてもらったことを我々大人が本当に実現す 我々の部局で、地元と一緒に考えている構想は、新 るというような会議もできたらと考えています。 しいものをつくる地元の力をみんなでもう一回高めて いけないかと。安全な廃炉をやるためには新しい技術 (中 田) が要る、除染をやるにも新しい技術が要る。それによっ 続いて、開かれた人材、人づくり、地域づくりのあ て新しい産業が絶対生まれるはずだと。最もイノベー たりのことを踏まえて、もう少し広い観点で、震災復 ― 54 ― 興支援財団の経験を活かされながらご助言いただけれ そういう中で、ずっと復興とは何だろうと4年間悩 ばありがたいと思います。 み続けていました。先行的な事例のところに聞きに行 こうと思い、中越地震があった山古志村に行ったこと 私は、ソフトバンクという会社の社長室にも勤務し とを聞きましたら、連れていかれた先が、山古志村の ており、もともと震災の年の3月22日に社長の孫と福 アルパカ農場でした。8∼9年前だと思いますが、中 島県知事に会いに来ました。その帰りに、民間企業と 越地震の直後に、アメリカの方が、とにかくアルパカ して震災復興をやっていかなければと。私は、どうし はかわいらしいから役に立つと思うよといって無理や てもNPOをつくって細かく持続的に支援していく組 り送ってきて、結局飼わざるを得なくなったといいま 織をつくりたいという話を孫と上の人たちに言いまし す。 て、それがこの財団の原型になっております。 しかし今では、このアルパカが、約1,000頭と増え、 先日、 「ふたばワールド」というイベントでお手伝い 週末ごとに、2,000∼3,000人の山古志以外の人が来る させていただきました。カフェを協議会のメンバーの 観光資源になっているわけです。こういった、たぶん 皆さんにお手伝いいただきながら、私もずっとコーヒー 福島の皆さんも、いろいろトンチンカンな支援があっ を手で200杯入れるなどしていました。実は、この中 たと思うのですが、でもそれをどう活かすかというの には、 グーグルですとかヤフーですとかの復興支援の、 は、結局、地元の人、一人一人なんだろうと思います。 それぞれの各社のリーダーも参加してもらっています。 僕も外の人間ですけれども、最後は地元の人たちが、 みんな川内に来てもらって、共通の服を着て、何か地 それをぎゅっと捕まえて、離さずにやっていくことが 域のために、福島のためにやれないかなという、そん 一番大事なのではと思います。 な思いの者が集まってやってまいりました。 双葉郡のこの協議会から始まって、これから学校も 私は北海道出身です。22年前に、奥尻で北海道南西 始まりますが、まだまだ教育界は閉じた議論をしてい 沖地震という地震がありました。実は、奥尻の場合は、 て、教育界の中だけでなんとか復興教育をと言ってい 地震の後、国から約760億円が出て、その中でとにか るのではないかという思いがしてなりません。これは く復興しようとお金を使ったわけです。5年後に復興 双葉郡だけの話だけではなく、おそらく福島オールの をまちは宣言いたしました。ところが、20年後の2013 問題だと思いますので、ぜひ皆さん方一人一人が何を 年には過疎化がやはり食い止められずに、財政は行き やれるかを考えることが大事ではと思っております。 詰まったというのが奥尻の20年後の姿です。その当時 僕も20年前、大学1年生のときに、阪神大震災で一 から、この760億円のお金を産業育成や若者の育成など、 ボランティアとして、学生として関わったのが、今あ 未来へのソフトへの投資に活かすべきという議論はあっ る一番大きなきっかけになっていると思っています。 たものの、それよりも、今、目の前にいるこの状態を そういう意味で、福島大学含め、多くの若者がこういっ なんとかしなければいけないのではという議論のほう た問題に取り組むことは、これから将来にとって、福 が多数でそこに使わざるを得なかった。 島全体にとっても、非常に有意義だと思います。ぜひ、 ひょっとすると東北の復興というのも、海士町みた 大学も含めて、大きな人づくりに、これからも時間と いな成功事例を見つつ、こういう奥尻みたいな苦労し リソースを割いていただきたいと思っています。 た事例もよくよく参考にしないといけないのではない のかと思っています。 私は、このビジョンの協議会の委員に2011年の冬に 就任し、一度その学校を見せてくださいと、浪江町の 畠山教育長にお願いしたところ、連れてあげるよとい うことで、二本松に来られている浪江の小学校に行き ました。そこでここに通っている子どもを見て、通わ せる親の気持ち、これを教え支える先生たちの思い、 地域の人の思いというのはすごいことだなと思ったわ けです。本当に、微力ですけれども、何ができるのか、 真剣に向きあおうと思った最初のきっかけです。 ― 55 ― シンポジウム 実施報告 がありました。そこで、「いったい復興とは何ですか」 成果報告/社会貢献 (荒 井) ではないかと考えています。 (遠 藤) 私もまさしく、武内教育長さんの思いと同じです。 私は幼稚園に勤務していたころ、よくお母さん方や自 分の子どもに「失敗してもいいんだよ」と言っていま した。小学校、中学校、高校の間は社会に出るまでの 訓練の期間だから、失敗を繰り返してもいい、その期 間にだったらごめんねといって許してもらえる。やは り子どもたちは失敗を恐れたり、不安になってできな かったりすることがすごく多いと感じます。お母さん (中 田) たちも、親も失敗することを恐れない、それでもいい お互いの報告を聞いて、ご発言をお願いしたいと思 と受け止められる教育が進んでいくと、もっと心にゆ います。 とりを持って子どもたちも成長していけると考えてい ます。 (武 内) パネラーのお話を伺い、次の2つが私は根本的に主 (荒 井) 要だと思いました。 私は、福島大学の学生さんに、たくさんボランティ 1つは、やはり「エデュケーション」というところ アで、この間ずっとお手伝いしていただきました。こ に教育は立ち戻るべきだと思います。というのは、エ んなに福大の学生というのはレベルが高いのかと思う デュケーションを日本では教育と訳しましたが、そも ことが、ものすごく実は感じる機会が多くありました。 そもは引き出すことなのです。何を引き出すかという やはり、それだけ、大学生が現場に向かっていたのだ と、子どもの持っている意欲とか能力を引き出すこと。 と思いましたし、現場で判断を求められることが多く 特に日本はOECD加盟国の中でも学習意欲が低いと言 て、自分たちなりにやってきたというのをすごく痛感 われていますが、学習意欲は引き出すものなのに、我々 しました。 は詰め込みをだいぶやっているのが現状です。つまり そういった意味でも、こういった多く大学生の皆さ エデュケーションと逆の活動をやっているのではない んが、この先活躍する場、社会に出てからも、社会人 か。これを我々共通で根本的に考え直すことが大事だ 1年目、2年目、3年目をどういうふうに有効に活用 と思います。詰め込む先生がいいとか、入学試験が目 していくかというのは、これから福島における社会人 先にあるからではなく、京都の堀川高校は、20年前に や組織人の大きな課題になるのではと思います。でな 普通高校の改革をするとき、 「探究科」というのを入れ ければ、おそらく結構みんなすぐやめてしまうと思い ています。今の我々の「ふるさと創造学」や福島大学 ます。本当に大事なことを大学生のときに現場で経験 の「ふくしま未来学」のようなものです。学ぶべき点 して、それから社会に出る。ところが、社会でそういっ は多いと思います。 た問題に本質的に向き合っていないと思うと、もっと それから、もう1つは「レジリエンス」。OECDのシュ やりたいことがあったはずなのにと思うのではないか ライヒャー局長、世界の文部大臣が繰り返し、これか と思います。そうしたことを大人側もこれから試され ら大事なのはレジリエンス、つまり復元力だと、言っ ると思います。 ています。これを日本で子どもたちが身につけていく には、私は、キーワードは「失敗」になると思います。 (井 上) 現在の教育は、親も先生も、失敗させないように、失 本物のネットワークや連携が本当に大事だなと思い 敗させないようにしてずっと来ています。復元力がつ ます。例えば、川内村も田村市も、ふるさとを取り戻 くはずありません。学校は、失敗していいところだと すというのはとても難しくて、一つ一つのプロジェク 建前で言っていますが、本音は失敗させないことばか トに手間とものすごいエネルギーが要る。 りやっています。保護者も子どもが学校でいろいろ失 課題がいっぱい転がっていて、それを一つ一つ実現 敗したら文句を言わないというような共通理解が大事 していかなければなりませんが、政府も市町村も、人 ― 56 ― 親や大人や社会の様子を理解して、口に出すべきでは ないなと思ったところを我慢して耐えてきている。だ からこそ、将来の担い手になる子どもたちの未来像を 確かめながら、それを実現するように私たちは何がで きるのか問われている時であると思います。 今、子どもたちが、自分たちの将来や未来の社会を 考えているときに、何を課題として、何ができるのか。 それをやってみようとしている。これは全国の中でも、 自分たちの地域を自分たちでつくろうとしている意欲 においては、福島の子どもたちは全国一だと思います。 もしかしたら世界一だと思います。それだけの課題意 識を持って、今、子どもたちは暮らしているはずです。 しかし、子どもたちはそれを課題という表現を使わな いかもしれない。ああしたい、こうしたいという素朴 な発言なのかもしれない。もしくは、あれはいやだな と、子どもたちは動く授業を求めているということが 「動く授業」とは何なのかを考えていくときに、やっ てみたい、実践して地域を学校として学び、成長して いく。その場合には失敗も許容する教育というのが必 る意味で、何も動かなければ何も生まないというフィー 要だろうし、でも、許容することは、失敗を失敗のま ルドがものすごく広いので、本物のネットワークや学 まにしないということです。失敗の中から学びを成立 びの場をぜひとも活用しなければいけないと思います。 させて、課題解決できる力をきちんとつけていくこと また、狭いコミュニティの外から入ってきてくれる だと思います。 支援はものすごく意味があって強力だなと。外の人も アクティブ・ラーニングを志向するということは、 中の人でも、こうなりたいという人に、ちっちゃい子 すべてのパネラーの中から統一的に発言されていたこ も大きい人も含めて、学ぶ大人の背中はいっぱいある とだと思いますし、学校、そして大学も新しい学生た のがここの魅力だと。また、 「子ども未来会議」は、大 ちの力を養成しようとする努力をしています。 人のほうがよっぽど学ばせていただくことが多くて、 ぜひ、こういう取り組みに、保護者の皆さん、それ 復興の仕事をやっている上では、自分を含めて大人は から企業関係の皆さん、多くの社会の方々からご意見 やや後ろ向きな議論も多いのですが、子どもはそんな をいただきながら、実りのあるものにつなげていく、 ことを言っている余裕がありません。未来だけまっす それがCOC事業としてのセンター・オブ・コミュニティ ぐ見て、どうするのかというところがある。もちろん としての大学の責任ではないかと思います。 そうじゃない子もいます。でも、そういう子どもの背 本日は、本当にたくさんのご意見、それからパネラー 中を見て大人が学ぶこともあると思いました。 の皆さんに感謝申し上げたいと思います。 (中 田) 「イノベーション・コースト構想」という新しい地 域の未来像を提案されています。それを地域住民が本 当に自分たちの選択をし直すためには、地域にどうい う課題があって、将来の担い手がどういう未来をもう 一回考えるのかということと照らし合わせて、主体的 な選択結果となるのだろうと思います。 子どもたちは未熟な存在と見えるかもしれないけれ ども、子どもたちはきちんと主体的な判断をしていて、 ― 57 ― シンポジウム 実施報告 手が足りない。教育は、いくらでも課題があって、あ 成果報告/社会貢献 確認されています。 社会貢献② 学生の自主的なボランティア活動(1) 「蕎麦フェスタ in 川内村」の イベント支援で地域を元気に イベント支援で地域を元気に COC事業では、学生が地域で取り組むボランティア 活動もサポートしている。 「むらの大学」を受講した学 生は、実習を終えた後も自主的に活動に取り組んでいる。 日 時:平成26年10月26日 (日) 場 所:川内村 村民体育センター 参加学生数: 「むらの大学」受講生3名 小島彰ゼミ学生4名 実施概要 村で開かれた川内村観光協会主催の「蕎麦フェスタ in 阿武隈高原の蕎麦を福島県内外に発信する「蕎麦フェ 川内村」に参加した。川内村だけではなく、葛尾村・ スタ in 川内村」が、東日本大震災と福島第一原発事 いわき市からも店が出され蕎麦がふるまわれた。 故からの復興、風評払拭をめざし、平成27年秋に同村 私たちは午前に川内村の野菜を販売しているブース で開催する「世界そば博覧会」のプレイベントとして のお手伝い、午後から鳥羽一郎歌謡ショーの運営補助 開催された。むらの大学の受講生らが、ボランティア として参加させていただいた。 として参加し、イベントのサポートをしながら、村民 私は震災後に進出してきたKiMiDoRiの植物工場で との交流をした。 栽培された野菜の販売を手伝わせていただいた。工場 でつくられた野菜は、テレビなどで見て知っている方 が多く注目の高さがうかがえた。 学生ボランティアの声 経済経営学類1年 また、試食をして「おいしいね」と率直な感想を述 べる村民の方が多いのが川内村ならではであると感じ 相 馬 周 平 た。村外から新しく入ってきた企業が川内村に溶け込 私たち「むらの大学」の受講生は、10月26日に川内 めるという点で、このようなイベントは交流を図るよ い機会であると感じた。 都合のため最後まで参加することはできなかったが、 夏休みのフィールドワークでは会うことのできなかっ た人たちに会うことができた。特にフィールドワーク 中はほとんど見かけなかった子どもたちが来ており、 それを優しく見守る元気なお年寄りの方々が印象的だっ た。 また、私たちのことを覚えていて声を掛けてくれる 方がいたことが嬉しかった。この機会にできた貴重な つながりを大切にしていきたい。 ― 58 ― 社会貢献② 学生の自主的なボランティア活動(2) 南相馬市 「ママカフェ」の支援で子育てを応援 日 時:平成26年11月30日 (日) 場 所:南相馬市 子育て応援カフェ「37cafe@park」 参加学生数: 「むらの大学」受講生2名 実施概要 づくりに主体的に取り組んでいる。 「むらの大学」の受 講生が南相馬市にオープンした子育て応援カフェのボ ランティアに参加し、 「むらの大学」の受講生は、子育 てママ・パパがお茶を楽しんでいる間、子どもたちの われるボランティアに対する気軽さはなかった。営業 室内遊びをサポートした。 中の店舗での活動ということ、少人数の参加というこ とから不安感も強く、店舗に入ってからも何ができる 行政政策学類1年 しかし、実際に子どもたちとのふれあいが始まると、 今までの不安がなくなったように溶け込むことができ 高 橋 妙 たように思う。お店の暖かい雰囲気もあり、様々な絵 絵本の作成、遊具の準備、ビラ配り、子どもたちの のリクエストを受けたり、昼食に誘われたりと、楽し 遊びの手伝いなど、自分たちも楽しめる活動を行うこ い時間を過ごすことができた。 とができた。 また、保護者の方やみんな共和国国王の高橋慶さん ボランティアの一環としての参加だったが、義務感 に、自由であることの責任についてなど、多くのこと や責任感などを気負うことのない充実した時間を過ご を教えていただいた。スタッフの方々や他のボランティ すことができたと思う。 アの学生の方とも交流を図ることができたので、実践 参加させていただく前は、今までのような屋外で行 的な学習ならではの知識を得られたのではないかと思う。 今回の活動では、子どもたちとのふれあいを通して 地域への愛着をより一層高めることができた。南相馬 市だけの取り組みではあったが、今後は福島市でもこ のような活動の場をつくれたらと思う。 地域の方々との交流の中でしか学べないことも多い ので、このような機会があればまた参加したい。 ― 59 ― 学生の自主的なボランティア活動 のかという戸惑いが大きくあった。 学生ボランティアの声 成果報告/社会貢献 今、南相馬市では市民が力を合わせて、子育て環境 【小括】社会貢献事業の課題と今後 て議論された。震災以降、双葉郡の教育委 ふくしま未来学推進室実施責任者 丹 波 史 紀 (行政政策学類 准教授) 員会などと交流を重ねてきた海士町の先駆 的な事例を山内町長から基調講演いただき、 当初の予定人数を大幅に超えた関心によっ て立ち見の会場が出るほど盛会であった。 COC事業の柱の一つである社 学生のボランティア活動では、震災以降継続的な被 会貢献事業では、被災自治体を中 災地の支援活動を展開している。仮設住宅や被災地の 心にしながら、初等中等教育との連携、自治体などと 子どもたちへの支援活動を展開し、とりわけ災害学生 連携したシンポジウムの開催、学生のボランティア活 ボランティアの登録者数は410名にのぼり、 サマーキャ 動を通じた地域活動、などに取り組んだ。 ンプや仮設住宅での交流事業など多彩で地道な支援活 初等中等教育との連携では、双葉郡8町村でつくる 動を展開している。また、地域実践学習「むらの大学」 「双葉郡教育復興ビジョン推進協議会」の各ワーキン の受講生などを中心に、継続的な地域への関わりをす ググループへの参画による教育復興のビジョンづくり すめ、双葉郡で行う「ふたばワールド」での「ふるさと や「ふるさと創造学」の授業内容具体化、さらに平成 創造学」発表会でのボランティアや、各地域でのイベ 27年度開講の「ふたば未来学園高等学校」の開講に向 ントなどへの参加をすすめた。 けた地域連携などに取り組んできた。それに関連し、 今後、地域との連携を一層進めていく上で、地域課 平成27年1月には「地域における学校現場と大学の連 題の発見、多様なステイクホルダーの関係強化、地域 携による人づくりの可能性」と題し、今後大学がCOC を担う子どもたちの培う力の課題共有、継続的な地域 事業を進めていく上で、初等中等教育との一層の連携、 支援活動のスキームづくりなどが深められる必要があ 地域における自治体・企業・NPOなど多様なステイ るだろう。 クホルダーとの連携を図った人材育成の必要性につい ― 60 ― 参 考 資 料 実施報告・議事録 出張報告 アンケート実施結果 ふくしま未来学ニュースレター 平成26年度「地(知)の拠点整備事業」 関係者一覧 ― 61 ― ︻小括︼社会貢献事業の課題と今後 報道一覧 成果報告/社会貢献 ふくしま未来学推進室会議 ふくしま未来学推進室会議 実施報告・議事録 平成26年度 ふくしま未来学推進室会議 実施報告 「ふくしま未来学」の事業を推進するための企画立案及び決定は、ふくしま未来学推進室会議 で執り行う。平成26年度は、下記の日時に会議を実施した。 1 第16回 平成26年4月24日(木) 14:00∼15:10 2 第17回 平成26年5月22日(木) 13:00∼14:30 3 第18回 平成26年6月5日(木) 13:00∼14:00 4 第19回 平成26年7月17日(木) 13:00∼14:30 5 第20回 平成26年10月20日(月) 9:00∼10:00 6 第21回 平成26年11月17日(月) 9:00∼10:15 7 第22回 平成26年12月15日(月) 9:00∼10:00 8 第23回 平成27年1月19日(月) 9:00∼10:00 9 第24回 平成27年2月20日(金) 10:00∼11:30 ふくしま未来学推進室組織図 ふくしま未来学推進室 学 長 室 長 (副学長・教育担当) 副室長 (副学長・総務担当) 実施責任者 地域コーディ ネーター(2) ふくしま未来学 推進室事務局 人間発達文化 学類(1) 行政政策 学類 (1) 経済経営 学類 (1) 評価委員会 ・学内評価委員会 ・学外評価委員会 ― 62 ― 共生システム 理工学類 (1) 事務局長 地域志向教育研究経費 審査委員会 (推進室委員+学類長) 教務課長 平成26年度 第16回ふくしま未来学推進室会議 議事録 日 時:平成26年4月24日(木)14:00∼15:10 場 所:人間発達文化学類棟 2階 中会議室 出席者:神子博昭室長、㓛刀俊洋副室長、丹波史紀実施責任者、(人)松下行則委員、(行)岩崎由美子委員、 (経)藤原一哉委員、(理)筒井雄二委員、(事)今井賢司教務課長、牧野友紀地域コーディネーター、 北村育美地域コーディネーター 【審 議 事 項】 【報 告 事 項】 1.平成26年度の課題及び検討スケジュールについ 1.推進室委員について 2.平成26年度「地(知)の拠点整備事業」の交付内 て (1) 体制について 定について 本事業を推進していくにあたって平成26年度か 文部科学省より、通知があり、交付決定になった ことを報告した。 ら教務課が主担当となるため、教育担当副学長を 室長とし、副室長を総務担当とする。 3.事務局体制について 4.教務補佐員の採用申請について 本事業は「教育」を中心とし、各学類の枠を超 教務補佐員を1名増とし、 6名の事務局体制とする。 えた履修精度を数年かけて整備していく。 5.評価委員会及び評価報告書の作成について 自治体や企業から協力の前向きな申し出を受け、 (3)「むらの大学」について 地域からの期待を学内全体で共有し、事業を推進し 地域実践型学習として、川内村と南相馬市を中 ていく旨を報告した。 心に2週間の期間で現地での活動を展開していく。 6.学内評価委員からの申し入れの対応について 平成26年度は応募の増加を見込み、選考の基準 7.「むらの大学」の進捗状況について 4月11日(金)に実施をした「むらの大学」のガイ (5) 評価について ダンスでは、1∼4年生の約50名の学生が参加した 平成26年度は、年度内に開催をする。 旨を報告した。 2.平成26年度地域志向教育研究経費の募集要項(案) 8.平成25年度大学改革推進等補助金実績報告書に ついて について 地域志向教育研究経費の応募区分に「地域振興推 進費」を新設した。採択者には、 「ふくしま未来学」 の科目開講や公開講座の開設義務を明示する。 ― 63 ― ふくしま未来学推進室会議 実施報告・議事録 (4) 地域志向教育研究経費について 方法を定めていく。 参 考 資 料 (2) 特修プログラム「ふくしま未来学」について 平成26年度 第17回ふくしま未来学推進室会議 議事録 日 時:平成26年5月22日(木)13:00∼14:30 場 所:人間発達文化学類棟 2階 中会議室 出席者:神子博昭室長、㓛刀俊洋副室長、丹波史紀実施責任者、(人)松下行則委員、(行)岩崎由美子委員、 (経)藤原一哉委員、(理)筒井雄二委員、(事)今井賢司教務課長、牧野友紀地域コーディネーター、 北村育美地域コーディネーター 3.定例記者会見の結果について 【審 議 事 項】 「ふくしま未来学」の本格始動について、5月14 1.平成25年度評価報告書について 日(水)に定例記者会見にて発表し、新聞に掲載され 学外評価委員を構成し直すため、申し合わせ事項 る旨を報告した。 の検討を行う。評価報告書にアンケート結果も掲載 4.「むらの大学」の進捗状況について することも検討する。 ガイダンスを含め3回の授業が終了している。5 月30日(金)の授業では、放射線量の基礎を学び、南 2.平成25年度大学改革推進等補助金実績報告書に 相馬市は5月31日(土)、川内村は6月14日(土)に ついて スタディーツアーを予定している。夏に実施をする 具体的なプログラムについては調整中。 【報 告 事 項】 5.「モデル選択科目」の各学類進捗状況について 1.平成25年度「地(知)の拠点整備事業アンケート」 各学類の推進室委員が、各学類におけるモデル選 択科目の選定進捗状況について報告した。 結果について 学生、専任教員、正規職員、連携自治体それぞれ 6.広報の現状報告について 公式ホームページ及びFacebookにおける効果的 のアンケート集計結果を報告した。 な周知方法について現状報告した。 2.平成26年度地域志向教育研究経費の申請状況に 7.今後の課題等への対応について ついて 申請状況を報告とともに、審査基準及び審査手順 について確認を行った。 ― 64 ― 平成26年度 第18回ふくしま未来学推進室会議 議事録 日 時:平成26年6月5日(木)13:00∼14:00 場 所:行政政策学類棟 2階 大会議室 出席者:神子博昭室長、㓛刀俊洋副室長、丹波史紀実施責任者、(人)松下行則委員、(行)岩崎由美子委員、 (経)藤原一哉委員、(理)筒井雄二委員、(事)中村信一事務局長、(事)今井賢司教務課長、 牧野友紀地域コーディネーター、北村育美地域コーディネーター 【審 議 事 項】 【報 告 事 項】 1.平成26年度地域志向教育研究経費採択結果につ 1.平成25年度地域志向教育研究経費実績報告書に いて ついて できるだけ多くのプロジェクトに支援を行うため 平成26年度からは、執行計画に基づいて適正に執 に、申請枠に満たなかった地域協働推進費ならびに 行されるように努める。 地域調査支援費から、応募枠を超えた地域協働推進 2.平成25年度評価報告書について 費(プロジェクト)に予算を充当し、応募29件すべ 3.平成25年度大学改革推進等補助金実績報告書に ついて 2.平成26年度地域志向教育研究経費執行計画の提 文部科学省に5月28日(水)付で提出をしたこと を報告した。 出について 3.平成25年地域志向教育研究経費成果報告会につ 4.南相馬市スタディーツアー(むらの大学)につい いて て プログラム通り実施したことを報告した。 成果報告会を7月28日(月)に実施することを決定 5.オープンキャンパス(8月10日)について した。平成26年度採択者に対しては、年度末に成果 高校生向けにスタディーツアー時にメディアで放 報告書を冊子としてまとめることとする。 映された映像を流すなど、実践的な学習の広報を行う。 6.そ の 他 (1) 川内村スタディツアー(むらの大学)について (2) モデル選択科目について ― 65 ― ふくしま未来学推進室会議 実施報告・議事録 年度は超えているが、外部向けに発信する意味で 参 考 資 料 て採択することを決定した。 平成26年度 第19回ふくしま未来学推進室会議 議事録 日 時:平成26年7月17日(木)13:00∼14:30 場 所:行政政策学類棟 2階 大会議室 出席者:神子博昭室長、㓛刀俊洋副室長、丹波史紀実施責任者、(人)松下行則委員、(行)岩崎由美子委員、 (経)藤原一哉委員、(理)筒井雄二委員、(事)中村信一事務局長、(事)今井賢司教務課長、 牧野友紀地域コーディネーター、北村育美地域コーディネーター 4.前期開講コア科目受講者へのアンケート実施につ 【審 議 事 項】 いて 前期開講コア科目履修学生463名にアンケートを 1.モデル選択科目について 各学類の推進室委員が、各学類におけるモデル選 択科目の選定進捗状況について報告した。 実施することを報告した。 5.「むらの大学」について 川内村・南相馬市で2週間むらの大学フィールド ワークにあたり、『地域を知って地域に愛着を持つ』 【報 告 事 項】 という目標を掲げ実施することを報告した。 1.平成25年度大学改革推進等補助金実績報告書修 6.コミュニティ・ベースド・ラーニング高知大視察 正について について 2.平成26年度地域志向教育研究経費執行計画書に 7.オープンキャンパス(8月10日)について 展示パネルにおける概要説明や成果物展示、ビデ ついて 平成26年度地域志向教育研究経費執行計画書につ オ上映、解説紹介スペースを設け、推進室の教員と いて、四半期ごとの執行計画書が提出された旨を報 地域コーディネーター、学生で運営をしていくこと 告した。 を報告した。 3.平成25年度地域志向教育研究経費成果報告会に 8.そ の 他 (1) 福島大学職員自主勉強会『ひるかつ☆』におけ ついて 平成25年度地域志向教育研究経費成果報告会につ る「ふくしま未来学」の説明会の報告 いて7月28日(月)16:30∼18:00に行うこと、26名 (2) 事務補佐員の採用について の採択教員のうち5名が事例報告を行う旨の報告を (3) 事務局移転の進捗状況について した。 (4) 東芝からの寄付金について ― 66 ― 平成26年度 第20回ふくしま未来学推進室会議 議事録 日 時:平成26年10月20日(月)9:00∼10:00 場 所:行政政策学類棟 2階 大会議室 出席者:神子博昭室長、㓛刀俊洋副室長、丹波史紀実施責任者、(人)松下行則委員、(行)岩崎由美子委員、 (経)藤原一哉委員、(理)筒井雄二委員、(事)中村信一事務局長、(事)今井賢司教務課長、 牧野友紀地域コーディネーター、北村育美地域コーディネーター 【審 議 事 項】 【報 告 事 項】 1.平成27年度のコア科目・モデル選択科目につい 1.教育FDの開催について 教職員を対象に、COCにおけるコミュニティ・ベー て スド・ラーニングの推進をねらいとした教育FD実 夜間開講科目の扱いについて、現代教養コース運 施する報告をした。 営委員会において審議した結果、 「ふくしま未来学」 の履修基準に夜間開講科目は含めないことで決定し 2.「むらの大学」について た。夜間主コース生については、 「ふくしま未来学」 8月・9月に川内村・南相馬市で実施をした「む らの大学」2週間のフィールドワークの実施報告を プログラムの修了認定を受けられることを確認した。 した。 また、教務課において検討の結果、演習系科目も 3.平成26年度地域志向教育研究経費執行状況につ モデル選択科目に設定できることになった旨の報告 があり承認された。 いて 4.COC予算執行状況について 参 考 資 料 の対象科目(昼間開講科目)を履修することで特修 5.そ の 他 2.シンポジウム開催について による人づくりの可能性」 を仮のテーマとして掲げ、 開催をすることが承認された。 ― 67 ― (1) 「COCプラス」事業について ふくしま未来学推進室会議 実施報告・議事録 「地域における小中高の学校現場と当大学の連携 平成26年度 第21回ふくしま未来学推進室会議 議事録 日 時:平成26年11月17日(月)9:00∼10:15 場 所:行政政策学類棟 2階 大会議室 出席者:神子博昭室長、㓛刀俊洋副室長、丹波史紀実施責任者、(人)松下行則委員、(行)岩崎由美子委員、 (経)藤原一哉委員、(理)筒井雄二委員、(事)中村信一事務局長、(事)今井賢司教務課長、 牧野友紀地域コーディネーター、北村育美地域コーディネーター 3.「むらの大学」について 【審 議 事 項】 川内村において、平成26年11月24日(月)13:30か らフィールドワーク報告会を行う。南相馬市につい 1.平成27年度のコア科目・モデル選択科目及び自 ては、1年間の成果報告会を翌年2月に行う予定で 己デザイン領域科目について ある。 各学類の推進室委員が、各学類におけるモデル選 択科目の選定進捗状況について報告をした。 4.東芝からの寄付金について 今年度はノベルティ制作費に拠出する。 5.平成26年度「地(知)の拠点整備事業アンケート」 【報 告 事 項】 について 本学の全学生、専任教員、正規職員、連携自治体 1.シンポジウムの開催について 平成27年1月22日(木)に本学経済経営学類棟大 に、文部科学省の作成した統一指標及び本学独自の 会議室にて開催をし、島根県隠岐郡海士町長の記念 事項を追加したアンケートを行う。本学の全学生に 講演を予定する。 はLive Campusにてアンケートを行い、本学専任 2.教育FDの開催について 教員向けアンケートは、回収率を上げるため、教員 平成26年12月10日(水)16:30から開催する。高 会議中に実施し、会議終了後に回収する方法に変更 する。 知大学視察の紹介を行った後、地域志向教育研究経 費採択者による事例発表、その後ワークショップを 6.そ の 他 (1) 地域コミュニティ再生のための県民講座につい 行う予定とする。 て ― 68 ― 平成26年度 第22回ふくしま未来学推進室会議 議事録 日 時:平成26年12月15日(月)9:00∼10:00 場 所:行政政策学類棟 2階 大会議室 出席者:神子博昭室長、㓛刀俊洋副室長、丹波史紀実施責任者、(人)松下行則委員、(行)岩崎由美子委員、 (経)藤原一哉委員、(理)筒井雄二委員、(事)今井賢司教務課長、北村育美地域コーディネーター 2.教育FDについて 【審 議 事 項】 12月10日(水)に全教職員を対象にした教育FDに おいて、カリキュラム改革としてさらなる充実を図っ 1.平成27年度のコア科目・モデル選択科目及び自 ていくことを共有できたと報告した。 己デザイン領域科目について 全学類のモデル選択科目の名称とカリキュラムポ 3.シンポジウムについて 平成27年1月22日(木)に開催をするシンポジウ リシーが決定した。 ムにて、パネリストの変更と開催の周知について報 告した。 【報 告 事 項】 について 1. 「むらの大学」川内村現地報告会について 11月24日(月・祝)に川内村において、2週間の フィールドワークの現地報告会実施報告した。 参 考 資 料 4.平成26年度「地(知)の拠点整備事業アンケート」 ふくしま未来学推進室会議 実施報告・議事録 ― 69 ― 平成26年度 第23回ふくしま未来学推進室会議 議事録 日 時:平成27年1月19日(月)9:00∼10:00 場 所:行政政策学類棟 2階 大会議室 出席者:神子博昭室長、㓛刀俊洋副室長、丹波史紀実施責任者、(人)松下行則委員、(行)岩崎由美子委員、 (経)藤原一哉委員、(理)筒井雄二委員、(事)中村信一事務局長、(事)今井賢司教務課長、 北村育美地域コーディネーター 【審 議 事 項】 【報 告 事 項】 1.平成26年度自己評価・学内評価・学外評価につ 1.COC予算執行状況について 2.平成26年度地域志向教育研究経費執行状況につ いて ①自己評価、②学内評価、③学外評価の手順で2 ∼3月にかけて適正に評価を行う。学外評価委員を いて 3.平成26年度地域志向教育研究経費成果報告会・ 増員する。 報告書について 平成26年度地域志向教育研究経費の成果報告会を 2.平成27年度学習案内の内容について 3月20日(金)に開催する。また、成果報告会後には、 学習案内において、全学類統一で平成26年度より 実績を報告書としてまとめる。 目立つ位置に掲載をする方針で教務委員会に図るこ とで承認された。 4.シンポジウムの進捗状況について 3.平成27年度の公開授業・出前講座について 5.平成26年度事業報告書について 平成27年度から、 「ふくしま未来学」のコア科目を 6.H27年度COCパンフレットについて 中心に公開授業として広く住民に開放することとし 7.他大学シンポジウム視察の報告 た。また、連携自治体と協議の上、出前講座も実施 8.そ の 他 (1) 平成26年度「地(知)の拠点整備事業」アンケー していくこととなった。 トについて ― 70 ― 平成26年度 第24回ふくしま未来学推進室会議 議事録 日 時:平成27年2月20日(金)10:00∼11:30 場 所:行政政策学類棟 3階 中会議室 出席者:神子博昭室長、㓛刀俊洋副室長、丹波史紀実施責任者、(人)松下行則委員、(行)岩崎由美子委員、 (経)藤原一哉委員、(理)筒井雄二委員、(事)中村信一事務局長、(事)今井賢司教務課長、 牧野友紀地域コーディネーター、北村育美地域コーディネーター 成果報告会を3月20日(金)9:30∼12:10に実施 【審 議 事 項】 する。平成26年度に採択された29名の教員のうち代 表5名から事例報告をいただく。 1.平成26年度自己評価・学内評価・学外評価につ いて 4.平成27年度学習案内の内容について 作成をした自己評価報告書をもとに、学内評価・ 最終確認を踏まえて、各学類の学習案内に掲載を 学外評価を3月に実施する。 する。 5.来年度新入生の「ふくしま未来学」周知方法につ いて 【報 告 事 項】 1.シンポジウムの実施報告 生ガイダンスで、 「ふくしま未来学」の概要説明を行 1月22日(木)に開催をしたシンポジウムに、約 う。また、学生を主体とした「むらの大学」の説明 170名の多くの方が参加していただいたことを報告 した。 会を履修登録期間に行う。 6.平成27年度の公開授業について 2.平成26年度「地(知)の拠点整備事業アンケート」 平成27年度に新規科目として開設する「ふくしま 7.そ の 他 ンケート集計結果を報告した。 (1)「COCプラス」事業について 3.平成26年度地域志向教育研究経費成果報告会に (2)「ふくしま未来学」ノベルティ制作における著 作権について ついて ― 71 ― ふくしま未来学推進室会議 実施報告・議事録 未来学入門」を住民向けに一般にも公開する。 の実施報告 学生、専任教員、職員、連携自治体それぞれのア 参 考 資 料 来年度4月6日(月)∼8日(水)の3日間の新入 出張報告(1)高知大学COC事業視察について コミュニティ・ ベースド・ラーニング視察 え、行動を起こすきっかけとなることを目指している。 日 時:平成26年7月20日(土)∼22日 (火) このえんむすび隊の活動は、地域に関わる学生を確 場 所:高知大学 ほか 実に増やしている。リピーターも多いという。参加学 訪問者:丹波 史紀、牧野 友紀、北村 育美 生からは、 「車がないので、高知の色々な場所に行ける 福地 春香、高橋 あゆみ のはよいと思い参加した。楽しかったのでまた参加し たい」との声も聞かれた。地域は学生が来ることで活 目 的 性化し、学生は学びがあり、両者にとってよい結果と コミュニティー・ベースド・ラーニングを通し、地 なっている。えんむすび隊は単発な活動であり、継続 域と大学の連携を先駆的に取り組み、COC事業も採 的な活動には結びつきにくいが、まずは県内各地に出 択されている高知大学に、COC事業の内容や、全学的 向くこと、関係を作るということにとても有効である に進められる理由やしくみを学ぶために視察を行った。 と感じた。 また、高知大学では、平成27年度から新学部「地域協 働学部」を創設する。地域に根ざした大学として全学 <2日目> 的に取り組む工夫などを伺う。 高知大学では4地区にサテライトオフィスを設置し、 コーディネーターが現地に滞在することで、高知県の 地域支援企画員と連携しながら活動を行っている。現 視察概要 日 時 内 容 7月20日 (日) <1日目> ・ 「えんむすび隊」活動視察および現地 同行 海洋堂かっぱ館・海洋堂ホビー館四万十 7月21日 (月) <2日目> ・地域コーディネーターと意見交換 ・地域協働入門Vブラッシュアッププレ ゼンに参加 7月22日 (火) <3日目> ・高知大学(コラボレーション・サポー ト・パーク)にて、インターンシッ ププログラムに関するヒアリング及 び意見交換 ・インターンシップ学生向け説明会に参 加 <1日目> 高知大学では、毎月1回程度、県内各地を訪ねるワ ンデイツアー=えんむすび隊を実施している。地域の 自然の美しさや、食の美味しさ、人々の暮らしに触れ ることで、地域の抱える問題や社会とのかかわりを考 ― 72 ― 今後の課題 地域における先進的な取り組みを行う高知大学から 学ぶべきことは多く、本学のCOC事業に活かせる部分 が多かった。えんむすび隊の取り組みは、来年度本学 でチャレンジしてもよいかもしれない。えんむすび隊 は授業ではなく、気軽に地域行事に参加できるプログ ラムであり、地域に関わる学生のきっかけとなる。年 間計画を立てて募集をしているため、学生も予定が立 てやすい。周知の方法は、ポスター掲示とメーリング リストを使用しており、効果的に行うことが必要であ ると感じた。 高知大学は地域に根ざした大学として、地域にも必 要とされていると感じる。サテライトオフィスの設置、 学生のやる気をサポートする体制(コラパ)が地域を 支えている。さらにその地域志向性は、地域系の新学 部創設までつながっている。本学のCOC事業では、高 知大学の取り組みにヒントを得ながら、ふくしまの地 に合ったプログラムで、その担い手となる学生の育成 に取り組んでいく必要がある。 地にいることで情報が入ってくるため、地域で研究を したいと考えている教員との橋渡しや学生の地域実習 内において網羅的に地域コーディネーターを配置する ことで、地域における大学の役割が明確になっている と感じた。 参 考 資 料 のコーディネートを行っているという。このように県 <3日目> まず、 インターンシップのオフィスは、コラボレーショ ンサポートパーク(通称コラパ)内に位置している。 コラパとは、学生の何かやりたい気持ちを形にする様々 な支援メニューを用意している場所で、学生が地域や 企業で体験し、学び、成長する機会をサポートしてい る。そのため、高知大学のCOCの事務局は、インター ンシップの事務局と同じコラパにあり、学生のやりた い気持ちや、学びの段階によっても継続的にサポート できる体制が整っている。学生の成長過程や学びの継 続性を担保するしくみや、学内での連携が必要だと実 感した。 ― 73 ― 出張報告 インターンシップ事業についてヒアリングを行った。 出張報告(2)鳥取大学シンポジウム視察について 「地域と学ぶ高大連携をめざして」 シンポジウム視察 は、鳥取大学の取り組みを中心に数例が報告され、大 日 時:平成26年12月20日 (土) 14:00∼17:00 学の多くは、COC事業の柱として高大接続の展開も 場 所:鳥取県立生涯学習センター 推進していた。 訪問者:牧野 友紀、北村 育美 目 的 成 果 「ふくしま未来学」では、本学と高校の連携を軸とし 報告の中で、島根県海土町島前高校の取り組みが紹 た地域協働を推進していくために、鳥取大学地域学部 介された。今年度のシンポジウムの基調講演のテーマ 主催のシンポジウム 「 地域 と学ぶ高大連携を目指して」 となる海土町の地域づくりに関わり、島前高校の果た の視察を行った。 す役割を把握することができた。本事例は、地域人材 を育成していくにあたり、本学と来年度開学予定の「ふ たば未来学園高等学校」との連携にとって参考になる 視察概要 先進事例であることが分かった。とくに、未来学園が 地域と協働する地域系高校および地域系大学の取り すすめる「ふるさと創造学」の展開にとって、本学連 組みについてパネル展示があり、地域系高校、地域系 携の力が十分に発揮されうるのではないかという印象 大学の教育、地域貢献活動の概要について説明を行っ を持った。 ていた。シンポジウムでは、地域系高校がどのような 地域学習プログラムを用意しかつ大学と連携している 今後の課題 のかについて先駆的事例が報告された。大学の報告で シンポジウムでは、地域系高校で育てた学生が地域 系大学に入学し、7年にわたり地域人材として育てる ことの意義と現状の課題について意見が交わされた。 現在の入試システムの中では高大連携接続に関し、選 択肢が必ずしも多いとは言えない。こうした点は、本 学においても同様のことが言える。教育の質保証をふ まえ、本学における地域人材の育成についての議論と 具体的な取り組みがさらに活性化することが重要であ る。 ― 74 ― アンケート実施結果 平成26年度「地(知)の拠点整備事業」 平成26年度「地 アンケート実施結果 アンケートの実施概要 アンケート実施結果(1月実施) アンケート実施結果(1月実施) 「ふくしま未来学」の周知状況及び要望等を把握す 学 生 るために実施した。4月と1月においては、全学生、 全教員、全職員、連携12自治体に実施。7月について 【対 象】学生 4,209名 は、 「ふくしま未来学コア科目(前期)受講者※」に実施。 「Live Campus」にて実施 【実施方法】 1月実施のアンケートは、文部科学省で指定された指 【回 答 率】4%(有効回答数:191) 標に設問を追加する形で行った。 ※ふくしま未来学コア科目(前期) : 「むらの大学」 「 、水・ 土地の汚染と私たちの健康・生活」、「現代社会への 【設問1】 1.福島大学が、 「地域のための大学(ふくしまの再生・ アプローチ」 「災害復興支援学Ⅰ」で実施。 、 活性化)」として地域に関する教育・研究・社会貢 献活動を推進していることを知っていますか。 Ԕɪʨʉɣ ─²¸━ アンケート実施方法(1月実施) ۋጏ ─┋━ 参 考 資 料 ・学生……コミュニケーションポータルシステム 「Live Campus」にて実施 ・教員……メール及び教員会議にて紙媒体配付・回 収にて実施 ᇽʨʉɣ ─¶·━ ・職員……メールにて実施 1月の学生向けアンケートについては、4月とは実 施方法を変更し「Live Campus」にて行ったが、回答 【設問2】 率は思うように上がらなかった。 2.福島大学が「地域のための大学」として実施する 教員については、4月実施の際、回答率が25%と低 授業科目等を受講したことがありますか(科目が複 かったため「メール送信」及び「紙媒体配付」の2段 数ある場合は、科目数を記載すること) 。 階で実施した結果、 4月よりも大幅に回答率が上がった。 ʎɣ ─µ´━ 周知状況の把握を図るアンケートであったが、1月 の学生向けのアンケートについては回答率が著しく低 かったため、学生の周知状況の実態や推移を見ること は困難である。 来年度以降は、 「ふくしま未来学」の周知状況及び要 ɣɣɧ ─²µ¹━ 望等を正確に把握するために、回答率を上げる工夫を 行っていく。学生及び教員に関しては、直接、配付・ 回収が必須であると考えられる。 「ふくしま未来学」へ の要望等の声を拾う手段の一つとして、アンケートは 今後も実施していく予定である。 ― 75 ― 出張報告/アンケート実施結果 ・連携自治体……郵送にて実施 ᇽʂʅɣʪ ─²²¶━ 【設問6】 ۋጏ─┏━ ( 「5.」の質問で「ある」を選択した方はご回答くだ ┌ʃ─┋━ ┉ʃ ─²¸━ さい。) 6.その地域の市町村名を教えてください。 (県内) ┋ʃ─┎━ 福島市 35 大玉村 3 南相馬市 16 会津若松市 3 郡山市 10 猪苗代町 2 【設問3】 川内村 8 三春町 2 ( 「2. 」の質問で「はい」を選択した方はご回答くだ 伊達市 7 三島町 2 さい。) 本宮市 7 福島県 1 3.上記科目を受講した結果、課題を含めた地域の現 県外 7 双葉郡 1 二本松市 5 大熊町 1 富岡町 5 西郷村 1 葛尾村 4 浪江町 1 相馬市 4 田村市 1 いわき市 3 会津坂下町 1 ┊ʃ ─²±━ 状を把握するとともに、地域の課題解決に役立つ知 識・理解・能力は深まりましたか。 ۋጏ─┉━ Ԕɪʨʉɣ ─²·━ ʎɣ ─³µ━ 【設問7】 7.ふくしまの再生・活性化にかかわり、あなたが興 ɣɣɧ─┊━ 味を持っていることについて教えてください(複数 回答可)。 【設問4】 ボランティア活動を行う 90 被災地域を見学する 89 放射線に関する知識を深める 74 地域のイベントに参加し住民と交流する 73 (一部抜粋) 被災地のまちづくりに携わる 65 ・希望の職に就けた際に活かしていきたい。 地域再生や活性化につながる事業を興す 64 ・福島県の食べ物は安全なのだと周りに教えてあげた テーマを定め自主的学習や研究活動をおこなう 35 インターンシップに参加する 35 ホームステイ(民泊)やファームステイなど現 地での生活を体験する 29 ( 「3. 」の質問で「はい」を選択した方はご回答くだ さい。) 4.その知識・理解・能力を今後どのように活かして いきたいと思いますか。 い。 ・地域に関わるボランティア、イベントに積極的に還 元したい。 【設問5】 その他(具体的に)※一部抜粋 5.入学後、地域でボランティア活動を行ったことが ・企業誘致 ・雇用促進 ありますか。 ・被災者の心のケア ۋጏ─┋━ ・福島の農産物などを作ったり食べたり販売する。 ʎɣ ─¸·━ ・かーちゃんの力プロジェクトなど、女性による地域 の活性化 ɣɣɧ─²²³━ 【アンケートより得られたこと】 ・今回のアンケートは、学生4209名に対して有効回答 ― 76 ― 数が191名(全体の4%)となり、状況を把握し難い Ԕɪʨʉɣ ─┉━ ᇽʨʉɣ ─┑━ 結果となった。 ・福島大学が、 「地域のための大学(ふくしまの再生・ 活性化)」として地域に関する教育・研究・社会貢 献活動を推進していることを知っている学生は、回 答者191名のうち115名と、6割を超えたものの、そ のうち、 「地域のための大学」として実施する授業科 ᇽʂʅɣʪ ─²³±━ 目等を受講したことがある学生は43名と少ない。こ のことから、自分の受講科目のうち、どれが「地域 【設問2】 のための大学」として実施する授業科目であるのか 2.「地域のための大学」として、地域を志向した教育・ ということの自覚が無い学生が多くいるのではない かということが推測される。 研究に参加していますか。 (該当するものに〇を付けてください) ・学生のボランティア数は回答者の4割程度に留まっ ۋጏ ─┉━ たが、24と数多くの市町村でボランティア活動を行っ ɣɣɧ ─´º━ ている。また、ボランティア活動を行うことに興味 を持っている学生も多く、COC事業としてもボラ ンティア活動のサポートをより一層行っていくこと ᓑ̍ለኴ ɼʫɽʫʊ ɩɣʅבՒ ɶʅɣʪ ─¸±━ ለኴʍʞ בՒɶʅ ɣʪ ─┐━ で、さらに学生の地域貢献活動を広げることができ るだろう。 ᓑʍʞ בՒɶʅɣʪ ─²³━ 教 員 【設問3】 【実施方法】 3.研究・教育等で関わっている地域があれば教えて 下さい。(県内) メール及び教員会議にて紙媒体配付・回収にて実施 (複数ある場合は、複数を答えてください) メール(1月5日∼1月23日) 紙媒体(1月28日∼2月4日) 28 会津美里町 4 南相馬市 12 南会津町 3 ・実施方法別回答率 伊達市 12 須賀川市 3 メール88%(114名) 郡山市 10 三島町 2 紙媒体12%(メールの未回答者129名のうち16名) 会津若松市 9 川内村 2 ・所属別回答率 二本松市 6 大玉村 2 人間発達文化学類:65%(72名中47名回答) 喜多方市 6 大熊町 2 行政政策学類:57%(44名中25名回答) 川俣町 6 西郷村 2 飯舘村 6 昭和村 2 浪江町 5 泉崎村 1 国見町 5 猪苗代町 1 富岡町 4 会津坂下町 1 相馬市 4 桑折町 1 活性化)」として地域に関する教育・研究・社会貢 本宮市 4 湯川村 1 献活動を推進していることを知っていますか。 田村市 4 鮫川村 1 いわき市 4 その他 8 【回 答 率】58%(有効回答数:130) 経済経営学類:61%(54名中33名回答) 共生システム理工学類:50%(48名中24名回答) その他役員:17%(6名中1名回答) 【設問1】 1.福島大学が、 「地域のための大学(ふくしまの再生・ (該当するものに〇を付けてください) ― 77 ― アンケート実施結果 福島市 ※紙媒体に関しては、メールの未回答者のみに実施 参 考 資 料 【対 象】教員224名(専任教員) 【設問4】 小さくまとまるのではなく、多様な専門分野から組 4.専任教員に対して、地域志向性を高める研究経費 織的に行うことも必要ではないか。そのための方法 ( 「地域志向教育研究経費」 ) の支援があることを知っ ていますか。 論や実践に関するFDは有効かと思う。 ・震災原発事故復興について。 ・グループワークやワークショップなどのアクティブ・ ۋጏ─´━ ラーニング。 ・内堀福島県知事による新たな福島創造を目指す行政 運営の具体例。 ᇽʨʉɣ─µµ━ 【アンケートより得られたこと】 ᇽʂʅɣʪ ─¹´━ ・福島大学がCOC事業として地域に関する教育・研 究・社会貢献活動を推進していることへの認知度は 高いが、地域志向教育研究経費の支援があることは、 【設問5】 回答者のうち半数ほどであったため、より一層周知 5.福島大学が地域を志向した教育・研究・社会貢献 を図っていく必要がある。 活動を全学的に進めるために、必要だと思われるこ ・設問5の自由記述から、全学類共通して、研究にお ける 「時間の確保」 「予算の支援」 「地域のニーズ把 とはどのようなことですか。自由にお書きください。 (一部抜粋) 握」、それにともなう 「学内業務の軽減」 が大きく求 ・研究する時間 められていることが分かった。 ・学内業務の軽減/身体は一つしか無いので、新たに 地域志向の活動をさせようとするならばどこかで仕 職 員 事量の軽減を図らなければ不可能だと思う。無理は 【対 象】職員134名(正規職員) 承知で、教職員数の拡大を求めたい。 ・研究経費の弾力的・長期的運用/地域と一緒になっ て教育・研究をすすめようとする場合、地域側の都 【実施方法】メールにて実施 【回 答 率】100%(有効回答数:134) 合に合わせて進めていかざるを得ない。突発的な事 情(選挙など)によって計画が変更されることも避 【設問1】 けられず、流動的にならざるを得ない部分がある。 (中 1.福島大学が、 「地域のための大学(ふくしまの再生・ 略)当初計画がうまくすすまなかったときの翌年度 活性化)」として地域に関する教育・研究・社会貢 への先送り、3年・5年プロジェクト枠の設置が有 献活動 を推進していることを知っていますか。 効ではないか。 ᇽʨʉɣ ─┉━ Ԕɪʨʉɣ ─┉━ ・ (中略) 「地域」の含意の明確化あるいは拡張があれ ば、 「地域志向的」教育・研究・社会貢献活動を設定 しやすいと考える。 ・ 「地域の人(受け手)側の必要」とのマッチング。受 け手側の「支援され疲れ」 (震災後、高校生向けの講 演会が多すぎて、高校生は飽き、動員をする先生も ᇽʂʅɣʪ ─²´³━ 疲れている)なども気をつけないといけないと思う。 【設問6】 【設問2】 6.教育FDで取り上げて欲しいテーマは何ですか。 2.「地域のための大学」として福島大学に、今後期待 自由にお書きください。 することは何ですか。 (一部抜粋) (一部抜粋) ・地域に関わる教育成果のフィードバックについて。 ・足元の福島大学自体の教育研究機関としての「宝」 各教員が個々に成果報告の場を設けることがあるが、 ― 78 ― を広く知ってもらう必要がある。 ・歴史ある福島大学が、震災・原発事故からの復興に 当するものに〇を付け、その理由を御記載ください。 とどまらない地方再生の足掛りとなる、最先端技術 ①大いに満足 ②満足 ③不満 と歴史的検証を併せ持つ研究成果と各種提案をして ④大いに不満 ゆく必要がある。 Ǐۋጏ ─┉━ ・福島に住み、将来を担う子どもたちが偏見にさらさ Njށɣʊགᢷ ─┋━ ǎށɣʊͭག─┈━ Ǎͭག ─┉━ れないようにするための情報発信を願う。 ・知っているつもりでおりましたが、あらためてHP で事業内容を確認したところ、とても知っていると は言えないと思った。 ・(学生に)福島県の復興に役立つ活動を福島大学在 njགᢷ ─┏━ 学中に実施した、という充実感をもってもらうため にも、研究所の活動を学生さんとともに実施してい ける体制があるとよいと思う。 (一部抜粋) ・来年度オープンする図書館とコラボレーションして みませんか? [大いに満足・満足] ・市町村と連携し、様々な形で復興支援を展開してい ・周辺への発信・アピールが足りていないように感じる。 ただいている。 ・市各種委員等において学識経験者として貴重なご意 【アンケートより得られたこと】 見、ご提案をいただいている。 ・職員においては、福島大学が「地域のための大学(ふ ・新規事業に対し、ノウハウの提供や学生のボランティ くしまの再生・活性化) 」として地域に関する教育・ アでの支援を頂き、事業の効率化や職員のレベルアッ 研究・社会貢献活動を推進していることを認識して プにつながっている。 いると言える。 ・本市の現状を理解した上で、その解決に向けて取り 組んでいただいたことは、 (中略)学生と地域住民 果の発信、COC自体のアピール)、②学内の各施設(各 課)との連携が大きな課題としてあげられる。 の双方によって成長の機会になったと思う。 [不満・無回答] ・①または②に共通していえることは、大学内の資源 ・マンネリ化。何をやっているのか良くわからない。 や機能を認識し、発信さらには相互に活かしていく 【設問2】 場を広げ、地域へ教育や研究成果を還元していくた 2.「地域のための大学」として福島大学に、今後期待 することは何ですか。 めにも、まずは各教員、各施設(課やセンター)の 研究成果を知るとともに、それらをつなげていく機 (一部抜粋) 能が必要であろう。 ・解決方法等を本市と共に考え、実践していただく取 り組みをお願いしたい。 ・活動を継続的に実施し、具体的な地域課題の解決ま 連携自治体 で結びつけていただきたい。 ・「未来学」に取り組んでいる学生たちの声、感想を聞 【対 象】 きたい。 12連携自治体(福島県・福島市・伊達市・南相馬市・ 浪江町・双葉町・大熊町・葛尾村・富岡町・楢葉町・ ・一町村で行うことが困難な広域的な事業をより多く 開催していただきたい。 広野町・川内村) ・今後も本村を地域課題の実習フィールドにしていた 【実施方法】郵送にて実施 だきたい。 【回 答 率】100%(有効回答数:12) ・地域の課題を取り込んだ出前講座を積極的に実施し 【設問1】 ていただきたい。 1.福島大学の取組は「地域のための大学(ふくしま の再生・活性化)」として満足するものですか。該 ― 79 ― アンケート実施結果 ことが必要であるということである。学生の学びの 参 考 資 料 ・しかし、自由記述から、①情報発信の強化(研究成 【アンケートより得られたこと】 ・満足度においては、事業において関わりのある市町 村とそうでない市町村で結果が分かれるものであっ た。しかしいずれの自治体も「ふくしま未来学」へ の満足度とは限らず、他事業を含めた「地域のため の大学」を理解していただいていることが分かる。 ・双葉郡においては、町村を積極的に活用してほしい という声があり、 「むらの大学」をはじめ多様な関わ り方で、各町村と事業をすすめていくことが求めら れている。 ― 80 ― 平成26年度「地(知)の拠点整備事業」に関する報道一覧 報道日 平成26年 5月23日 報道機関 区 分 タ イ ト ル № 福島テレビ むらの大学 むらの大学授業風景取材 5月31日 ひばりFM むらの大学 【南相馬市】 南相馬スタディツアー様子について放送 6月1日 福島民報新聞 むらの大学 【南相馬市】 南相馬で被災地の現状学ぶ 福大の 「むらの大学」 受講生 6月1日 NHK むらの大学 【南相馬市】 福大生が被災地復興に向け始動 6月14日 NHK むらの大学 6月15日 むらの大学 しんぶん赤旗 【川内村】 6月15日 福島民報新聞 むらの大学 【川内村】 6月20日 朝日新聞 ふくしま未来学 福島の今 語れない学生 【川内村】 6月22日 福島民友新聞 むらの大学 【川内村】 福大生が田植え 6月27日 福島民友新聞 むらの大学 【川内村】 川内で田植え体験 福島大の学生16人 6月28日 公明新聞 むらの大学 【川内村】 復興の担い手育てる 福島大で 「ふくしま未来学」 がスタート 7月1日 朝日新聞 むらの大学 受講生の取材 7月16日 朝日新聞 (デジタル) 教育2014 福島)(学び舎:大学篇) 専門分野で地域再生へ ふくしま未来学 福島大 「ふくしま未来学」 http://www.asahi.com/articles/ ASG6Z3PS6G6ZUGTB005.html 7月18日 NHK仙台 クローズアップ東北 ふくしま未来学 「作れるか 新たな村から福島川内村 原発事故からの再生∼」 8月26日 福島民報新聞 むらの大学 【南相馬市】 8月28日 ひばりFM むらの大学 【南相馬市】 9月26日 読売新聞 むらの大学 【南相馬市】 就業体験 福島の未来探る 資料2 11月26日 福島民友新聞 むらの大学 【川内村】 川内振興の糸口探る 現地実習の福大生が発表 資料3 平成27年 1月23日 福島民友新聞 ふくしま未来学 本県教育復興考える 福島大「未来学」シンポ 資料4 1月23日 福島民報新聞 ふくしま未来学 「離島の挑戦」語る 1月24日 朝日新聞 ふくしま未来学 資料1 福島大学生が 復興 を学ぶ 復興担い手 田植え実習 福島大学生 川内村民と交流 川内村の現状を理解 福島大 地域学習研修ツアー 参 考 資 料 震災と向き合いたい 福島を勉強し、福島を知る 報道一覧 福大生がフィールドワーク 「むらの大学」学生出演「ふくしま未来学」の紹介 「異質なもの取り入れ成長」 「仕事ない」から「つくる」へ ― 81 ― 資料1 平成26年6月1日(土) 福島民報新聞 資料2 平成26年9月26日(金) 読売新聞 ― 82 ― 資料3 平成26年11月26日(水) 福島民友新聞 資料4 平成27年1月23日(金) 福島民友新聞 参 考 資 料 報道一覧 ― 83 ― ニュースレター(1) ― 84 ― 参 考 資 料 ふくしま未来学ニュースレター ― 85 ― ニュースレター(2) ― 86 ― 参 考 資 料 ふくしま未来学ニュースレター ― 87 ― ― 88 ― 参 考 資 料 ふくしま未来学ニュースレター ― 89 ― ニュースレター(3) ― 90 ― 参 考 資 料 ふくしま未来学ニュースレター ― 91 ― ― 92 ― 参 考 資 料 ふくしま未来学ニュースレター ― 93 ― 平成26年度 「地(知)の拠点整備事業」 関係者一覧 ふくしま未来学推進室 役 職 名 氏 名 所 属 ・ 役 職 名 室 長 神 子 博 昭 役員 理事・副学長(教育担当) 副 長 功 刀 俊 洋 役員 理事・副学長(総務担当) 実施責任者 丹 波 史 紀 行政政策学類 准教授 委 員 牧 野 友 紀 ふくしま未来学推進室事務局 地域コーディネーター 委 員 北 村 育 美 ふくしま未来学推進室事務局 地域コーディネーター 委 員 松 下 行 則 人間発達文化学類 教授 委 員 岩 崎 由 美 子 行政政策学類 教授 委 員 藤 原 一 哉 経済経営学類 教授 委 員 筒 井 雄 二 共生システム理工学類 教授 委 員 中 村 信 一 役員 事務局長 委 員 今 井 賢 司 教務課 課長 室 ふくしま未来学推進室事務局 氏 名 所 属 ・ 役 職 名 髙 橋 清 典 教務課 副課長 菅 野 悟 教務課 主査 菅 野 亜 季 奈 ふくしま未来学推進室事務局 地域コーディネーター補佐 高 橋 あ ゆ み ふくしま未来学推進室事務局 地域コーディネーター補佐 大 平 未 来 ふくしま未来学推進室事務局 教務補佐員 中 村 祐 子 ふくしま未来学推進室事務局 事務補佐員 ふくしま未来学 学内評価委員 所 属 ・ 役 職 名 氏 名 人間発達文化学類 学類長 千 葉 養 伍 行政政策学類 学類長 中 川 伸 二 経済経営学類 学類長 眞 田 哲 也 共生システム理工学類 学類長 石 原 正 ふくしま未来学 学外評価委員 所 属 ・ 役 職 名 氏 名 南相馬市 市長 桜 井 勝 延 川内村 村長 遠 藤 雄 幸 半 谷 栄 寿 NPO法人ETIC. 理事・事業統括ディレクター 山 内 幸 治 葛尾村教育委員会 教育長 猪 狩 省 造 福島県企画調整部 部長 近 藤 貴 幸 (社)福島復興ソーラー・アグリ体験交流の会 代表理事 ― 94 ― あとがき 平成26年度ふくしま未来学事業報告書を完成することができました。4月のスタートからあっという間に 過ぎていく日々でしたが、学生、教職員、連携自治体をはじめ地域の皆様のおかげで本年度の事業を無事終え ることができました。 今年度の主眼の一つは、特修プログラム「ふくしま未来学」の開講でした。新規科目の立ち上げおよび既存 科目の地域志向化など、地域復興にかかわる最新の研究成果を授業科目にするという難しい課題を先生方に担っ ていただきました。そうした授業での学びをいかに「地域復興の担い手」としての人材育成に結びつけていくか。 ふくしま未来学推進室委員は無論のこと、教務委員の先生方、教務課、各学類の職員の方々のご尽力のおかげで、 体系的な教育プログラムを整備することができました。 「ふくしま未来学」の主要科目である「むらの大学」は、本学の地域志向性を高める上でモデル的な意味を持 つ授業です。2週間の実習という、学生にとっては極めてハードルの高い学習内容でしたが、ここでも多くの 先生方、職員の方々にご指導およびご協力をいただきました。そのおかげで、学生たちはフィールドワークを 安心して行い、多面的に学ぶことができました。改めて感謝申し上げます。 「むらの大学」をはじめとする、 「ふくしま未来学」の教育プログラムを始動することができたのは、連携自治体、 地元企業や組織、地域住民の方々の全面的な支えによるものだと実感しています。地域の皆様の顔が思い浮か びます。期待を裏切ることなく、来年度も気を引き締めて頑張りたいと思います。 地域コーディネーター 牧野 友紀 「ふくしま未来学」COC事業が始まり、本年度は本格始動の年となりました。初年度ながらも、たくさんの 東日本大震災は前例がないことだらけです。この震災は地域にも学生にも大学にもつらい経験ではありましたが、 大学や地方が変わるチャンスでもあります。地方が元気でかつ誇りを持つためには、誇りを持って生きる人、 福島で誇りを持って学び、社会へ巣立つ学生の人材育成が大事になります。 本年度開講した地域実践学習である「むらの大学」では、実際の地域に滞在し、地域住民とふれあいながら 参 考 資 料 ことに取り組むことができたとふりかえっています。最初が肝心、生みの苦しみなどという言葉もあるように、 生活するなかで、大学では学べない学びを得られたように思います。すべてが手探りの中で進み、学生自身も いう短い間でしたが、大きく成長したように思います。学生の若い力は、大きな可能性を秘め、大きく成長す 来年度、 「ふくしま未来学(COC)」の事業は拡大します。それによって、地域に関わる学生、教職員が増え、 新たな変革が起きることを期待しています。 最後に、地域のみなさま、連携自治体をはじめ、多くの方々の協力なしでは、この事業を実施することはで きませんでした。来年度もより一層努力していきますので、お力添えのほど、よろしくお願いいたします。 地域コーディネーター 北村 育美 ― 95 ― 年度﹁地︵知︶の拠点整備事業﹂関係者一覧/あとがき ること、それを間近で感じ共通体験ができたこと、それは私の成長にもつながったと思います。 平成 大変だったと思います。しかし、前例がないことで、自分で考えて行動するということが身につき、2週間と 26 文部科学省「地(知)の拠点整備事業」 (平成25年度採択) ― 原子力災害からの地域再生をめざす「ふくしま未来学」の展開 ― 平成26年度 ふくしま未来学 事業報告書 発 行 日 平成27年3月 発 行 福島大学ふくしま未来学(COC)推進室 〒960−1296 福島県福島市金谷川1 TEL:024−504−2850 FAX:024−504−2849 E-mail:[email protected] http://coc.net.fukushima-u.ac.jp/ 編集・印刷所 株式会社 クサカ印刷所 〒960−8132 福島県福島市東浜町7−35 ― 96 ―
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