ダウンロード - 町田まちづくり市民会議

2015 年 3 月号(通巻第 136 号)
町田まちづくり市民会議
第 17 回定期総会のお知らせ
下記のとおり総会を開催いたします。
会員ならびに購読会員の皆様におかれましてはご参加のほどよろしくお願い申し上げます。
日 時:2015 年 3 月 21日(土) 13:30~16:00
場 所:まちだ中央公民館 6階 第 2 会議室
町田市原町田 6-8-1:JR町田駅から徒歩約 5 分
第1部
定期総会
13:30~14:10
1.開会
2.町田まちづくり市民会議議長あいさつ
3.総会座長・書記選出
4.議案審議
第 1 号議案 2014 年活動報告
第 2 号議案 2014 年決算報告・監査報告
第3号議案 2015 年活動計画(案)
第4号議案 2015 年予算(案)
5.座長・書記解任
6.閉会
第2部
座談
14:20~16:00
地域の記憶とその保存――アメリカの歴史ミュージアムに学ぶ
話者:井上 弘貴(町田まちづくり市民会議会員/神戸大学国際文化学部准教授)
(終了後、懇親会を予定しています。ぜひご参加下さい。場所は未定です。
)
第 136 号 目 次
町田まちづくり市民会議 第 17 回定期総会のお知らせ ··············································································· 1
町田市内リニア沿線を歩く(後編) ······························································································ 桜井 朋広 2
東テネシー日誌(第八回) ··············································································································· 井上 弘貴 5
編集後記・事務局だより ········································································································································· 8
1
町田市内リニア沿線を歩く(後編)
桜井 朋広
前号より続き
この新年 1 月4日、リニア・小野路立坑予定地から小山田立坑予定地まで歩いた。12 時半、
立坑予定の小野路・青山学院大グラウンド出発。リニア路線はここから西へ、小野路保育園
の南側を抜け、小野神社の南側から万松寺谷(写真〈1〉)を抜けて城山に上る。
リニア中央新幹線
小野路~小山田 計画路線図
<1>から<2>まで
なるべく路線に沿って歩いてゆく。小野路の交差点に
は観光施設の里山交流館があり、食事や休憩などに利用
されている。そこから神社脇を西に折れ万松寺谷戸へ。
路線に沿うように、万松寺の前の坂を上り、六地蔵前を
左折。市で舗装した歩道を上り尾根に上がると、尾根道
を鎌倉時代の史跡・城山に出る。ここがトンネルまで最
も深く 100m以上となる場所。しばらく前まで調査用
写真〈1〉
のボウリング・パイプが見えていたが、この日は外さ
れていたらしく上からは見えなかった。
路線は西に延びる。路線近くを歩くため、
尾根伝いに NPO「結の里」が市の委託で開い
た広葉樹の林下、遊歩道の山道を進んで奈良
ばい谷戸に降りた(写真〈2〉)。この谷戸では
豊富な湧水など用いて、米作なども行ってい
て、ホタルが生育するなど多くの生物も棲む。
もし水脈が絶たれるなどしたなら、この景観
も生物も、小さくない影響を受けることにな
写真〈2〉
る。
2
リニア中央新幹線
小野路~小山田 計画路線図
<3>から<6>まで
路線はそこから車道を渡り、白山神社を通り抜ける。さらに里山の自然が残る都立小山田
公園に入り、北側出口付近から出て大泉寺(写真〈3〉)
に向かう。ここは城山同様の鎌倉時代の城跡で、静
かな佇まいがある。
路線はなおも西に、市立小山田小学校(写真〈4〉)
へ。小学生が毎日過ごすこの校舎の真下を通る。路
線に沿って道を歩くと、ほぼ鶴見川上流に溯る方向。
路線はそこから西にたどり、鶴見川源流の一つで
写真〈3〉
ある谷戸を上って小山田の市有地、第 3 の立坑に抜
けてゆく。
路線近くを歩くため、小山田バス停を左に折れた。
すぐ右に折れ、谷戸奥へ。冬の田んぼと水音を感じ
ながら小山田の尾根に上る。(写真〈5〉
)
谷戸の奥の台地上の部分、左手に小山田立坑予定
地を見ながら上り詰めると「こころのホスピタル町
田」
(元の上妻病院)前に到着。そこから立坑予定地
写真〈4〉
に抜けるには、裏にある墓地内のペット墓地を通し
てもらわないといけない。
立坑予定地は、病院も墓地も真ん前に位置する(写
真〈6〉)。工事が始まれば、それぞれ景観と騒音の悪
化は免れないだろう。
リニア路線は更に西に、橋本駅予定地に伸びてゆ
くが、今回歩いたのはここまで。寄り道など含めて
ほぼ 3 時間だった。
写真〈5〉
3
(3)リニア路線を歩いてみて
これまでJR東海などによる説明会
では、リニアの路線は地下深くを通り、
地上の権利は及ばないかわりに影響も
ない、とされてきた。
ただし、実際に歩いてみると、路線上
には川や調整池のほかに、田んぼや里山、
湧水も多い。トンネル工事によっては、
地下水脈など自然への影響、農業への悪
影響などが考えられるのではないだろ
写真〈6〉
うか。小野路での事業説明会では地下水
の利用者から、そうしたことを懸念しての質問も出ていた。山梨の実験線では想定外の渇水
もトンネル工事発生している。影響は小さいとする環境影響評価に本当に不足はないのだろ
うか。小山田公園ではまだまだ生息数が少ないオオタカらしき姿も観られた(写真〈7〉
)
。こ
の地域の環境が生物にとって大切なものであると強く感じられた。
また、路線上にはいくつかの住宅地、そして学校や幼稚園もあり、そこで一日の大部分を
過ごす成長期の子どもたちは多い。海外では高圧線など、強い電磁波を生じるものからそう
した施設を遠ざける義務もあるが、日本ではまだそうした意識は薄い。率直に言って、リニ
アがもたらす影響が気になった。
路線近くには障がい者などの作業
所、病院や老人施設も多い。これは市
街地にはない静かな環境を求めての
ことだろう。リニア建設にともなうト
ンネル工事や路線の通過で、大気や騒
音など思わぬ悪影響がこの地域に発
生することは、本当にないと言えるの
だろうか。
現在のJRによる計画では、立坑隣
接町会以外の地域には、たとえトンネ
ル真上の住民でも工事説明会をおこ
なう予定はない。しかし、たとえば土
写真〈7〉
砂搬送先について今のところ決まっ
ていないため、輸送トラックの経路も確定していない等、工事についても不安は消えない。
今年の秋には土砂搬出など本格的工事が始まることを考えると、やはりあらためて今一度、
この一連の工事と、リニア計画の意味を考え直さなければならないのではないか。そう思わ
ざるを得ない今回の路線歩きだった。■
4
東テネシー日誌(第八回)~町田を離れて遠くまで来てしまいました…
会員 井上 弘貴
おかげをもちまして、昨年 5 月からの出張を終え、先月の 2 月に日本に戻ってまいりました。ふ
りかえると、やはりあっという間の 10 か月でした。ノックスヴィルからシカゴまで 1 時間半の飛行
機での移動の後、シカゴから成田まで、約 13 時間のフライトでした。成田に降り立ち、新宿を経由
して町田に着いてみると、自分の記憶のなかのアメリカの各地の風景は、なにか長い夢か幻だった
のではないかという気さえしてきます。
すでに日本に戻ってはいますが、今号も紙幅に余裕をいただきましたので、記憶の整理も兼ねて、
第八回をお届けいたします。前回はノース・キャロライナ州をご紹介しました。今回はその南のサ
ウス・キャロライナ州についてご紹介したいと思います。
サウス・キャロライナ州の愛称はパルメット・ステイト
前回も、その州のシンボルが書き込まれている、州ごとの車のナンバープレートからお話を始め
ましたので、今回もサウス・キャロライ
ナ州のナンバープレートを見ておきたい
と思います。この左のプレートが、サウ
ス・キャロライナ州で現在、一般的に使
用されているナンバープレートです。プ
レートの中央に描かれている木は、パル
メットヤシと呼ばれるヤシの木です。か
つてのキャロライナ植民地からふたつに
分かれたノース・キャロライナ州とサウ
ス・キャロライナ州。ですが、ヴァージニアから土地を求めて南下してきた農民たち(そのなかには、
当初ペンシルヴァニアに入植したスコットランド=アイルランド系移民が多く含まれます)が多か
ったノース・キャロライナ州と比較して、サウス・キャロライナ州では砂糖プランテーションや奴
隷貿易で財をなしたプランターたちの影響力が強く残りました。同じキャロライナを名乗るふたつ
の州ですが、今日でもこのふたつの州の雰囲気は実際に訪れてみると、かなり異なることがわかり
ます。ともあれ、サウス・キャ
ロライナ州ではいろいろな街
角で、このパルメットヤシの木
を見かけることができ、南国的
な印象を感じさせます。さて、
右の写真は、実際にサウス・キ
ャロライナ州を訪れた際、代表
的な港町であるチャールスト
ンに続く途上の道すがら、早朝
にとった写真です。残念ながら
写っている木はパルメットヤ
シではありませんが、夜明けの
空の下から朝焼けが立ち上っ
てくる光景は、まさにサウス・
キャロライナ州のプレートに
描かれている光景と、奇しくも
同じになりました。
5
サウス・キャロライナ州を代表する都市、チャールストン
そのサウス・キャロライナ州を代表するチャールストンの街なみが上です。すこし大きめの写真
でご紹介しておきたいと思います。パルメットヤシが高々とそびえる沿道と、豪奢な歴史的建物が
いたるところに残っている、たいへん美しい都市です。このチャールストンから大西洋へと出る湾
の入り口には、南北戦争の火ぶたが切って落とされたことで有名なサムター要塞があります。サウ
ス・キャロライナ州は 13 植民地のなかで最初に連合規約を批准してもおり、前回ご紹介したように
ノース・キャロライナ州がライト兄弟にちなんで First in Flight(初飛行)を誇るのにたいして、サウ
ス・キャロライナ州は First to Fight(最初に戦いを始める)を誇ると、しばしば言われるところです。
さて、ここチャールストンでは、先に簡単に触れましたように、かつて奴隷貿易が盛んにおこな
われました。奴隷の売買がおこなわれた場所は現在、旧奴隷市場博物館として一般に開放されてい
ます。ダウンタウンにある、この博物館を訪れた際、チャールストンの街なみの美しさを受け付け
の黒人女性に伝えたのですが、その女性はたいへん複雑な表情を浮かべ、この街なみを見ることな
く壁の内側に押し込められ、そして南部の各地に売られていった人たちのことにも思いをはせてほ
しい旨、言われたことが、たいへん心に残っています。この女性は当日おこなわれるレクチャーの
講師として博物館にいらしていて、たまたま受付を手伝っていたことをその直後に知ったのですが、
子どもたちが多く参加していたそのミニ講演のなかで、わたしの二代前は奴隷だったこと、つまり
奴隷制は遠い過去の話では決してないことを強調していた点も、強く記憶に残りました。まさにチ
ャールストンの美しい街なみは、奴隷貿易や奴隷労働によって生み出されたプランテーションの富
によって支えられていたこと、この街なみの美しさをかつては万人が享受できたわけではなかった
ということを、見落としてはいけないことを思い知らされました。アメリカの各地の博物館では、
その施設の大小にかかわりなく、スタッフのひとと来場者が気軽に話し込み、展示の内容について
議論したり、展示を見て考えたり思ったことを話しあうということを見かけますし、自分自身も自
6
分の意見を言うことを求められることが、博物館を訪れるなかで何度もありました。個人として意
見をもつことの責任を、アメリカの博物館ではしばしば実際に痛感しました。
名もない町にひっそりと立つ記念碑――タスキーギ・エアメンの最終訓練飛行場
昨年は公民権法制定 50 周年。今年は投票権法制定 50 周年という、近年のアメリカは公民権運動
をめぐるひとつの節目の時期です。たとえば昨年のアメリカでは、投票権法制定の経過を、マーテ
ィン・ルーサー・キング牧師を中心にして描いた『セルマ』
という映画が公開され、議論を呼びました。
アフリカ系アメリカ人の歴史的足跡を辿ることのできる史
跡はアメリカの各地にあります。ここサウス・キャロライナ
州で訪れることのできるもののひとつが、チャールストンか
ら内陸をすこし西に進んだところにあるウォルターボロとい
う小さな町にあります。この町のローカントリー・リージョ
ナル空港の横にひっそりとあるのが、タスキーギ・エアメン
のモニュメントです。
タスキーギ・エアメンとは、第二次世界大戦の際に結成さ
れた、アフリカ系アメリカ人のみからなる戦闘機のパイロッ
トの部隊です。その名前は、アラバマ州のタスキーギからき
ており、タスキーギで訓練を受けたかれらは、ここウォルタ
ーボロに移動の後、最終訓練を受けて実戦に赴いたそうです
(アラバマ州のタスキーギにもタスキーギ・エアメンのナショ
ナル・ヒストリック・サイトがあります)。実戦ではヨーロッ
パ戦線でドイツの都市への爆撃をおこなう爆撃機を、ドイツ
軍の迎撃機から護衛する任務などにつきました。
その勇敢な戦いぶりと戦果によって、タスキーギ・エアメ
ンを記念する道路など、全米のいろいろなところで今日でも
見ることができます。しかし、国内で過酷な人種差別が続き、
「市民」として白人と同等な権利を得ることができなかった
黒人たちが、戦争という状況のなかでのみ「兵士」として同等に参加を求められたということは、
皮肉なことだと言わざるを得ません。なお、かれらタスキーギ・エアメンが身を挺して守った爆撃
機の搭乗員たちは基本的に白人であったことを考えると、戦場においてもまた、かれらは必ずしも
平等であったわけではありませんでした。
サウス・キャロライナ州の州都は?
さて、紙幅も尽きてまいりました。ちなみ
に、サウス・キャロライナ州の州都はコロン
ビアです。左の写真は州議会議事堂をガー
ベ・ストリートという大通りから撮ったもの
で建物の裏側です。南北戦争での南軍の戦死
者を追悼するモニュメントが控えています。
この近くには、サウス・キャロライナ大学の
大きなキャンパスもあり、アジア系の学生も
少なからず見かけました。
サウス・キャロライナ州は日本にとっては
なかなか馴染みの薄い州のひとつではありますが、アメリカという国を知るうえで欠かせない州の
ひとつであることを、実際に訪れてみて強く感じました。■
7
市庁舎屋上の一部の一般開放はじまる
編 集 後 記
先月の 2 月 9 日から、町田市役所は新市庁舎
今号では巻頭記事として今月 21 日の土曜日
の屋上の一部を「屋上展望テラス」として市民
午後におこないます総会の式次第を掲載いたし
に開放を始めました。市庁舎がオープンしてい
ました。年度末のご多用の折とは存じますが、会
る日の午前 8 時 30 分から午後 4 時 30 分まで、
員ならびに購読会員のみなさまにおかれまして
南エレベーター2 号機で直通とのことです(そ
は、何卒ご参加のほどよろしくお願い申し上げま
れ以外のエレベーターの場合、10 階まで上がり
す。今号ではまた、桜井朋広会員による、「町田
そこから階段で行くことができます)。町田市
市内リニア沿線を歩く」の後編もお届けしました。
公式 HP によれば、「屋上展望テラスからは、
東テネシー日誌も早いもので第八回を数えます。
町田市内の忠生・小山田方面を一望できるほか、
これまでの連載ではあまり詳しく触れることのでき
相模原市や丹沢連峰を眺望することができま
ていない、アメリカの各地の歴史博物館や国立史
す」とのことです。テラスでの飲食は禁止との
跡の特徴につきまして、総会後の座談ではお話を
ことです。まだ屋上にのぼるには寒い季節かも
させていただく予定です(H.I.)。
しれませんが、これから暖かくなりましたら、
天気の良い日に市役所に立ち寄った際には、す
事務局だより
こし足をのばして屋上まであがってみるのも
4 月の定例会(会報発行日を兼ねる)は 4 月 10
ありかもしれません。
日(金曜日)13:00~より中央公民館(生涯学習セ
ンター)ロビーで行います。
3 月 11 日夜に、町田市・相模原市全域で
ライトダウン
≪お願い≫会員または購読会員になっていた
だけませんか。当会は会員および購読会員の会
多くの方が亡くなられた東日本大震災から 4
費(年 1000 円)で運営しています。みなさま
年の月日が流れようとしています。東北地方の
のご協力をお願いします。
復興のニュースも、福島の原発のニュースも、
郵便振替口座番号 00100-5-548577
めっきりマスメディアでは少なくなっている
町田まちづくり市民会議
最近です。ですが、震災は決して過去のもので
ないことは言うまでもありません。たとえば福
まちづくりの環
島の原発における汚染水流出の近年の報道は、
事故の収束に向けた根本的なコントロールの
町田まちづくり市民会議会報
めどが、いまだに立っていないことを如実にあ
2015 年 3 月 3 日第 136 号発行
らわにしています。
発行者
そうしたなか、町田市と相模原市の全域で、
編集責任者
3 月 11 日の午後 6 時から午後 8 時にかけてラ
三谷高康
井上弘貴
事務局 桜美林大学
イトダウンの呼びかけが、町田市と相模原市に
渉外事業部 地域・社会連携室内
よってなされています。詳細は「まちださがみ
事務局 E-mail hiro_inouye @yahoo.co.jp
はら絆創光」のキーワードで、インターネット
町田まちづくり市民会議ウェブサイト
で検索ください。関連イベントとして、3 月 7
http://www.machida-machizukuri.com/
日には、相模原市立博物館にて JAXA 宇宙科学
町田まちづくり市民会議ツイッター
研究所の方を講師に招いた講演と星空の学習
http://twitter.com/machida_citizen
会も開催されます。
8